「アメリカン・スナイパー」
B3W41102 蛭田一樹
この映画はアメリカが世界と戦っていることを明らかにして、あからさまにしている映画だった(それだけだろうか?)。戦争を天誅のような形で用いている。(世界の警察官としてのアメリカです。)まるで自らを神としているようである。ただ、戦車にスカル(skull)を描いていたから、「死に神」かもしれない。はい。彼らは「人を殺す人間」を作る装置―ブートキャンプで鍛え上げられ、人を殺す(と褒められる)仕事を引き受けている。おそらく、兵になるまでの過程で、「人を殺す」という明示的なテーマが用いられることはなく(「敵を殺す」です)、「国を守る」というテーマが与えられるのだと思う。「そんなことでは国を守れないぞ」と言われたら、軍人になる人は概ね国を守ることにある種の崇高さを感じているから、より盛り上がるのだろう。(軍国主義=愛国主義のアメリカです。)
また、日本では「国を守る」というところで考えれば、安全保障条約とTPPという問題がある。これから日本の現政権は人を殺す軍隊を作ることに着手するかもしれないのだ。明治時代にかかれたビゴーの風刺画を思い出す。アメリカとイギリスに突っつかれてロシアに攻撃しようとしているあの図だ。歯向かうところは全く異なる。歴史は繰り返すと言うが、それは歴史を学ばないものにおける内容である。はい、歴史を学びましょう。(その前に、「歴史」をアンラーンする必要がありますが。)
TPPは新たな東アジア通貨危機を生み出しかねないという人もいる。今日の報道で、アメリカのTPPを担当する大臣は「TPPは個人の問題に留まるものではない」と言っていた。国の代表をするTPPの大臣がそのような不透明性を持っていても、とりあえずそっちのけで調印してほしいみたいだ。これは早く決めてしまいたいからの発言なのだろうと感じた。(アメリカの議会、民主党は、TPP反対派なのですかが。)待たされて、待たされて、さっさと行動に移したい気持ちの表れである。お互いにいい貿易(これは何?)を行うつもりであれば、その様な発言は良くわからない。ボードゲームで相手に不利な選択をさせようと口車に乗せている時は、そうしたはらはら感がある。その時の気持ちなのではないだろうか。こんなにアメリカに都合のよいように進まされると心底はらわた煮えくり返る(アメリカの国民は反対なのですが。)。一国家の意見に従わなければいけないとか、それがどうなのかという問題ではなく、これまでの積み重ねである。国家主義ではない視点で見られるようになりましょう。なぜ日本に軍を置き続けることを容認するのか。日本はアメリカを宗主国とした、属国ではない。対等にみているのであれば、利用などする気にならないと私は思う。(対等には思っていません。)アメリカの独楽遣いである。いくらアメリカが好きでも、それは個人の問題にとどまらない。日本には個人を超えたレベルでアメリカを好んでしまっている事実もあるが。我々は「これでいいのか?」という問いを考えるメタ認知で日本を考える人(具体的にはどんな人なのですか?)を選んでいかなければいけない責任を負っている。