映画『あこがれの空の下~教科書のない小学校の一年~』予告編
東京・世田谷区にある「学校法人和光学園 和光小学校」を1年にわたり撮影したドキュメンタリー。子供たちの自主性を重んじ、広い校庭もなければチャイムも鳴らず、教科書もほとんど使わないユニークな小学校の日常にカメラを向ける。増田浩と房満満が監督を務め、『ふみ子の海』などの高橋惠子が語りを担当し、同小学校の卒業生である作曲家の岩代太郎が音楽を手掛ける。プロデューサーを矢島良彰、ドキュメンタリーを中心に映像作品に携わってきたテムジンが製作を担う。
作品情報:https://www.cinematoday.jp/movie/T002…
配給: パンドラ
公式サイト:http://子どもが教育の主人公.jp/
(C) テムジン
劇場公開:2020年12月19日
教科書を使わないユニークな教育で知られる東京・世田谷区の私立和光小学校を描いたドキュメンタリー。子どもたちの自主性を何よりも大切にする和光小学校には、教科書や様々な儀式・形式、広い校庭やチャイムなど、“ない”ものがたくさんある。授業も学校生活も全て手作りで行われ、子どもたちは物怖じせずに発言し、どんなことでも話し合う。そんな子どもたちの伸びゆく力を信じ、1人ひとりを見つめながら一緒に歩む先生たち。独自の教育哲学に基づいた教育を実践する同校の1年間を追う。女優の高橋惠子がナレーションを担当。
2020年製作/101分/日本
配給:パンドラ
公式サイト:http://子どもが教育の主人公.jp/#/
作品について
何の変哲もない ちいさな小学校。
よくみると 無いものが たくさんあります。
広い校庭もない。チャイムも鳴らない。 いろんな儀式も形式もない。 教科書も使わない。
そして この学校にしかないものも、 たくさんあります。
物怖じしないで発言し どんなことでも話し合い
活き活きと 自然に伸びゆく子どもたち。
子どもたち 一人ひとりを見つめ、 一緒に歩む先生たち。
みんなを包んで 豊かに流れる時間。
考えてみれば、これって 本来は「あたりまえ」のこと。
「あたりまえ」って とっても大事。
和光小学校に一年間通って撮影し、 そんな「あたりまえ」を見つめました。 ぜひご観覧ください。
- 「日本で いちばん遅い入学式」
遅くなるのは、2年生から6年生まで学校を挙げて、会場の飾り付けやプレゼント作りを分担して準備する、手作りの入学式だから。迎えた新入生たちは、式の主役。会場の一番いい場所に座ってもらい、上級生たちの歌や踊りで、大事にもてなします。格式とか厳粛さとか余計なものは一切ない、とても温かい式です。 - 「はっぴょうしても いいですか?」
1年生が車座に座って、クラスの仲間の「発表」を聴く会です。「みんなに聴いてほしいこと」どんなことでもOK。最初は恥ずかしかった子も、やがて話したいことが湧いてくるようになっていきます。どんなことでも話し合えることが、和光小の子どもたちの強さ。その力は1年生のときから養われていくのです。 - 疑問を共有し 考え合う学び
教科書は配られるけれど、ほとんど使われません。授業は全て手作り。しかも核になるのは、子どもたちが感じた疑問や「?」。それをみんなで考え、話し合ううちに、国語なら「読み」が深まり、算数なら「考え方」が見えてくる——「アクティブ・ラーニング」なんて新語が出る、遙か前から続けられてきた学びです。 - 「日本一熱い運動会」
春の運動会は、競技種目や作戦・応援スタイルまで、全て子どもたちが仕切る一大イベント。「行進」や「来賓の祝辞」など無く、色分けしたチームの対抗戦で、熱く盛り上がります。「騎馬戦」は、相手を崩すまで闘う激しさ。微妙な判定には、子どもからクレームがつき、先生が誠実に対応するのも、この学校ならでは。 - 自分の痛みとして 感じる
6年生の総合学習のテーマは「沖縄」。自然や文化・歴史から基地問題まで広く学び、秋には学習旅行で現地を訪ねます。現代日本の抱える、さまざまな深い問題の一端に、毎日触れ、夜な夜な話し合う4日間。「自分はどうしていくのか」が問われる濃密な体験を、しっかり心に刻みます。
- 制作チーム
- 監督
増田浩 (ますだ・ひろし)
片や下らない形式主義や思考停止そして「オトナの都合」で窒息しそうな教育現場、片や教育を「喰い物」や「踏み台」にする魑魅魍魎がますます跋扈する日本社会に、暗澹たる気持ちでいた中で、出会った和光小学校は、とても眩しく輝いていました。その一端でも共感していただければ幸いです。
