8/26(金)公開『彼女のいない部屋』予告編
バラバラのピースが、突然つながる瞬間。涙が堰を切る。
フランスの個性的な名優マチュー・アマルリック、監督としての最高傑作。
主演は『ファントム・スレッド』『オールド』『ベルイマン島にて』のヴィッキー・クリープス。
映画『彼女のいない部屋』
8月26日(金)よりBunakamuraル・シネマほか全国順次公開。
◆公式サイト→ https://moviola.jp/kanojo/
◆公式Twitter→ https://mobile.twitter.com/holdmetigh…
◆ムヴィオラ公式Facebook→ https://www.facebook.com/moviolaeiga/
【本編映像解禁!】8/26(金)公開『彼女のいない部屋』
『彼女のいない部屋』マチュー・アマルリック監督メッセージ動画「これは現実ではないものを見て、聞く映画」
監督最新作『彼女のいない部屋』が明日8月26日(金)より全国公開されるフランス映画界の名優・名監督マチュー・アマルリックの日本の観客に向けてのメッセージ動画が到着した。
昨年のカンヌ国際映画祭に新設されたカンヌ・プレミア部⾨に選ばれ、フランスのセザール賞で主要部⾨にノミネートされた『彼⼥のいない部屋』はマチュー・アマルリックが監督・脚本を務め、その「最⾼傑作」と⾼く評価されている最新作。主⼈公を演じるのは、いま“ヨーロッパ No.1 ⼥優”とも⾔われ、今年のカンヌある視点部⾨⼥優賞にも輝いたヴィッキー・クリープス(『ファントム・スレッド』『オールド』)。海外資料にあるストーリーは「家出をした⼥性の物語、のようだ」という 1 ⾏のみという話題作である。
このたび公開を前に、日本の観客に向けての監督のメッセージ動画が到着。「信じるか信じないかわかりませんが、これは現実ではないものを見て、聞く映画なのです」と含みのあるコメントを述べ、日本映画にインスパイアされた本作には「皆さんの感想が大切」と語っている。
原題:SERRE MOI FORT /英語題:HOLD ME TIGHT
監督: マチュー・アマルリック|出演:ヴィッキー・クリープス(『ファントム・スレッド』『オールド』)、アリエ・ワルトアルテ(『Girl/ガール』)
2021 年|フランス|97 分|DCP|カラー|日本語字幕:横井和子
配給:ムヴィオラ
8/26(金)公開『彼女のいない部屋』 主演ヴィッキー・クリープス(『ファントム・スレッド』『オールド』)よりメッセージ到着!
https://eiga.com/movie/96379/
「007 慰めの報酬」などへの出演で国際的に知られ、「さすらいの女神たち」など監督としても活躍するフランスの俳優マチュー・アマルリックが監督・脚本を手がけた長編第4作。
本国フランスでの劇場公開前に明かされたストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1文のみで、物語の詳細は伏せらたており、主人公の女性クラリスを軸に、一見するとバラバラのピースがつなぎ合わさることで、ある真実にたどり着く。
2021年・第74回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア部門」に選出。「ファントム・スレッド」「ベルイマン島にて」のビッキー・クリープスが主人公クラリスを演じ、「Girl ガール」のアリエ・ワルトアルテが共演。
2021年製作/97分/G/フランス
原題:Serre moi fort
配給:ムヴィオラ
https://eiga.com/news/20220826/14/
マチュー・アマルリック、「彼女のいない部屋」主演のビッキー・クリープスは「前世で出会っていたのかも」
https://eiga.com/news/20220630/11/
マチュー・アマルリック監督、ビッキー・クリープス主演「彼女のいない部屋」ミステリアスで美しい予告編
