映画『アンモナイトの目覚め』予告編
『ゴッズ・オウン・カントリー』のフランシス・リー監督最新作『AMMONITE(原題)』が『アンモナイトの目覚め』の邦題で、4月9日より全国順次公開されることが決定した。
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https://realsound.jp/movie/2021/02/po…
開催を見送られた第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選ばれ他本作では、ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンが初共演。世に忘れられた古生物学者メアリーと、裕福な化石収集家の妻シャーロットという、真逆でありながら、ともに孤独を抱えた女性を演じた2人の姿を描く。ウィンスレットがメアリーを、ローナンがシャーロットを演じ、『英国王のスピーチ』『SHAME -シェイム-』『LION/ライオン〜25 年目のただいま〜』のイアン・カニングがプロデューサーを務める。
■公開情報
『アンモナイトの目覚め』
4月9日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
監督:フランシス・リー
出演:ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナン
配給:ギャガ
R-15
(c)The British Film Institute, The British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited 2019
ケイト・ウィンスレット×シアーシャ・ローナン圧巻の共演..『アンモナイトの目覚め』予告編
ケイト・ウィンスレット×シアーシャ・ローナン圧巻の共演
『#ゴッズオウンカントリー』フランシス・リー監督、待望の新作!歴史に隠された古生物学者メアリー・アニングの心の痛みと恍惚を、繊細かつ大胆に描く美しきヒューマンドラマ。
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人間嫌いで、世間とのつながりを絶ち暮らす古生物学者メアリー。かつて彼女の発掘した化石は一世を風靡したが、今はイギリス南西部の海辺の町ライム・レジスで、観光客の土産物用アンモナイトを探して細々と生計をたてている。そんな彼女はある日、裕福な化石収集家の妻シャーロットを預かることとなる。美しく可憐で奔放、何もかも正反対のシャーロットに苛立ち、冷たく突き放すメアリーだが、自分とはあまりに違うシャーロットに惹かれる気持ちをどうすることもできず――。
4月9日(金)公開
出演:ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナン
監督・脚本:フランシス・リー
原題:Ammonite
配給:ギャガ
女優2人の美しいキスシーン…映画『アンモナイトの目覚め』本編映像
『愛を読むひと』などのケイト・ウィンスレット、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などのシアーシャ・ローナンが出演したドラマ。1840年代のイギリスを舞台に、化石収集家の妻に惹(ひ)かれていく女性古生物学者の姿を映し出す。メガホンを取るのは『ゴッズ・オウン・カントリー』などのフランシス・リー。『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズなどのジェマ・ジョーンズをはじめ、ジェームズ・マッカードル、アレック・セカレアヌ、フィオナ・ショウらが共演する。
作品情報:https://www.cinematoday.jp/movie/T002…
配給:ギャガ
(c) 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited
ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンという当代きっての演技派女優が初共演し、19世紀イギリスを舞台に、異なる境遇の2人の女性が化石を通じてひかれあう姿を描いたドラマ。1840年代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。人間嫌いの古生物学者メアリー・アニングは、世間とのつながりを絶ち、ひとりこの町で暮らしている。かつて彼女の発掘した化石が大発見として世間をにぎわせ、大英博物館に展示されたが、女性であるメアリーの名はすぐに世の中から忘れ去られた。今は土産物用のアンモナイトを発掘し、細々と生計を立てている彼女は、ひょんなことから裕福な化石収集家の妻シャーロットを数週間預かることになる。美しく可憐で、何もかもが正反対のシャーロットにいら立ち、冷たく突き放すメアリー。しかし、自分とあまりにかけ離れたシャーロットに、メアリーは次第にひかれていく。実在した女性古生物学者メアリーをウィンスレット、シャーロットをローナンが演じる。監督は初長編作「ゴッズ・オウン・カントリー」で、ひかれあう2人の青年の姿を繊細に描いて注目されたフランシス・リー。2020年・第73回カンヌ国際映画祭(新型コロナウイルス感染拡大のため通常開催を見送り)のオフィシャルセレクション作品。
2020年製作/117分/R15+/イギリス
原題:Ammonite
配給:ギャガ
ケイト・ウィンスレット&シアーシャ・ローナン、ひかれ合う心をセリフなしで表現 「アンモナイトの目覚め」本編映像公開
19世紀イギリスを舞台に、異なる境遇のふたりの女性が化石を通じてひかれあう姿を描き、第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクションに選ばれた「アンモナイトの目覚め」の本編映像が公開された。
長編デビュー作「ゴッズ・オウン・カントリー」が高く評価されたフランシス・リー監督が、ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンをキャストに迎え、世に忘れられた古生物学者と、裕福な化石収集家の妻という真逆の立場でありながら、ともに孤独を抱えた女性同士の愛を描く。カンヌ国際映画祭をはじめ、アメリカの第47回テルライド映画祭、カナダの第45回トロント国際映画祭など、数々の映画祭でオフィシャルセレクションに選出された。
物語の舞台は1840年代、イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジス。古生物学者メアリー・アニングは、人間嫌いで、世間とのつながりを絶ち暮らしていた。かつて発掘した化石は大発見として一世を風靡し、大英博物館に展示されるに至ったが、女性であるメアリーの名はすぐに世の中から忘れ去られ、いまは土産物用のアンモナイトを発掘して細々と生計を立てている。そんな彼女は、あることから化石収集家の妻シャーロットを数週間預かることとなる。何もかもが正反対のシャーロットにいら立ち、冷たく突き放すメアリー。しかし、次第に自分とはあまりにかけ離れたシャーロットにひかれていく。実在した女性古生物学者メアリーをウィンスレット、シャーロットをローナンが演じた。
このほど公開されたのは、メアリーとシャーロットがセリフなしでひかれ合う感情を表現するシーン。部屋で身仕度をしているシャーロットの様子を見に来たメアリーだが、不意に目にした背中が大きく開いた下着姿に戸惑いを隠せない。目で合図を送り、着替えを手伝ってもらいたいと訴えるシャーロットに近づき、コルセットの紐を縛るメアリー。そのお礼にとシャーロットはメアリーの手首に香水をつける。メアリーの戸惑いとときめき、そしてシャーロットの心の変化を表現した仕上がりとなっている。
「アンモナイトの目覚め」は、4月9日に東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で順次公開。
(C)The British Film Institute, The British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited 2019
公式サイト:https://gaga.ne.jp/ammonite/