埼玉県出身。報道畑を経て、TVドキュメンタリー番組の制作を続けている。主な作品に「言葉の世紀末」「シリーズ 流転 ~中央アジア朝鮮人の20世紀~」「アメリカ 魂のふるさと」「生みの親を殺したのは育ての親だった ~アルゼンチン・奪われた人生~」「離郷、そして…… ~中国・史上最大の移住政策~」「真実への鉄拳 ~中国・伝統武術と闘う男~」など。 - 房満満 (ぼう・まんまん)
1989年中国生まれ。小学校から12年間、勉強しか許されない教育の中で育った私は和光小学校の子どもたちがとても羨ましかったです。自分の意見を表現し、他人の意見を聞き入れ、そして社会や世界に関心を持つ。そんな子どもたちの姿に胸が熱くなり、それが「当たり前」という和光小学校の空気に惹かれて撮影しました。 - 製作
矢島良彰 (やじま・よしあき)
さまざまな場面で先生が「号令」や「指示」をするのではなく、子どもたちがその気になるまでじっと待つ、促すのは子ども同士。今回の取材で何度か目にした和光小学校の教育の姿。新鮮な驚きと教育に対する認識を新たにしました。 - 製作会社
テムジン
ドキュメンタリーを中心に映像製作に取り組む会社です。これまでの製作作品や会社概要については、 https://www.temjin-tv.comをご覧ください。
http://webneo.org/archives/49044
横浜シネマリン:12:10-13:45 (101分)
https://cinemarine.co.jp/akogare/
作曲家の三枝成彰さんからコメントが届きました
私が和光小学校に転校したのは1952年。10歳のときだから、68年も前になる。
私を作曲家にしたかった父は、当時の担任の先生からあろうことか「男の子がピアノなんてやると結核になる」と言われて激怒し、私を強引にやめさせてしまった。そしてまだ新しく、自由な校風で知られる和光学園に転校させる手続きをしてくれた。
父が学校に申し入れた条件はただひとつ。「毎朝ピアノの練習をさせるので、1時間めの出席は免除していただきたい」。それを学校は受け入れてくれた。
この話を人にすると驚かれるが、和光はそういう学校なのだ。
つまらない型にはまった、当たり前の勉強なんかしなくていい。好きなことを見つけて、とことん突きつめればいい――。
当時の同級生には東京藝大に入った者が私を含めて2人いる。博士号を取った者も2人、医師になった者もいる。みんな、和光学園に通っていたときは好きなことばかりしていた。先生たちも生徒のやる気や興味を認めて、応援してくれた。
生徒が自分の「好き」を見つけ、追求するのを後押ししてくれる空気が、ここにはある。昨今の“自粛”の世の中に(それは悪だと思う)、こんなに自由な学校があるということを、多くの人に知ってほしい。
そして時代は変わっても、和光学園にはずっと変わらないでいてほしい。
三枝成彰 作曲家
http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000472
教育は子どもから出発するもの
そんな「当たり前」をこの学校は思い出させてくれる
行きたかった! 行きたい! 行かせたい!
そんな素敵な小学校がありました。東京・世田谷の和光小学校。
何と、教科書は使いません。授業も学校生活も、すべて手作り。
子どもたちの伸びゆく力を信じ、自主性を何よりも大切にし、何でも話し合う…。
未来を変える希望が見えてきます。
ユニークな学校の一年間を追ったドキュメンタリー映画です。
監督:増⽥浩、房満満
2020年/日本/101分/DCP/ドキュメンタリー/配給:パンドラ
12月19日(土) 10:00の回上映後 ゲスト:堤未果さん(和光小学校卒業生・ジャーナリスト)
12月20日(日) 10:00の回上映後 ゲスト:三枝成彰さん(和光小学校卒業生・作曲家)
12月27日(日) 10:00の回上映後 ゲスト:岩代太郎さん(和光小学校卒業生/作曲家)
堤さんのことばの一部を紹介します。
「(中にいる時は気づかなかったのですが、)社会に出てから和光のすごさを実感しました。」
「なぜ?ということを問い続けさせる学校でした。」
「Google先生が何でも教えてくれる時代だからこそ、大切にしたい学びです。」
「こんな今こそ、この映画を多くの人にみてもらいたい。」
