11/12公開『ファイター、北からの挑戦者』予告編
「愛の不時着」イム・ソンミ、北朝鮮を逃れソウルでボクシングと出会い人生の再起をはかる/映画『ファイター、北からの挑戦者』コメント映像
https://eiga.com/movie/95526/
韓国・ソウルで新たな人生をスタートさせた北朝鮮からの脱北者の女性がボクシングと出合い、生きる希望と勇気を取り戻す姿を描いたドラマ。ソウルの小さなアパートにたどり着いた脱北者のリ・ジナ。残してきた父を呼び寄せるため多くのお金を稼ぎたい彼女は、食堂と清掃の仕事を掛け持ちする中で、ボクシングジムの館長とトレーナーのテスと出会う。悲惨な過去と怒りを抱えるジナは彼らに対して壁を作るが、館長とテスはそんな彼女の中に静かに燃えるファイティングスピリットを感じ取る。ボクシンググローブを手渡されたジナは、次第にボクシングの世界にのめり込んでいく。大ヒットドラマ「愛の不時着」のイム・ソンミが主人公のジナ役を演じるほか、「オールドボーイ」のオ・グァンロクらが脇を固める。監督はドキュメンタリー「マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白」を手がけたユン・ジェホ。
2020年製作/104分/G/韓国
原題:Fighter
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:https://fighter-movie.com
韓国、ソウル。ひとりの女が小さなアパートに辿り着いた。脱北者、リ・ジナ。休む間もなく食堂で働き出した彼女は、中国に残した父を呼び寄せるためにより多くのお金を稼ごうと、清掃の仕事を掛け持ちすることにした。そこは、館長とトレーナーのテスが2人で切り盛りするボクシングジムで、悲惨な過去と怒りを抱えて壁を作るジナに、2人は静かに燃えるファイティングスピリットを感じ取る。グローブを渡されたジナは、次第にボクシングの世界にのめり込んでいくのだった――。

