5.21緊急公開『ドンバス』(セルゲイ・ロズニツァ監督)予告編
『ドンバス』
セルゲイ・ロズニツァ監督/2018年/121分
2018年カンヌ国際映画祭・ある視点部門 監督賞受賞
ウクライナの異才、セルゲイ・ロズニツァ監督が2014年よりウクライナ東部ドンバス地方で起きている、「分離派」とウクライナ軍との軍事衝突を背景に、ノヴォロシアの政治や社会を風刺を織り交ぜながら描く劇映画。
ロシアとウクライナをめぐる歴史的なしがらみや、無法地帯で横行する暴力やフェイクニュース、または公権力による汚職の様子を映し出す本作品は、現在行われている戦争の複雑性を提示する。
https://eiga.com/movie/96859/
「アウステルリッツ」「粛清裁判」「国葬」などのドキュメンタリーで知られ、発表する作品の多くが世界3大映画祭に出品されてるウクライナのセルゲイ・ロズニツァ監督が、2018年に手がけた劇映画。2014年からウクライナ東部ドンバス地方で起こっている「分離派」(ロシアの支援を受けているとされる勢力)とウクライナ軍の軍事衝突を背景に、ノボロシア(ロシアと国境を接する、親ロシア派の住民が多いウクライナ東部の地域)の政治や社会を、風刺を交えながら描いた作品。ロシアとウクライナをめぐる歴史的なしがらみや、無法地帯で横行するフェイクニュースや暴力、公権力による汚職などの様子を映し出す。2018年・第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門で監督賞を受賞。
2018年製作/121分/ドイツ・ウクライナ・フランス・オランダ・ルーマニア・ポーランド合作
原題:Donbass
配給:サニーフィルム
https://ja.wikipedia.org/wiki/ドンバス_(映画)
http://inter.pyramidefilms.com/pyramidefilms-international-catalogue/donbass.html
公式サイト:https://www.sunny-film.com/donbass

—INTRODUCTION
ロシアーウクライナ戦争の背景、ドンバス戦争を描く
2014年に一方的にウクライナからの独立を宣言し、親ロシア派勢力「分離派」によって実効支配されているウクライナ東部ドンバス地方。ウクライナ軍との武力衝突が日常的に起きているこの地域にはロシア系住民が多く住み、「分離派」の政治工作によってウクライナ系住民との分断が深まり内戦となっている。フェイクニュースやプロパガンダを巧みに駆使する近代的な情報戦と、前時代的で野蛮なテロ行為が横行するドンバスのハイブリッド戦争を、ウクライナ出身の異才セルゲイ・ロズニツァ監督がダークユーモアを込めながら描く—— 今日の戦争でロシア軍の所業を知った今、もはやまったく笑えない映画に変貌を遂げた。2018年カンヌ国際映画祭《ある視点》部門監督賞受賞作品。
—STORY
クライシスアクターと呼ばれる俳優たちを起用して作るフェイクニュースから始まり、支援物資を横領する医師と怪しげな仕掛人、湿気の充満した地下シェルターでフェイクニュースを見る人々、新政府への協力という口実で民間人から資産を巻き上げる警察組織、そして国境での砲撃の応酬……。無法地帯“ノヴォロシア”の日常を描く13のエピソードは、ロシアとウクライナの戦争をすでに予見していた。ここでは一体何が起きているのだ。
—DIRECTOR
セルゲイ・ロズニツァ
1964年ベラルーシで生まれ、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で育つ。1987年にウクライナ国立工科大学を卒業し数学士の資格を取得する。その後、1987年から1991年まで国立サイバネティックス研究所で科学者として人工知能の研究をしていたが、1991年のソ連崩壊の年にモスクワの全ロシア映画大学に入学する。1996年よりソクーロフの製作で有名なサンクトペテルブルク・ドキュメンタリー映画スタジオで映画製作を始め、これまで24作のドキュメンタリーと4作の長編劇映画を発表してきた。長編劇映画では『In The Fog』(2012)が第65回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞し、『ドンバス』(2018)が同《ある視点》部門監督賞に輝く。2021年に発表した『Babi Yar. Context』は第74回カンヌ国際映画祭ドキュメンタリー部門《ルイユ・ドール》審査員特別賞に輝き、『Mr. Landsbergis』は2021年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀作品と最優秀編集賞の2冠に輝く。最新作『The Natural History of Destruction』は2022年カンヌ国際映画祭に選出が決定する。現在、長編劇映画『Babi Yar』もプリプロダクション中。
https://ja.wikipedia.org/wiki/セルゲイ・ロズニツァ
イメージフォーラム:13:20-15:25 (121分)
上映日程: 5月21日~6月3日