「アメリカに行って色々なことがあった。差別もされたし、辛いこともあった。そんな時、背中を押してくれたのが、向き合ってくれた和光の先生たちの姿でした。」
「すぐに答えを出さなければいけないし、すぐに結果を求められる世の中。熟して花を咲かせるまで待ってくれるのが和光の教育。」
「信じて待つ。種まきとしての教育。それが和光の教育。」
「和光と同じで、この映画が教育の、未来をつくる種まきになってくれたら嬉しいです。」
堤未果さんのお話を聴きながら、何度もうなずいてしまいました。私たちが常日頃から考え、意識していることと一致していたからです。結果がすぐに求められる今の時代…スマホに入力すればすぐに情報は入ってくる。そんな時代に生きている子どもたちだからこそ、大切にしていきたい学びとは何か。 映画を多くの方に観ていただきたいのは、単に「和光小学校のことを知ってもらいたい」のではなく、“教育”、“子育て”について共に考えていきたいのだということを改めて思いました。
「種まきとしての和光の教育のように、この映画が種まき、草の根で広がっていくことを願っています。」という堤さんのことばのように、ユーロスペース公開後も、日本全国で自主上映が広がってくれたらいいなと思っています。教育機関、幼稚園、保育園、地域のサークル等、ご関心ある方はぜひお声がけください。
映画館に足を運んでくれた保護者の方の感想も紹介します。
「今日家族で『あこがれの空の下』を観てきました。改めて今日見てつくづく良い学校だ、、子どもという生き物は本当に素晴らしいなと再確認しました。映画を観ながら、和光学園の教育理念『子どもたちが主人公』ということ。改めて、深く受け止めてみたくなりました。『学び』とは何か?何のための学びなのか?『豊かさとは何か?』『自由とは何か?』 先生方の日々の探究心やまた寄り添う姿勢に子どもたちはどれだけ、刺激や安らぎを覚えていくのだろうと思います。答えが一つであったとしても、そこに行き着くまでの子どもたちの発想を大事にして進めていく手作りの学びと授業。本当に今通っているあなたたちは幸せだと思うよ! と。でも、本当ならば、それは和光に限らずどの学校でもそうであってほしい、と願うばかりです。和光が特別なのでなく、このような教育こそがスタンダードになる社会になれば良いのにと思う反面、でももしかしてこういう学校だからこそ、唯一無二の逸材が社会で羽ばたく可能性を秘めた学校なのかもしれないとも思ったりもしました。良い映画でした。沢山の人が見てくれたら良いなと思いました。(在学保護者の方の感想より)」
https://tokushu.eiga-log.com/movie/62240.html
「トットちゃんの学校」って、ホントにあったんだ!
⼦どもたちの伸びゆく⼒を ⼼から信頼し、みんなの⾃主性を 何よりも⼤切に 何でも話し合う
教科書は使わずに…授業も 学校⽣活も すべてが⼿づくり
ユニークな学校の ⼀年間を追ったドキュメンタリー
未来を変える 希望が⾒えてきます
コロナ禍でやや後景に退いてしまったが、今年は、延期となった東京五輪と並んで、「2020 教育改⾰」という歴史的な節⽬である。「知識を教え込む/覚える」から「考える⼒を⾝につける」へ……明治5年の学制以来150 年近くも⽇本の教育を⽀配してきた「知識偏重」から、政府・⽂部科学省が⼀⼤パラダイム転換を図るものだ。その中で、全国の教育関係者から注⽬されている和光⼩学校(東京・世⽥⾕)のユニークな教育を、1年間にわたって⾒つめたのが、このドキュメンタリー映画である。
和光⼩学校は1933(昭和8)年、新しい教育を求める⽗⺟たちの⼿で創⽴されて以来、「⽬の前の⼦どもを何よりも尊重する」独⾃の教育哲学に基づいて実践を続けてきた。和光⼩学校が⻑年、地道に⼯夫を積み重ねてきた教育は、2020 教育改⾰が謳う「⾃分で考え、表現し、判断する」⼒を育てる、「主体的・対話的・深い学習」と同じ⽅向だ。
気づいてみればトップランナー。
しかし、国の⾳頭取りと⼤きく異なるのが、いったい「何のために学ぶのか?」や「誰のために学ぶのか?」という点だ。「2020 教育改⾰」に⾒え隠れする⾔葉は、相も変わらぬ「⼈材」や「国際競争⼒」。⼀度きりの⽣を⽣きる個⼈を、国の「⼒」の「材料」に使いたい……そんな、経済界をはじめとする“社会の要請”である。和光⼩学校の教育は、あくまでも主体となる「⼦ども⾃⾝」のためなのだ。
