予告編
海外版予告編
2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマ。2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が起こり、太平洋沿岸に押し寄せた巨大津波に飲み込まれた福島第一原発は全電源を喪失する。このままでは原子炉の冷却装置が動かず、炉心溶融(メルトダウン)によって想像を絶する被害がもたらされることは明らかで、それを防ごうと、伊崎利夫をはじめとする現場作業員や所長の吉田昌郎らは奔走するが……。現場の最前線で指揮をとる伊崎に佐藤浩市、吉田所長に渡辺謙という日本映画界を代表する2人の俳優を筆頭に、吉岡秀隆、安田成美ら豪華俳優陣が結集。「沈まぬ太陽」「空母いぶき」などの大作を手がけてきた若松節朗監督がメガホンをとった。
2020年製作/122分/G/日本
配給:松竹、KADOKAWA
公式サイト:https://www.fukushima50.jp
https://ja.wikipedia.org/wiki/フクシマ50
メディアは、現場に残った従業員たちの勇気を讃え、彼らをヒーローと紹介し、“Fukushima 50”の名が知れ渡った。フランスの国際ニュース・チャンネルFrance 24は、彼らを“Japan’s faceless heroes”(日本の顔が知れない英雄たち)と紹介した。イギリスの新聞ガーディアンは、“Other nuclear power employees, as well as the wider population, can only look on in admiration”(他の原子力発電所に従事する者たちは、他の多くの人々と同様に、強い賞賛をもって見ていることしかできない)と書いた。ドイツのニュースサイトは、彼らの献身を四十七士にたとえている。中国語のニュースサイトは彼らを“福島50死士”と名づけた。 2011年9月7日にスペイン皇太子賞(アストゥリアス皇太子賞)の受賞が発表され、同年10月22日に同賞平和部門を警察、消防、自衛隊の現場指揮官ら計5人が代表として受賞した。
STORY
マグニチュード9.0、最大震度7という巨大地震が起こした想定外の大津波が、福島第一原子力発電所(イチエフ)を襲う。浸水により全電源を喪失したイチエフは、原子炉を冷やせない状況に陥った。このままではメルトダウンにより想像を絶する被害をもたらす。1・2号機当直長の伊崎ら現場作業員は、原発内に残り原子炉の制御に奔走する。全体指揮を執る吉田所長は部下たちを鼓舞しながらも、状況を把握しきれていない本店や官邸からの指示に怒りをあらわにする。しかし、現場の奮闘もむなしく事態は悪化の一途をたどり、近隣の人々は避難を余儀なくされてしまう。
官邸は、最悪の場合、被害範囲は東京を含む半径250㎞、その対象人口は約5,000万人にのぼると試算。それは東日本の壊滅を意味していた。
残された方法は“ベント”。いまだ世界で実施されたことのないこの手段は、作業員たちが体一つで原子炉内に突入し行う手作業。外部と遮断され何の情報もない中、ついに作戦は始まった。皆、避難所に残した家族を心配しながら―
日大芸術学部卒業後、TVドラマのAD、演出補を経て、共同テレビジョンに入社。「振り返れば奴がいる」(93)、「それが答えだ!」(97)、「やまとなでしこ」(00)など数多くの人気ドラマの演出を手がける。映画監督として『ホワイトアウト』(00)、『沈まぬ太陽』(09)で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞。その他の映画監督作は『COMPLEX BLUE』(94)、『子宮の記憶 ここにあなたがいる』(06)、『夜明けの街で』(11)、『柘榴坂の仇討』(14)、『空母いぶき』(19)。監督を務めた主なドラマは「弟」(04)、「救命病棟24時」「熟年離婚」(05)、「石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~」(17)など。「地球の王様」(12)では舞台の演出を手がけた。