セルゲイ・ロズニツァ監督作品/第71回カンヌ国際映画祭<ある視点>部門・監督賞|第91回アカデミー賞外国語映画賞ウクライナ代表
2014年に一方的にウクライナからの独立を宣言し、親ロシア派勢力「分離派」によって実効支配されているウクライナ東部ドンバス地方。ウクライナ軍との武力衝突が日常的に起きているこの地域にはロシア系住民が多く住み、「分離派」の政治工作によってウクライナ系住民との分断が深まり内戦となっている。フェイクニュースやプロパガンダを巧みに駆使する近代的な情報戦と、前時代的で野蛮なテロ行為が横行するハイブリッドなドンバス戦争を、ウクライナ出身の異才セルゲイ・ロズニツァ監督がダークユーモアを込めながら描く―― 今日の戦争でロシア軍の所業を知った今、もはやまったく笑えない映画に変貌を遂げた。2018年カンヌ国際映画祭《ある視点》部門監督賞受賞作品。
ロシアとウクライナ戦争を理解するための“ドンバス13のレッスン” ドンバスで起きた実話を元に構成された衝撃のエピソード
クライシスアクターと呼ばれる俳優たちを起用して作るフェイクニュースから始まり、支援物資を横領する医師と怪しげなブローカー、湿気の充満した地下シェルターでフェイクニュースを見る人々、新政府への協力という口実で民間人から資産を巻き上げる警察組織、そして国境での砲撃の応酬……。無法地帯“ノヴォロシア(※)”の日常を描く13のエピソードは、ロシアとウクライナの戦争をすでに予見していた。ここで一体何が起きているんだ――
第71回カンヌ国際映画祭<ある視点>部門・監督賞/第91回アカデミー賞外国語映画賞ウクライナ代表
監督・脚本:セルゲイ・ロズニツァ/撮影:オレグ・ムトゥ/プロダクション・デザイン:キリル・シュヴァーロフ
コスチューム・デザイン:ドロタ・ロケプロ/編集:ダニエリュス・コカナウスキス/サウンド:ウラジミール・ゴロヴニツキー
プロデューサー:ハイノ・デッカート/アソシエイト・プロデューサー:ATOMS & VOID(オランダ)
出演:ヴァレリウ・アンドリウツァ、ボリス・カモルジン、イリーナ・プレスニャエワ、スヴェトラーナ・コレソワ、セルゲイ・コレソフ、タマラ・ヤツェンコ、トルステン・メルテン、リュドミーラ・スモロジナ、セルゲイ・ルスキン
©︎MA.JA.DE FICTION / ARTHOUSE TRAFFIC / JBA PRODUCTION / GRANIET FILM / DIGITAL CUBE
2018年/121分/ウクライナ語、ロシア語/製作:ドイツ、ウクライナ、フランス、オランダ、ルーマニア
日本語字幕:守屋愛/配給:サニーフィルム
https://ttcg.jp/human_yurakucho/movie/0860300.html
緊急公開決定!
ロシアとウクライナ戦争を理解するためのドンバス13のレッスン
2014年に一方的にウクライナからの独立を宣言し、親ロシア派勢力「分離派」によって実効支配されているウクライナ東部ドンバス地方。
ウクライナ軍との武力衝突が日常的に起きているこの地域にはロシア系住民が多く住み、「分離派」の政治工作によってウクライナ系住民との分断が深まり内戦となっている。
フェイクニュースやプロパガンダを巧みに駆使する近代的な情報戦と、前時代的で野蛮なテロ行為が横行するドンバスのハイブリッド戦争を、
ウクライナ出身の異才セルゲイ・ロズニツァ監督がダークユーモアを込めながら描く—-
今日の戦争でロシア軍の所業を知った今、もはやまったく笑えない映画に変貌を遂げた、
2018年カンヌ国際映画祭《ある視点》部門監督賞受賞作品。
監督・脚本
:セルゲイ・ロズニツァ
出演
:タマラ・ヤツェンコ、ボリス・カモルジン、トルステン・メルテン、アルセン・ボセンコ 他
https://news.yahoo.co.jp/articles/48730664477cac4987d00109ded851ae7274ee70
【ネタバレあり】ウクライナ侵攻を予見、“緊急公開”の映画『ドンバス』が4年前に描いていたこと
映画が伝えるウクライナ
映画『ドンバス』/サニーフィルム提供
遠い東欧の豊かな穀倉地帯のイメージだったウクライナが、ロシアに侵略されて以降、歴史と文化を含め、“身近”な存在になりつつある。フランスで開幕中のカンヌ映画祭では、東部の都市マリウポリでロシア軍に殺害されたリトアニア人映画監督、マンタス・クベダラビチュス氏の『マリウポリス2』が、特別上映された。
映像には、活字とは違った訴求力があり大衆を熱狂も憤慨もさせ、時代を映す鏡として将来に残る。
そして国内ではウクライナ映画『ドンバス』が、5月21日、東京・渋谷の「シアター・イメージフォーラム」で封切られており、今後、全国で順次、上映される。
監督は、ベラルーシ生まれ、ウクライナ育ちのセルゲイ・ロズニツァ氏。4年前のカンヌ映画祭で『ドンバス』は<ある視点部門>監督賞を受賞しているが、ロズニツァ氏のフィクション作品が日本で公開されるのは初めてだ。
確かに、『ドンバス』はウクライナ侵攻を経てウクライナが“身近”になったからこそわかる映画で、4年前の公開時、観たとしてもどれだけの人が理解できただろう。
映画『ドンバス』が描いたもの
映画『ドンバス』/サニーフィルム提供
