予告編
ファティ・アキン監督最新作!ドイツ・ハンブルクに実在した殺人鬼フリッツ・ホンカ。夜な夜な行きつけのバー<ゴールデン・グローブ>へやってきては孤独な女性たちに近づいて…。
今年のベルリン映画祭で最も賛否両論を巻き起こした問題作。2020年2月14日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかブラッディバレンタインロードショー!
「ソウル・キッチン」「女は二度決断する」のファティ・アキン監督が、1970年代のドイツ・ハンブルクに実在した5年間で4人の娼婦を殺害した連続殺人犯の日常を淡々と描いたサスペンスホラー。第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ。彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜になると寂しい男と女が集まるバー「ゴールデン・グローブ」に足繁く通い、カウンターで酒をあおっていた。フリッツがカウンターに座る女に声をかけても、鼻が曲がり、歯がボロボロな容姿のフリッツを相手にする女はいなかった。フリッツは誰の目から見ても無害そうに見える男だった。そんなフリッツだったが、彼が店で出会った娼婦を次々と家に招き入れ、「ある行為」に及んでいたことに、常連客の誰ひとりも気づいておらず……。2019年・第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品。
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/yaneura/
イントロダクション
あの男はいつも片隅に座っていた―。
1970年代ドイツに実在した連続殺人鬼の物語。
敗戦がまだ尾を引いていた1970年代ドイツ、ハンブルク。安アパートの屋根裏部屋に住むフリッツ・ホンカは、夜な夜な寂しい男と女が集るバー“ゴールデン・グローブ”で酒をあおっていた。彼がカウンターに座る女に声を掛けても、いつも顔をしかめられるだけ。一見、無害そうに見えるフリッツの狂気に気づく常連客は誰ひとりいなかった……。
ドイツの名匠ファティ・アキン監督の最新作は、70年代ハンブルクで実際に起きた連続殺人事件の犯人フリッツ・ホンカの物語。第二次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごし、貧しさと孤独の中で大人になった男が、70年から75年に渡って4人の娼婦を殺害しながら過ごす日常を淡々と描く。知性溢れる天才犯罪者でも、何かに取り憑かれた狂人でもない、「ごく普通の連続殺人鬼」という、かつて味わったことのない“すぐ隣にいるかもしれない恐怖”に誰もが戦慄する。
世界が新作を常に渇望する才能、ファティ・アキン監督最新作!
主演は美しさを封印した22歳の新星ヨナス・ダスラー!
30代で世界三大国際映画祭すべてで主要賞受賞の快挙を成し遂げ、前作『女は二度決断する』でゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞、主演のダイアン・クルーガーにカンヌで主演女優賞をもたらしたファティ・アキン監督。ワールドプレミアとなったベルリン国際映画祭は熱狂! ファティ・アキン監督の演出力、主演ヨナス・ダスラーのパフォーマンスに称賛が贈られ、衝撃的な内容ゆえにベルリンで最も賛否両論を巻き起こした問題作となった。
ヨナスは、『僕たちは希望という名の列車に乗った』(19)でバイエルン映画賞新人男優賞を受賞した若手実力派俳優。本作では、実年齢よりも約20歳も年上のフリッツ・ホンカへ大変身し、ユーモラスで人間味がありながらも、観るものを縮み上がらせる狂気に満ちた演技で強烈な印象を残し、ヴァラエティ誌の「注目すべきヨーロッパの若手映画人10人」に選出された。
音楽を担当したのはアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの活動でも知られるF.M.アインハイト。また、音楽通のファティ・アキン監督らしく、1960~70年代を代表する大衆曲の数々が映画世界を立体化させている。
ストーリー
1970年代、ハンブルク。
留年が決定したペトラがカフェでタバコを咥えると、突然、男が火を差し出してきた。
男はペトラが去った後も、その後ろ姿をじっと見つめている。
バー<ゴールデン・グローブ>。
カウンターの端にいつもフリッツ・ホンカは座っていた。
女に酒を奢ろうと声を掛けても、「不細工すぎて無理」と振られるだけ。
注文もせずにひとりでポツンと座る中年女にフリッツが一杯奢ると、そっと横にやってくる。
「私はゲルダ。ありがとね」
フリッツとゲルダは店を後にする。
フリッツの部屋。
ゲルダには30歳になる独身の娘がいるらしい。
「ぽっちゃりして、可愛い子よ。肉を売っているの」
「面白いな。娘を連れてこい」
ゲルダの娘に会うことを夢想するフリッツ。
ゴールデン・グローブ。
いつまでたってもゲルダは娘を連れてこない。
フリッツは3人で飲んでいる娼婦たちに声をかける。
「俺の家に来い。酒ならいくらでもある」
ひたすら酒を飲み続ける女たちは、言われるままにフリッツの家へ入っていく。
ある日、フリッツは車に突き飛ばされる。
それを機会に禁酒するフリッツ。
夜間警備員の仕事につき、真っ当に生きようと心に誓うのだった……。
監督/脚本
ファティ・アキン Fatih Akin
