『スパイの妻<劇場版>』90秒予告編
10.16(金)公開!『スパイの妻<劇場版>』
監督 黒沢清 × 主演 蒼井優
太平洋戦争前夜。
時代の嵐が、二人の運命を変えていく——。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1940年。満州で偶然、恐ろしい国家機密を知ってしまった優作(高橋一生)は、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。聡子(蒼井優)は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、その身が破滅することも厭わず、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく……。
10.16(金)より全国ロードショー!
2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優主演の同名ドラマをスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として劇場公開。1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と疑われる中、妻の聡子はスパイの妻と罵られようとも、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う。そんな2人の運命を太平洋戦争開戦間近の日本という時代の大きな荒波が飲み込んでいく。蒼井と高橋一生が「ロマンスドール」に続いて夫婦役を演じたほか、東出昌大、笹野高史らが顔をそろえる。「ハッピーアワー」の濱口竜介と野原位が黒沢とともに脚本を担当。「ペトロールズ」「東京事変」で活躍するミュージシャンの長岡亮介が音楽を担当。第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞。
2020年製作/115分/G/日本
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://wos.bitters.co.jp
Introduction
1940年、神戸で貿易会社を営む優作は、赴いた満州で、恐ろしい国家機密を偶然知り、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。満州から連れ帰った謎の女、油紙に包まれたノート、金庫に隠されたフィルム…聡子の知らぬところで別の顔を持ち始めた夫、優作。それでも、優作への愛が聡子を突き動かしていく———。
すべての国民が同じ方向を向くことを強いられていた太平洋戦争開戦間近の日本。正義を貫くためには、誰かを陥れなければならない。愛を貫くためには、誰かを裏切らなければならない。正義、欺瞞、裏切り、信頼、嫉妬、幸福。相反するものに揺られながら、抗えない時勢に夫婦の運命は飲まれていく。昭和初期の日本を舞台に、愛と正義を賭けた、超一級のミステリーエンタテインメントが誕生した。
世界中に熱狂的なファンを持つ映画監督、黒沢清が『スパイの妻』で歴史の闇に初めて挑んだ。ロケ地、衣裳、美術、台詞回し、すべてにこだわり、描き出した疑心暗鬼渦巻く狂乱の時代。脚本を手掛けたのは黒沢自身と濱口竜介(『寝ても覚めても』)、野原位(『ハッピーアワー』脚本)。3人が結合することで生まれた化学反応に目を見張る。
音楽を担当したのは、「ペトロールズ」のリードボーカル&ギターであり、浮雲名義でロックバンド「東京事変」のギタリストとしても活動している長岡亮介。本作で映画音楽を初めて手掛け、映画世界の奥行きを広げた。そして、安宅紀史が美術、纐纈春樹が衣裳を担い、美しくもリアリティのある昭和初期世界観を鮮やかに再現している。
日本を代表する才能が集結した本作は、第77回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された。
主演は日本アカデミー賞をはじめ、数々の受賞歴を誇る、実力派女優・蒼井優。儚げでいて芯の強さを持ち、狂気にも近い想いを持って夫を愛し抜く聡子を圧倒的な存在感で演じている。『ロマンスドール』に続き蒼井と夫婦を演じるのは高橋一生。スリーピースに身を包み、聡明で正義の遂行のためには手段を選ばぬ優作を魅力的に体現した。脇を固める俳優たちも実力派が揃った。黒沢組常連となりつつある東出昌大、出演作が数多く控える注目俳優・坂東龍汰のほか、恒松祐里、みのすけ、玄理、そして笹野高史が激動の時代に抗う夫婦を取り巻く人物として、個性豊かに彩っている。
Story
一九四〇年。少しずつ、戦争の足音が日本に近づいてきた頃。
聡子(蒼井優)は貿易会社を営む福原優作(高橋一生)とともに、神戸で瀟洒な洋館で暮らしていた。
身の回りの世話をするのは駒子(恒松祐里)と執事の金村(みのすけ)。
愛する夫とともに生きる、何不自由ない満ち足りた生活。
ある日、優作は物資を求めて満州へ渡航する。
満州では野崎医師(笹野高史)から依頼された薬品も入手する予定だった。
そのために赴いた先で偶然、衝撃的な国家機密を目にしてしまった優作と福原物産で働く優作の甥・竹下文雄(坂東龍汰)。
二人は現地で得た証拠と共にその事実を世界に知らしめる準備を秘密裏に進めていた。
一方で、何も知らない聡子は、幼馴染でもある神戸憲兵分隊本部の分隊長・津森泰治(東出昌大)に呼び出される。
「優作さんが満州から連れ帰ってきた草壁弘子(玄理)という女性が先日亡くなりました。ご存知ですか?」
今まで通りの穏やかで幸福な生活が崩れていく不安。
存在すら知らない女をめぐって渦巻く嫉妬。
優作が隠していることとは――?
