『海辺の家族たち』予告編|5月14日(金)公開
マルセイユ近郊の海辺の家に父の最期の日々に向き合うため3人の子供たちが集まる。
”フランスのケン・ローチ”が人生を変える出会いを描く忘れられない感動作。
<STORY>
パリに暮らす人気女優のアンジェルは、20年ぶりにマルセイユ近郊の故郷へと帰って来る。家業である小さなレストランを継いだ上の兄のアルマンと、最近リストラされて若い婚約者に捨てられそうな下の兄のジョゼフが迎えてくれる。兄妹3人が集まったのは、父が突然、倒れたからだ。意識はあるもののコミュニケーションが取れなくなった父と、家族の思い出の詰まった海辺の家をどうするのか、話し合うべきことはたくさんあった。だが、それぞれが胸に秘めた過去が、ひとつひとつあらわになっていく。昔なじみの町の人々も巻き込んで、家族の絆が崩れそうになったその時、兄妹は入り江に漂着した3人の難民の子供たちを発見する──。
5/14(金) キノシネマ横浜みなとみらい・立川・天神 ほか全国順次公開
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公式サイト:https://movie.kinocinema.jp/works/lav…
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「マルセイユの恋」などを手がけたフランスの名匠ロベール・ゲディギャン監督の人間ドラマ。パリに暮らす人気女優のアンジェルは20年ぶりにマルセイユ近郊の故郷に帰ってきた。家業である小さなレストランを継いだ上の兄のアルマンと、最近リストラされて若い婚約者に捨てられそうな下の兄のジョゼフ、兄妹3人が集まったのは、父が突然倒れたからだった。意識はあるもののコミュニケーションが取れなくなった父、家族の思い出が詰まった家をどうするかなど、たくさんの話し合うべきテーマを語りながら、それぞれが胸に秘めた過去があらわになっていく。町の人びとも巻き込んで、家族の絆が崩れそうになった時、兄妹は入り江に漂着した3人の難民の子どもたちを発見する。
2016年製作/107分/G/フランス
原題:La villa
配給:キノシネマ
公式サイト:https://movie.kinocinema.jp/works/lavilla/
INTRODUCTION
〈フランスのケン・ローチ〉と称えられる
ロベール・ゲディギャン監督の集大成
自身が生まれ育ったマルセイユ周辺を舞台に、労働者階級や移民など社会的に弱い立場の人々の人生を温かな眼差しで見つめ続け、〈フランスのケン・ローチ〉と称えられるロベール・ゲディギャン監督。
本国で半年以上のロングラン上映を成し遂げた大ヒット作『マルセイユの恋』や『幼なじみ』『キリマンジャロの雪』などで高く評価され、ベルリン、ヴェネチアや、審査員も務めたカンヌ国際映画祭の常連でもある名匠が、映画人生40年の集大成となる傑作を完成させた。
空と海を一望できる美しい入り江沿いにあり、かつては別荘地として賑わったが、今ではすっかり寂れた町で、過去にとらわれて絆を見失い、明日へと踏み出せない家族が描かれる。だが、彼らが〈人生を変える新しい出会い〉を受け入れたことで、再び未来が輝き始める。
こんな時代だからこそ、人と人の繋がりが何よりも大切だと、忘れられないラストシーンが教えてくれる感動作。今、世界が忘れた優しさが、ここにある。
STORY
マルセイユ近郊の海辺の家に、父との最期の日々を過ごすために集まる3人の子供たち
それぞれが胸に秘めた過去と向き合う時間を、漂着した難民の子供たちが思わぬ希望に変えていく──
パリに暮らす人気女優のアンジェルは、20年ぶりにマルセイユ近郊の故郷へと帰って来る。家業である小さなレストランを継いだ上の兄のアルマンと、最近リストラされて若い婚約者に捨てられそうな下の兄のジョゼフが迎えてくれる。兄妹3人が集まったのは、父が突然、倒れたからだ。