“時代の要請”という⼤義名分や、時々の世論受けした⽬新しい“改⾰”によって、左右されがちな学校教育を尻⽬に、シンプルな教育哲学の実践を続けてきた和光⼩学校の教育。
この映画に収められた、その⼀端が、「教育の原点」を考え直す縁(よすが)となってほしい……それが製作スタッフ⼀同の、切なる願いである。
この映画の受け⽌め⽅は、⾒る⼈の⼩学校時代の経験によって、千差万別のはずだ。「普通じゃん」と思うのは、恐らく幸せな⼩学校時代を過ごした⼈。不幸な経験を多くされた⼈は、瞠⽬仰天するかもしれない。また、ありがちな反応として「和光⼩は私⽴だから、こういうことが出来るんだ」というものがあるが、ひとつしっかりとお伝えしたいのは、「私⽴」ということは、この映画で描かれている本質とは何ら関係がないということだ。逆に⾔うと「公⽴学校だから出来ない」ことは、何もないのだ。この社会が⺠主的で、そして私たちの⼿で学校が変えられ、ひいては未来が変えられるものならば。
和光小学校について
和光⼩学校は1933(昭和8)年開校。⾃由な環境と個性重視の教育を求める親たちが校舎を建て、教師を募集して創った。「⼦どもが学校の主⼈公」との理念は、当時から⼀貫している。
職員室では、⼦どもたちの理解度や気持ちをきめ細かく考慮しながら、教材の準備が進められ、また全教員が参加する「研究授業」では、互いの教え⽅を細かく批判し合う。
いずれも、「⽬の前の⼦どもを何よりも尊重する」理念から頻繁に開かれている。
教材は、⼦どもたちの⽇々の学びに合わせ、教員たちが毎⽇⼿作りするプリント。その結果として、画⼀的な内容の教科書は、配布はするものの、ほとんど使わずに終わる。
学びの核となるのは、⼦どもの⼼に湧き上がる「?=はてな」。それについて、⼦どもどうしが考えを⾔い合い、教え合う。だから、どんな疑問でも答えでも、恥ずかしがらずに⾔えることが⼤事。
そのため、和光⼩学校で⼀年⽣から⼒を注ぐのが、「何でも話せる学級づくり」だ。これは教科学習だけでなく、クラスで起きる問題に意⾒を⾔い合い、話し合って解決することにも繋がる。座学でなくリアルな「道徳」の実践だ。話し合いには膨⼤な時間がかかるが、無駄を排した独⾃のカリキュラムによって、「総合学習」や「国際理解」にも時間をかけて取り組んでいる。
また、和光⼩学校には、真の⾃主性を養うため、授業開始のチャイムはない。互いに注意しあう中で、⾃然な規律が⽣まれていく。
和光⼩学校 概要
・ 創⽴: 1933(昭和8)年
・ 児童数: 430 ⼈
・ 所在地: 東京都世⽥⾕区桜2-18-18
・ 学校⻑: 北⼭ひと美
・ 公式ホームページ:http://www.wako.ed.jp/e/
作品について
○ ⼊学式
4⽉中旬。「⽇本⼀遅い」⼊学式が、和光⼩学校で開かれた。上級⽣が⼿づくりで会場飾りや贈り物を準備するため、遅くなるのだ。新⼊⽣は6 年⽣に⼿を引かれ、会場上座のステージ上ひな壇に着席。上級⽣が、アイヌ舞踊など学年ごとに習う各地の⺠俗舞踊を、⽬の前で踊る。新⼊⽣を歓迎する気持ちに満ちあふれ、余計な「格式」や「厳粛さ」など微塵も無い、温かい式だ。
○ 1 年⽣
朝は「発表」から始まる。希望する⼦が、⾞座になった級友の前で⾃由に話し、質問に答える。「松ぼっくりを拾った」「図書館で⾯⽩い本を借りた」……学校が、何でも話せる楽しい空間になっていく。引っ込み思案な⼦も、次第に⾃信をつけ、何でも話し合えるクラスになっていく。
○ 3 年⽣
教室を覗くと、国語の時間。⼦どもたちが教材の物語を読み、感じた疑問を次々と挙げる。教員は、交通整理するのが役割で、⾃ら答えたりしない。⼦どもたちが意⾒を交わすことで深く読み込んでいく。教科書を使わず、⼿作りのプリントによる授業だから、物語を分割して読み、関⼼を持続させる等の⼯夫も⾃在だ。
○ 5 年⽣
算数の授業で「異分⺟分数の⾜し算」の例題に、視覚化する紙⽚「タイル」を折り曲げたり切ったりして取り組む⼦どもたち。効率良さそうな「公式」や「やり⽅」は教えない。数種類の答えが出されると、教員は全て⿊板に書き出し、それぞれ「どう考えて、その答えを出したのか」を説明してもらう。1 年⽣の時から、たとえ1⼈でも違う意⾒を⾔うことを、ごく⾃然のこととして、互いに受け⼊れているため、誰も物怖じしない。それが真価を発揮。間違った答えでも、説明を話し・聴く中で誤りに気づき、考える「地⼒」をつけていく。