日大芸術学部卒業後、テレビドラマのADを経て 共同テレビジョンに入社。以降、ドラマディレクターとして「振り返れば奴がいる」(93)、「やまとなでしこ」(00)、「恋ノチカラ」(02)などの数々の名作ドラマの演出を手がける。また映画監督作品としては「ホワイトアウト」(00)、「沈まぬ太陽」(09)などで大作を手がける手腕に定評を得て、両作で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞している。近年の主な映画監督作に、「柘榴坂の仇討」(14)、「空母いぶき」(19)、「Fukushima 50」(20)などがある。
脚本を手がけた主なドラマは「OUT~妻たちの犯罪~」(99)、「人間の証明」(04)、「空飛ぶタイヤ」(09)、「マークスの山」(10)、「下町ロケット」(11)、大河ドラマ「軍師官兵衛」(14)、「沈まぬ太陽」(16)、「雲霧仁左衛門 3」「アキラとあきら」(17)、「孤高のメス」(19)、「頭取 野崎修平」(20)など。映画は『ゴト師株式会社 悪徳ホールをぶっ潰せ!』(93)、『週刊バビロン』(00)などの脚本を担当。4月「鉄の骨」の放映を控えている。
戦争、事件、司法、スポーツなど幅広いジャンルでノンフィクションを執筆。「この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡」(角川文庫)で山本七平賞受賞。主な著書に「甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯」(講談社文庫)、「なぜ君は絶望と闘えたのか―木村洋の3300日」(新潮文庫)、「尾根のかなたに 父と息子の日航機墜落事故」(小学館文庫)、「記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞」(KADOKAWA)など。
原作
「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)著:門田隆将
90人以上への独自取材と実名証言で綴られた渾身のノンフィクション。当時現場にいた人間しか知り得ない緊迫の状況、次々に発生するトラブル、拡大する被害、本店や官邸との衝突、人間の強さと弱さなど、今まで知り得なかった原発事故の真実を描く。
PRODUCTION NOTE
正確かつ大規模に再現されたセット
東京・調布の角川大映スタジオに作られたのは、メインの舞台となる1・2号機中央制御室(中操)と、緊急時対策室(緊対)のセットだ。広さはもちろんのこと、細部までリアリティが追求されており、中操の壁に並ぶ計器は、50年もの間、操業していた原子力発電所とまったく同じデザインが再現された。イチエフ勤務経験のある人もセットを訪れ、あまりに実物と同じ光景に感動していたほどだ。一方で緊対は、前面の壁にいくつものTVモニターが取り付けられ、津波のニュース映像などが刻々と流れる。こちらもテーブルの位置や壁の色まで完璧に実物の緊対と同じように作られている。
計器類まで全て再現された中央制御室
手動でベントを行う上で「最前線」となった中操は、停電の時間などもあり、基本的には「薄暗い」状態が続く。指揮をとるのは佐藤浩市が演じる伊崎当直長。緊対の吉田所長からの指示を受け、高い放射線量の中、誰がベントへ向かうのか。佐藤の「まず俺が行く」という覚悟を決めたセリフに、不安を抱える他の運転員たちも「僕が」「俺が」と次々に手を挙げる。ベテランのキャストは毅然とした表情に、そして若いキャストは真剣そのものの表情となり、ワンカットごとに現場のテンションが上がっていく。その間も、元運転員の方の「緊急時も走ってはいけない。急ぐ時は早足で」などのアドバイスで、徹底的にリアリティが追求された。
