フランスで出稼ぎ労働をしている黒人男性サンバ(セネガル出身)は、ビザの更新を忘れたために不法滞在者になってしまった。国外退去処分になったもののその後もフランスに止まり続け、滞在許可証を偽造したり、日雇いのような仕事を斡旋してもらったり、警察から逃げながら何とか生活していた。人材派遣会社で働くアリスは激務で燃え尽き症候群になり休職中で、その期間を不法滞在者の書類申請などの面倒を見るボランティアとして過ごしていた。フランスに留まる方法を探すサンバと、それをサポートするなかで徐々に回復していくアリスの様子が描かれている。不法滞在者の扱い方は、国によって異なり、不法滞在者=不法移民がイコール犯罪者ではなく、そうした不法滞在者をサポートするNPOもあることを理解しましょう。不法滞在者にするのは国家ではあるが、そうした国家の判断だけがあるのはなく、そうした判断ではない判断をする社会集団もあるのです。日本は国家主義の判断しかないので、不法滞在者に取って、居づらい国家なのです。
椎野先生の他の授業でEUの労働時間規定が紹介されていた。フランスでは確か労働時間は週35時間程度と決められていて、仕事と仕事の間に、連続して8時間労働の後には11?1時間の休息時間を取らなくてはいけないことになっていた。しかしアリスは一日12時間以上働いていたと言っていた。これは労働時間規定からは例外として扱われるのだろうか。例外ではなく、不法就労です。そうした働き方をさせている会社に対して、何か罰則などはないのだろうか。通報すれば罰則です。不法移民相手の不法労働なのです。通報されないことを前提に就労させます。また、フランスの都市部ではこうした長時間労働や職場の競争から休職・退職する人は珍しくないのだろうか。フランス合法社会では、長時間労働は、ありません。ゆえにそこからの休職・退職する人は、いません。
映画の中でアルジェリア出身でありながらポルトガル人のふりをしている人がいた。移民と一口に言っても、出身国によって仕事の見つけやすさや滞在手続きのしやすさなどが違うということがわかった。はい、移民にもランキングがあります。また、移民や特に不法滞在者向けの仕事は肉体労働(違法の)が多く、映画のなかでは主に男性がそうした仕事を行っていたが、同じ境遇の女性たちにはどのような仕事があるのだろうか男女とも底辺労働です。その女性が「妻」なのか未婚なのかによっても仕事内容が異なります。低学歴の非熟練のパートの仕事が主で、失業者も多いです。「母」になった女性は、子ども手当で生活できてしまいます。(あったとしても、セックスワーカーとして働くくらいしかないのだろうか)日本のように風俗産業が社会構造的に存在しているわけではありませんので、NOです。仕事を求めて移民としてやってきても、移民がする仕事の中でも「どのような移民がする仕事であるか」という選別が常にあり、それによって思ったような生活が送れないこともあるということがわかった。はい、そうです。
日本で30、40代くらいまでの独身女性が正社員として働けていても、仮にアリスのようにストレスから休職・退職せざるを得ない状況になった時、アリスのように立ち直り復職できるのだろうかと疑問に思った。大企業ではできますが。企業戦士のような働き方が未だにスタンダードである日本社会では、心身ともに不調に陥ってしまう人は少なくない。しかし忙しすぎて他人を気にする余裕がなく、そうした不調が理解されにくい状況が現在も続いているため、アリスのような状況になってもまず会社から休職よりも退職を勧められる可能性もあるのではないだろうか。再就職も簡単ではないし、退職をきっかけにやり直すことができなくなってしまう女性は日本では珍しくないのではないだろうか。厚生労働省の日本の大企業に対する指導は、ストレス・メンタルヘルス対策を施し、退職者は出すな、です。したがって休職者は多いです。休職者の職場復帰は、元職場に戻すとまた休職のパターンが多く、うまくいっていません。大半の中小企業は、対策は一応しているが、退職者が多いです。