予告編
全米初登場No.1大ヒット
本年度賞レースを席巻
リーマンショックで全てを失ったストリッパーたちが、ウォール街の裕福な男達から大金奪い取る、驚愕の実話!!
ジェニファー・ロペス率いる、シスター・フッド映画の金字塔が誕生!!
"刺激的で、煌びやかな世界の果てに、彼女たちが見た景色とはー。?"
監督/脚本:ローリーン・スカファリア
原案:ジェシカ・プレスラー (ニューヨーク・マガジン記事「The Hustlers at Scores」)
キャスト: コンスタンス・ウー、ジェニファー・ロペス、ジュリア・スタイルズ、キキ・パーマー、リリ・ラインハート、リゾ、カーディ・B
提供:REGENTS、ハピネット
配給:REGENTS
2019/アメリカ/110分/5.1ch/シネスコ/原題:HUSTLERS
© 2019 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
リーマンショック後のニューヨークを舞台に、ストリップクラブで働く女性たちがウォール街の裕福なサラリーマンたちから大金を奪う計画を立てたという実話を、ジェニファー・ロペスと「クレイジー・リッチ!」のコンスタンス・ウーのダブル主演で映画化。年老いた祖母を養うためストリップクラブで働き始めたデスティニーは、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナと出会う。ストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになってきたデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せる。いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは変わらず、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだましとる計画を企てる。
公式サイト:http://hustlers-movie.jp/
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハスラーズ
INTRODUCTION
全米初登場No.1&アカデミー賞大本命!
映画『IT/イット THE END“それ”が見えたら、終わり。』を押さえ初日ランキング1位(2019.9.13付 / Box Office Mojo調べ)を獲得、映画評論家からも絶賛の声を集め、アナリストたちの予想を大きく超え、興行収入100億円を突破する大ヒットを記録。本年度の映画賞レースにも予想を超える勢いでノミネートや受賞が続いており、アカデミー賞&ゴールデングローブ賞も有力視されている。
実際に起きた事件の取材記事をもとに映画化
この映画は、2008年のリーマン・ショック後、急激に景気が悪化したニューヨークにて、ストリップクラブで働く4人のダンサーが中心となり、ウォール街の裕福な男たちから数年に渡って大金を巻き上げた、2013年に摘発された事件の実話に基づく。2013年から当事者や警察など関係者に取材を重ね、2015年に「NewYork Magazine」誌に掲載されたジェシカ・プレスラーによる記事“ザ・ハスラーズ・アット・スコア(原題:The Hustlers at Scores)” から着想を得て、製作された。
アメリカで強く支持される女性たちが豪華共演
主演・製作総指揮は、女優としても活躍するラテンの歌姫ジェニファー・ロペスが務め、世界的に大ヒットした映画『クレイジー・リッチ』のコンスタンス・ウーがダブル主演。現在アメリカでブレイクしている人気女性ラッパーのカーディ・Bと、オリジナルの個性と存在感で高い人気を誇るシンガーでラッパーのリゾが、本作で映画女優デビューをしたことも話題となっている。ラッパーのアッシャーとGイージーもカメオ出演。ミュージックビデオさながらのスタイリッシュな映像、リアーナ、ジャネット・ジャクソン、リル・ウェイン、ブリトニー・スピアーズほか、2000年代前半のヒット曲やショークラブで定番のダンス・ナンバーがストーリーを彩る。脚本・監督・共同プロデューサーは、スティーヴ・カレルとキーラ・ナイトレイ主演による2012年の映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』で映画監督デビューしたローリーン・スカファリア。女たちの女たちによる映画が完成した。