意識はあるもののコミュニケーションが取れなくなった父と、家族の思い出の詰まった海辺の家をどうするのか、話し合うべきことはたくさんあった。だが、それぞれが胸に秘めた過去が、ひとつひとつあらわになっていく。
昔なじみの町の人々も巻き込んで、家族の絆が崩れそうになったその時、兄妹は入り江に漂着した3人の難民の子供たちを発見する──。
CAST
アリアンヌ・アスカリッド
三人兄妹の末っ子アンジェル
1954年、フランス・マルセイユ生まれ。学生時代に後に夫となるロベール・ゲディギャン監督と出会う。学生時代より女優として活動し、ゲディギャン監督のデビュー作『Dernier été』(80)ではヒロインを好演。『マルセイユの恋』(96)でセザール賞主演女優賞を受賞した他、『Gloria Mundi』(19)でもヴェネチア国際映画祭主演女優賞を受賞するなど、名実共にフランスを代表する女優の一人。
ジャン=ピエール・ダルッサン
三人兄妹の次男ジョゼフ
1953年、フランス・クルブヴォア生まれ。ロベール・ゲディギャン監督作品の常連で、『マルセイユの恋』(96)ではセザール賞助演男優賞にノミネートされている。出演作品は『ロング・エンゲージメント』(04)、『ル・アーヴルの靴磨き』(11)など。
ジェラール・メイラン
三人兄妹の長男アルマン
1952年、フランス・マルセイユ生まれ。ロベール・ゲディギャン監督の幼馴染みで監督作品の常連。出演作品は『マルセイユの恋』(96)、『キリマンジャロの雪』(11)、『セザンヌと過ごした時間』(16)など。
ジャック・ブーデ
近隣住人マルタン
1939年、フランス・パリ生まれ。出演作品は『ニキータ』(90)、『マルセイユの恋』(96)、『マリー・アントワネットに別れをつげて』(12)、『シークレット・オブ・モンスター』(15)など。
アナイス・ドゥムースティエ
ジョゼフの婚約者ヴェランジェール
1987年、フランス・リール生まれ。10代の頃からミヒャエル・ハナケ監督の『タイム・オブ・ウルフ』(03)などの作品に出演。ロベール・ゲディギャン監督作品は『キリマンジャロの雪』(11)に引き続いての出演となる。
ロバンソン・ステヴナン
アンジェルに想いを寄せる青年バンジャマン
1981年、フランス・ロン=ル=ソニエ生まれ。出演作品は『デルフィーヌの場合』(98)、『ソン・フレール -兄との約束-』(03)など。ロベール・ゲディギャン監督作品は『キリマンジャロの雪』(11)に引き続いての出演となる。
STAFF
ロベール・ゲディギャン
監督・製作・脚本
1953年、フランス・マルセイユ生まれ。学生時代に後に妻となるマリアンヌ・アスカリッドと出会う。80年、故郷であるマルセイユ近郊の港町エスタックを舞台にした『Dernier été』でデビュー。それ以降もマルセイユやその近郊を舞台とすることをスタイルとしている。96年の『マルセイユの恋』はセザール賞作品賞、監督賞の他7部門にノミネートされ、主演女優賞(マリアンヌ・アスカリッド)を受賞。監督作品は『幼なじみ』(98)、『キリマンジャロの雪』(11)など。最新作『Gloria Mundi』(19)もヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品している。社会問題を取り上げながら、労働者の視点で市井の人々を温かい眼差しで描き、“フランスのケン・ローチ”と呼ばれる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロベール・ゲディギャン
Kino cinema 横浜みなとみらい:12:35-14:25 (107分)
https://ttcg.jp/movie/0756900.html