フランスの名優マチュー・アマルリックの監督としての新作で、ビッキー・クリープスが主演する「彼女のいない部屋」の予告編が公開された。
昨年のカンヌ国際映画祭で2021年に新設された「カンヌ・プレミア」部門に選ばれた本作、海外資料にあるストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1行のみ。本作ではかつてないモンタージュで人間の感情を表現し、フランス公開時にも、物語の詳細は伏せられ、展開を知らない観客が、ある真実に気づいたときに大きな衝撃で心が動揺するほど感動したという作品だ。フランス国内では「アマルリックの最高傑作ではないか?」と絶賛されている。
アルノー・デプレシャン、オタール・イオセリアーニ、ウェス・アンダーソン、黒沢清ら名監督作品への出演、「007 慰めの報酬」での強烈な悪役など、俳優としての活躍はもちろん、監督としてもトップクラスの実力を持つアマルリック。本格的な長編監督第1作「さすらいの女神たち」は、カンヌ国際映画祭の監督賞・国際映画批評家連盟賞を受賞。2017年の「バルバラ セーヌの黒いバラ」は、カンヌ国際映画祭ある視点部門の開幕作に選ばれた。
予告編は、ひとり遠くへ車を走らせる、主人公のクラリスの姿。彼女の夫や子どもたち、雪山を歩くクラリスと、時系列のわからない場面が連なり、最後までミステリアスな映像だ。映像とともに印象的なのが音楽で、ベートーベン「エリーゼのために」に始まり、フランス・バロックのラモー作曲「ガヴォット」をピアノが奏で、伝説のサイケロックバンドとして知られるブライアン・ジョーンズタウン・マサカーの知られざる名曲「OPEN HEARTSURGERY」がメロディアスに響く。そして予告編最後にはアマルリック監督からの「彼女に何が起きたのか、映画を見る前の方々には明らかにしないでください。」というメッセージが映し出される。
8月26日から、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開。
https://eiga.com/news/20220525/17/
マチュー・アマルリック監督、ビッキー・クリープス主演「彼女のいない部屋」8月26日公開
物語の詳細は伏せられている
フランスの名優マチュー・アマルリックの監督としての新作で、昨年のカンヌ国際映画祭カンヌ・プレミアに選ばれた「SERRE MOI FORT」(英題:Hold Me Tight)が、「彼女のいない部屋」の邦題で、8月26日公開される。
海外資料にあるストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1行のみ。フランス公開時にも、物語の詳細は伏せられ、展開を知らない観客が、ある真実に気づいたときに大きな衝撃で心が動揺するほど感動したという作品だ。フランス国内では「アマルリックの最高傑作ではないか?」と絶賛されている。
アルノー・デプレシャン、オタール・イオセリアーニ、ウェス・アンダーソン、黒沢清ら名監督作品への出演、「007 慰めの報酬」での強烈な悪役など、俳優としての活躍はもちろん、監督としてもトップクラスの実力を持つアマルリック。本格的な長編監督第1作「さすらいの女神たち」は、カンヌ国際映画祭の監督賞・国際映画批評家連盟賞を受賞。2017年の「バルバラ セーヌの黒いバラ」は、カンヌ国際映画祭ある視点部門の開幕作に選ばれた。
主演を務めるのは、ビッキー・クリープス。ポール・トーマス・アンダーソン監督のアカデミー賞受賞作「ファントム・スレッド」、M・ナイト・シャマラン監督作「オールド」、ミア・ハンセン=ラブ監督作「ベルイマン島にて」で注目を集めた俳優だ。
8月26日から、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開。
公式サイト:https://moviola.jp/kanojo/#modal
シノプシス
家出した女の物語、のようである。
解説
彼女はどこへ向かっている? 彼女の行動の理由は?
