B3W41087 苗木日菜
これまで「アンネの日記」を見たことも読んだこともなかった私は、なぜ一人の女の子の日記が有名になっているのかも、何について書かれているのかも知らなかった。世界について何も知らずに生きているのですね、大変ですね。
13歳の女の子が2年間も外に出られず、物音を立てずにひっそりと暮らすというのは、自分の13歳のころの記憶で考えてもつらいことが容易に想像できる。さらにそこに知らない家族や男性も入ってきて、同じ部屋で寝るというのは精神的に苦痛しかないだろう。
「精神的苦痛」で終わりでなく、なぜ、そうゆう状況が生じたのかを考察しましょう。
歯科医の男性が一緒に住むことになったときに、それ以前はアンネは姉と同室で寝ていたが、姉が両親の部屋に行き、アンネと男性が同室になったことに疑問を感じた。アンネの父と同室か、アンネも両親の部屋に行き、男性が1人になるべきだったのではないだろうか。なぜ、そうした部屋割りがよいと考えたのか、そしてなぜそうならなかったのかを考えましょう。男性一人とは、別の狭い部屋にアンネ一家が4人でいることになりますが、なぜその男性をそうも優遇するのかの理由がわかりません。父は、一家の主なのです。当時の一家の主の意味を当時のものとして理解する想像力を培いましょう。
他の授業でユダヤ人差別の話を聞いたときに、先生は、どうしてその人がユダヤ人だとわかるかという理由について、鼻の高さで決められることなどが知られているが、実際はたまたまであることも多かったと言っていた。たまたまユダヤ人だという疑いをかけられ、そのまま連れて行かれ、殺される。証拠もなく殺し、その人がユダヤ人ではなかった場合も何も罰などはないのだろうか。ユダヤ人だと疑われると、もう人間だとおもわなくなるのだろうか。それほど遠い昔の話ではないことに恐怖を感じた。単にユダヤ人問題だけでなく、その背後にあるナチズム/ファシズムとは何かを、日本社会の問題として、考えなくてはならない現代に生きていることに、気付いてくださいね。過去の話ではなく、近未来の話なのです。世界について何も知らないと、世界の矛盾の犠牲者になるのは、その無知の人である可能性が高いのです。