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私たち(洋画 / 2021)の動画視聴 | U-NEXT 31日間無料トライアル
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2021年製作/115分/フランス
原題:Nous
監督
アリス・ディオップ Alice Diop
撮影
シルバン・ベルデ Sylvain Verdet
編集
アムリタ・ダビッド Amrita David
公式サイト:https://www.myfrenchfilmfestival.com/content/nous-jp
https://www.myfrenchfilmfestival.com/content/nous-jp
私たち
(115分/2021/フランス、カナダ)
アリス・ディオップ監督の2021年発表のドキュメンタリー。パリを南北に走るRERのB線沿い、「郊外」と呼ばれる地域に暮らす人々を追う。移民の整備士、サン=ドニ大聖堂でルイ16世の死を悼む信心深い人々、患者宅を訪ねて回る看護師、かつてドランシー収容所に収監された人々の記憶、夏の静けさを楽しむ若者たち、作家、狩猟愛好家、監督自身の幼少期の思い出の場所…。数々の断片が全体を構成し、「私たち」の全貌が見えてくる。2021年ベルリン映画祭エンカウンターズ部門作品賞受賞。
上映会場
東京日仏学院 エスパス・イマージュ
新宿区市谷船河原町15
https://video.unext.jp/title/SID0078570
私たち
フランスの“郊外”と呼ばれる地域に暮らす人々を捉えたドキュメンタリー
見どころ
2023年アカデミー賞フランス代表作品『St Omer』のアリス・ディオップ監督が、社会の周縁に暮らす人々を真正面から見つめ、彼らが抱える葛藤や欲望を浮き彫りにする。
ストーリー
パリ北部のラ・クールヌーヴに暮らす整備士、サン=ドニ大聖堂でルイ16世の死を悼む信心深い人々、患者宅を訪ねる看護師、夏の静けさを楽しむ若者、狩猟愛好家など、パリを南北に走る鉄道路線沿いで生きる人々を映し出し、現代フランスの全貌が見えてくる。
キャスト・スタッフ
監督
アリス・ディオップ
作家フランソワ・マスペロ(Francqois Maspero)1932-2015
彼の著書「ロクシー急行の乗客」から
眼の前のものを愛することを学んだ。
[890]アリス・ディオップの新作『私たちNous』(2021)について
本記事では、ドキュメンタリー監督であり、女性と男性の平等、映画産業の多様性促進を目的としたCollectif 50/50のメンバー[1]でもあるアリス・ディオップの新作『私たちNous』を紹介する。
パリを南北に走り、フランス郊外、いわゆるバンリューへと乗客を導くRER(イル=ド=フランス地域圏急行鉄道網)B線を舞台としたフランソワ・マスペロの著作『ロワシー・エクスプレスの乗客』(1990)[2]は、彼が写真家アナイク・フランツとともにRERのB線沿いを旅した1ヶ月間の旅行記である。本作でマスペロが目的としたのは、「一見混沌としたバンリューに隠されたイメージ、色彩、存在に豊さを与えること、この地理を理解し、この土地とそこに住む人々の歴史を見出すこと」[3]であった。
2021年ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門[4|に出品されたアリス・ディオップのドキュメンタリー『私たち』は、このマスペロの著作に捧げられているという。「彼の本は私に、目の前にあるものを見て、愛することを教えてくれました」[5]Africulturesによれば、『私たち』は、バンリューのオルネー=スー=ボアで生まれ育ったディオップのこれまでの作品の集大成であり、彼女の家族が関わっている、彼女曰く「非常に個人的な映画」であるという[3]。マスペロの作品が影響を与えているとしても、映画は社会学的な方向へと向かうのではなく、個人的なものを映し出していくのだという。ディオップは、映画がどのように形成されていったのか、その制作過程について語っている。
フランソワ・マスペロのテクスト『ロワシー・エクスプレスの乗客』(1990)が私の道(=線路)を開いたにせよ、私の映画はいくつかの事柄が結びついて形成されたものです。私は20年前、大学卒業後にこの本を発見しました(アリス・ディオップは、歴史学と社会学を専攻していた)。文学の言葉でバンリューを見たのは初めてでした。フランソワ・マスペロは、[RER B線沿いあるいはバンリューを]予備知識によって前もって決定づけることà prioriも、言説を通して見ることもせず、また解決するための問いも持たず、ここを旅しています。彼は観察し、語るのです。バンリューはしばしば、ステレオタイプや、非常に差し迫った現実との関係に閉じ込められています…ルポルタージュは、現在の出来事や、社会的および経済的な暴力の報告を行っています。『ロワシー・エクスプレスの乗客』は、私の子ども時代の領域を再定義し、そのうえで私に文学への接近を与えていると感じました。そこには、非合法行為、政治的行為、革命的行為がありました。この本が私に与えた影響を測り、今度は映画によって同様の所作gesteをなすことができることを自分に言い聞かせるため、何度も[この本を]読み直す必要がありました。したがって、この[本の]所作が、映画全体の考えとなりました。[6]
