東ジョージアの山岳地帯、パンキシ渓谷で暮らすイスラム教徒のチェチェン系ジョージア人たちを追ったドキュメンタリー。戦争で二人の息子を失った女性とその娘、ロシアとの戦争でトラウマを抱える男性らが、「テロリストの巣窟」と言われた故郷を復興させようと立ち上がる。監督などを手掛けるのは竹岡寛俊。東京ドキュメンタリー映画祭2022の長編部門コンペティションでグランプリを受賞した。
作品情報:https://www.cinematoday.jp/movie/T002…
配給: アークエンタテインメント
公式サイト:http://inorinotani.com
(C) 2021 ADAMIANI Film Partners
劇場公開:2023年12月1日
映画『アダミアニ 祈りの谷』2023年12月1日よりロードショー!!
映画『アダミアニ 祈りの谷』
2023年12月1日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!!
監督:竹岡寛俊
配給:アークエンタテインメント
公式サイト:http://inorinotani.com/
https://eiga.com/movie/99789/
チェチェン紛争で「テロリストの巣窟」の汚名を着せられた東ジョージアの山岳地帯パンキシ渓谷で暮らすチェチェン系ジョージア人「キスト」の人々を3年間にわたって記録した、日本・オランダ合作によるドキュメンタリー。
戦争で2人の息子を失ったレイラは、娘マリアムや両親とともに、美しい庭のあるゲストハウスを営んでいる。彼女の従兄弟アボは、旅行者をコーカサスの山へ案内するガイドの仕事をしている。戦士の一族に生まれたアボもまた、戦争による重いトラウマにさいなまれていた。2人は戦争で荒廃した谷から負のイメージを払拭するべく、ポーランドから来たバルバラと旅行会社を作ることに。しかしある日、パンキシ渓谷出身の青年がテロ容疑で殺害され、新たな分断が生まれてしまう。
2010年にパンキシ渓谷のキストの人々と出会いドキュメンタリー制作を始めた竹岡寛俊監督の長編初作品。タイトルの「アダミアニ」とは、神が最初に創造したアダムを語源とするジョージア語で「人間」を意味する。
2021年製作/120分/G/日本・オランダ合作
配給:アークエンタテインメント
劇場公開日:2023年12月1日
公式サイト:https://inorinotani.com
解説
パンキシ渓谷・キストについて
映画の舞台となったパンキシ渓谷は
ジョージアの東・ワインの生産地でも有名なカヘティ州にある。
コーカサス山脈から流れるアラザニ川の両岸に小さな集落が広がり、
「キスト」と呼ばれる 19 世紀に現在のチェチェン、
イングーシ地域から移住した末裔が暮らす。
国民の大多数が正教徒のジョージアにあって、
キストは伝統的なイスラムの信仰を守り、
牧畜や農業を営みながら、ジョージア人と共存してきた。
ジョージア基礎データ

首都トビリシ
人口370万人
言語ジョージア語
宗教主としてジョージア正教
民族ジョージア系(86.8%)、アゼルバイジャン系(6.2%)、アルメニア系(4.5%)、オセチア系 (0.4%)など(2014年、ジョージア国勢調査)
面積日本の約5分の1
貨幣ラリ
ストーリー
東ジョージアの山岳地帯、パンキシ渓谷。
レイラはチェチェン紛争で難民となり、シリア内戦で二人の息子を失った。
息子たちの死後、彼女は美しい庭を作り、
娘のマリアム、両親とともにゲストハウスを始める。
いとこのアボは、レイラの元を訪れる旅行者をコーカサスの山々へと案内するガイド。
戦士の一族に生まれ、戦争の重いトラウマに苛まれていた。
やがて二人は戦争で荒廃し、谷に残された負のイメージを払拭するため、
ポーランドからきたバルバラと旅行会社を作ることになる。
だがある日、テロ容疑でパンキシ渓谷の青年が殺害され、新たな分断が生まれてしまう…
テロリストの烙印を押された谷
人口7000の小さな谷が世界の注目を集めるようになったのは、第二次チェチェン紛争の時だった。
1999年、当時首相だったプーチンによってチェチェンへ大規模攻撃が開始されると、難民や独立派ゲリラは国境を接したジョージアのパンキシ渓谷を目指した。
ジョージア政府は治安維持ができず、無法地帯と化した谷には独立派勢力を支援するアラブからのムジャヒディンや、麻薬や武器密売を請け負うマフィアまでが潜伏した。