STORY
刺激的な毎日、贅沢な暮らし、煌びやかな世界の果てに彼女たちが見た景色とは─。
幼少の頃に母に捨てられ、祖母に育てられたデスティニー(コンスタンス・ウー)は、祖母を養うため、ストリップクラブで働き始める。そこでトップダンサーとして活躍するラモーナ(ジェニファー・ロペス)と出会い、協力し合うことで大金を稼ぐようになり、姉妹のように親しい関係になってゆく。ダンサー仲間のダイヤモンド(カーディー・B)からもストリップでの振る舞いをレクチャーされ、デスティニーは祖母とともに安定した生活ができるようになる。
しかし2008年、リーマン・ショックによる影響で世界経済は冷え込み、ストリップクラブで働くダンサーたちにも不況の打撃が押し寄せる。シングルマザーとしての生活費や、収監中の恋人の弁護士費用など、それぞれの差し迫った事情で“お金が必要”というストリッパーたちに、ラモーナは「真面目に働いても生活が苦しいのに、経済危機を引き起こした張本人であるウォール街の金融マンたちは、なぜ相変わらず豊かな暮らしをしているのか」と言い、ウォール街の裕福な男たちから金を騙し取る計画を企てる。
実際の事件に基づくクライム・エンターテインメント作品『ハスラーズ』は、ウォール街で働く男たちに対して形勢逆転を図ろうとする、女性ストリッパーたちを描いた作品だ。
ローリーン・スカファリア脚本・監督の本作は、ジェシカ・プレスラーによる「New York magazine」誌の記事“The Hustlers at Scores”にインスパイアされている。
ストーリーは、ユーモア、華やかさ、社会的な視点、チームとなって逆風に立ち向かう女性、という要素がミックスしている。脚本・監督のローリーン・スカファリアは語る。「この映画はダンサーの視点、クライム・ドラマ、ストリッパー映画、そして多くの人生を狂わせた経済の大混乱といった時代背景を織り交ぜた作品。ストリッパーという職業のせいで常に非難され続けてきた女性たち、また彼女たちの深すぎる友情が招く問題を取り上げたジェシカ・プレスラーの記事に強く惹かれたの」
プロデューサーのエルバウムは語る。「スカファリア監督自身がキャラクターたちをリスペクトしているからこそリアルに描けている。決して彼女たちを被害者扱いしたり、称えたりもしない。当時の世の中の情勢を理解することで、どのように彼女たちが生まれたのかを捉えている。」
スカファリア監督はキャラクターたちを家族のように感じていると言う。「彼女たちの経験すべてに共感できる。孤独との格闘や、自立を求める気持ち。母であり、友であり、姉妹であり、娘であり、立場の違いを超越する絆で彼女たちは繋がっている。」
コンスタンス・ウーは役作りのため、ストリップ業界の複数の女性たちと直接会って話し、彼女たちについて知ることに力を注いだ。ウーは語る。「デスティニーは幼い頃に母に捨てられたことから人を信じることができず、深い関係を築くことができない。だからこそ女友だちを求めるようになる。」
ジェニファー・ロペスは語る。「ラモーナには愛情はあるが、同時に複雑でどこか壊れている。彼女の野心が道徳観念を曇らせ、いつもギリギリのところで、周りの人たちが思い通りに動くように誘惑する。」
スカファリア監督は語る。「ラモーナは太陽のようにみんなを照らす存在。でも、太陽は同時に人を焼くこともできる。お母さん熊であると同時にゴードン・ゲッコー(映画『ウォール街』の主人公)でもある。その両面性が彼女をアンチヒーローにしている。」
ロペスもストリップクラブを何度も訪れ、ダンサーたちの話を聞いたと言う。「ポールダンシングの技術も含めてそこの空気のすべてをリアルに描きたかった。ほとんどのダンサーたちは実はただ自分自身と家族を養いたいだけ、日々の生活のために働いているだけだと知りました。彼女たちの問題は100%共感できるし、その事実をしっかりと伝えたかった。」