1973年8月25日、ドイツ、ハンブルク生まれ。両親はトルコ移民。俳優を志していたが、トルコ人役などステレオタイプな役しか回ってこないことに嫌気がさし、ハンブルク造形芸術大学へ進学。ハンブルク国際短編映画祭で観客賞を受賞した“Sensin-Du bistes!”(95)などの短編を製作。
長編初監督作“ Kurz und schmerzlos”(98)はマスコミ・観客に熱狂的に迎えられた。その後、ロードムービー『太陽に恋して』(00)、移民である両親の話を収めたドキュメンタリー「ドイツを想う:私たちは戻ることを忘れてしまった」(01)、イタリア系移民の家族を描いた“Solino”(02)を発表。続く『愛より強く』(04)で第54回ベルリン国際映画祭金熊賞をはじめ、ヨーロッパ映画賞など数々の賞に輝き、世界にその名を轟かせた。『クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール~』(05)では、トルコ版『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』と評される。
『そして、私たちは愛に帰る』(07)で第60回カンヌ国際映画祭脚本賞とエキュメニカル審査員賞を受賞したほか、数々の賞を獲得した。『ソウル・キッチン』(09)で第66回ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞し、30代にしてベルリン、カンヌ、ヴェネチアの世界三大映画祭主要賞受賞の快挙を成し遂げる。
『トラブゾン狂騒曲~小さな村の大きなゴミ騒動~』(12)では、祖父母の故郷であるトルコ北東部の小さな村のゴミ騒動を題材にした。タハール・ラヒムを主演に迎えた『消えた声が、その名を呼ぶ』(14)は第71回ヴェネチア国際映画祭でヤング審査員特別賞を受賞。続く『50年後のボクたちは』(16)は大ベストセラー小説「14歳、ぼくらの疾走」を原作に実写映画化を手掛けた。ダイアン・クルーガーを主演に迎えた『女は二度決断する』(17)では第75回ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞、第70回カンヌ国際映画祭にてダイアン・クルーガーに主演女優賞をもたらした。本作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』は第61回ベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品され、賛否両論を巻き起こした。現在、46歳にして数々の映画祭を席巻し続ける、ドイツを代表する名匠監督である。
インタビュー
――フリッツ・ホンカが初めて殺人を犯したのは監督が生まれるよりも前ですが、彼はあなたが住むハンブルクに暮らし、その道を歩いていました。
それがフリッツ・ホンカを私にとってより身近にしました。私にとって、ホンカは『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターのような架空のシリアルキラーではありません。彼は近所に住んでいて、その痕跡を残している実在の人物です。子供の頃、「気をつけないと、ホンカに捕まるぞ!」とよく言われました。彼は私の子供時代にとってのおばけだったのです。
――どのようにこの題材にアプローチしたのでしょうか。
インドの哲学者ジッドゥ・クリシュナムルティの「未来は今だ」という言葉からアプローチしました。今日の私たちの姿が、私たちの未来を形作ります。つまり、私たちは未来であり、過去の結果でもあります。本作で描いたフリッツ・ホンカは個人の肖像であり、彼が犯した殺人は社会的な状況で説明することはできません。また、殺された女性たちが失踪したときに何故誰も探さなかったのか、と思う人もいるでしょう。実は、同じようなことが今でも起きています。たったひとりで亡くなり、何週間も放置され、悪臭によって初めて、誰かがその死に気づく。この映画は過去の物語ですが、今日起きるかもしれない話なのです。
――サイコパスで、アルコール依存症の殺人鬼ですが、目が離せないキャラクターです。
ハインツ・ストランクの原作小説はシリアルキラーの物語にも関わらず、私にある種の感情移入をさせました。この小説の根底にはホンカへの同情があります。映画では、ホンカの出自や、幼少期の肉体的・精神的虐待について語りません。彼の残虐行為に弁明の余地はないのです。しかし、小説同様にホンカの人間性を捉えようと心がけました。また、主演ヨナス・ダスラーによる素晴らしい演技も、観客の心を惹きつけた理由のひとつだと思います。
――ヨナス・ダスラーはまだ若手ですが、実年齢よりもかなり年上であるホンカを演じています。
ホンカを演じるのであれば身体的変身が必要です。ホンカの曲がった鼻、ボロボロの歯、特徴的な斜視。これらは再現するべきホンカの特徴でした。CG加工も考えましたが、特別なコンタクトレンズを見つけたことで、制約がひとつ減りました。人の魂や目つきには自然と一定の人生経験が反映されるものですが、ヨナスは外見の変化によりそれを獲得しました。身体と精神の間には相互作用があるのです。
――登場人物の多くは、第二次世界大戦の経験によって人格が形作られています。
戦後、ドイツ連邦共和国は経済復興しますが、彼らはそれと縁遠い人々でした。復興が強い光ならば、自然とそこには影もある。私はその影に惹かれました。経済復興も第二次世界大戦の一部と言えます。勝者がいて、敗者がいる。本作は社会の最下層階級の人々についての話です。思っている以上に、彼らは戦争によって心に傷を負っているのです。
――本作はどういった映画に影響を受けましたか?