○ 運動会
⼦どもたち主体で、種⽬の選定から応援の⽅法に⾄るまで全て準備。相⼿を地⾯に崩すまで格闘する騎⾺戦など、熱く盛り上がる。微妙な判定には、⼦どもが遠慮なく「物⾔い」をつけ、それに対して教員が誠実に場内放送で説明するのも、この学校ならではの光景だ。「⾃分たちで作った」運動会だから、負けたときの悔しさもひとしお。
○ 総合学習
和光⼩学校で総合学習は、⽂部科学省による導⼊(2002 年)より遙かに早く、1970年代から教科教育と並んで⼒を⼊れている。テーマは3 年⽣:かいこ、4 年⽣:多摩川、5 年⽣:⾷。6 年⽣の教室では、「沖縄」がテーマの総合学習。⾃然や⽂化、歴史から基地問題まで幅広く、そして深く学んでいく。ちなみに、6 年⽣が習う⺠俗舞踊は、もちろん沖縄のエイサーだ。
○ ⽯巻で学ぶ踊りと悲劇
3 年⽣は、宮城県⽯巻市の「はねこ踊り」を習うのが伝統。夏休みには、本場に希望者親⼦が習いに⾏き、地元の夏祭りに参加して踊る。7年前から⾏程に加わったのが、⼤川⼩学校の現場だ。遺族の語り部の話に聴き⼊って悲劇の実相を⼼に刻み、「もし⾃分だったら」と考えながら、慰霊碑に合掌する。
○ 恵みと感謝
秋。5年⽣は郊外の⽥に⾏き稲刈り。社会科で学ぶ「⽇本の農業」の⼀環で、6⽉に植えた稲が、たわわに実った。収穫に感謝して奉納する「⼤森み神楽」が、稲架(はさ)に響く。
○ 沖縄学習旅⾏
晩秋、6年⽣は沖縄へ。総合学習で現地を訪ねる「学習旅⾏」だ。壕(ガマ)を訪ね、従軍看護師として学徒動員された沖縄戦の⽇々を⽣存者から聴き、普天間基地を俯瞰して基地と隣り合わせの⽇常を実感。⼀⽅で、⽶軍⼈と⽇本⼈を親に持つアメラジアンの⼩学⽣たちと交流し、基地が必要という声を聞いて、考えを揺れ動かされる。“⼩指の先の痛み”でさえもしっかり感じる繊細な⼼を持ち、多様な声を受け⽌めながら社会をつくっていく⼈間に成⻑してほしい̶̶そんな願いが込められた濃密な3 泊4⽇。
○ 英語学習
この年は、教員たちが度々集まって、ある問題の検討を続けていた̶̶「英語学習」。和光⼩では、⽇中韓の提携校との交流などで、「⾔葉の学習以前に、異⽂化への興味を育てる」ことを⼤事にしてきた。そのため英語学習も実施して来なかったが、国が「⼩3から」を掲げ、保護者の関⼼も⾼まる中、対応に迫られた。独⾃の教育理念と、社会情勢の変化の狭間で、悩む教員たち。
○ 卒業式
3⽉。晴れ着やコスプレ、思い思いの⾐装でひな壇に上る卒業⽣。学習でも学校⽣活でも⾃ら考え、仲間と意⾒を交わして実⾏する⼒を養った6 年間。その⾃由で伸びやか、豊かな存在感は、「教育とは何か」を無⾔のうちに、私たちに鋭く問いかけている。
作品情報
語り: ⾼橋 惠⼦(たかはし・けいこ)
⾳楽: 岩代 太郎(いわしろ・たろう)
監督: 増⽥ 浩(ますだ・ひろし) / 房 満満(ボウ・マンマン)
撮影: 岡本 央(おかもと・さなか)
編集: 森崎 荘三(もりさき・そうぞう)
⾳響効果: 鈴⽊ 利之(すずき・としゆき)
プロデューサー: ⽮島 良彰(やじま・よしあき)
制作協⼒: 和光⼩学校
2020 年|⽇本|101 分|DCP・Blu-ray|ドキュメンタリー
© テムジン
製作: テムジン 〒151-0063 東京都渋⾕区富ヶ⾕1-34-4
配給・問い合わせ: パンドラ
公式ホームページ: http://⼦どもが教育の主⼈公.jp/#/
クラウドファンディングについて
クラウドファンディング⽤ホームページ:https://motion-gallery.net/projects/akogare_movie
※映画の製作に⾄った経緯について詳しく掲載しています
https://www.tokyo-np.co.jp/article/74771
子どもの自主性を尊重したユニークな教育方針の私立和光小学校(東京都世田谷区)に密着したドキュメンタリー映画「あこがれの空の下~教科書のない小学校の一年~」が19日から東京・渋谷のユーロスペースで公開される。のびのびと育つ子どもたちと、それを見守る教員たちを通して、あるべき教育の姿を問う作品だ。 (藤原哲也)
ある日の三年生の授業。教科書は使わず、先生が黒板に書かれた物語を読むと、子どもたちは疑問や意見を次々に口にする。先生は結論的なことは言わず、交通整理をするのみ。やがて子どもたちは知らず知らずのうちに物語を深く読み込んでいく-。