スカファリア監督は、「脚本を書き上げた瞬間からジェニファーの姿が浮かんでいて、彼女はラモーナを完璧に自分のものにしてくれた。」と語る。
キキ・パーマーは、自分が演じたメルセデスについて語る。「メルセデスは怖いもの知らずでユーモアがあるから好き。みんなのことを姉妹だと思っていて、一緒にいることで希望を抱いている。自分たちが置かれた立場をみんな理解していて、生き抜くためにできることをしているの。」
4人の中で最年少のアナベルを演じたリリ・ラインハートは語る。「純粋なのに刺激的で、少し無知なキャラクターを演じるのはとても楽しかった。彼女はとても弱っていて、ラモーナの母性に惹かれてすぐに仲間になったの。」
カーディ・Bが演じるダイヤモンドは少し先鋭的で毒舌で個性的だ。スカファリア監督はカーディ・Bのファンであり、『ハスラーズ』にどうしても彼女を出演させたかったと言う。「彼女は人としてもアーティストとしてもずば抜けていて、役に信憑性を持たせることができると思った。」
カーディ・Bにとってはこの企画にロペスとスカファリア監督がいたことが、プロジェクトに参加する決め手となったそうだ。
人気シンガーでありラッパーでフルート奏者、女優としても活躍するリゾは、本作のリズ役で長編映画デビューを果たした。「お尻を振って踊るのは大好きだし、ダンサーたちは地球上で最も強い女性だと思うし、(サイズの)大きな女性を代表することに意味があると思ったわ。」
スカファリア監督は語る。「リゾのためにこのキャラクターを作りました。彼女は非常に才能のあるパフォーマーでとても明るい存在なので、(劇中の)クラブシーンでもその明るさが欲しかったの」
トレイシー役のトレイス・リセットは、「トランスペアレント」でゴールデンタイムのTVシリーズに出演するトランスジェンダー女優として知られている。彼女は実際に8年間ニューヨークの某有名ストリップクラブで働いていた経験があり、『ハスラーズ』の企画を知ってすぐに行動したという。「私はストーリーとキャラクターにとても親しみを感じて、監督にストリッパーという職業を人間的に描いていることが嬉しいこと、ストリップダンサーとして働いていた経験を伝えました。本作のキャラクターたちは皆、自分と家族の生活のために必死に働いている。彼女たちの仲間意識はとても貴重で、生きるために必要なもの。多くの女性たちが共感できると思うわ。」
彼女たちが手の込んだ詐欺に手を染めた理由は、男性が支配する壊れたシステムの最下層に追いやられ、その状況から抜け出そうとしたからだ。誰もが自分と家族を養い、アメリカン・ドリームを掴もうとしている。それでも彼女たちの行為は犯罪であり許されるものではない。
彼女たちの行動について、ロペスは語る。「彼女たちはアンチヒーローであり、操作されたゲームを生き延びようとしたサバイバーです。2008年に国を危機に陥れた連中に復讐するために始めたはずだったのに、一度手を染めてしまうとやめるのがとても難しくなってしまった。」
劇中で示されるジェンダーへの見解について、印象深いセリフがあるとロペスは言う。「ほとんどの男が女に騙されたことを認めない。彼らのプライドが邪魔をして詐欺を通報できない。彼らは女のことを知ろうなどとは思っていない。ただ自分の理想の女を求めているだけ。まさか彼女たちが自分を騙せるなんて思ってもいない。彼らは妄想の世界で自分のことを無敵だと思っている。だから不意を突かれるのよ。」
スカファリア監督はダンサーだけでなく、詐欺被害者の男性たちにも同情すると言う。「何かひとつの職業やジェンダーを悪だと決めつけたくはありません。彼女たちはとても不利な立場だけれど、男性たちにも同情するところがある。ほとんどの場合、男性は富と権力で評価され、女性は容姿で評価される。すべてのジェンダーにとって、今の社会システムは壊れてしまっているの。」
役者にとってストリップダンサーを演じるためのハードルは沢山あったが、なかでも一番大変だったのがポールダンスだ。ダンサー役は全員ポールダンスのトレーニングが必須で、指導は元シルクドソレイユのパフォーマー、ジョアンナ・サパキーが担当した。「ポールダンスのトレーニングをしていて、人生で経験したことのないほどの筋肉痛を味わったわ。」とウーは言う。
