2020年11月20日 公開「THE CROSSING~香港と大陸をまたぐ少女~」 予告篇 90秒
https://natalie.mu/eiga/news/397322
香港と中国・深センという隣接する2つの地域を行き来し、それぞれにアイデンティティを持つ少女を主人公に、香港と中国大陸の越境問題や経済、社会情勢、現地の青少年の裏事情など、さまざまな実情をリアルに重ねながら、青春のみずみずしさを描いた中国映画。香港人の父と中国人の母を持つ16歳の高校生ペイは、深センから香港へ越境通学している。母は家で友達と麻雀に興じてばかりで、父は香港で別の家族を持ち、国境付近でトラック運転手をしている。孤独なペイにとって一番楽しいのは、学校で親友ジョーと過ごす時間だった。2人は日本の北海道へ旅行に行くことを夢見て小遣い稼ぎしているが、ある日、船上パーティでハオという青年に出会う。クールなハオにジョーが好意を抱くなか、ペイはハオからスマートフォンを香港から深センへ持ち出す密輸の仕事を持ち掛けられる。ペイは旅費欲しさに、その裏仕事を引き受けてしまうが……。2019年・第14回大阪アジアン映画祭では「過ぎた春」のタイトルでコンペティション部門で上映され、監督のバイ・シュエが「来るべき才能賞」を受賞した。
2018年製作/99分/PG12/中国
原題:過春天 The Crossing
配給:チームジョイ
公式サイト:https://www.thecrossing-movie.com
Introduction
香港と深センを越境通学する女子高生ペイ。一国二制度による税金差の背景で起こったスマートフォンの密輸問題。
今も変わらない貧富格差、過酷な状況下で起こりうる問題をリアルに描かれている。
香港と深セン2つの場所を毎日行き来しているペイは、引き離された文化の中に生きている。
家族生活と友情、上層階級と下層階級、そして普段の日常生活と犯罪間を行き来する彼女は、命の危険と生計を維持する苦労、世界の若者が直面する道徳的な問題に立ち向かう様子が本作では表現されている。
2年間の入念なインタビューやリサーチを重ねたうえで脚本を執筆した白雪(バイ·シュエ)監督は、今まで中国映画であまり描かれることのなかった青少年の裏事情、香港と中国大陸の現状をリアルに描き、青春の輝きと脆さを映し出した。
作品の予備知識を
東大教授が分かりやすく解説!
数々のメディアで活躍する
映画解説者
今も変わらない中国大陸と香港事情
「越境通学」
香港市民権を持つ子どもは中国本土で居住しているが、香港の学校で勉強することを指す。
子どもは通学のため、毎日中国と香港との境界線を越える必要である。その原因は一部の「越境家族」または香港人家族は父親の勤務先が原因で中国本土に長期滞在する必要がある。
中国本土の教育制度と香港の教育制度は差異が存在しているため、それらの家族は殆ど子どもを香港の学校で勉強させる。「越境通学」は 1997年以前にも存在している。
作中の主人公ペイは大陸出身の母親と香港出身に父親の元に生まれており、ペイは毎日、大陸から香港の学校に通っている。
「香港と大陸 間の税金差で起こる密輸」
中国の「一国二制度」により、香港では関税の優遇措置が講じられている。その結果、電子機器、ブランド品、ベビー用品などの商品が割安になっており、香港の商品を大陸へ密輸する者たちが多くいる。
近年では、そういった事件発生を防ぐために密輸防止策が強化されている。
作中では、主人公ペイが香港と大陸間のスマートフォンの密輸団の仲間に入り、越境通学の環境を利用して密輸に手を染めている。
Story
香港出身の父と中国大陸出身の母を持つ16歳の高校生ペイは、毎日深センから香港の高校に通っている。
香港で家庭を持ちながらトラック運転手として働いていた父親ヨンと出稼ぎに出ていた母親ランが出会い、ヨンは愛人としてランと親しくなりペイを授かる。
景気も悪くなると、ランはヨンを香港に残しペイを連れて深センに2人で暮らす。
母は麻雀で生計を立て、父は香港で別の家族を持ちながらトラック運転手をしている。
ランは日々、友人との麻雀で生計を立てている。
家族がバラバラで孤独なペイにとっての心の拠り所は、親友ジョーと過ごす時間。2人は北海道旅行を夢見て、学校で小遣い稼ぎをしていた。ある日家に帰る途中、香港と深センの間でスマートフォンの密輸グループに巻き込まれるが、すぐにお金を稼ぐことができると知るとペイはお金欲しさに親友ジョーの彼氏ハオにお願いして密輸団の仲間に入り、危険な裏の仕事に手を染める。
密輸団での仕事をこなしていく内に、ペイは自然とハオと密接な関係になり。ハオは密輸団のリーダーに内緒で、ペイに大きな仕事を持ちかける。ペイとハオが密接な関係にあると気づいたジョーはペイに問い詰める。
その時、ペイはジョーとの友情が試される。
監督
バイ·シュエ(白雪)
2007年 北京電影学院監督科卒
2017年 同大学院芸術修士卒
2年かけて『THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~』(原題:過春天)の脚本を完成。中国監督協会の第2回 CFDG 中国青年監督援助計画(青葱計画)に参加、5強に選ばれる。
同年、『THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~』(原題:過春天)が万達影業(Wanda Pictures)の出資を得て撮影開始、2018年に製作完成する。
MESSAGE
「THE CROSSING~香港と大陸をまたぐ少女~」は私が初監督の長編映画作品です。
今回、私の監督作品が日本で上映できることをとても嬉しく思います。
この作品は非常にリアルな作品で、香港と深センの2つの都市の迷い、衝動、偽ブランドの密輸などを描いています。
ペイは毎日深センと香港を通学で往復し、彼女の視点から物語が語られます。
もう1つは、特殊な青春物語だということです。
2015年、深センと香港を毎日通学で往復する学生に関する脚本を書きたいと決意しました。
彼らの日常生活を知るために、2年間で何度も香港と深センに行き、綿密な取材をしました。
各年齢層の越境児童たち、時にはその保護者を取材しました。
税関の役人にも取材し、ノートに2万字以上のメモを取りました。
こういう人達は深センに住んでいるものの深センには友達がいない、香港の学校で勉強しているものの香港には家がない。
正直に言うと、このようなジレンマはある意味で普遍性があります。
世界中の移民たちもこのようなジレンマに直面しているのではないでしょうか。
本作は青春映画ですが、単純に青春と成長を描いた作品ではありません。
私は若い映画監督としての視点で、今を生きる現実に意識を向けたいと思います。
これが映画人としての使命だと思っています。同時に、映画を使って私の眼に映る世界を今後も描いていきたいと考えています。
2020年という大事な時期に日本で上映することはとても大変なことだと思います。
日本の方々に本作を気に入っていただければ幸いです。
Cast
ホアン・ヤオ(黄堯)
ペイ役
16歳高校生。香港で生まれ、母親と深センで2人暮らし。
ペイは自分のアイデンティティに悩みながらも愛を強く求めており、愛される機会をつかもうとしていた。同級生の親友ジョーとはよく学校をサボって遊んでいて二人は北海道旅行を約束し、ペイは旅費を稼ぎ始める。
家に帰る途中、香港と深センの間でスマートフォンの密輸グループに巻き込まれ、すぐにお金が稼げるとわかりペイは密輸団の仲間になる。
ハオと時間を共にする事が増え、ペイの世界は変わり始めていた。
ハオに好意を持つ一方、ジョーとの友情が試される。
青春時代にある残酷な事実であることに気づく。
みなとみらい横浜:12:40-14:25 (99分)