2020年、開催を見送られたカンヌ国際映画祭や、その年の映画賞レースの行方を占うトップバッターと言われるテルライド映画祭でオフィシャルセレクションに選ばれ、9月に開催されたトロント国際映画祭でようやく初披露された際には一気に〈アカデミー賞®最有力〉の賞賛を集めた作品が、ついに私たちの前にも現れる。
何と言っても注目されたのは、ハリウッドを代表する演技派でありアカデミー賞®女優のケイト・ウィンスレットと26歳にして鮮烈な表現力でアカデミー賞®4度のノミネートを誇るシアーシャ・ローナンの、初共演にして体当たりの演技合戦だ。イギリスの重苦しい景色の中で、感情を押し殺して生きてきた2人の女性の感情が激しく燃え上がる様を、抑圧と爆発のコントラストの演技で魅せる。 1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジスで、世間とのつながりを絶ち暮らす人嫌いの古生物学者メアリー・アニング。かつて彼女の発掘した化石は大発見として一世を風靡し、大英博物館に展示されるに至ったが、女性であるメアリーの名はすぐに忘れ去られ、今は観光客の土産物用アンモナイトを探しては細々と生計をたてている。そんな彼女はある日、裕福な化石収集家の妻シャーロットを数週間預かることとなる。美しく可憐で奔放、何もかもが正反対のシャーロットに苛立ち、冷たく突き放すメアリー。だがメアリーは、自分とはあまりに違うシャーロットに惹かれる気持ちをどうすることもできない。そしてシャーロットの存在が、次第に、メアリーが頑なに心の奥底に隠していた恐れや秘密、そして彼女自身も知らなかった本当の想いをつまびらかにしていくが――。
ケイトが演じた実在の古生物学者メアリーは、わずか13歳の時に成し遂げた〈大発見〉が大英博物館に展示され、その後も現代の“恐竜ブーム”にもつながる化石を掘り起こしたが、長きにわたって表の歴史からかき消されていた女性。今、真に女性の生きやすい世の中を創り出そうとする流れの中で、そんなメアリーにスポットライトを当てたのは、フランシス・リー監督。
2017年に長編初監督・脚本を務めた『ゴッズ・オウン・カントリー』でサンダンス映画祭ワールドシネマ監督賞、英国インディペンデント映画賞作品賞/主演男優賞/新人脚本家賞、ベルリン映画祭テディー賞/エンパイア賞作品賞/主演男優賞受賞、英国アカデミー賞英国作品賞ノミネートなど数々の賞に輝き、驚愕の監督・脚本家デビューを果たしたリーは、長編2作目となる本作で、世界中のクリエイターが組みたいと切望するケイトとシアーシャという2大女優を迎え、孤独の中に埋もれた自分を発掘していく女たちの物語を、実在のメアリーにインスパイアされながら繊細かつ大胆に描き上げていく。
荒い波が打ちつける海岸で、化石を求めて岩場によじ登るメアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)。時は1840年代、イギリス南西部の海辺の町ライム・レジスに母親(ジェマ・ジョーンズ)と二人で暮らすメアリーは、独学だが古生物学者としてその名を知られていた。だが、大英博物館に展示されている魚竜イクチオサウルスの化石を発掘した栄光も遠い過去となり、今では生活のために観光客の土産物用アンモナイトを探して売っている。
そんなメアリーの店に、ロンドンから化石収集家のロデリック・マーチソン(ジェームズ・マッカードル)が、妻のシャーロット(シアーシャ・ローナン)を伴って訪れる。裕福なロデリックは、メアリーが磨き上げたアンモナイトを購入し、採集に同行させてほしいと頼み込む。人付き合いが苦手で社交界にも全く興味のないメアリーは露骨に迷惑そうな顔をするが、謝礼を弾むと言われて渋々受けるのだった。
ロデリックが町を去る日、メアリーはさらに迷惑な頼みごとを押し付けられる。流産のショックから立ち直れず、抜け殻のようになったシャーロットをこの静かな地で療養させるので、数週間預かってほしいというのだ。翌日、シャーロットは浜辺までついてくるが、不機嫌そうに黙ったまま何もしない。そうかと思うと突然、採集を見せろと要求するシャーロットに、メアリーは「口出ししないで」と冷たく言い放つ。憤慨したシャーロットは、一人で水泳を始めるのだった。
