椎野ゼミ課題
幸せの経済学
2014年6月20日
チョウ ロセン
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「幸せの経済学」は「映画」といってもシネコンの映画のことではなく、各地で開催される自主上映会形式において見る「映画」である。自主上映会で上映される「映画」は、娯楽劇映画というよりも、何らかの「社会問題」を扱ったドキュメンタリー映画が多い。上映後の講演会、討論会、意見交換会、質疑応答の時間があることが重要な側面なのである。ここに市民メディア/オルタナティブ・メディアとしての「映画」自主上映会開催の真骨頂があるのだろう。「幸せの経済学」のメッセージはグローバル化による金融危機や気候変動などの問題を解決するために、ローカリゼーションを導入すべきだということである。映画の中では、、グローバリゼーションがもたらす変化に直面しているラダックの例をあげている。では、グローバリゼーションとは何か。一説では各国の国民経済を国際経済に統合することである。もう一説では通信や交通や輸送や貿易を通して、地域の経済・社会・文化が統合されてきた過程である。映画では、「グローバリゼーション」を次のように定義している。1.ビジネスや銀行が地球規模に事業展開できるように貿易・通商や財政・資金調達などの規制緩和をすること。2.多国籍企業の支配する単一世界市場が出現すること。3.ただし、国際協力(international collaboration・相互依存(interdependence)・国際社会(global community)としばしば混同されている。グローバリゼーションは、今日、世界を変化させる強力な原因の一つであり、世界中の社会に影響を与えている。映画では、以下の8つの不都合な真実をまとめている。
①人を不幸にする(グローバリゼーションは私たちを不幸にする)
②不安を生み出す(グローバリゼーションは不安定を産み出す)
③自然資源を消費する(グロ−バリゼ−ションは自然資源を浪費する)
④気候を激変させる(グローバリゼーションは気候変動を加速する)
⑤生活を破綻させる (グロ−バリゼ−ションは暮らしを破壊する)
⑥対立を生む (グローバリゼーションは対立を増大させる)
⑦大企業へのばらまきである(グリーバリゼーションは大企業への施し物(=補助金)の上に築かれている)
⑧誤った会計の上に成り立つ(グローバリゼーションは偽りの会計・経理に基づいている)
そこで、通常のGDPやGNPではなく、国民総幸福量(GNH)という尺度の一つがGPIとしてあげられている。
そして、この映画では、ローカリゼーションは、次のように定義されている。1.巨大な多国籍の企業や銀行を現在のところ優遇している財政支援などの廃止。2.地域のニーズ(需要)のための生産に利して、輸出市場への依存を減少させること。3.(しばしば孤立主義や保護(貿易)主義や貿易の排除と混同されている)。
また、この映画では、「ローカリゼーションのムーブメント」として以下のものが紹介されている。
1企業と銀行のローカリゼーション (ローカルなビジネスと銀行業)
2ローカルフード経済(ローカルな食物)
3エネルギーのローカリゼーション(ローカルなエネルギー)
4アイデンティティと地域の知恵(ローカルなアイデンティティ、ローカルな知識)
5世界のローカリゼーション(グローバルにローカル化する)
6ローカリゼーションの未来(ローカルな未来)
最後に注意すべきことは、ローカリゼーション・ム−ブメントが、反「グローバル」となっていないことである。
理解点:
グローバリゼーションによって地域の価値観や貧富の差などが生じている。このような問題を解決しようと、ローカリゼーションが提出されている。
疑問点:
今、世界は、どんどんグローバル化していると思い、当地の文化や生活習慣などを変えていく。すでにカルチャーショックを受けたところは、価値観も変えたため、ローカリゼーションに変更しようとしても、できるかについて疑問を持っている。「豊かな」生活を望んだ以上、以前のような素朴な生活に帰るのか。「豊かな」と「素朴な」は対立概念なのだろうか。豊かでないものが「素朴」でもないし、「素朴」が豊かでない、わけでもないのです。このような誤解を与えるものも、実はグローバリゼションに含まれています。ローカリゼーションは不可能だ、というのは、グローバリゼーションの一環なのです。このグローバリゼーションに対抗しているローカリゼーションとはなにかを再度考えてみてください。また「豊かな」生活は、無限に増大することは可能なのだろうか?