フランスの地方都市らしい。彼女は車を走らせている。彼女は家族を捨てて家出をしたのだろうか。海外資料にあるストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1行のみ。フランス公開時にも物語の詳細は伏せられ、展開を知らない観客が、ある真実に気づいたとき、心が動揺するほど感動したという。
監督としても知られるマチュー・アマルリックの最高傑作。
フランス映画界の名優として知られるマチュー・アマルリック。実は監督としてもトップクラスである。本格的な長編監督第一作『さすらいの女神たち』はカンヌ国際映画祭で監督賞と国際映画批評家連盟賞をダブル受賞、2017年の『バルバラ セーヌの黒いバラ』はカンヌ映画祭ある視点部門の開幕作に選ばれた。最新作となる本作は、昨年のカンヌ国際映画祭 [カンヌ・プレミア ] 部門に公式出品。今まで見たことのないストーリー・テリングに世界中のジャーナリストから大きな称賛を浴びた。アマルリック監督渾身の最高傑作と言えるだろう。
ミステリアスな映像と音響、まるで感情をモンタージュするように。
現実と想像が入り混じったミステリアスな映像。あるときは映像に先んじて、あるときは映像が消えた後にも聴こえる音。バラバラのピースが一つの線につながる。そのとき浮かび上がる家族の真実。かつてないモンタージュで人間の感情を表現し切って驚嘆させるアマルリック監督の挑戦を支えたのは、セザール賞(フランス・アカデミー賞)受賞の名撮影監督クリストフ・ボーカルヌ、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも知られる編集者フランソワ・ジェディジエなど監督と息のあったスタッフたち。ベートーヴェンのピアノ曲や J.J.ケイルの名曲「チェリー」などの音楽の編集もあまりに美しく、冬のフランスの風景にも目を奪われる。
旬の女優ヴィッキー・クリープスのベストとも言われる演技。
主演はポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』や M・ナイト・シャマラン『オールド』、ミア・ハンセン =ラヴ監督の『ベルイマン島にて』などのヴィッキー・クリープス。今年のカンヌ映画祭では『Corsage(原題)』で「ある視点」部門最優秀演技賞にも輝き、今、ヨーロッパ No.1女優とも言われる彼女のベストとも言われる演技は、まさに必見。彼女は本作で2022年のセザール賞女優賞にノミネートされた。夫役には『Girl /ガール』の父親役が忘れ難いアリエ・ワルトアルテ。精悍で快活でありながら、繊細な演技でクリープスと見事な化学反応を見せている。
監督
マチュー・アマルリック Mathieu Amalric
1965年、フランス・ヌイイ=シュル=セーヌ生まれ。1984年、ジョージア(グルジア)出身の名匠オタール・イオセリアーニ監督作『月の寵児たち』で映画デビュー。アルノー・デプレシャン監督作『そして僕は恋をする』(96)に主演して注目を集め、セザール賞有望若手男優賞を受賞。その後はフランス映画だけでなく『ミュンヘン』(05)、『007 慰めの報酬』(08)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)など幅広い活躍で国際的な俳優として人気を得る。監督としても、1997年『スープをお飲み』でデビュー。『さすらいの女神たち』(10)でカンヌ映画祭の監督賞とFIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞を受賞。『バルバラ セーヌの黒いバラ』(17)ではカンヌ映画祭ある視点部門開幕作品に選ばれるなど高く評価されている。
FILMOGRAPHY
長編監督作
スープをお飲み|MANGE TA SOUPE [1997]
ウィンブルドン・スタジアム|LE STADE DE WIMBLEDON [2001]
さすらいの女神たち|TOURNÉE |ON TOUR [2010]
*カンヌ映画祭監督賞・FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞
*セザール賞オリジナル脚本賞・監督賞・作品賞ノミネート
青の寝室|LA CHAMBRE BLEUE |THE BLUE ROOM [2014]
*カンヌ映画祭ある視点部門出品
*セザール賞脚色賞ノミネート
バルバラ セーヌの黒いバラ|BARBARA |BARBARA [2017]
*カンヌ映画祭ある視点部門ポエティックストーリー賞
*セザール賞オリジナル脚本賞・監督賞・作品賞ノミネート
彼女のいない部屋|SERRE MOI FORT |HOLD ME TIGHT [2021]
カンヌ映画祭カンヌ・プレミア部門出品