ここでディオップは、タイトルに付されたこの「私たち」という言葉が、2015年1月7日に起こったシャルリー・エブド襲撃事件後に行われた1月11日の「共和国の大行進」というスペクタクルと関わっていることについて語っている。
すべては2015年1月のテロ攻撃と、同じ痛みをめぐって全国が連帯した1月11日のデモの直後に始まりました。フランス社会は突然動揺し、理解しなければならない現実に巻き込まれました。そのとき、いくつかの問いが生じたのです。「人々peupleを定義するものは何だろう?」「フランス人であるということは、どういう意味なのだろう?」旗印として掲げられた「私たち」は、まったく非常に謎のままでした。[6]
はじめ、シャルリー・エブド襲撃事件への市民的な抗議として企図されたこの「共和国の大行進」は、連帯の合言葉となった「私はシャルリー」というスローガンや、オランド大統領やその他EUの政治家たちの参加表明によって「テロリズムへの戦い」として国家儀礼的なものと化していった。上記のディオップの言葉は、それによって国民的団結の様相を帯びてゆく「私」あるいは「私たち」という言葉への問いあるいは疑念が、この映画の出発点となったことを示唆している。ディオップは問いかける。「私たちとは誰だろう?」[6]と。「私はオルネー=スー=ボワの3000都市で育ちました。周辺地域で生まれ、社会的境界を超えてフランス社会を構成するさまざまな世界を知ることができるのは幸運なことです」。だからこそディオップは、「非常に個人的な映画」を撮影することで、「私たち」[7]という言葉のうちにあって不可視化されたものたちを映し、見て、語ろうとするのである。
映画を作りはじめてから、強迫的にいつも同じ場所にカメラを置いてきました。私は、不可視化された人々の生活について語りたいのです。この映画で個人のアーカイヴを通じて検討されている私の両親を例にとると、彼女/彼らの歴史は刻印されておらず、彼女/彼らが残した痕跡は見られていないのです。[6]
ディオップは、個人的なことを通じて、「不可視化された人々」、特権的な国民のイメージによって覆い隠され、もはや不在とされている民衆の姿を映し出そうと試みている。しかし彼女は、たんに表象するだけではなく、それをいかなる「ア・プリオリ」にも、いかなる「言説」にも回収されることのない方法でおこなおうとする。
『私たち』は、一連の主観ショットで構成されています。したがって、私もこの映画全体の不可欠な一部です。私のプライヴェートを持ち込むことは、自分自身を他の登場人物と同じ領域に置く方法なのです。両親の物語histoireを介した私の個人的な物語-それは忌々しく、苦痛で、さらには途方もないものである以上のことなのですが-は、フランスの歴史histoireや移民の歴史、フランス社会がどのようにクレオール化されているかを説明しています…ですから、私がどこから来たのかを示すことが重要でした。[6]
これまで、バンリューを舞台にした映画、たとえばマチュー・カソヴィッツ『憎しみ』(1995)やジャック・オディアール『ディーパンの闘い』(2015)、ラジ・リ『レ・ミゼラブル』(2019)などでは、暴力に関するテーマを中心に描かれてきた。しかし『私たち』では、暴力をはじめ、薬物、イスラームに関して語られることはないという。ディオップは他の言説に依拠することなく、「個人的な映画」を撮影することによって、これまで自分自身の主体性を構成してきたものを見つめ捉えようとし、それによって「私たち」の現実社会を撮影しようと試みているのではないだろうか。
[1]https://www.cnc.fr/cinema/actualites/cannes-2019–entretien-avec-alice-diop-realisatrice-et-membre-du-collectif-5050_994327
https://www.institutfrancais.jp/tokyo/agenda/cinema2307151700/
アリス・ディオップ監督来日記念 特別上映『私たち』+アフタートーク
2023年アカデミー賞フランス代表作品にも選ばれた『サントメール ある被告』の公開に併せ、アリス・ディオップ監督が来日します。
来日を記念し、東京日仏学院では監督による2021年のドキュメンタリー作品『私たち』を上映します。上映後は監督をお迎えし、本作、また新作について語っていただきます。
『私たち』
(115分/2021/フランス、カナダ)
監督:アリス・ディオップ
パリを南北に走るRER(イル=ド=フランス地域圏急行鉄道網)B 線沿いの、「郊外」と呼ばれる地域に暮らす人々を追ったドキュメンタリー作品。移民の整備士、サン=ドニ大聖堂でルイ16世の死を悼む信心深い人々、患者宅を訪ねて回る看護師、かつてドランシー収容所に収監された人々の記憶、夏の静けさを楽しむ若者たち、作家、狩猟愛好家、監督自身の幼少期の思い出の場所…。数々の断片が全体を構成し、「私たち」の全貌が見えてくる。
社会の周縁に暮らす人々を真正面から見つめ、彼らが抱える葛藤や欲望を浮き彫りにしている。共存をテーマに、映画の役割を違った角度から感じさせてくれる、今観るべき一本。
2023年アカデミー賞フランス代表作品『サントメール ある被告』監督作。
2021年ベルリン映画祭エンカウンターズ部門作品賞受賞作品。