予告編
『苺とチョコレート』の原作者セネル・パスが脚本協力として参加し、ブラジル・サンパウロ国際映画祭批評家賞などを受賞したヒューマンドラマ。ブラジル南部の都市ポルトアレグレを舞台に、視力をほとんど失ったウルグアイ出身の老人が、手紙の代読と代筆をする女性との交流を重ねていく。主人公の独居老人を演じるのは、『ウィスキー』などのホルヘ・ボラーニ。挿入曲にブラジルを代表するミュージシャン、カエターノ・ヴェローゾの楽曲「ドレス一枚と愛ひとつ」が使用されている。
作品情報:https://www.cinematoday.jp/movie/T002…
配給: ムヴィオラ
公式サイト:http://moviola.jp/buaiso
(C) CASA DE CINEMA DE PORTO ALEGRE 2019
劇場公開:2020年7月18日
手紙の代読と代筆を通して交流を深めていく老人と娘の姿を、おかしくも温かく描いたブラジル発のハートウォーミングストーリー。ブラジル南部のポルトアレグレに暮らす78歳のエルネスト。隣国ウルグアイからブラジルにやって来て46年になるエルネストは、頑固で融通がきかず、うんちく好きの独居老人だ。老境を迎え、視力をほとんど失ってしまったため大好きな読書もままならなくなってしまった彼のもとに一通の手紙が届く。手紙の差出人はウルグアイ時代の友人の妻だった。手紙が読めないエルネストは、偶然知り合ったブラジル娘のビアに手紙を読んでくれるように頼む。手紙の代読と手紙の代筆のため、ビアがエルネストの部屋に出入りするようになるが……。主人公エルネスト役をウルグアイ映画「ウィスキー」に主演した名優ホルヘ・ボラーニが演じる。ブラジル・サンパウロ国際映画祭批評家賞、ウルグアイ・プンタデルエステ国際映画祭では観客賞と最優秀男優賞を受賞。
2019年製作/123分/G/ブラジル
原題:Aos olhos de Ernesto
配給:ムヴィオラ
ストーリー
視力を失いつつある78歳の独居老人エルネストと、
手紙の読み書きを頼まれた23歳のワケあり娘ビア。
頑固なエルネストが最後に宛てた手紙の相手とは?
ブラジル南部、ポルトアレグレの街。エルネストは78歳の独居老人。隣国ウルグアイからやって来て46年。頑固で融通がきかず、本が好きでうんちく好き。老境を迎え、ほとんど目が見えなくなった。もうこのまま人生は終わるだけ。そう思っていたある日、一通の手紙が届く。差出人はウルグアイ時代の友人の妻。エルネストは、偶然知り合ったブラジル娘のビアに手紙を読んでくれるように頼む。「手紙の読み書き」のため、一人暮らしのエルネストの部屋にビアが出入りするようになるが……それは、彼の人生を変える始まりだった。
ワケありのビア、唯一心を許せる隣人ハビエル、昔の友人の妻ルシア、折り合いの悪い息子のラミロ……。
心を正直に伝えられないエルネストが最後に宛てた手紙の相手とは?
公式サイト:http://www.moviola.jp/buaiso/
ブラジル南部、ポルトアレグレの街。エルネストは78歳の独居老人。隣国ウルグアイからやって来て46年。頑固で融通がきかず、本が好きでうんちく好き。老境を迎え、ほとんど目が見えなくなった。もうこのまま人生は終わるだけ。そう思っていたある日、一通の手紙が届く。差出人はウルグアイ時代の友人の妻。エルネストは、偶然知り合ったブラジル娘のビアに手紙を読んでくれるように頼む。「手紙の読み書き」のため、一人暮らしのエルネストの部屋にビアが出入りするようになるが……それは、エルネストの人生を変える始まりだった。
ワケありのビア、唯一心を許せる隣人ハビエル、昔の友人の妻ルシア、折り合いの悪い息子のラミロ……。 心を正直に伝えられないエルネストが最後に宛てた手紙の相手は?