監督は、フランスと韓国を拠点にするユン・ジェホ。カンヌ国際映画祭に出品されたドキュメンタリー『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』(16)で世界に衝撃を与え、その経験を基に本作を作り上げた。1カ月半のボクシング特訓を経てヒロインのジナを演じ切ったのは、大ヒットドラマ『愛の不時着』でも印象を残したイム・ソンミ。女優歴14年目にして初の主演を掴んだ。ジナをボクシングの世界へと導くジムの館長には、『オールド・ボーイ』(04)などパク・チャヌク監督作の常連で、殺陣師としても活躍するベテランのオ・グァンロクが扮し、また、韓国BLドラマ『Wish you~僕の心の中 君のメロディー』で主人公インスの友人ミンソン役を演じ、実生活では名優ペク・ユンシクを父に持つペク・ソビンが、ジナの第二の人生を優しく見守るトレーナーのテス役を演じている。
タイトルの「Fighter」に込めた思いとは?
タイトルの「Fighter」は、文字通りの意味です。ジナの波乱万丈の人生と、あきらめないことから生まれる尊厳を表現しています。第一稿からずっと変わっていません。彼女の闘いは、世界に対する闘いであると同時に、自分自身に対する闘いでもあるのです。
ボクシングをテーマにしたのはなぜですか?
フランスでは、受刑者に「リハビリテーション」の一環としてボクシングを勧めています。言い換えれば、それは手段として使うのではなく、暴力をコントロールする方法を学ばせるのです。手しか使わないというルールは、他の種類の暴力による感情に対処するのに役立ちます。映画の中でテスが言っているように、ボクシングはスポーツであり、一般的には「自分との戦い」と言われます。最終的には自分自身との戦いであり、世の中に打ちのめされても自分自身で立ち上がらなければなりません。周りの人が応援してくれたとしても立ち上がるのは自分です。だから、ボクシングには強い意志とマインドコントロールが必要なのです。そして、リング上のボクサーと私たちの世界は重なっていると思いました。このようにして、ボクシングが映画のメタファーになったのです。
ジナにとっての「韓国」とはなんでしょうか?
北朝鮮の脱北者の多くは、言葉が同じなのでほとんどが韓国にやって来ます。彼らは韓国を “エルドラド “だと思う一方で、現実は決してバラ色ではないことも知っている。それを知った上で、まだ希望を持っているのです。その希望を実現するための闘いの場が、韓国なのです。人は誰でも夢や目標を持ち、それを実現したいと願っている。しかし、その希望が打ち砕かれたときに感じる絶望は、何よりも巨大で、切実で、暗いものです。残念ながら、私たちは再び立ち上がって、もう一度闘わなければなりません。でもたった一人で闘うのは大変なことです。勇気が出ない。結局、些細なことであろうと、人に助けてもらうことが必要なのです。私も釜山を離れてフランスという異国の地で生活したとき、自分の希望を現実にするために闘いました。韓国に帰ってもまだ終わっていません。ジナのセリフのように、私も何度も負けて、何度も立ち上がってきました。そうやって世界や自分自身と闘い続けていると、あきらめるよりも、あきらめないという気持ちが強くなります。
観客へメッセージをお願いします。
この映画は、私がこの10年間取り組んできたテーマの結末に向かおうとする作品です。私だけでなく、製作会社、撮影スタッフ、俳優たちの前向きな強い意志によって生み出されました。短い期間ではありましたが、とても楽しく、嬉しいものでした。お互いに尊敬し合い、苦難を共に乗り越えてきた大切な時間です。映画が観客と向き合うとき、不安と期待が同居します。何よりも観客の皆さんにジナの物語がしっかりと伝われば幸いです。この映画は観客に親しみやすいように作られています。随所にメタファーが使われていますが理解しようとしなくても、それだけで見たり聞いたりできる映画です。この映画を見た後は、ジナを応援したくなるかもしれません。そうなればいいなと思っています。
1980年、釜山生まれ。ナンシー国立高等美術学校、ボザール・ナンシー、パリ高等装飾美術学校、ル・フレノワ国立現代芸術スタジオで美術、写真、映画を学ぶ。短編ドキュメンタリー「Promise」(11)は、アシアナ国際短編映画祭でグランプリを受賞。オムニバス作品『Pig』(13)でカンヌ国際映画祭と釜山国際映画祭に出品、長編ドキュメンタリー『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』(16)はモスクワ映画祭とチューリッヒ映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。短編映画『Hitchhiker』(16)は、カンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品、初長編作品『Beautiful Days』(18)は釜山国際映画祭のオープニング作品に選出された。
Jero Yun
1980年1月5日
韓国/釜山
http://mrsb-movie.com
イム・ソンミ
1986年8月8日生まれ。ポン・ジュノ監督の『母なる証明』(09)で初の長編映画デビュー。2012年には、演劇「ヘダー・ガブラー」で召使のベルタ役を演じ、セリフがないにもかかわらず、不気味な存在感を表現し好評を博す。映画と舞台、TVドラマで演技力を磨き、俳優生活14年目にして初の主人公の座を本作で獲得した。“思考を明晰に表現する静謐な集中力”と評され2020年釜山国際映画祭最優秀女優賞を受賞。本作の後に撮影された大ヒットTVシリーズ「愛の不時着」でも韓国製化粧品を密売する北朝鮮人のクムスン役で印象を残している。

ペク・ソビン
1984年9月7日生まれ。名優ペク・ユンシクを父に持つ。2011年テレビドラマ『根の深い木』でデビュー。TVシリーズや映画の世界で観客の心をつかむカラフルな人物像を作り上げてきた。代表作には、シム・ウンギョン主演のTVシリーズ『のだめカンタービレ~ネイルカンタービレ』(14)、モスクワ国際映画祭に出品された『Sermon on the Mount』(17)、LGBTコミュニティを支援するスンジュン役が好評だった『Papa is Pretty』(18)など。最新作はNetflixで世界200ヵ国に配信中のBLドラマ「Wish you~僕の心の中、君のメロディー」。

ヒューマントラストシネマ有楽町:13:55-15:45 (104分)
https://ttcg.jp/human_shibuya/movie/0788500.html
http://shinjuku.musashino-k.jp/movies/21808/
https://www.asahi.com/articles/DA3S15109880.html