謎の人物椎野先生ってどんな人なの?

椎野ゼミ出身者による椎野先生レポート
取材・文:井上 淳 (1999年卒業)

椎野先生と井上氏の対談

印象に対する分析

 まず、前途のビフォアの印象を与えているのは(あくまで取材者なりの分析ですが)、椎野先生は、何かを説明する時に、伝える事象を客体として捉えてお話しすることが身についるということがポイントになっています。

 これが論理的で分かりやすい説明にもつながるのですが、説明には喜怒哀楽の感情を外してお話しするので、聞いている側は、話をしている「事」は理解できても、話をしている時の「感じ」や、もしくは話をしている時の状況の「感じ」が読めないのです(つまり、その時の椎野先生が「楽しかった」のか「怒っている」のか「落ち込んでいたのか」というような感情が分からないということです)。

 ですので、聞いている側の後々まで印象として残るのは「自分が理解できた事」の記憶よりも「自分が(椎野先生の)感情を読み取れなかった感じ」の記憶が残り、これがつまり、「謎の人物」に繋がるのではないかと思います。

 そして、ゼミともなると2年間の付き合いで<アフター>も印象も実感もしっかり残るので、このビフォア、アフターのギャップもごっちゃになり、今度は意味を変えて益々「謎の人物」となるのです。

椎野先生の授業

私自身も長年捉えていた椎野先生のイメージは、

「自分とは何なのか?」という興味や感情にはあまり関心がなく、自分の外側で起こっている事象や出来事(政治、経済、宗教、文化、芸術、芸能、国際関係、科学的な発見、ジェンダー、等々何でもかんでも)の方がエキサイティングで、知的好奇心旺盛な自分の満足度を高められる、そして、それを実践できるのが社会学だ

と考えている人だと思っていました。

ですが、本当にそうなのでしょうか?
そして、本当はどういう人なのでしょうか?

と、現状の自分自身の先入観を一度外して、ここではその「謎の人物なる」椎野先生の、幼少期から大学進学前までのヒストリーを本人のインタビューを元に、本当の人物像を見ていきたいと思います。