さびれた故郷で、過去と仲直りし、未来へと踏み出した。
自身が生まれ育ったマルセイユ周辺を舞台に、労働者階級や移民など社会的に弱い立場の人々の人生を温かな眼差しで見つめ続け、〈フランスのケン・ローチ〉と称えられるロベール・ゲディギャン監督。本国 で半年以上のロングラン上映を成し遂げた大ヒット作『マルセイユの恋』や『幼なじみ』『 キリマンジャロの雪 』などで高く評価され、ベルリン、ヴェネチアや、審査員も務めたカンヌ国際映画祭の常連でもある名匠が、映画人生40年の集大成となる傑作を完成させた。空と海を一望できる美しい入り江沿いにあり、かつては別荘地として賑わったが、今ではすっかり寂れた町で、過去にとらわれて絆を見失い、明日へと踏み出せない家族が描かれる。だが、彼らが〈人生を変える新しい出会い〉を受け入れたことで、再び未来が輝き始める。こんな時代だからこそ、人と人の繋がりが何よりも大切だと、忘れられないラストシーンが教えてくれる感動作。 今、世界が忘れた優しさが、ここにある。
監督・脚本
:ロベール・ゲディギャン
キャスト
:アリアンヌ・アスカリッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、ジェラール・メイラン
https://eiga.com/news/20210507/26/
【「海辺の家族たち」評論】美しい入り江の町を舞台に描かれる、確執を抱えた家族の再会と明日への希望
「地中海で一番美しい海岸」「沿岸地域で唯一真の姿を残した場所」と劇中の台詞で紹介される、マルセイユ近郊のメジャン入り江。その湾景を望む一軒家のバルコニーで、老いた父親が後悔を口にして倒れた。父から小さなレストランを継ぎ実家で同居する長男アルマン(ジェラール・メイラン)のもとに、教授職をリストラされた次男ジョゼフ(ジャン=ピエール・ダルッサン)、人気女優でパリに暮らす末っ子アンジェル(アリアンヌ・アスカリッド)がやってくる。20年前のある出来事が原因で、アンジェルは家族と疎遠になっていた。
2017年のヴェネツィア国際映画祭コンペ部門に出品された本作「海辺の家族たち」。監督のロベール・ゲディギャンはマルセイユで生まれ育ったフランス人だが、父親は20世紀初頭に起きたアルメニア人虐殺からフランスに逃れてきた移民で、マルセイユの港湾で働いていた。そうした出自と育った環境の影響で、労働者や移民・難民といった社会的弱者に寄り添う眼差しで家族や小さなコミュニティーを描く一貫した作風は、日本語字幕版が鑑賞可能な「マルセイユの恋」「幼なじみ」「キリマンジャロの雪」でも確かめられる。
ゲディギャンの一貫したスタイルは、ロケ地にマルセイユや西の近郊エスタック地区(メジャン入り江はさらに西のはずれ)を選ぶことと、先に紹介したメイラン、ダルッサン、そして監督の妻でもあるアスカリッドの3人を起用し続けてきたことにも表れている。そんな一貫性の賜物が、中盤で挿入される回想シーン。実はこれ、1985年の監督作「Ki lo sa ?」から抜粋された映像なのだが、やはり先の俳優3人が船着き場でふざけあっているので、本作において3兄妹がまだ仲良しだった若かりし頃のフラッシュバックとして完璧に機能している。
ゲディギャンは淡々とした筆致に控え目なユーモアも時折添えて、過去と現在のさまざまな別れや、新たな恋の始まりを綴っていく。そして終盤、予想外の出会いによって3兄妹は明日に向かって歩き出すきっかけを得る。それは、悲しみや憎しみや分断を克服する力として、愛と善に希望を託す監督のつつましい意思表示だ。たしかに理想主義かもしれない。それでも、ラストシーンのバルコニーに訪れるささやかな奇跡は、長く反響するこだまのように、観客の心に温かな余韻を残し続けるだろう。
(高森郁哉)
https://natalie.mu/eiga/news/427569