普段から毎日ワークアウトをしているロペスでさえ、人生で一番大変だったと言う。「6カ月間この映画のためにトレーニングしました。持ち運びのできるポールをどこにでも持って行って、一度もレッスンをサボらなかった。今まで使ったことのない筋肉を使ったし、毎回アザだらけになった。肩と背中は未だに回復中よ!」
衣装デザインを担当したミッチェル・トラヴァーズは、「ダンサーとしての衣装は、女性が女性のために着る服ではなく、男の視線のために着る服を選んだわ。」と語る。
「ヘムラインだろうと胸の谷間だろうと、彼女たちは使えるものはなんでも使い、客の前ではそのスタイルを武器化する。アクション映画で男性が防弾チョッキや銃を装備するように、彼女たちの衣装はそれに相当する威力を持っているの。」
トラヴァーズは当時の流行りを調査し、それぞれのキャラクターに合ったスタイルを考えた。「ラモーナは成功者であり、参考にしたセレブは、2007年頃のジェニファー・ロペスだった」とトラヴァーズは笑いながら話す。「デスティニーのスタイルは、ティラ・テキーラ、ファーギー、アシュリー・シンプソン。メルセデスは完全にアシャンティと全盛期のビヨンセをイメージした。アナベルに関しては、まずは背景設定を考え、南部育ちで、注目されることが好きで、他のダンサーたちと仲良くできる彼女にはマイリー・サイラスを参考にしました。」
衣装、デザイン、時代背景も非常に重要な要素だが、本作で一番大切なのはやはり女性たちの繋がりだ。ウーは語る。「映画をご覧になったみなさんが彼女たちを気に入ってくれたら嬉しいです。彼女たちは完璧ではないけど、そこが良いと思う。不平等な世の中で、彼女たちなりのベストを尽くして生きているだけです。」
ロペスはこの映画にある大切なテーマについて語る。「すべての人間がリスペクトされるべきだし、思いやりをもって接してもらう権利がある。選んだ生き方だけで評価されるべきではありません。たとえそれが間違った選択だったとしても、誰もがハッスルしていて、駆け引きをしていて、必死に毎日を戦っています。女性は常に性的な目線で見られているけど、それを武器として稼ごうとすると途端に非難される。映画のなかでストリッパーはいつも使い捨てにされています。『ハスラーズ』はそうした女性たちの人生を深堀りし、彼女たちの良さ、悪さ、醜い部分まですべてを曝け出している。映画を観る人たちには、現実味のあるストーリーやキャラクターを楽しんでもらえると思います。」
スカファリア監督も語る。「観客のみなさんがこのストーリーを楽しんでくれることを願っています。私はこのキャラクターたちや当時の世界観をスクリーンに表現できたことが誇りであり、この映画が、特定の職業やそこで働く人たち、特に今まで過小評価されてきた人たちを理解することの大切さを広めてくれることを願っています。」
監督・脚本:
ローリーン・スカファリア LORENE SCAFARIA
https://ja.wikipedia.org/wiki/ローリーン・スカファリア
1978年5月1日、アメリカ、ニュージャージー州ホルムデルタウンシップ生まれ。スティーヴ・カレルとキーラ・ナイトレイ主演による2012年のロマンティック・コメディ『エンド・オブ・ザ・ワールド』で映画監督デビュー。そのほかの監督作はスーザン・サランドン、ローズ・バーン、J・K・シモンズが出演する映画『マダム・メドラー おせっかいは幸せの始まり』(15年)など。2020年には脚本を担当する映画『Soul(原題)』が公開予定。その他、映画『キミに逢えたら!』(08年)の脚本を担当、FoxのTVシリーズ「New Girl ~ダサかわ女子と三銃士」と「Ben & Kate」の監督・プロデューサーも務めている。また、映画『ランダム 存在の確率』(13年)には役者として出演。シンガーソングライターとしてドリュー・バリモア監督の映画『ローラーガールズ・ダイアリー』(09年)に楽曲提供するなど、幅広い分野で活躍している。
kino cinema 横浜みなとみらい:14:25-16:20 (110分)
https://www.youtube.com/watch?v=Tw4G11r_DLM
町山智浩『ハスラーズ』を語る 2/7公開
アメリカではジョーカーを抜いて大ヒット!