*セザール賞脚色賞ノミネート
ジャーナリストの父と文芸評論家の母のもと、仏パリ近郊に生まれる。「月の寵児たち」(84)で映画に初出演した後、裏方の仕事をしながら短編を制作。90年代から俳優の仕事が増え、アルノー・デプレシャン監督作「そして僕は恋をする」(96)でセザール賞の有望若手男優賞を受賞した。デプレシャン監督の「キングス&クイーン」(04)が米国でも評判になり、スティーブン・スピルバーグ監督作「ミュンヘン」(05)でハリウッド映画に初出演。続けて、アカデミー賞4部門にノミネートされるなど各国の映画賞・映画祭で注目された「潜水服は蝶の夢を見る」(07)の主演でフランスを代表する俳優として国際的な知名度を高め、「007 慰めの報酬」(08)では悪役も務めた。1997年に「Mange ta soupe」で長編監督デビューしており、監督作「さすらいの女神(ディーバ)たち」(10)でカンヌ国際映画祭の監督賞、「バルバラ セーヌの黒いバラ」(17)で同映画祭のある視点部門ポエティック・ナレーティブ賞を受賞。近年の出演作に「永遠の門 ゴッホの見た未来」(18)、「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」(19)などがある。
監督インタビュー
この映画のアイデアはどこから来たのですか。
親友のローラン・ズィゼルマンが舞台演劇を作りたがっていたが、実現できなかった。ある夜、彼は本を僕にくれた。プロジェクトへのお別れのつもりだったんだろう、クロディーヌ・ガレアが2003年に書いた戯曲「Je reviens de loin」だった。ガレアのことは知らなかった。電車の中で読んだんだが、気づいたら赤ん坊のように泣きじゃくっていた。そんなことは長い間なかった。ジャケットで顔を隠さないといけないくらいだった。『バルバラ セーヌの黒いバラ』以来、僕は言葉の表面的な意味に取り憑かれてしまって、自分には決してわからないのだと思っていたが、ガレアが書いたものの中に、ある裂け目のようなもの、手の届きそうなものを感じた。つまり、このメロドラマがこの映画の始まりになった。
参考にすべき作品が頭にありましたか。
映画を見たいという気持ちが起こった。これはいい兆候なんだ。この物語には涙と幻影があるので、僕は最初にメロドラマをたくさん見た。ポール・ヴェキアリの『Corps à cœur』、いうまでもなくダグラス・サーク、ニコラス・レイ、オリヴェイラの『家路』に出てくるピコリ、ジャームッシュ『ブロークン・フラワーズ』のビル・マーレイ、パニョルも……。それから、心理的な幻想映画。日本映画、ブニュエル、『幽霊と未亡人』、レネ(いつだってレネさ!)、『6才のボクが、大人になるまで。』、ヒッチコック……。それから、ローラ・カシシュケの小説、ソフィ・カルの曲折に富んだ作品群、ドラマ『LEFTOVERS/ 残された世界』、ピクサー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』や『リメンバー・ミー』……たくさんありすぎて忘れちゃったな!中には駄作もあったよ(気づきにくい落とし穴の場所を知っておくことは大事だから)。
それから、フランシス・フォード・コッポラの『雨のなかの女』がある。去る女。悲劇的でありながら生き生きとしたロードムービーだ。クラリスが映画館から出るところを撮ろうとさえ考えた。ゴダールの『女と男のいる舗道』で、アンナ・カリーナがドライヤーの『裁かるるジャンヌ』のファルコネッティ(ジャンヌ・ダルク)を見て涙したのと同じように、彼女は電話ボックスの場面(シャーリー・ナイトが夫に電話をかけたところ)で涙しただろう。ただ『雨のなかの女』はすでにこの映画に吸収されているから、これ以上必要ないと思い、そのシーンは撮らなかったんだ。『雨のなかの女』は撮影監督のクリストフ・ボーカルヌに見せた唯一の映画だ。この映画の映像、作品の肌理のようなものは『雨のなかの女』から来ている。あの長くて茶色いコートも。あれを着ていると彼女は守られているように感じるみたいだね。コートは衣装のカロリーヌ・スピートが見つけてくれた。『雨のなかの女』のコートだ。ちょっと柔らかい材質で、表革製でなくスエード革製だけど。
どの時点でヴィッキー・クリープスの起用を思いついたのですか。
ブルターニュでノートに脚本を書きはじめてから9日目だ。その新しい家に来て、僕は一晩中眠れなかった。部屋にはテーブルとベッド、それに椅子が一つしかなかった。ヴィッキーはある瞬間、突然僕を「訪れ」たんだ。本当にそうとしか言いようがない……(ポール・トーマス・アンダーソンの『ファントム・スレッド』をその少し前に見ていた影響はあっただろうが)。彼女のマネージャーに電話したところ、彼女は3週間後にパリに来ると言われた。僕たちは対面し、僕は彼女に原作のテキストを渡した。まだ脚本は完成していなかったから。翌日、彼女から連絡があり再び会いに行った。庭先で会ったんだが、彼女はもうスーツケースを持っていたよ。その時すでに、ヴィッキーが演じるかどうかの問題ではなくなっていた。その段階はすでに終わっていたんだ。