次の日、メアリーの店に現れたシャーロットは、高熱を出して倒れてしまう。往診した地元の医師から24時間の看護が必要だと言われたメアリーは、「冗談じゃない」と拒絶するが、苦しそうにうなされるシャーロットを見て心を変える。メアリーの献身的な介抱のおかげでシャーロットが完全に回復した時、二人の間に温かな感情が芽生え始めていた。
そんな中、メアリーは医師から自宅で開く音楽会に招待され、シャーロットを連れて出かけていく。だが、かつてメアリーと関係のあったエリザベス・フィルポット(フィオナ・ショウ)を紹介され、すぐに上流階級の輪の中に溶け込むシャーロットにショックを受けたメアリーは一人で帰宅してしまう。そんなメアリーの想いを深く汲み取ったシャーロットは、「今夜のあなたは輝いていた」と励ますようにメアリーの手を握るのだった。
翌日、一人では運べない大きな石を海岸から二人で持ち帰ると、それは価値のある化石だった。二人は発見の喜びと互いへの想いに満たされ、初めて知る幸せを抱きしめ合う。ずっと心に巣くっていた孤独から解放される悦び。だが、輝く日々は光のように過ぎ去り、シャーロットはロンドンへ戻ることとなる。一緒にロンドンで暮らしたいというシャーロット。しかし、メアリーが選んだ選択は――。
思いがけない誕生秘話
本作誕生のきっかけは、フランシス・リーの恋人の誕生日だった。彼は、化石や鉱物好きな彼氏へのプレゼントを探している中で、何度もメアリー・アニングという名前に出会うことに気づく。19世紀に気候の厳しいドーセット海岸で働いた労働者階級の女性、ほぼ教育など受けていないのに11歳という若さで一家の大黒柱になり、男性優位の階級社会の中で独学で古生物学を学んだ女性。自身が階級やジェンダーに強迫観念を抱くリーは、彼女に強く興味を惹かれる。
しかしどれだけ資料を読み漁っても、同時代の人が彼女について書いた本は皆無に等しく、リーは独自の解釈でメアリー・アニングという女性を描こうと思い立つ。「僕は自伝を作りたかったわけじゃない。メアリーを尊重しつつ、想像に基づいて彼女を探求したかった。女であれ男であれ、メアリーが誰かと関係を持ったという証拠は一つも残っていないが、彼女に相応しい関係を描きたいと思っていた。」
当時、女性は男性の従属的な立場にあったため、メアリーは社会的地位と性別のせいで歴史からかき消されてしまった。リーは言う。「だからこそ男性との関係を描く気になれなかった。彼女に相応しい、敬意のある、平等な関係を与えたかった。メアリーが同性と恋愛関係を持っていたかもしれないと示唆するのは、自然な流れのように感じられたんだ。そのうえで社会的にも地理的にも孤立し完全に心を閉ざしてきた女性が、人を愛し、愛されるために心を開き、無防備になることがどれだけ大変かを描きたかった。」
『英国王のスピーチ』などアカデミー賞®に多くの作品を送り出してきた本作プロデューサーのイアン・カニングはリーの決断に対してこう語る。「メアリーの人生に、異性との恋愛関係があっただろうと考えるのと同じく、同性との恋愛関係があったかもしれないというアイディアに対し、自由でオープンであることが、私たちの時代の特徴だと思う。」
2人の女優と役作り
ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナン。この誰もが引き付けられるキャスティングは、フランシス・リー監督の第一希望だった。メアリー・アニングという人物について、ケイトはこう語る。「彼女は貧しい家に生まれ、階級社会から疎外されて生きてきたけれど、意志が強く好奇心が旺盛で博識。すべて独学で学び、生涯学び続けた。彼女を心から尊敬する。役作りをするにあたっては、まずは化石収集を学んだの。何日間も石を打ち砕き、ライム・レジスの博物館でメアリーの自筆の文を見た。あと、私にとって難しかったのは静けさ。メアリーは冷静沈着だけど、私は声も大きいし活発で動き回るのが好きなタイプ。だからフランシス(・リー監督)は私を身体から変身させた。体の動かし方、放つエネルギーレベル、すべての視線、動作、各シーンのリズムなどすべて、的確に把握し、私を静めてくれたの。素晴らしい体験だった。」
リーは言う。「ケイトは本気で役柄にのめり込む。彼女はメアリーに関する本をすべて読破し、数週間ほどライム・レジスに滞在し、現地で数日過ごしてコツを完全に学んだ。彼女は化石採集を心から気に入っていたよ。」