『ハスラーズ』っていうタイトルは日本語だと「ボッタクラーたち」という意味。
実際に起った事件で2008年のウォール街での大変な金融危機があった前後の話。
主人公はデスティニーというストリッパー。
法で罰せられない羽振りのいいウォール街の証券マンたちからお金をぼったくる彼女たちの復讐を町山さんが名解説。
https://eiga.com/movie/91824/special/
私たちは、もう媚びない――無敵の“シスター・フッド映画”が
日本上陸! 美しきストリッパーたちが、ウォール街を“釣った”衝撃の実話
興奮、驚愕、感動の映画体験…男性社会にとどめ刺す、鮮烈かつ重要な一作
ストリップクラブで働く女性たちが、エリート金融マンたちを“釣り”、大金を巻き上げていた――。2月7日から公開を迎える「ハスラーズ」は、2008年の金融恐慌(いわゆるリーマン・ショック)のさなかにウォール街で起きた“衝撃の実話”を描き出す、クライム・エンタテインメントだ。
“無敵”の女性たちの活躍に、観客は性別に関係なく高揚し、背中がグッと押されるのを感じるはずだ。そして本作は、鮮烈な娯楽映画であると同時に、パラダイムシフトを象徴する重要な一作でもある。
【魅力全開のキャラクター】ジェニファー・ロペスがアカデミー賞級の熱演!
ゴージャスな女優陣が、きらびやかでスマートな“媚びない女性たち”を体現
“釣り”とは、ストリッパーたちがクラブに客を連れて行き、キックバックを得る営業行為を指す。バーなどで裕福そうな男性に絡み、「ストリップクラブに行きましょうよ」とささやき、強引にブラックカードを切らせる。本作の登場人物たちは、男性に媚びることをやめ、そうして大金を奪っていくのだ。
実はこの作品、全米で興行収入100億円超を稼ぎ出した大ヒット作だ。躍進を支えたのは、ゴージャスなスター女優たちが演じる、きらびやかなキャラクターである。
・一躍ブレイクのコンスタンス・ウー扮するデスティニー
物語の主人公。「クレイジー・リッチ!」のコンスタンス・ウーが演じる。祖母を養うためストリッパーとして働き始めるが、いまいち稼ぎが少ない。そこで、ひときわ輝く女性ラモーナと接近する。彼女と友情を育みレクチャーを受けた結果、収入がケタ違いにアップ。豪華な生活を手に入れ、結婚・出産も経験し仕事を辞めた。
ところが08年の金融恐慌により世界中の景気が低迷し、デスティニーも貧相な生活に逆戻り。再びストリッパーとして働き始めたものの、不況のあおりで客の質が悪く、チップも少なく、なにより孤独だった。そんななか、ラモーナと再会する……。
・奇跡の50歳、ジェニファー・ロペスが演じるラモーナ
物語のもうひとりの主人公。“女神”とも言える美ぼうと、男性・女性問わず虜にする母性とカリスマ性を備えており、恐慌後に釣りで儲けることを画策する。
演じるのはラテンの大スター、ジェニファー・ロペス。50歳を迎えるが美しさに陰りはない。序盤のハイライトにロペスのポールダンスがある。ポールに長い手足を絡ませると、しなやかな筋肉がスポットライトに照らされ、彫像のような神秘的な陰影が浮かび上がる。そんな姿に男たちは狂喜し、ステージにはチップの紙幣が乱れ飛ぶのだ。
・K・パーマー&L・ラインハート演じるメルセデス&アナベル
恋人のため弁護士費用を稼がなければならないメルセデス役を、「ドリームズ・カム・トゥルー」のキキ・パーマーが軽快に演じる。そして、緊張がマックスに達すると嘔吐してしまうアナベル役を、ドラマ「リバーデイル」シリーズで人気を博したリリ・ラインハートがキュートに担っている。彼女らも恐慌によって翻弄され、ラモーナたちと行動をともにするようになり、無類のチームワークを発揮する。
・超人気ラッパー、カーディ・B&リゾが映画デビュー!
共演陣には、ラップファンが驚くような面々がそろった。豊満な体型を隠さないポリシーが愛されるリゾと、すい星のごとく現れグラミー賞に輝いたカーディ・B(元ストリッパーでもある)が、ストリップクラブのメンバー役に。2人は本作が映画デビューとなる。
さらにアッシャーとGイージーもカメオ出演。すみずみまでゴージャス、暴力的なまでにセクシーなキャスト陣が、物語を盛り上げていく。
【予告編】私たちは、もう媚びない―― エネルギッシュでセクシーな快作!