テレビドキュメンタリーなどを手掛ける都内の制作会社「テムジン」の増田浩(55)と房満満(ぼうまんまん)(31)が共同監督を務め、二〇一八年春から一年間撮影した。主に両監督がカメラを手に計百日ほど学校に通い、総撮影時間は百五十時間に及んだという。
一九三三年の創立以来、教育理念である「子どもが学校の主人公」を日々実践する同校。増田監督が魅力を感じたのは、独特の入学式の話を聞いたことだった。壇上に新入生、教員や来賓は下にいる。実際に撮影で訪ねてみたら「これで心臓をわしづかみされた。『教育は誰のためにあるのか』を考える上ですごく象徴的」と話す。
沖縄をテーマにした伝統の総合学習では、六年生の学習旅行に同行。生存者から戦争体験を聞くだけでなく、米軍関係者を親に持つ小学生と交流するなど、多様な価値観を学ぶ姿を映す。子どもたちの反応もさまざまで「長い目での成長を見詰める学校の一貫した姿勢がある」と解説する。
増田監督の中では「公立校でもできないことはない」との思いがある。「いつかこの映画の内容が(どの学校でも)普通になって『つまらない』といわれる社会になるのが理想」
今後、各地で自主上映会を開いていく予定。
https://kyoto.uplink.co.jp/movie/2021/2811
和光小学校に一年間通って撮影し、
そんな「あたりまえ」を見つめました。
http://www.wako.ed.jp/e/tag/あこがれの空の下/
ブログ担当 2021年1月18日 全校 タグ: あこがれの空の下
この年末に、映画『あこがれの空の下』を観てくれた卒業生から手紙をもらいました。映画を通して、自分自身の和光での学びと育ちをふり返ってくれたステキな内容だったので、ぜひ紹介させてください。1月13日に紹介させていただいた卒業生と、卒業年度もちがう二人なのですが、共通しているのは、“その時”には気が付かなかった(感じなかった)和光での学びが、卒業後、社会人になってから気づき、確かめられたということです。改めて、教育という営みは、すぐに答えや結果が出るものではないということを教えてくれています。ぜひ目を通していただきたいと思います。
こんにちは。大変ご無沙汰しています。映画「あこがれの空の下」を見て、藤田先生のお姿や、和光小学校に久しぶりに触れて、とても懐かしく、また映画の感想をお伝えしたくなり突然ですがお手紙を書きました。映画の中の和光は、運動会やいちょう祭が自分が小学生として経験したものそのものに感じて、(恐ろしいことにもう20年前です…)毎年毎年その時を本番としつつも、変わらず続けていることに凄さを感じました。先生たちは何度も経験していても、毎年その時しかないものとしてすごいエネルギーをかけているんだな…というか。先生の国語の授業も、大人の今、どういうことを考えてやってくださっていたのかを知って、ライブ感のすごい経験をさせてもらっていたんだなとその時間の貴重さをちゃんと受け取っていることができたかな?と一緒に観に行った同級生と話したりしていました。私は幼稚園、小学校、中学校と和光に入るところから始まったので、他の学校や社会を知らないうちは、何が和光らしいのかと言うこともわからなかったように思うのですが、大学、社会人になって、「おや、私の中に確実に和光で育てられた何かが心にあるようだ」と思うことがあります。それは、アフリカであろうと自分事と感じてアフリカにボランティアに行ってしまったことや、なぜかハワイの伝統文化や歴史に興味を持って社会人になって学び続けているときに感じます。(ハワイが経験してきた事は沖縄にとても似ています。今観光業、軍事基地が経済を支えているところもそっくりです。) 仕事はメガバンクで働いているのですが「上から言われたから」と言う理由では全く動くことができない(自分で納得できないとやる気になれない)時にも感じます。大きい組織の中で、自分の考えを持ってしまう性質は、ないほうが楽なんだろうなと感じることがあります。そして管理する側も簡単に言うことを聞く人の方が面倒は無いんだろうなとも思います。それでもそれは「楽」なだけで、本当に良い状態では(企業だとしても)ない(違う)んだろうなと最近は思っています。
