椎野ゼミ課題
舟を編む
2014年6月13日
チョウ ロセン
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この映画をはじめて見たとき、主人公の馬締さんの真面目にこつこつ仕事をすることと映画の全体の穏やかな雰囲気に感動した(古き良き「日本」のイデオロギーの再生産です。)。先生に言われ、この映画では男に対して都合がいいことばかり表れていることに気づいた。物語の始まりが1995年であり、今でも日本の社会は男中心としているから、当時はもっと厳しい男社会だろうと思い(いまも会社社会では変わっていません)、あまりこちらの方向を深く考えていなかった。ディスカッションし、全篇2時間以上の映画の中に、主人公の重要な人生のパートナーについての話が少なすぎることが普通ではないことが分かったはい、よい気づきですね。(日本男子の人生は仕事中心で、パートナーや私生活は二の次三の次の旧態依然のライフスタイル観です。)。この映画の一面が辞書を作るのに真面目にこつこつやり続けることである。もう一面は男が社会での主導地位を揺るがせることなく、きちんと仕事をし、理想な妻や家庭など手に入れるという潜在的な考え方があることではないか。はい、こつこつ真面目なことそれ自体は否定しなくてもよいのですが、この映画では「こつこつ真面目」だと、社内における出世(昇進)と副産物としてのよき妻と家庭が付いてくるというイデオロギーが見え隠れしています。現代社会では、この副産物は期待できず(この副産物が副産物になること自体がおかしいのですが)、「真面目」だけが評価されて過剰労働を「真面目」でカバーさせるという現実の嫌らしさが目につきます。この間テレビで見た世界男女格差指数(2013年)(日本も大好きな「世界経済フォーラム」が毎年発表する「Global Gender Gap (Index)Report」です。毎年注目してください。))によると、日本は韓国(111位)を除く先進国でもっとも低く、105位であった。近隣の発展途上国の中国(69位)、ベトナム(73位)、タイ(65位)、フィリピン(なんと5位)などより低いであるモンゴル33位、スリランカ55位、シンガポール58位です。(日本の原因としては、政治分野における女性の割合や女性管理職の割合の低さ等は指摘されています。)実は中国で今でも「男尊女卑」という考え方(儒教思想の流れ)が残っているため、男女の出生性別比率が偏っている(女子100に対して男子118)。しかし、中国の町で、家庭内での共働きがごく普通なことであり、嫁いだ嫁さんも苗字を変える必要がない(儒教思想の影響の面も理解して下さい)(夫婦別姓が当たり前なのです)。日本で今まで、男社会が固定しているのは、政策に関係していることが大きいと思う。高度成長期のときから、働く男性に安心して仕事をするために、妻が年収103万円以内で、補助金がもらえると日本語学校の先生から聞いた(補助金ではなく、公的年金の「第3号被保険者制度」のことで、夫がサラリーマンの場合に、妻が年収130万未満だと、この妻は夫の扶養家族と見なされて、妻は一切、保険料を支払うことなく、老後に年金を受け取れる制度となっています。現政府は社会保障審議会で、この制度を廃止することを主張していますが、男女差別を前提とした既得権益となった専業主婦層からは反対の意見が出ています。)。正直驚いた。今中国の若者が仕事したがらなく、苦労したがらないから、専業主婦になりたがる人がいる。しかし、日本では既婚女性が働く気があっても、政策で抹殺してしまうではないか(はい、103万の所得税控除や先の130万の保険という社会制度が、女性の(主婦の)働き方を、大きく規制しています。)。主人のお客さんが来る場合、妻がレストランのウェートレスのように水や食べ物を出し、そしてその場を立ち去ったと言う場面は、よく日本のドラマで見慣れたシーンである。それが男女の格差が明らかな部分ではないか。(そうです、この役割を女性から奪うなという反ジェンダーの考え方を支持する日本女性(日本男性)はまだまだ多いのが105位の現状です。)日本は136カ国の中、105位も納得できる順位だと思う。これから日本の女性の社会進出により、格差がだんだん小さくなると思うが(期待薄です、年々このランキングも低下しています。2012年は101位でした。)、いつまで先進国の平均レベルに達成できるのかが問題である。まあ今のままでは無理ですね。(それを日本社会は甘んじて受け入れています。)日本社会は、「先進国」社会で露骨な男社会がどのように保持されていくのかの実験場になっています。そのなかで「男」たち(そして女たちは)は、どのような人生を送るのか、の実験場なのです。他の「先進国」ではこの実験はもうできない状況なのです。
「世界男女格差指数」出典:
http://thepage.jp/detail/20131030-00000001-wordleaf