【巧みで質の高い物語】 女性&男性編集者が本編レビュー!
うわついた気分で見てみたら… 予期せぬ“インパクト”にグッときた
第77回ゴールデングローブ賞の主演女優賞に ノミネートされるなど、特に女優陣のクオリティが高く評価されている。では実際に鑑賞すると、どんな感情が得られるのか。映画.comの女性&男性編集者によるレビューを、以下に掲載しよう。
・女性編集者は…「勇気をもらった」
学生時代は「メイド・イン・マンハッタン」みたいな恋愛に憧れたなあ……ロペスの名前にそんなことを思い出していました。でも、見始めたらびっくり。現在のロペスのギラギラとした姿にしびれました。年齢を重ねて美ぼうに磨きのかかったロペスが体現したのは、どんなときでもめげない“姉御肌”ラモーナの芯の強さと、孤独を抱える女性たちに“家族”のような愛情を与える優しさ。
ラモーナみたいな人に出会いたい――いやいや、私だっていつかはきっと彼女みたいに強く生きられるはず。ロペスからの“エール”を受けて、少しだけ勇気を持ってそう思えるようになりました。
・女性だけじゃない! 男性編集者も「満足感がすごい」
デスティニーたちが男を陥れていく様子が非常にスリリングで、盛り上がって「うおお!」と叫びたくなります。そして物語の終盤、それまでの幸福な場面がブワーッと連続して映し出されるんです。その演出が狂おしいくらい好きなので、見た瞬間、僕はもうダメでした。涙が止まらない。鑑賞後の満足感がすごい。女性映画だと侮ってスルーするのは、機会損失ですよ、これは。札束を握りしめて映画館に向かいましょう。
“マッチョイズムの限界”にとどめを刺す、刺激的かつ重要な一作
“壊れた男性社会”を生き抜く女性たち、というモチーフの意味とは――
あらかじめ言っておくと、筆者は30代の男性だ。
ロペス自身が製作を担い、「エンド・オブ・ザ・ワールド」のローリーン・スカファリア監督が手がけた本作は、「男性社会はすでに壊れている」と断罪する。劇中のラモーナは、金融恐慌は男性たちの身勝手なマネーゲームが引き起こしたとし、「だから私たちが、あいつらから奪う」と啖呵を切る。粗暴とも言える雑な手口で男性を籠絡していく過程は、美しさだけが女性を表現する手段ではなく、もはや女性性を強調する必要もないと決定づけているように見えた。
2019年に公開された映画を鑑賞し続けるなかで、いくつかの作品が共通のテーマを抱えていることに目が留まった。それは、“マッチョイズム(男性的なたくましさ、それに基づく主義)の限界”。主人公が物語を旅するなかで、男性中心の社会に対する生きづらさや構造的限界が表出する。そしてある決断をするが、その先にマッチョイズムの放棄、あるいは女性性の救済があらわれる、という筋書きだ。
例えばマーティン・スコセッシ監督作「アイリッシュマン」は、男性中心の組織である“マフィア”が好き放題の末にやがて塵芥となり、あとには何も残らなかったという荒涼たる結末を寓話的に描出した。「ターミネーター ニュー・フェイト」は3人の女性を主役に、それまでのシンボルだったアーノルド・シュワルツェネッガーをサポートに据えることで、世界の未来を暗示してみせた。
ほかにも「アド・アストラ」「ジェミニマン」などに、マッチョイズムを象徴する主人公らが、皮肉にも男性社会の問題点を明らかにするというモチーフを根底に感じた。円熟味を増す大スターが(意識的にせよ、無意識的にせよ)そんな物語を紡いだ点が、示唆に富んでおり非常に興味深い。
そして「ハスラーズ」は、強引に金を奪う(Hustle)女性たちの姿とともに、世間体のため被害を告白できない男性たちの滑稽さにスポットライトを当てる。傑出した娯楽性と刺激を備えながら、上述の潮流を極めて明確に表現し、マッチョイズムに三行半を突きつけるのだ。そうした作品が興行的大成功を収め、多くの映画賞で評価されている事実は無視できない。世界規模で急速に変容する社会を映し出した、重要な一作だ。