ただ単に読んで、受け流していたタイトル「ブルーゴールド」を考えると青い金という意味で金と同じように価値のある水・・・ということなのだろうな、と思った。ゴールドラッシュの次に石油ラッシュがあって水ラッシュ、石油戦争の次は水戦争の世紀になりかねない、という映画のメッセージだった。はい、で「水戦争」とは何かをどう理解していくかが問題です。
映画では、土ではなくコンクリートでできた舗装道路が多くなって地下に水を通さなくなり砂漠化することで地球温暖化が進んで行く、と言っていた。ヒートアイランド現象の説明ですね。
また問題視されていたのが水の商品化であった。水のペットボトル化。アメリカの戦略、市場経済イデオロギーだとは気がつかず、しかしおおもとをたどればアメリカの会社ばかりだ。否、フランスも多いですよ。人類共有の物質を国が自営できないからって民営にするという罠が怖い。政府や企業に委ねては、その餌食になるだけである。巨大企業に勝つことが求められる。実際映画に出てきたアフリカ地域の国はアメリカのスエズという企業から水を取り戻したのである。多国籍企業(大企業)による民営化のメカニズムを認識していくことは、グローバリゼーション時代の基礎知識です。巨大企業反対だけでなく、このメカニズムを認識することが大切なのです。
この問題に立ち向かう為の究極の方法は人口を減らすということで手っ取り早いらしいが、現状維持でよいのですが。それは現実的ではないようだ。統計上、一年に1億人、世界で人口が増えています。わたしとしてはもともと木や川や草や花などが好きだから、水浸透システムを戻すという点で森林再生に力を入れるということ(その政策立案を考えることに意義があります)に関心が向く。
日本人が水不足を危機的に思っていないのは、輸入に頼っているからである?水の輸入?。食糧を輸入に頼っているために食料自給率が低い。水の一人当たりの使用量はアメリカが一位だと言っていたが、それは農業に使われる水の量が相当多いからだそうだ。しかしアメリカは水不足だと言う。日本が輸入取引しているものは農業で作られた小麦粉などが多い。しかしその小麦粉などが作られる過程で水不足の国が農業によって水を大量に消費し、その状態の所で育った作物を日本に輸入し、日本で消費しているのである。仮想水(virtual water)問題を認識しましょう。その国が本当に水不足で作ることができないようになり、日本に輸出できなくなったとしたら、日本の危機である。しかし日本人は気がついていない。日本に食糧が輸入されなくなるから問題だではなく、現在も、水不足の「水」を、日本が大量に消費していること自体が問題なのです。
ブルーゴールド
|小林鈴奈