シアーシャは、シャーロットという役をこう分析する。「この時代、女性は結婚して、家事をして、子供を産むべきだと考えられていた。だからこそシャーロットは死産を経て自分のことを“失敗作”だと感じている。」
監督はシアーシャに“役の背景”を作るように勧めた。自分で役の人生を作り上げることによって、役が自分と近いものになり、撮影初期から役を身近に感じることができるからだ。プロデューサーのクローニンは語る。「物語が進むにつれ、シャーロットは男性が支配する世界で自分の声を見つけるだけでなく、自分の嘆きを表現する方法を見つけていく。この役には、とても繊細にアプローチできる俳優が必要だった。シアーシャは演技において、もろさだけでなく、強さも伝える秀でた能力を持っている。」
ボディダブルは一切無しでの撮影
撮影前に、チームはみっちり3か月間リハーサルを行い、役柄が日常的に行う仕事や、それぞれが持っている技能を追求した。フランシス・リーはスタントマンやボディダブル、ハンドダブルを使うことは好まず、役が物語の中で行うことはすべて、役者本人がやった(放尿のシーンすら!)。
生まれた時から映画の冒頭シーンまで、役がどういう道をたどってきたかを想像し、それぞれの感情や精神状態を深く掘り下げた。同時に身体面も追求するため、ケイトはライム・レジスの海岸で何週間も化石を探し、発掘作業を行った。一方、シアーシャは、ピアノを習い、美しい針編みレースの編み方を学んだ。
また撮影は物語の感情がうまく流れるように、時系列に沿って撮ることにした。そうすれば各シーンが、次のシーンの準備になる。物語を一つずつ積み重ねていくことで、強い感情の弧が、作品の軸として現れた。
撮影監督ステファーヌ・フォンテーヌのカメラは、見る側の視線から逃れられないようキャラクターに寄り添い、風景だけでなく感情をも映しだすとリーは語る。「この映画はすべてメアリーの目を通して物事を見て、彼女と共に体験していく。また、光を通してシャーロットがこの世界にもたらす変化や、暗く無感情な世界に、彼女独特の光が差し込むことで環境が転じていく様子も描写した。」
また監督とフォンテーヌにとって、物理的な環境も重要だった。メアリーは労働階級で、生活する環境は狭い。窓は少なく、暗くて、居心地の悪い閉ざされた空間だ。それに対し、シャーロットの住む世界は、光に満ちていて、物事から逃れるための空間が十分にある。つまり、シャーロットの生きる世界では、「選択」が許されるということだ。それぞれのキャラクターに異なる内的世界と外的世界があって、その対比を描くことが、「非常に面白かった」と監督は語っている。
土地、衣装、そして音楽が作り上げる世界観
監督は撮影前にライム・レジスの町を訪れた。「風景は私の感情を揺さぶり、絶え間なく引いては満ちる海には常に威嚇を感じる。死の感覚。メアリーはこの風景の中を歩く。ぬかるんでいて、汚く、寒くて危険だ。この風景がいかに人物を形づくるのか考える必要があったから、実際に化石採集もやってみたよ。四六時中、腰をかがめて地面を見つめる。あたりを見回して“何と美しい日だ!”とはならない。うつむいてばかりなんだ。この経験を通して、メアリーは顔を上げることのない人物だと私は考えた。地面に埋まるようにしている人物だと。」
また衣装も役柄を作り上げていくうえで重要なファクターとなった。衣装デザインのマイケル・オコナーとケイト・ウィンスレットは、今回、メアリーはコルセットを付けないということで同意した。身体を目いっぱい使う化石採集の仕事を、コルセットを付けながらできるわけがないという結論に至ったからだ。そこまで大きな発掘シーンの無いシアーシャですら、コルセットを付けたままでは、屈んで小石を拾うだけでも一苦労だった。また、シャツの下には男性のズボンを履くという設定になった。これで寒い気候にも耐えられる。ケイトは語る。「メアリーの衣装の機能性が好き。コルセットを付けずにあの時代の女性を演じたのは初めてだったから、嬉しかった!」
またサウンドデザイナーのジョニー・バーンと共に、リーは自然の音を使ってサウンドスケープを作成した。風は丁寧にデザインし、鳥のさえずりを適切な場所に加えた。火の音は心を落ち着かせ、背景には一貫して海の音が流れる。すべてが、この厳しい、残酷な世界を強調する音だった。質感を作りながら雰囲気を築き上げていくという手法だ。いわば海や波の音は、「コーラス」の役割を果たし、物語の根幹にある深い感情と対を成している。