急に話は変わりますが、小学校での英語教育、先生方が率直に議論している光景が垣間見えて興味深かったです。個人的には、和光では本物を体験する、自分が当事者になって体を使って動かしてみることの力がすごいので、英語に関してもそんな機会があっても、和光らしさからずれる事はならないのではないかなと思いました。私は英語や海外への興味があったので自分でアンテナを張って機会を作って、主に大学でバイト代や奨学金でアフリカ・アジアに行ったり、仕事も海外と関わる部署を希望して他の国の人とコミュニケーションをとっていけた時の経験のインパクトや、人とのつながりが財産になっていると感じています。人種や国籍よりも「どんな人か」の方がその人そのものだと思ったりしました。なんかそういう日本の外の世界って確かに存在していて、自分は地球の中の日本の世田谷にいることを体感できる事は、日本の伝統芸能や農業、歴史と同じように大事な経験なのではないかなと思っています。それを小学生・小学校としてどこまでどうやれるのかと言うのが難しいですが… (言うは易く行うは難し…ですね。) 長文になってしまったのでそろそろ終わります。
もし機会があったら私は小学生の時、どんな子どもだったかを藤田先生の目から見てどうだったか、お聞きしてみたいと思っています。映画を見た後、卒業生で作曲家の岩代太郎さんのお話をお聞きすることができて、「小学校の恩師とお会いするときにはそれを聞いて、自分と言う人間を考える」とおっしゃっていたので、私も聞いてみたいな!と思いました。
和光への感謝を示す1つの方法として、育ててもらった自分を大切にして、微力ながらでも仕事や生きる中で何かしていければと思っています。
それでは大変な長文を読んでくださりありがとうございましたまたどこかでお会いできますように!
☆ユーロスペースでの公開は先週で終了しました。4週間も上映してくださり、多くの方々に観ていただけたようです。今後、日本全国で公開が予定されています。
1月30日~ 大分 シネマ5
2月6日~ 横浜 シネマリン
2月27日~ 名古屋 シネマスコーレ
3月13日~ 大阪 シアターセブン
3月19日~ 京都 アップリンク京都
上映日未定 札幌 シアターキノ
詳しくは、各映画館のHP等をご覧ください。
ブログ担当 2021年1月13日 全校 タグ: あこがれの空の下
ドキュメンタリー映画『あこがれの空の下』のユーロスペースでの公開が15日(金)までとなりました。年末に映画を観た、社会人になる卒業生が感想を送ってくれたので紹介させていただきます。
「今日みてきました〜! 母校がユーロでやるようなドキュメンタリーに映画になるなんてすごいなと思いつつ、ドキュメンタリー映画という敷居の高さにびびってしまい全然わからなかったらどうしよう…と正直心配していたのですが(笑)全くいらない心配で、本当に見てよかったと思いました。ありがとうございました。第一に、とにかく懐かしくて、「うわ、はてなとかあったな!」とか「うわ、先生たち全然変わらないな…」とか色んな記憶が鮮明によみがえってきて、興奮しながら観ました。私たちが卒業してからも、先生たちがずっと変わらずそこにいて、あの場所を守り続けているんだなぁということに何だかジーンとしました…。また、私は今年社会人3年目になりましたが、社会には色んな教育や価値観があって、和光のような場所は実はとてもめずらしかったのだ、ということが身に染みてわかった今、この映画が見られてよかったなと思います。きっと学生時代にみたら、「全部あたりまえじゃ〜ん」って思うだけだったと思うんです笑。社会人になって周りからいいね!と言ってもらえる私の「私らしさ」は和光で育ててもらったのだなぁと、いまの子どもたちの映像で自分の大切なルーツを追体験させてもらったような気持ちになりました
個人的には、「あぁこれが和光の子だなぁ」と感じる沖縄でガマから出てきた男の子のシーンと、今の社会に和光がどうあるのか?ということが問われる英語教育の職員会議のシーンが好きです。先生のインタビューが、卒業生としては色々考えさせられました。
あとこれは余談ですが前半、ちょくちょく見切れる増田先生の顔が険しすぎて「いや、顔怖い怖い!」と内心爆笑しました!もうちょっと日々穏やかな顔をしてください笑
私はいまテレビで報道の仕事をしているのですが、あらゆる局面で結局は教育だな…と感じます。和光の先生たちが私にくれたあの6年間と、通わせてくれた両親に改めて感謝するとともに、社会がもっと多くの人にとってやさしく、生きやすい場所になるように、いま自分が仕事を通して出来ることを少しずつ頑張っていこうと改めて思いました。(年末にみるのにピッタリですね!笑)