フランス・マルセイユ近郊の寂れた街を舞台とした本作では、女優として活躍するアンジェル、若すぎる婚約者を持つジョゼフ、小さなレストランを継いだアルマンの3兄妹が描かれる。父が倒れたことから久しぶりに顔を合わせた兄妹だったが、それぞれが胸に秘めた過去が1つひとつ明かされていき、家族の絆は崩壊寸前に。そんな中、兄妹は港に漂着した難民の子供たちを発見する。アリアンヌ・アスカリッド、ジャン=ピエール・ダルッサン、ジェラール・メイランらがキャストに名を連ねた。
3兄妹についてゲディギャンは「彼ら全員が、過ぎ去りゆく時代、変わりゆく世界を敏感に察知する。そんな人生の時期にあるんです」と言い、「そして彼らが今まで作ってきた道が、徐々に閉ざされていく」と述懐。そんな兄妹たちが未来を切り開くきっかけとなったのが、難民の子供たちとの出会いであることを説明する。
またゲディギャンは「大げさな言い方になるが、今日、難民について語ることなしに映画を作ることはできないと私は考えています」と話し、「原因が気候変動だろうと、ほかの理由だろうと、あるいは戦争のせいだろうとかまわない。彼ら(難民の子供たち)は安全な住まいを求めてやってきたのです。そしてアンジェラ、ジョゼフ、アルマンは彼らを育てるためにそこに留まり、レストランと山腹のコミュニティと自分たちの世界観を生きながらえさせる努力をするんです」と述べた。
「海辺の家族たち」は5月14日より神奈川・kino cinema横浜みなとみらい、東京・kino cinema立川高島屋S.C.館、福岡・kino cinema天神ほか全国で順次ロードショー。
※kino cinemaのeはアクサンテギュ付きが正式表記
※kino cinema立川高島屋S.C.館の高は、はしごだかが正式表記
https://www.agara.co.jp/article/124092
「男はつらいよ」シリーズや新作映画『キネマの神様』(8月6日公開)などの山田洋次監督が「美しい入江の一軒家に集う家族が、憂鬱な時間を重苦しく過ごすうち、突如思いもかけぬ出来事が立ち上がり、未来が豁然と開けてくる――この映画には思想がある」と賞賛のコメントを寄せたフランス映画『海辺の家族たち』が、14日よりkino cinema横浜みなとみらい、kino cinema立川髙島屋S.C.館、kino cinema天神ほか全国で順次公開がスタート。
南仏マルセイユ近郊の海辺の家に、父との最期の日々を過ごすために集まる3人の子どもたち。それぞれが胸に秘めた過去と向き合う時間を、漂着した難民の子どもたちが思わぬ希望に変えていく──。
本作の監督を務めたのは、自身が生まれ育った南仏マルセイユを舞台に、労働者階級や移民など社会的に弱い立場の人々の人生を温かな眼差しで見つめ続け、〈フランスのケン・ローチ〉と称えられるロベール・ゲディギャン。本国で半年以上のロングラン上映を成し遂げた大ヒット作『マルセイユの恋』や『幼なじみ』、『キリマンジャロの雪』などで高く評価され、ベルリン国際映画祭や、ヴェネチア国際映画祭、審査員も務めたカンヌ国際映画祭の常連でもある名匠だ。
■「難民」を描いた理由
監督は、本作に登場するジョゼフとアルマンドとアンジェラの3兄妹について「彼らの全員が、過ぎ去りゆく時代、変わりゆく世界を敏感に察知する、そんな人生の時期にある。彼らが切り開いてきた道が、徐々に閉ざされてゆく。それらの道は絶えず維持してゆかなければならない…あるいは新たな道を切り開く必要がある」と語る。
そんな兄妹たちが未来を切り開くきっかけとなったのが、難破したボートから逃れ生き延びた難民の子どもたちとの出会い。子どもたちを引き取ったことで兄妹たちは仲間意識を取り戻していく。