その中操のセットの撮影で最も過酷を極めたのが、1号機原子炉建屋の爆発時のシーンだ。突然の爆発による激しい振動が起こる。監督からの「予期しない揺れでパニック状態に」という指示で、運転員のキャストたちが防護マスクを探して右往左往するなか、天井の板や蛍光灯が落下してくるのだ。この落下は「手動」で行われ、天井板や蛍光灯が細かくワイヤーで繋がれ、セットの脇でそのワイヤーを持ったスタッフが、タイミングよく手を離す。一度落としたら、元の状態に戻すまで長い時間がかかるので、一発勝負の緊張感が漂う。監督の「バーン!」という掛け声とともに、見事に天井が崩れ、セット中にホコリが舞い、スモークがたかれる。俳優たちは椅子から転げ落ちるなどパニック状態を演じながらも、ケガがないように立ち位置には細心の注意を払う。作品の中でも最もチャレンジングな撮影は無事に終了し、爆発時の生々しい映像への期待が高まった。
関係者も驚くほど瓜二つな緊急時対策室
緊対のシーンは、メインキャストの他に120人ものエキストラも加わり、暗い中操とはまったく違う雰囲気。ここでは吉田所長が中心となる。演じる渡辺謙は緊対のセットに入るなり、「今でも帰宅困難の人がたくさんいます。その人たちの気持ちを受け止めて、事実をしっかり描きましょう」と大きな声で挨拶。セットのすべての人に、映画を作る「使命感」が浸透していくのがわかった。この緊対の撮影は、前面のモニターに現時点の緊対が映し出されるので、まずモニター用の映像を撮り、そこから実際のシーンのための本番……という複雑な過程もあった。
セットの中心には福島第一原発全体のジオラマが置かれ、それを囲むようなテーブルに渡辺謙らが座り、刻一刻と変わる状況に対応し、苦渋の決断を繰り返していく。「時刻」が重要なので、本番のたびに壁の時計の針が直される。本社からのあまりに無謀な指令に、声を荒げる渡辺謙の熱演は迫力満点だ。この緊対には、佐野史郎が演じる総理大臣もやって来るが、彼に対して状況を説明する吉田の長いセリフには、「電動弁」「炉心を冷却」など複雑な用語も入るので、渡辺謙は本番前の時間に何度も練習を繰り返していた。そんな渡辺の吉田役に感動していたのが、現場を見学に来た吉田所長を知る人たち。「背中の曲がり方や首の動きが吉田所長にそっくり。後ろ姿は本人かと思うほどで、のりうつったかのようだ」と口々に話す。徐々にやつれていく作業員たちを描写するため、本作の撮影はほぼ順撮りで行われた。中操のメンバーがこの緊対に加わる後半シーンは、作品が描く「5日間」の終盤でもあり、役柄と同じようにヒゲを剃らず、疲れきった顔のキャストたちが、自分たちの任務をまっとうする決死の演技に、撮影現場の熱量はピークに達するのだった。
自衛隊、アメリカ軍の協力
また、本作では、総理がイチエフを訪れるシーンの撮影のため、陸上自衛隊の協力のもと要人輸送ヘリ“スーパーピューマ”が登場したり、トモダチ作戦のシーンを在日アメリカ軍横田基地で撮影するなど、原発の描写以外も徹底してリアリティにこだわった。横田の撮影実現までは困難を極めたが、細部に至るまで真実を正しく伝えようとするスタッフの気持ちが届いたのか、日本映画史上初となるアメリカ軍の協力を得ることができ、基地内で勤務する兵士もエキストラとして参加することとなった。
公開記念特別番組 放送決定!
映画『Fukushima 50』の公開を記念した特別番組の放送が決定!
佐藤浩市、渡辺 謙ら豪華出演者への独占インタビュー、リアルに再現されたセットでの撮影メイキング映像など、2020年最大の注目作 映画『Fukushima 50』の魅力に迫る!
- ※下記日程にて特番を放送いたします。
- ※放送時間は予告なく変更される場合があります。ご了承ください。
公開記念スペシャルサイト:https://movie.walkerplus.com/special/f50/
横浜ブルク13:13:45-16:00 (122分)
映画『Fukushima 50』はなぜこんな「事実の加工」をしたのか …
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70707
https://togetter.com/li/1478542
映画「Fukushima50」糸井重里氏が高評価→町山智浩氏がそれを批判…から『いのちを捧げる』の議論