SLINGSHOT HIPHOP
B5W41902 瀬島菜那
イスラエルで生きる、ヒップホップ歌手の物語だった。
彼らのつむぐ言葉の力に驚いた。(はい、日本ではお目にかけられない、生きている言葉です。)昨今の邦楽(日本の音楽)とは比べ物にならないほど、歌手の思いがこもっていたように感じられた。日本の歌はどれも政治的なことを歌わないようになっていて、あまりいい歌がないと思っていたのだが、世界には政治的なメッセージが込められている歌(プロテストソング)があるということが分かった。はい、日本の演歌も元々は「プロセストソング」。(川上音二郎など)
中東の現状(この映画は、イスラエル。パレスチナ問題。)が全くわかっていなかったことに気付けた。国(イスラエル共和国)内で移動が制限されていたり、(イスラエル国にいるアラブ人=アラブ系イスラエル人・パレスチナ人が)アラビア語を喋って街中を歩くだけで警察官に声をかけられる現状など知らなかった。証明書を発行してもらったにもかかわらず、手続きで時間がとられ予定の日程以上かかってしまうなどということがよくあることも今まで全く知らなかった。(この映画を見ないと、アラブ系イスラエル人=パレスチナ人の存在自体も認知できず、その人たちの現状も知る人はほとんどいないでしょうね。)女性ラッパー(=パレスチナ人。この存在を知っている日本人は稀です。)は、女性であるということで家族から活動を制限されていたり、最悪、名誉殺人が起こる危険があることが分かった。名誉殺人はニュースや本などで知っていたが、今回の映画で出てきたような人がそういったことに巻き込まれるかもしれないと思うと、他人事として考えられないなと感じた。はい。
また、彼らのように歌手になれるような人は、ある程度お金のある家に生まれたことが分かった。親がどういう生活を送れる人かで、子供の将来が決まるところは、日本以外でもよくあるのだと思った。(ほとんど、そうでしょう。)親の経済力で、子供の将来が決まるのが新自由主義国家です。これに闘っているのが福祉国家なのですが、日本ではその無理解が続いています。また、恵まれていること(+イスラエルに住んでいること)で、本当のパレスチナ人なのかという葛藤があることも分かった。(はい、アイデンティティ・ポリティクスの問題です。)分割統治はイスラエルでも健在だと知ることができた。はい、「分割統治」は、インド支配(イギリス)だけでなく、植民地状態があるところにはどこにでも見いだすことができる支配方法なのです。