ヴィッキーと僕はいつも「私たちの映画」と言っていた。こんな一体感を感じたのは初めてだ。また今回は、恋人や元恋人と一緒ではない初めての映画でもある。他人の窓を通して作った映画……同じ欲望の共有で結ばれた、赤く燃えるような連帯。仕事の中、ともに映画を作っていく中でだけ、高揚していく連帯。それはとても強いもので、全てのカットに現れていると思う。僕らの間の意思の一致は、最もエロティックなものだった。
本作は音楽と強い結びつきを持っていますね。シナリオもピアノに関係していますし、サウンドトラックも充実しています。この映画の音楽性や音響編集に関してはどうですか。
そうなんだ。ピアノはガレアの戯曲にも登場する。誰もが知る通りピアノという楽器には、親の子供に対する深刻な横暴とフラストレーションがいっぱいに詰まってるよね(笑)。
クロディーヌ・ガレアのテキストは、スペリングやセリフの配置、イタリック体表記の使用、声の重ね合いなどに工夫を凝らしている。僕は声の使い方をさまざまに変えて、いくつものバージョンを撮ろうとした。ヴィッキーは高い声で独り言、あるいは心の中の言葉を話す。時には僕が彼女にフレーズを囁き、セリフの中に入れてもらった。音響技師のオリヴィエ・モーヴザンと僕は撮影時、大部分の声をオフ・スクリーンで録音した。その音色の質感、エコー、波紋こそが、この映画の感情、物語、アクションに他ならないと、その後ジェディジエ、音響編集のニコラ・モロー、ミキサーのステファヌ・ティエボーたちと話した。音響と役者の動作とは、同じヴァイブを持っているように僕には思えた。ピアノの鍵盤を叩く空気と、自動車の後部座席を倒すときの空気とは、同じような響きを持っているんだ。僕は役者に具体的な動作を伝えようと心がけた。差し錠のささった扉を閉める、ドリーム・キャッチャーを撫でる、ピアノが音を立てる、手帳を燃やすなど……。
言うまでもないけど、音楽家と暮らしたこと、ドキュメンタリーのために単独で音楽の仕事を撮 影する機 会が 増えたこと、僕にはもうセリフは書けないと分かったこと——セリフはいつも撮影直前の最後の瞬間に浮かんでくるか、役者自身によってアドリブで生まれる——、それらが 果たして実 際に僕自身の能 力を鍛え、変 化させたのか…。そう聞かれれば、沈黙するしかないけど(笑)
彼女の彷徨を通して、一人の女性の孤独を撮りたいと思ったのはなぜですか。
一人でドライブするのはいいものさ……車の動きは思考の動きと連動する。だけど問題は乗る人間の方じゃなく、車の方だった!最近の車で撮りたくなるようなものを見つけるのは簡単ではないね。
孤独な女性ということに関していえば……僕は今回の作品で少し前進できたと思っている。この作品は女性的な魅力を見せる映画でもなければ少女の部屋についての話でもない。女性への賛美でもない。にも関わらず、もっと確かなものがそこにある……。不思議だな。クラリスとは、僕自身なのか?それとも僕は誰か他の存在なのか?あらゆる解釈に開かれているんだ。
キャスト
VICKY KRIEPS
クラリス:ヴィッキー・クリープス
1983年、ルクセンブルク生まれ。ルクセンブルク国立音楽学校で学んだ後、南アフリカの小学校で社会活動に参加。その後チューリッヒ芸術大学で舞台芸術を学ぶ。在学中から舞台女優として活躍し、卒業後は多くの映画に出演。アカデミー賞作品賞を受賞したポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』(17)でダニエル・デイ=ルイスと共演し、世界的に注目された。その他の主な作品にラウル・ペック監督『マルクス・エンゲルス』(17)、ダン・フリードキン監督『最後のフェルメール ナチスを欺いた画家』(19)、M・ナイト・シャマラン監督『オールド』(21)、ミア・ハンセン=ラヴ監督『ベルイマン島にて』(21)など。フランス語、ドイツ語、英語を流暢に話し、2022年のカンヌ映画祭では主演作が3作も公式部門で上映され、マリー・クロイツァー監督がオーストリア皇后エリーザベトを大胆な視点で描いた、『Corsage』(原題)では「ある視点」部門最優秀演技賞に輝くなど、今ヨーロッパでもっとも注目を集める女優の1人。本作ではセザール賞最優秀女優賞にノミネートされている。
ARIEH WORTHALTER
マルク:アリエ・ワルトアルテ