東京国際映画祭グランプリのウルグアイ映画『ウィスキー』(04)で知られる舞台の名優ホルヘ・ボラーニ演じるエルネストを始めとする個性派俳優達の見事なアンサンブル。ブラジル音楽のレジェンド、カエターノ・ヴェローゾがアルバム『粋な男』に収録した名曲「ドレス一枚と愛ひとつ」の使い方も絶品。
監督・脚本:アナ・ルイーザ・アゼヴェード
Ana Luiza Azevedo – Director and Screenwriter
1959年、ポルトアレグレ生まれ。UFRGS大学、ブラジル美術学科卒業。制作会社カサ・デ・シネマ・デ・ポルトアレグレの創設メンバー。1984年から映画界で働き始める。ドキュメンタリー『Ventre Livre(自由な子宮)』(1994)で注目され、本作の共同脚本家であるジョルジ・フルタードが脚本を書いた短編劇映画『3 Minutos(3分間)』(2000)でカンヌ国際映画祭短編映画部門に選ばれる。自ら脚本を手がけた『Dona Cristina Perdeu a Memória(記憶をなくしたクリスティーナ夫人)』( 2002)はブラジリア映画祭、グラマード映画祭などでグランプリを受賞。同じく自身の脚本による初長編作品『世界が終わりを告げる前に』(Antes que o Mundo Acabe/2010/ブラジル映画祭2012、あいち国際女性映画祭2012上映)では、ポルトアレグレ郊外の田舎町に暮らす高校生たちを主役に多感な時期の心の変化を丁寧に描き、2009年サンパウロ国際映画祭優秀長編ブラジル映画賞はじめ、国内外の数々の賞に輝いた。本作でサンパウロ国際映画祭批評家賞、プンタデルエステ国際映画祭観客賞を受賞。
テキストメッセージ全文
この映画は4月にブラジルで劇場公開されるはずでした。
しかし、世界中に拡大したパンデミックにより延期になりました。
ブラジル公開もアメリカ公開も今はめどが立っていません。
そんな中で、日本の映画館が再開し、この映画が公開されると聞いて、とても嬉しく思いました。
世界のどこよりも早く日本で劇場公開されるのです。
私はこの映画で「あなたはどんな老いを生きたいのですか」と問いかけたいと思いました。
若い方には、まだまだ「老い」なんて先の話だと思うでしょう。
けれど、「あなたは本当はどう生きたいのですか」という問いであればどうでしょう。
映画の中でエルネストとビアは変わります。それは、それぞれの可能性の発見なのです。
脚本:ジョルジ・フルタード
Jorge Furtado – Screenwriter
1959年、ポルトアレグレ生まれ。テレビ局でキャリアをスタートし、その後、本作の監督アナ・ルイーザ・アゼヴェード、ジョゼ・ペドロ・グーラートらと制作会社ルス・プロダクションを設立し、映画、演劇、CMを幅広く手がける。1987年、制作会社カサ・デ・シネマ・デ・ポルトアレグレを創設。ベルリン国際映画祭最優秀短編作品賞を受賞した『Ilha das Flores(花の島)』(1999)や数々の賞に輝いた『コピーオペレーター』(2003/ブラジル映画祭2006)、『Meu Tio Matou um Cara(僕のおじさんは男を殺した)』(2005)、『Rasga Coração(涙の心)』(2018)など多数。テレビドラマでも国際エミー賞などを受賞。現在に至るまで精力的に作品を発表し、そのコメディとユーモアのセンスに定評がある。
「ぶあいそうな手紙」の解説
ブラジルを舞台に、手紙の代筆と代読からストーリーが動き出す、おかしくて温かい物語。脚本を担当したのは、繊細な演出も素晴らしい監督のアナ・ルイーザ・アゼヴェードとそのパートナーであるジョルジ・フルタード。ラテンアメリカ映画史に残るキューバの名作『苺とチョコレート』の原作者セネル・パスが脚本に協力している。主人公エルネストを演じるのは、ウルグアイ映画『ウイスキー』に主演した名優ホルヘ・ボラーニ。ブラジル音楽のレジェンド、カエターノ・ヴェローゾがアルバム「粋な男」に収録した名曲「ドレス一枚と愛ひとつ」が映画を彩る。(作品資料より)
J&B:11:05-13:15 (123分)
KEYEWORD
ポルトアレグレ