ロシアはジョージア政府がテロリストを匿っていると激しく糾弾。 2001年にアメリカで9.11が発生すると、アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンの潜伏先の一つと疑われた。 米露両国から名指しで非難を受けたことでパンキシ渓谷には「テロリストの巣窟」というイメージが定着した。 この混乱は、キストの暮らしやイスラム信仰に強い影響を与え、シリア内戦では200名を超える若者たちがテロ組織に参加したとされる。
キャスト
レイラ・アチシビリ
Leila Achishvili
パンキシ渓谷でゲストハウスを営むキスト女性。1985 年、結婚を機に チェチェンの首都グロズヌイに移住し、二人の子どもハムザトとハリドを授かる。1994年、チェチェン紛争が勃発すると、自宅が破壊され難民となって子どもたちとパンキシ渓谷へ帰郷した。2001年、谷の治安悪化の影響で、ヨーロッパで難民生活をおくる前夫の元に息子たちを移住させる。その後ジョージア人と再婚し、一人娘マリアムをもうけた。現在夫とは別れ、マリアム、両親と暮らす。
マリアム・ケバゼ
Mariam Kebadze
レイラの一人娘でパンキシ渓谷では珍しいジョージア正教徒。13歳まで父と過ごし、その後、パンキシ渓谷に引っ越し、レイラとともに暮らす。 英語やアラブ語教室に通い、ゲストハウスを訪れる外国人の通訳としてレイラを手助けしている。詩の創作とバレーボールが好き。
アボ・アチシビリ
Abo Achishvili
レイラの従兄弟で、10代の頃からチェチェン紛争を戦った戦士。トレーニング好きで、家や公園でいつも体を鍛えている。若いキストからの人望も厚く、「パンキシのオオカミ」と呼ばれる。見た目に反し、寡黙で心優しく、犬好きな一面を持つ。
バルバラ・コンコレフスカ
Barbara Konkolewska
パンキシ渓谷を旅行者として訪れ、手付かずの自然とキスト文化に惚れ込んだポーランド人女性。2男1女の母。ポーランド南部の山岳地域ブジェギ村出身て、実家がゲストハウスを運営している。2017年にアボとツアー会社Caucasus X-Trek Pankisiを設立。
スタッフ
* 監督・撮影・編集
Hirotoshi Takeoka
竹岡寛俊
1984年、大阪生まれ。2010年にジョージアのパンキシ渓谷に住むチェチェン系ジョージア人、キストの人々に出会いドキュメンタリー制作を始める。2014年、キストの暮らしを追ったドキュメンタリー番組でATP賞優秀新人賞。2019年、シリアで息子を失った母たちの姿を追った番組でATP賞ドキュメンタリー部門最優秀賞を受賞。“アダミアニ祈りの谷”が初の長編映画となる。
*
編集
Herbert Hunger
オーストリア出身。イギリスのNational Film & Television Schoolを卒業後、英BBC・米HBOでドキュメンタリーを中心に、編集に携わる。2014年より、長年の夢だった日本での生活を始め、NHK、WOWOWなどで、日本の映像クリエーターたちとの作品制作に精力的に取り組んでいる。映画編集作品は、松井至監督「私だけ聴こえる」など。
* 音楽
Julien Marchal
1985年生まれのフランス人作曲家/ピアニスト。ボルドー音楽学校でジャズと現代音楽を学ぶ。アルヴォ・ペルト、フィリップ・グラス、ヘンリク・グレツキといったミニマリズムの作曲家に影響を受けた。2015年には繊細なソロ・ピアノ作品『Insight』をデジタル・リリース。2016年にリリースした『Insight II』がロングセラーを記録した。
* 共同プロデューサー
Jia Zhao
アムステルダムを拠点とする中国人プロデューサー。2012年にMUYI FILMとSILK ROAD FILM SALONを設立し、文化の違いを受け入れ、人間の生命を尊重する国際的なドキュメンタリー映画を製作することを使命としている。フランク・シェファー監督『Inner Landscape』(2019年、IFFRVoices)、アブーザル・アミン監督『Kabul,City in the Wind』(オープニング作品IDFA2018、コンペティション審査員特別賞)、ショーン・ワン監督『Lady of the Harbour』(IDFA2017)など。
YEBISU GARDEN CINEMA :16:10-18:20 (120分)
https://gardenplace.jp/event/detail.php?id=1137
https://ttcg.jp/movie/1023800.html
https://himabu117.com/archives/4785
東京ドキュメンタリー映画祭 グランプリ作品
タイトルの「アダミアニ」とは、神が最初に創造したアダムを語源とするジョージア語で「人間」を意味する。