映画は、コンテナを改造した化粧室のシーンから始まる。年配の女優が、「もっとアザを濃くしろ」と、注文をつけている。そこに女性ディレクターが現れて、コンテナ内の俳優を現場に走らせ、虐殺の目撃者を演じさせる。フェイクニュース作りである。
ドンバスとはロシアと国境を接したウクライナ東部地域のことで、親露派武装勢力が2014年のロシアによるクリミア半島併合に合わせて実効支配、ウクライナからの独立を宣言してルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国を自称した。ロシアですら承認したのは、ウクライナ侵攻2日前の今年2月22日だった。
ロズニツァ監督は、14年から15年にかけて東部ドンバス地方で起きた実話を元に13のエピソードで構成する劇映画にした。
フェイクニュース作りから始まって、ウクライナ地方市議会で女が汚物の入ったバケツを市長にぶちまける騒動、産院で病院配布の物資や医薬品を貯め込んだ院長を糾弾するふりをして助ける男、親露派武装勢力による仲間に加わらない男性を裸にした厳しい検問、親露派から逃れた住民が逃げ込んだジメジメして劣悪な環境の地下シェルター、見せしめに立たされたウクライナ兵捕虜への親露派の老若男女の住民による暴行……。
どれも暗く救いがない。ウクライナへの侵略戦争は、2月24日に始まったわけではなかった。ドンバスでは、ロシアによる支援を受けた親露派武装勢力が8年前から武力で実効支配しており、その間、ロシアと親露派は、14年2月の政変(マイダン革命)で親露派の大統領を追い出したウクライナ政府を「ネオナチ思想に毒されたファシスト」と呼んで攻撃してきた。
この言葉は、映画のなかで何度も繰り返されるのだが、「ファシストのウクライナ軍が市民を攻撃する」というフェイクニュースが日常的に流され、ドンバスのロシア系住民が、日々、虐待、虐殺されているという報道が繰り返されると、それが住民たちに刷り込まれて、「ウクライナ政権は許しがたいネオナチ」とみなすようになる。
エピソードのなかに結婚登録所という唯一、晴れやかな場所が設定されており、新郎新婦が何度も愛を誓い、キスを繰り返すのだが、その場にいるのはウクライナ軍捕虜を虐めた不良グループや、空に向かって小銃をぶっ放す親露派武装勢力などである。そこで最後には、全員で声を合わせてロシア国歌に類似した「新しいロシア」を意味する「ノヴォロシア」の国歌を絶叫する。
実際に起きたウクライナへの侵攻
そうした積み重ねの末、プーチン大統領は「ロシア系住民を弾圧するファシストのウクライナ政府に対し、『平和維持を目的とした特別軍事作戦』を行う」と称してウクライナを侵略した。
実戦の前には必ず情報戦があり、まず味方を信じさせなければならない。
ウクライナの首都キーウ近郊のブチャで、多くの住民が虐殺され、世界に衝撃を与えたが、ロシアは一貫して、「ロシア軍が行った虐殺の事実などない」と主張。駐日ロシア大使のM・ガルージン氏は、ジャーナリストの櫻井よしこ氏との対談(『月刊Hanada』6月号)で、虐殺はフェイクニュースを流すためにウクライナ特務機関が行っている行為で、「全ては、窮地に追い込まれているウクライナ政権が、自分たちの立場を有利にするために仕組んでいることにすぎません」と言い、「ロシア大使がフェイクを言うはずがない」と断言した。
大使が“本気”で発言しているのだから、住民、国民が“誘導”されるのも無理はない。
いつミサイルが飛んでくるか分からない緊張状態のなか、住民がウクライナ派と親露派に分かれ、見た目だけでは容易に区別がつかないとなれば、誰も信用できず、笑いは消えて、生きるのに精一杯となる。
奇才・ロズニツァ監督は、そんな乾いた酷薄な日常を描き、フィクションなのかノンフィクションなのか、フェイクなのか事実なのか、いつしか観客をわからなくさせる。
核や生物化学兵器は人間を大量破壊するが、フェイクニュースやプロパガンダによる情報戦も国民を病ませ、人間性を破壊する。
映画『ドンバス』は、世界を揺るがすウクライナ侵攻の4年前に、そうなることを予見していたのである。
伊藤 博敏(ジャーナリスト)
https://eiga-pop.com/critic/227
ドンバスの町山智浩さんの解説レビュー
2022-04-05(火) たまむすび 町山智浩 アメリカ流れ者 映画『親愛なる同志たちへ』『ドンバス』
2019 粛清裁判 The Trial Процесс ドキュメンタリー
2019 国葬 State Funeral Государственные похороны ドキュメンタリー
http://www.nanagei.com/mv/mv_n1499.html
セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選
『国葬 STATE FUNERAL』
『粛清裁判 THE TRIAL』
『アウステルリッツ AUSTERLITZ』
群衆 セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選 SERGEI LOZNITSA OBSERVING A FACE IN THE CROWD