ケイト・ウィンスレットが語る、今この映画を作る意義
ケイトは、シアーシャとの親密なシーンを撮影している時に興味深い発見があったと語る。「前にも、こういったシーンを撮影したけれど、そのほとんどの相手役は男性だった。男性相手だと、おのずと、ある力関係が働くことに気付いたの。それは、男性が舵を取りシーンを先導してくれるから、私は女性としてそれに身を任せるだけ、と思いがちということ。それはそれで問題なかったし、違和感もなかったけれど、シアーシャと完全に対等になった瞬間に“なぜもっと前に気付かなかったんだろう”って頭にきた。なぜ男性の共演者に対して自分が対等だと思わなかったのか。それは、社会の現実だからだと思う。私はいつも、両方の足をしっかりと地につけて自分の意思を表現してきたし、それを誇らしく思うけど、まだ出発地点に立ったに過ぎない。」
今日、いまだかつてないほど、女性が他の女性に関心を持っている。見た目や気分ではなく、女性自身が持つ「声」に関心を持っている。今回メアリー・アニングの物語を紡ぐ意義について、ケイトは続ける。「長い間、女性は批判の対象だったし、今でもそれは続いている。だからこそ、歴史に名を刻んだ偉大な女性の存在が大事。今、女性の歴史は変わろうとしている。この上なく素晴らしい傾向だと思う。仕事でも男性と対等になってきた。メアリー・アニングのような存在がいるからこそ、私たち女性は自分の声に従おうという気になるの。メアリーは従順なタイプではないし、誰かに支配されることもない。自分の存在を否定することも一切ない。女性みんなが彼女のような側面を持つべきだと思う。今まで経験したことがないほど、役からインスピレーションを貰った。この業界に入って、26年も経つというのにね。」
CAST
ケイト・ウィンスレット |メアリー・アニング|
1975年10月5日、イギリス生まれ。これまでに7度アカデミー賞®にノミネートされている実力派女優。17歳で出演したピーター・ジャクソン監督の『乙女の祈り』(94)で世界的に注目される。翌年『いつか晴れた日に』(95)で早くもアカデミー賞®にノミネート。『タイタニック』(97)では史上最年少での2度目のノミネートとなった。2008年の『愛を読むひと』でアカデミー賞®主演女優賞受賞。その他『アイリス』(01)、『エターナル・サンシャイン』(04)、『リトル・チルドレン』(06)、『ホリデイ』(06)、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(08)、『コンテイジョン』(11)、『おとなのけんか』(11)、『とらわれて夏』(13)、『スティーブ・ジョブズ』(15)、『女と男の観覧車』(17)など話題作に数々出演。2011年にはHBOで放送されたテレビ・ミニシリーズ「ミルドレッド・ピアース 幸せの代償」でエミー賞主演女優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)を受賞している。既にジェームズ・キャメロン監督の『アバター』続編の撮影を終了。2012年にはエリザベス女王から大英帝国勲章を授与された。
シアーシャ・ローナン |シャーロット・マーチソン|
1994年4月12日、アメリカ・ニューヨーク生まれ。13歳の時に『つぐない』(07)でアカデミー賞®にノミネートされる。その後出演した『ラブリーボーン』(09)、『ハンナ』(11)などでも注目を浴び、『ブルックリン』(15)では、アカデミー賞®主演女優賞のみならず、作品賞にもノミネートされた。2018年、『レディ・バード』(17)において、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞受賞。アカデミー賞®にもノミネートされた。2020年には『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)でキャリア4度目となるアカデミー賞®、5度目の英国アカデミー賞、4度目のゴールデン・グローブ賞等にノミネート。ジェニファー・ローレンスに続き史上2番目に若い4度アカデミー賞®にノミネートされた女優となった。その他『グランド・ブダペスト・ホテル』(13)、『追想』(18)、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(18)などに出演。ウェス・アンダーソン監督の新作『The French Dispatch』の公開が控えている。また2016年にはアーサー・ミラーの舞台「るつぼ」でブロードウェイ・デビューを果たしている。