本作の舞台。ブラジル最南部、リオ・グランデ・ド・スール州の州都。ポルト(Porto)は港、アレグレ(Alegre)は陽気という意味。人口は148万人でブラジル10位の規模(2016年時点)。白人(80.7%)、混血(10.7%)、黒人(8.0%)、その他(0.6%)で構成される。ヨーロッパからの移民が多く、ヨーロッパ風の建物が多い。また隣国ウルグアイやアルゼンチンからの住民も多い。サッカークラブチームのグレミオFBPAとSCインテルナシオナルの本拠地で、ロナウジーニョをはじめとする数多くのサッカー選手の出身地である。
ウルグアイ
主人公エルネストの母国。首都はモンテビデオ。ブラジルとアルゼンチンに挟まれ、スリナムに次いで南米大陸で2番目に面積が小さい国。ウルグアイ人は「大国ブラジルとアルゼンチンが喧嘩しないようにウルグアイは作られた」という自虐的なジョークを好む。ラテンアメリカ人には「明るくノリの良いラテン気質」というステレオタイプがあるが、その中でウルグアイ人は、地味で憂鬱(メランコリック)ととらえられることが多い。
政治的には、1973年、クーデターによって軍部が政治の実権を握り、労働人口の1/5が治安組織要員という警察国家体制下で市民への弾圧が激しく行われた時代がある。1985年に民政移管された。現在は民主主義国家として小国ながらも存在感を見せている。
マテ茶
マテ茶は、北中米のコーヒー、欧州の紅茶と同じ様に、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイという南米の代表的な国を中心に、広く愛飲されている国民的なお茶。ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの3カ国で栽培されていて、ブラジルがマテ茶の最大の生産地である。 ミネラル、特に鉄分とカルシウムの含有量が高く、ビタミンAとBを多く含み、葉緑素も豊富に含むことから、「飲むサラダ」とも言われている。映画に登場した「マテ壺」にマテ茶を半分以上入れ、「ボンビージャ(ボンビリヤ)」という茶漉し付きのストロー(金属製が主流)を差し込んで、ちびちび飲んではぬるめの湯や水を足して一日中を過ごすのがその楽しみ方だが、ブラジルでは缶ドリンクで飲むのが主流。エルネストがマテ壺にボンビージャでマテ茶を飲んでいるのはウルグアイ人らしさを感じさせる。
映画『自転車泥棒』
1948年のイタリア映画。ヴィットリオ・デ・シーカ監督。ネオレアリズモ映画の代表作であり、ラテンアメリカの60年代の政治の季節に学生たちに人気があった。
ポルトガル語とスペイン語
ブラジルの公用語は、ビアが話すポルトガル語。イベリア半島のポルトガル語と若干異なり、アメリカ英語とイギリス英語の違い以上に文法や発音などに大きな違いがある。エルネストとハビエルが二人の会話で使うのは、ウルグアイ、アルゼンチンの公用語であるスペイン語。
ポルトガル語とスペイン語は類似性が高く、単語も共通するものがあり、「どちらか一方ができれば話が通じる」と言われるが、実際には発音が大きく異なり、共通する単語でも発音が異なるため、文字で見れば意味が想像できても、基礎的な語学力がないと読み書きや会話はさほど簡単ではない。なお映画の舞台ポルトアレグレにはウルグアイからの移住者が多いため、スペイン語とポルトガル語をまぜこぜにした「ポルトニョール」も話されている。
ベネデッティの「なぜ私たちは歌うのか」と「休戦」
マリオ・ベネデッティ(Mario Benedetti )は、1920年9月14日生-2009年5月17日没。ウルグアイのジャーナリスト、小説家、詩人である。邦訳は少ないが、スペイン語圏では20世紀ラテンアメリカで最も重要な作家の1人とされ、2009年に亡くなった際には各国で大きく報道された。軍事独裁政権下にあった1973年から1985年まで、ブエノスアイレス、リマ、ハバナ、スペインに亡命。民主制が復活すると、母国のモンテビデオとスペインのマドリードに暮らした。 映画に登場する「休戦(La tregua)」は中年男性が日記をつづる形式で書かれた初期の小説で、1974 年に映画化され、アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。政治的な活動や発言に深く関わりながらも、その作品にはロマンティックな側面が失われることはなく、愛や友情をテーマにした詩は今も南米の若者によく読まれている。映画では、人気の高い詩「なぜ私たちは歌うのか」をエルネストが叙情詩テロの場面で披露し、またその詩に本作の音楽を担当したレオ・ヘンキンがオリジナル曲をつけ、エルネストとビアのダンスシーンに使っている。