「私はこの出会いを信じる。“グローバリゼーション”には、必然的に未来とつながる何かがある。大げさな言い方になるが、今日、難民について語ることなしに映画を作ることはできない、と私は考える。私はあえて、“難民”という言葉を選んだ。原因が気候変動だろうと、ほかの理由だろうと、あるいは戦争のせいだろうとかまわない。彼らは安全と、住まいを求めてやってきている。3人の子どもたちがやってきたことで、もしかしたら入り江は蘇るのではないか。アンジェラ、ジョゼフ、アルマンドは3人の子どもたちを育てるためにそこに留まり、レストランと山腹のコミュニティと自分たちの世界観を生きながらえさせる努力をするつもりだ。そして何人かの人々のつながりを保ち、それにより平和を保とうとする」と、この映画の中で何を描きたかったのかを明らかにしている。
■貴重な青春時代シーン 本編映像解禁
また、3兄妹に父親を加えた4人の若かりし頃の回想シーンの本編映像がWEBで解禁された。4人で車に乗り込み、窓を開け放し音楽を流しながら楽しそうにはしゃぎながら海への道を走る。港に到着し、“遊泳禁止”、”違反者は起訴”の注意書き看板を目にした4人は、ふざけ合って次々にお互いを海の中へと突き落としていく。最終的には全員海の中へと飛び込み、楽しそうに遊ぶ4人の若い姿が眩しく目に映る。
実はこのシーン、各俳優にそっくりの若い俳優が回想シーンを演じている訳ではなく、正真正銘、30年以上前に本人たちが演じた映像。ロベール・ゲディギャン監督の『Ki lo sa?』という、1986年に製作された作品(日本未公開)から抜き出された映像で、マルセイユで同じ俳優を使って長年映画を撮り続けてきたロベール・ゲディギャン監督ならではの貴重な映像となっている。このことからも映画人生40年の集大成と呼ぶにふさわしい作品となっている。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71871630U1A510C2BE0P00/
海辺の家族たち3兄妹に滲む人生の諦念
南仏を舞台に庶民の哀歓を綴(つづ)るロベール・ゲディギャン監督の最新作。淡々とした展開のなかに人生の陰翳(いんえい)を映すそのわざは、密(ひそ)やかな名匠の名に値する。
きょう公開(一部で休映)(C) AGAT FILMS & CIE – France 3 CINEMA – 2016
マルセイユ近くの美しい入江(いりえ)を望む崖の下に、小さなレストランがある。昔は別荘客で繁盛したが、今は寂れ、中年のアルマンが主人をしている。だが、アルマンの老父が発作で倒れ、アルマンの弟と妹が駆けつける。弟ジョゼフは作家志望だが、原稿出版のめどは立たない。妹アンジェルは著名な女優だが、父と兄たちの過失で娘を亡くして以来、実家とは疎遠だった。
だが、三人兄妹の再会により、この死んだような世界の何かが変わり始める。アルマンは父を介護しながらもレストランの経営を続けようと考え、ジョゼフはここに残って兄を助けたいと心が動く。なんとアンジェルは、演劇好きの若い漁師から愛を告白された。そんなおり、アルマンとジョゼフは、入江に漂着した幼い三人姉弟の難民を発見して、家に連れ帰る……。
まずはロケーションが素晴らしい。入江を見下ろす崖にへばりつく、小さいが魅力的な家。時代からとり残されながら、そこには確かに、長く人間が生きてきた印が刻まれている。
そこに集う中年の三人兄妹。彼らの背負うそれぞれの人生の苦さがじっくりと伝わってくる。彼らをとり巻く隣人の老夫婦や、入江に一人残った若い漁師の気持ちもじんわりと滲(にじ)みだす。物語やセリフで表すのではなく、その表情やたたずまいを描く画面が、繊細な感触で語りかけるのだ。
動かしがたい人生を黙って受けとめる諦念が映画の主調をなすが、そこにも幼い難民の姉弟のように、社会の変化の波が否応(いやおう)なく押しよせる。そのとき、ささやかな力で他人を支えようとする人は自分の可能性を広げているのだ、とこの映画は信じさせてくれる。
1時間47分。