1985年、フランス・パリ生まれ。ベルギー国立視覚芸術高等学院(INSAS)で舞台芸術を学んだ後、ベルギーやフランスで映画俳優として活躍。バレリーナを目指すトランスジェンダーの少女を描いた『Girl /ガール』(18)で、娘の夢を支える父親役で強い印象を残す。その他の出演作にエリ・ワジュマン監督『アナーキスト 愛と革命の時代』(15)、ジェームズ・ワトキンス監督『フレンチ・ラン』(16)など。最新作にセドリック・カーン監督『Le Procès Goldman(原題)』がある。2019年に『Girl /ガール』、2020年に『Duelles(原題)』でマグリット賞(ベルギー・アカデミー賞)最優秀助演男優賞を連続受賞。本作では2022年同賞最優秀男優賞にもノミネートされた。
MUSIC
「クラヴサン曲集第1巻」
ジャン=フィリップ・ラモー Jean-Philippe Rameau
「エリーゼのために」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig Van Beethoven
「ピアノソナタ第1番」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig Van Beethoven
「エチュード1番 5本の指のために(チェルニー氏による)」
クロード・ドビュッシー Claude Debussy
「子供の領分~グラドゥス・アド・パルナッスム博士」
クロード・ドビュッシー Claude Debussy
「チェリー」
J・J・ケイル J. J. Cale
「世の終わりのための四重奏曲 5楽章イエスの永遠性への讃歌」
オリヴィエ・メシアン Olivier Messaien
「I’LL BE WAITING」
グレイ&パーン Gray & Pearn
「ガヴォット」
ジャン=フィリップ・ラモー Jean-Philippe Rameau
「LET’S GET AWAY」
サラ・フォッグ Sarah Fogg
「小荘厳ミサ曲 キリエ」
ジョアキーノ・ロッシーニ Gioachino Rossini
「プレリュード第7番 Op.23-7 ハ短調」
セルゲイ・ラフマニノフ Sergueï Rachmaninov
「ピアノソナタ ハ長調 K. 545」
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfagang Amadeus Mozart
「ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1(子犬のワルツ)」
フレデリック・ショパン Frédéric Chopin
「ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11」
フレデリック・ショパン Frédéric Chopin
「ピアノ協奏曲 ト長調 第2楽章 アダージョ・アッサイ」
モーリス・ラヴェル Maurice Ravel
「夜のガスパール オンディーヌ」
モーリス・ラヴェル Maurice Ravel
「YOU LIKE ME」
ムーチョ・デニーロ Mucho Deniro
「OPEN HEART SURGERY」
ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー The Brian Jonestown Massacre
「OÙ VAS TU PETIT GARÇON」
ブリジット・フォンテーヌ Brigitte Fontaine
「ピアノ小品第3番 Op.19」
アルノルト・シェーンベルク Arnold Schönberg
「ムジカ・リチェルカータ 第1番」
ジェルジュ・リゲティ György Ligeti
Bunkamuraル・シネマ:15:40-17:35 (97分)
https://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/22_serremoifort.html
原作:クロディーヌ・ガレアの戯曲(「Je reviens de loin」)Claudine Galéa
– Je reviens de loin 2003 わたしは遥から帰ってきた
『バルバラ~セーヌの黒いバラ~』予告編
フランスの国民的歌手バルバラに扮した映画の撮影を控えている女優ブリジット。彼女はバルバラになり切るため、自身の性格・歌声・ジェスチャー等すべてをバルバラに模し、自分の中に取り込もうとする。次第にバルバラの存在が自分の中で大きくなり、心身ともにバルバラに支配されるブリジット。そして映画監督イヴも同様、バルバラの存在にのめり込んでいく。果たしてイヴを支配しているのはバルバラなのか、それともバルバラに扮したブリジットなのか?バルバラの貴重なフッテージも絡めながら、一個人のアイデンティティの崩壊、そして再生が今スクリーンに赤裸々に写し出される。
バルバラ セーヌの黒いバラ』本編映像