STAFF
フランシス・リー|脚本/監督|Francis Lee
ヨークシャーのペナイン・ヒルズにある農場で育つ。俳優としてキャリアを積んだものの映画学校に入学する余裕がなく、自力で資金を調達してみずから脚本・監督を手がけた短編映画『The Farmer’s Wife』(12)、『Bradford Halifax London』(13)、『The Last Smallholder』(14)が、3本とも国際映画祭で上映され、多くの賞を受賞する。初の長編映画『ゴッズ・オウン・カントリー』(17)は、2017年サンダンス映画祭でプレミア上映され、ワールドシネマ監督賞受賞。英国インディペンデント映画賞では作品賞、新人脚本家賞、主演男優賞受賞。その他エンパイア賞作品賞と主演男優賞、イヴニング・スタンダード映画賞作品賞、エディンバラ国際映画祭マイケル・パウエル賞と最優秀英国映画賞、ロンドン映画批評家協会賞英国新人監督賞を受賞。英国アカデミー賞の英国作品賞にもノミネートされた。
https://en.wikipedia.org/wiki/Francis_Lee_(director)
https://fansvoice.jp/2021/03/19/goc-2021-release/
TOHOCINEMASシャンテ :13:30-15:40 (120分)
『アンモナイトの目覚め』劇場用プログラム完成!
いよいよ公開間近の『アンモナイトの目覚め』、劇場用プログラムが完成いたしました。
その内容をご紹介!
フランシス・リー監督のインタビューをはじめケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナンらキャストインタビューの他、映画ライターのよしひろまさみちさんのコラムや映画ジャーナリスト・金原由佳さんのレビューに加え本作のモデルであるメアリー・アニングに関する著書を執筆されている古生物学者・科学史家の矢島道子さんのコラムと映画をより楽しめる記事が満載です。
お買い求めは、全国の『アンモナイトの目覚め』公開映画館まで
B5・変形/28ページ(表紙含む)
価格 880円(税込)
発行 東宝㈱
メアリー・アニングの書籍をご紹介
本作でケイト・ウィンスレットが演じている古生物学者メアリー・アニングは実在の人物ですが、
彼女の人生をより深く知ることができる書籍をご紹介致します!
「メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋」(朝日新聞出版)
電子書籍にて配信中!!
他、各電子書店サイトをご覧ください!
1799年5月21日、イギリス南西部ドーセット州ライム・レジス生まれ。1847年没。
貧しい家に生まれ、両親は10人の子供を持つも、成人まで生き延びたのは兄ジョセフとメアリーだけ。家計のために観光客向けの化石採集をしていた家具職人の父に化石発掘を教わるが、1810年に父が急死。学校にも行けなくなったメアリーは、兄ジョセフと家計を支える。1811年、わずか13歳でイクチオサウルスの世界初の全身化石を発掘、化石は王立協会の手に渡り評判を集める。独学で地質学や解剖学を学び、さらに多くの化石を発見するが、女性で労働者階級のメアリーは論文発表も学会入会も認められなかった。しかし、彼女の研究はダーウィンの進化論の理論形成にも影響を与えたともいわれている。彼女の死の直前、ロンドン地質学会は彼女を名誉会員に認定。彼女の死後163年の時を経た2010年、王立協会はメアリーを「科学の歴史に最も影響を与えた英国女性10人」の1人に選んでいる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/メアリー・アニング
https://ja.wikipedia.org/wiki/イクチオサウルス