子供の頃、私たち兄弟の面倒をみてくれていた夫婦はビデオショップを営んでおり、兄がホラー映画を観たがりました。初めてジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』を観たとき、衝撃を受けました。本作の原作小説を読んだ時、社会ドラマ性と歴史的側面に感銘を受けると同時にシリアルキラーという主題に惹かれました。そこで、映画ではホラーとしてこの物語を描こうと思いました。観客を怖がらせたい、と。しかし、殺人をエンターテインメントとして語りたくなかった。ひとつの指針にしたのは、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の『殺人に関する短いフィルム』です。この映画は『ソウ』やクエンティン・タランティーノ監督の映画よりもさらに残虐だと思います。ミヒャエル・ハネケ監督の『隠された記憶』や『ファニーゲーム』などの作品にも共通する表現です。また、ウィリアム・ディターレ監督とジャン・ドラノワ監督の『ノートルダムのせむし男』両作からもヒントを得ています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ファティ・アキン
https://eiga.com/news/20200124/20/
実在の殺人鬼を描いたファティ・アキン監督、意外な決断理由を明かす
フリッツ・ホンカ役
ヨナス・ダスラー Jonas Dassler
1996年3月22日、ドイツ、レムシャイト出身。学校の舞台で演技に目覚め、2014年にエルンスト・ブッシュ演劇大学に進学。「WE ARE FINE(英題)」(15/ヘンリ・スタインメッツ監督)で長編映画デビュー。初主演作「Lomo – The Language of Many Others(英題)」(17/ジュリア・ランホフ監督)と『僕たちは希望という名の列車に乗った』(19/ラース・クラウメ監督)での演技が評価され、第39回バイエルン映画賞新人賞男優賞を受賞。ほか、第91回アカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされた「Never Look Away(英題)」(18/フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督)などに出演。
舞台でも活躍し、17-18シーズンより、ベルリンのマクシム・ゴーリキー劇場のアンサンブルメンバーとなり、「It’s All a Swindle(英題)」、「A WALK ON THE DARK SIDE」、「THE JUST ASSASSINS(英題)」(アルベール・カミュの戯曲「正義の人びと」)といった舞台作品に出演している。
本作では、毎日特殊メイクに3時間かけて、折れ曲がった鼻、特徴的な斜視、極度に猫背のフリッツ・ホンカへと大変身し、強烈な印象を残した。本作の活躍により、ヴァラエティ誌の2019年の「注目すべきヨーロッパの若手映画人10人」にも選出されている。英語とフランス語も話せるマルチリンガル。
J&B: 17:50-19:40 (110分)
https://cinefil.tokyo/_ct/17328284
ドイツに実在した連続殺人鬼フリッツ・ホンカ本人との比較写真と実在する獲物を物色したバー写真を公開!『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』
https://www.excite.co.jp/news/article/Crankin_7234910/
70年代ドイツに実在、次々と娼婦を手にかけた殺人鬼フリッツ・ホンカとは?
https://www.crank-in.net/news/72349/1
70年代ドイツに実在、次々と娼婦を手にかけた殺人鬼フリッツ・ホンカとは?
https://www.madisons.jp/murder/text/honka.html
フリッツ・ホンカ
https://441notepad.com/fritz-honka
社会最底辺で浮浪者を狙った連続殺人犯 フリッツ・ホンカ
https://ja.wikipedia.org/wiki/フリッツ・ハールマン