長くなりましたが、こんなご時世でみんなで集まれないことが本当に残念です。今日映画をみて先生たちに本当に会いたくなったので、今度遊びに行かせてください〜!長くなりましたが、どうか先生もお体に気をつけて、良い年末年始をお迎えください。それでは。」
卒業生がこうやって感想を送ってくれること、和光での学びの日々を思い起こして今の自分につなげて考えてくれていること…本当にうれしく思います。この卒業生が6年生の最後に書いた詩を紹介します。
「教室」
私にとって教室は
みんなとの思い出が
いっぱいつまったもの・・・
あの教室でみんなと
笑って 話して 考えて
とっても大切な
“いばしョ”だった
☆ユーロスペースでの上映は、1月15日(金)までです。このような時期ですが、まだご覧になっていない方は、ぜひ足をお運びください。
「和光小学校」
http://www.wako.ed.jp/e/all/20210202/
ブログ担当 2021年2月2日 全校 タグ: お知らせ, 学校案内
このポスターは、現在、説明会などで貼っている学校ポスターですが、作ってからずいぶん時間が経ちました。そこで、新しいポスターを作ろうということになり、キャッチコピーをみんなで出し合いました。和光小学校を表すことばとは?!その中から教職員で投票して、新しいポスターを作っていこうと思います。
〇人を好きになる学校
〇自分を好きになる学校
〇はっぴょうしてもいいですか?いいですよ!ぼくらのこえで、ぼくらの1日ははじまる。
〇手を使おう、足を使おう、自分の目で“ほんもの”を見つけよう
〇いっしょに学ぼう~変化のはげしい時代の中、“子どもたちにどんな小学校生活をすごしてほしいのか”考えつづける学校です~
〇私は私が好き。世界へ!
〇核を育む教育
〇和光教育を選ぶ
〇偏差値が高いことや、運動ができることが大事だって言われていることは知っている。だけど人生で大切なことは、そういうことではないと思う。私はこの子に和光ですごす子ども時代をプレゼントしようと思う。
〇知りたい気持ち・伝える勇気・認める力を育む ~知りたい!伝えたい!を認めあえる学校~
〇ここでの学びだから育つ未来がある
〇きまりづくりから自分たちで行う教育
〇すべての主人公が大切にされる学校
〇自分を知り 人を知る ちがいを楽しむ学校
〇現在(いま)から明日(みらい)へ 私から世界へつながる教育
〇未来の自分を作る根っ子を育てる
〇一人ひとりのやってみたい!を支えあえる学校
〇すべての子どもを徹底的に大切にする学校
〇いまの満足が 未来の自信に
〇最高の授業
〇学校っていいな。
〇和光発 自分行き☞
これは教職員で出し合ったキャッチコピーですが、この取り組みを知った子どもたちもアイデアを寄せてくれました。子どもたちが考えた作品は・・・また明日紹介します!さぁ、どんなポスターになるかな?!
ブログ担当 2021年2月4日 全校 タグ: お知らせ, 学校案内
新しいポスターづくりの”キャッチコピー”を考えていたら、5年生の子どもたちも一緒に考えてくれました。「みんなにとって、和光小学校ってどんな学校??」
〇いろいろな体験
〇楽しく学ぶ
〇総合学習にじっくりと取り組む
〇自由で最高な学校
〇マイペースの大切さを知っている
〇自分自身を見つめる
〇みんなで話し合う大切さ
〇個性豊かな学校
〇一人一人 自由に輝く 和光小学校
〇意見を出して話し合う和光小学校
〇子どもの権利を大切にする学校
〇和光小 毎日えがおに してくれる
〇運動会 勝ったらみんな うれし泣き
〇和光小 自分の意見 もっている
何だか、最後は五七五の作品になってしまいました!
中にはこんなキャッチコピーも・・・
〇3年からリュックになる学校
〇花子さんでんせつがない学校
〇和光小 埼玉県では ありません
5年生の皆さん、ありがとうございました!こうやって、自分たちの学校を見つめ、ことばにしてみることも大切だなぁと思いました。教職員の投票も終わり、これからポスターづくりに取りかかります。4月には新しいポスターができる予定ですので、どこかで見ていただけるとうれしいです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/和光小学校
https://ja.wikipedia.org/wiki/学校法人和光学園