聡子はある決意を胸に、行動に出る……。
監督・脚本 黒沢清 Kiyoshi Kurosawa
1955年7月19日、兵庫県出身。大学時代から8ミリ映画を撮り始め、『スウィートホーム』(88)で初めて一般商業映画を手掛ける。その後『CURE キュア』(97)で世界的な注目を集め、『ニンゲン合格』(98)、『カリスマ』(99)と話題作が続き、『回路』(00)では第54回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。以降も、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品『アカルイミライ』(02)、第64回ヴェネチア国際映画祭正式出品作品『叫』(06)と国内外から高い評価を受ける。また『トウキョウソナタ』(08)では、第61回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞と第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞。「贖罪」(11/WOWOW)は、テレビドラマにも関わらず数多くの国際映画祭で上映された。その他、第8回ローマ映画祭最優秀監督賞を受賞した『Seventh Code セブンス・コード』(13)、第68回カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞を受賞した『岸辺の旅』(14)、第66回ベルリン国際映画祭に正式出品された『クリーピー偽りの隣人』(16)、フランス・ベルギー・日本合作で、オールフランスロケを敢行した『ダゲレオタイプの女』(16)、第70回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品された『散歩する侵略者』(16)、ドラマ「予兆 散歩する侵略者」(17/WOWOW)、1ヶ月間ウズベキスタンに滞在し撮影を行った『旅のおわり世界のはじまり』(18)などがある。本作『スパイの妻』で、第77回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に初めて選出された。
コメント
1940年代前半の日本はいったいどのような狂乱に支配されていたのか、それをありありと再現することの難しさを私は最初から覚悟していました。この企画は近くの街角で即興的にカメラを回すことが許されず、科白の細かい一言一句から1カットごとの美術と装飾、そしてエキストラたちの髪型や衣装にいたるまで、すべてにフィクションとしての抜かりない完成度が求められる上に、作る側の歴史に対する良識が隅々に渡って問われるのです。一瞬も気の抜けない張りつめた撮影の日々でしたが、スタッフとキャスト全員が素晴らしい仕事をしてくれました。とりわけ蒼井優さん、高橋一生さんが、あの時代の夫婦が直面する信頼と疑心暗鬼の交錯を、強烈なリアリティをもって演じきってくれて、歴史ドラマであると同時に最高のサスペンスに仕上がったと自負しています。映画作りの緊張と喜びを、これほど素直に感じることができたのは、私の長いキャリアの中でも久しくなかったことでした。現代日本映画はまだまだ未知の可能性を秘めているようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/黒沢清
Staff
脚本 濱口竜介 Ryusuke Hamaguchi
1978年、神奈川県出身。東京藝術大学院映像研究科で黒沢清に師事し、その修了制作として監督した『PASSION』(08)がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も、東日本大震災の被災者へのインタビューから成る酒井耕と共同監督した『なみのおと』(12)と『なみのこえ 新地町/気仙沼』(13)、4時間を越える長編『親密さ』(12)など、精力的な制作活動を続けている。ワークショップに参加した演技経験のない女性4人を主演に起用した5時間17分の長編『ハッピーアワー』(15)は、ロカルノ、ナント、シンガポールなど各国の映画祭で主要賞を受賞。芥川賞作家・柴崎友香原作の『寝ても覚めても』(18)で商業デビューし、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出され、世界から注目を集めた。
脚本 野原位 Tadashi Nohara
1983年、栃木県出身。2009年に東京藝術大学大学院映像研究科を修了。在学中は濱口竜介監督作品の助監督を務めながら、伊坂幸太郎原作のオムニバス映画『ラッシュライフ』(09)の一編、寺島しのぶが出演する『京子』を監督。また大学院修了作品として、いしだ壱成が主演する長編映画『Elephant Love』(09)を監督。その後は、CS放送の番組AD、CGプロダクションマネージャーなどの職を経て、拠点を神戸へ移す。監督作品『talk to remember』(15)が広島国際映画祭2015にて上映、17年には台湾での映像ワークショップを開催するなど活動の幅を広げている。濱口竜介、高橋知由とのユニット「はたのこうぼう」で脚本を務めた『ハッピーアワー』(15)は、各国の映画祭で上映され、主要賞を多数受賞した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/スパイの妻
横浜ブルク13: 11:45-13:50 (116分)
https://realsound.jp/movie/2020/10/640091d-7.html