映画『この世界に残されて』予告編
2020年米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリスト選出
ハンガリー映画批評家賞3部門受賞ほか各映画賞で称賛
映画『この世界に残されて』
2020年12月 シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
【STORY】
ホロコーストを生き延び、“残された者”として生きるクララとアルド。二つの孤独な魂が寄り添うとき、絶望は希望へと変わる。
ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたものの、家族を喪い孤独の身となった16歳の少女クララは、ある日寡黙な医師アルドと出会う。言葉をかわすうちに、彼の心に自分と同じ欠落を感じ取ったクララは父を慕うようにアルドになつき、アルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまた、ホロコーストの犠牲者だったのだ。だが、ソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱き、やがて二人の関係も時の流れとともに移り変わってゆくーー。
監督:バルナバーシュ・トート
製作:モーニカ・メーチ(『心と体と』) エルヌー・メシュテルハーズィ(『心と体と』)
出演:カーロイ・ハイデュク、アビゲール・セーケ、マリ・ナジ、カタリン・シムコー、バルナバーシュ・ホルカイ
英題:Those Who Remained/原題:Akik maradtak
後援:駐日ハンガリー大使館、ハンガリー文化センター
配給:シンカ
公式サイト:synca.jp/konosekai/
©Inforg-M&M Film 2019
ナチスドイツにより約56万人ものユダヤ人が虐殺されたと言われるハンガリーを舞台に、ホロコーストで心に深い傷を負った孤独な男女が年齢差を超えて痛みを分かち合い、互いに寄り添いながら希望を見いだしていく姿を描いたハンガリー映画。1948年。ホロコーストを生き延びたものの家族を失った16歳の少女クララは、42歳の寡黙な医師アルドと出会う。クララはアルドの心に自分と同じ欠落を感じ取り、父を慕うように彼に懐く。同じくホロコーストの犠牲者だったアルドも、クララを保護することで人生を取り戻そうとする。しかしソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱くように。そして2人の関係も、時の流れと共に変化していく。
2019年製作/88分/G/ハンガリー
原題:Akik maradtak
配給:シンカ
https://eiga.com/movie/93797/special/
公式サイト:https://synca.jp/konosekai/
INTRODUCTION
ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。
終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたものの、家族を喪い孤独の身となった16歳の少女クララは、両親の代わりに保護者となった大叔母にも心を開かず、同級生にも馴染めずにいた。そんなある日、クララは寡黙な医師アルドに出会う。言葉をかわすうちに、彼の心に自分と同じ孤独を感じ取ったクララは父を慕うように懐き、アルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまた、ホロコーストの犠牲者だったのだ。だが、スターリン率いるソ連がハンガリーで権力を掌握すると、再び世の中は不穏な空気に包まれ、二人の関係は、スキャンダラスな誤解を孕んでゆく 。
癒えることのない心の傷を抱えた者たちが年齢差を超え、痛みを分かち合いながら寄り添う。彼らが再び人生と向き合う姿を、節度をもって叙情的に描く名作が誕生した。
少女クララを演じたのは、これが映画初主演となるアビゲール・セーケ。16歳にして家族を喪ったクララの悲しみや怒り、諦念をリアルに表現し、「アルドの心の翳りに寄り添い続ける演技が感動的」(バラエティ誌)「心に傷を負った思春期の少女を演じるセーケが素晴らしい」(ハリウッド・レポーター誌)と評される名演を披露。見事、ハンガリー映画批評家賞最優秀女優賞を受賞した。ハンガリーを代表する名優カーロイ・ハイデュクが、クララを支え無償の愛を注ぐアルドに扮し、寡黙ながらふとした仕草やまなざしに深い思いやりを感じさせる繊細な演技で、ハンガリーアカデミー賞およびハンガリー映画批評家賞で最優秀男優賞を受賞。
これまで短編映画でその演出手腕が国内外で高い評価を受けてきたバルナバ―シュ・トートが監督を務め、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『心と体と』のプロデューサー、モーニカ・メーチとエルヌー・メシュテルハーズィが製作を手がけ、孤独な男女の心の結びつきを丁寧に描く名作をふたたび世に送り出した。
STORY
第二次世界大戦終戦後の1948年、ハンガリー。 ホロコーストを生き延びたものの家族を喪った16歳の少女クララは、両親の代わりに保護者となった大叔母オルギと暮している。大叔母に心を開かず、同級生とも打ち解けず、孤独な日々をおくるクララ。そんなある日、クララは寡黙な医師アルドに出会う。42歳の彼は、勤務先の病院とユダヤ人会の孤児院、そして自宅を行き来するだけの毎日を過ごしていた。 言葉をかわすうちに、アルドの心に自分と同じ孤独を感じ取り、父を慕うようにアルドに懐くクララ。そんなクララを見て、大叔母オルギは「私は勉強をみてあげることもできないから」と、クララのもう一人の保護者になってほしいとアルドに懇願する。「明るい父親にはなれないが、いないよりはましかも」とアルドは快諾し、クララは週の半分をアルドの家で過ごすという不思議な同居生活が始まった。ゲームに興じたり映画を観に行ったり、殺伐としていた彼らの日々は徐々に輝きはじめる。 そんななか、ふとした会話をきっかけにアルドが動揺し、これまで明かさなかった秘密をクララに打ち明ける。彼もまた、ホロコーストによって大切な人たちを喪った犠牲者だったのだ。 共に心に傷を抱えながら、寄り添うことで徐々に人生を取り戻していくクララとアルド。 だが、スターリン率いるソ連がハンガリーで権力を掌握すると、再び世の中は不穏な空気に包まれ、党に目をつけられた者たちが次々と連行されるなど緊張が増していく。そんななかクララとアルドの関係は、スキャンダラスな誤解を招いてしまう――。
監督 バルナバーシュ・トート Barnabás Toth
1977年12月9日、フランス・ストラスブール生まれ。ブダペスト演劇映画大学で学ぶ。長編映画は、監督・脚本・出演・製作を務めた「Camembert Rose(原題:Rózsaszín sajt)」(09)以来、本作で2作目。2013年、監督・脚本を手がけハンガリー映画批評家協会賞最優秀短編映画賞に輝いた「My Guide(原題:Újratervezés)」は、Vimeoで視聴回数が180万回を超えるヒット作となる。「Chuchotag(原題:Susotázs)」(18)は70を超える国際映画祭で上映され、世界各国で30以上の賞を受賞、2019年の米アカデミー賞短編映画賞のショートリストに選出された。
Director’s Comment
この映画は、自分自身が悲しみに打ちひしがれながらも、壊れかけたもう一つの魂を救うために最後にもう一度立ち上がる人びとへの讃歌です。
ホロコースト以前やそのさなかの出来事を描いた映画はたくさんありますが、
そこから生き延び、この世界に残された人びとの運命を描いた映画はあまりありません。
テルライド映画祭でこの映画を上映したとき、心に残る出来事がありました。
上映後に私のもとに一人の男性がやってきて、こう言ったのです。
「9年間勤務したイラクで心が壊れ、国に帰ってきました。私にとっての鎮痛剤のようなこの映画は、いま私が必要としているものです」と言ってくれました。この映画は、ホロコーストのみならずさまざまなトラウマに対しても癒やしとなるのかもしれない、そう思いました。
シネスイッチ銀座:14:40-16:22 (88分)
https://joji.uplink.co.jp/movie/2020/7134