予告編
いったい何と闘えば、家族を幸せにできるの?
『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケン・ローチ監督が描く、美しく力強い家族の絆。
日本でも大ヒットを記録した『わたしは、ダニエル・ブレイク』を最後に映画界からの引退を表明していた、イギリスを代表するケン・ローチ監督。名匠が引退宣言を撤回してまで描きたかったのは、グローバル経済が加速する中で変わっていく人々の働き方と、時代の波に翻弄される「現代の家族の姿」だ。
『家族を想うとき』12/13(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開
「麦の穂をゆらす風」「わたしは、ダニエル・ブレイク」と2度にわたり、カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督作品。現代が抱えるさまざまな労働問題に直面しながら、力強く生きるある家族の姿が描かれる。イギリス、ニューカッスルに暮らすターナー家。フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した父のリッキーは、過酷な現場で時間に追われながらも念願であるマイホーム購入の夢をかなえるため懸命に働いている。そんな夫をサポートする妻のアビーもまた、パートタイムの介護福祉士として時間外まで1日中働いていた。家族の幸せのためを思っての仕事が、いつしか家族が一緒に顔を合わせる時間を奪い、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンは寂しさを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう。2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
公式サイト:https://longride.jp/kazoku/staff.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/家族を想うとき
2016年カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝き、日本でも大ヒットを記録した『わたしは、ダニエル・ブレイク』。この傑作を最後に、一度は表舞台から降りたケン・ローチ監督。だが、同作のリサーチ中に社会の底辺で目の当たりにした〈現実〉が彼の心の中に生き続け、いつしか〈別のテーマ〉として立ち上がり、どうしても撮らなければならないという使命へと駆り立てた。引退表明を撤回した名匠が最新作で描いたのは、グローバル経済が加速している〈今〉、世界のあちこちで起きている〈働き方問題〉と、急激な時代の変化に翻弄される〈現代家族の姿〉だ。2019年のカンヌ国際映画祭では、「私たちがやらねばならないことはひとつ。耐えられないことがあれば、変えること。今こそ変化の時だ」という、公式上映後のケン・ローチ監督のスピーチがさらなる拍手を呼んだ感動作が、ようやく日本にもやって来る。
舞台はイギリスのニューカッスル。ターナー家の父リッキーはフランチャイズの宅配ドライバーとして独立。母のアビーはパートタイムの介護福祉士として1日中働いている。家族を幸せにするはずの仕事が家族との時間を奪っていき、高校生の長男セブと小学生の娘のライザ・ジェーンは寂しい想いを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう──。
リッキー役には配管工として20年以上働いた経験を持つクリス・ヒッチェン、アビー役には映画は本作が初出演となるデビー・ハニーウッドなど、オーディションを勝ち抜いた新鋭キャストが揃った。スタッフには『わたしは、ダニエル・ブレイク』に引き続き、ケン・ローチ監督が厚い信頼を寄せる精鋭スタッフが集結。脚本は『スイート・シクスティーン』などを手掛け、ケン・ローチ作品に欠かせないポール・ラヴァティ。音楽は『遠い夜明け』などでアカデミー賞®︎に5度ノミネートされたジョージ・フェントン。撮影は『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞®︎にノミネートされたロビー・ライアン。
個人事業主とは名ばかりで、理不尽なシステムによる過酷な労働条件に振り回されながら、家族のために働き続ける父。そんな父を少しでも支えようと互いを思いやり懸命に生き抜く母と子供たち。日本でも日々取り上げられている労働問題と重なり、観る者は現代社会が失いつつある家族の美しくも力強い絆に、激しく胸を揺さぶられるだろう。
STORY
イギリス、ニューカッスルに住むある家族。ターナー家の父リッキーはマイホーム購入の夢をかなえるために、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立を決意。「勝つのも負けるのもすべて自分次第。できるか?」と本部のマロニーにあおられて「ああ、長い間、こんなチャンスを待っていた」と答えるが、どこか不安を隠し切れない。
母のアビーはパートタイムの介護福祉士として、時間外まで1日中働いている。リッキーがフランチャイズの配送事業を始めるには、アビーの車を売って資本にする以外に資金はなかった。遠く離れたお年寄りの家へも通うアビーには車が必要だったが1日14時間週6日、2年も働けば夫婦の夢のマイホームが買えるというリッキーの言葉に折れるのだった。
介護先へバスで通うことになったアビーは、長い移動時間のせいでますます家にいる時間がなくなっていく。16歳の息子セブと12歳の娘のライザ・ジェーンとのコミュニケーションも、留守番電話のメッセージで一方的に語りかけるばかり。家族を幸せにするはずの仕事が家族との時間を奪っていき、子供たちは寂しい想いを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう──。
ケン・ローチ監督 KEN LOACH
1936年6月17日、イングランド中部・ウォリックシャー州生まれ。電気工の父と仕立屋の母を両親に持つ。「キャシー・カム・ホーム」(66)で初めてTVドラマを監督、『夜空に星のあるように』(67)で長編映画監督デビューを果たし、『ケス』(69)でカルロヴィヴァリ国際映画祭グランプリを受賞。その後、世界三大映画祭などで高い評価を受け続けている。特にカンヌ国際映画祭では「ブラック・ジャック」(79)、『リフ・ラフ』(91)、『大地と自由』(95)が国際批評家連盟賞を、「ブラック・アジェンダ/隠された真相」(90)、『レイニング・ストーンズ』(93)、『天使の分け前』(12)が審査員賞を受賞。労働者や社会的弱者に寄り添った人間ドラマを描いた作品で知られる。その他、政治的信念を色濃く反映させたドキュメンタリー映画「1945年の精神」(13)などがある。前作『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)は世界中で賞賛を受け、2016年のカンヌ国際映画祭で『麦の穂をゆらす風』(06)に続く2度目のパルムドールを受賞。同賞の2度の受賞はミヒャエル・ハネケらと並んで最多受賞記録である。前作を最後に引退を宣言していたが、今もなおイギリスや世界中で拡大し続ける格差や貧困の現実を目の当たりにし、今どうしても伝えたい物語として引退を撤回し本作を制作した。
1967 『夜空に星のあるように』
1969 『ケス』
1991 『リフ・ラフ』
1993 『レイニング・ストーンズ』
1994 『レディバード・レディバード』
1995 『大地と自由』
1996 『カルラの歌』
1998 『マイ・ネーム・イズ・ジョー』
2000 『ブレッド&ローズ』
2001 『ナビゲーター ある鉄道員の物語』
2002 『スイート・シクスティーン』
『11’09”01/セプテンバー11』
(1エピソード)
2004 『やさしくキスをして』
2005 『明日へのチケット』
(1エピソード)
2006 『麦の穂をゆらす風』
●2006 カンヌ国際映画祭 パルムドール
2007 『この自由な世界で』
2009 『エリックを探して』
2010 『ルート・アイリッシュ』
2012 『天使の分け前』
2014 『ジミー、野を駆ける伝説』
2016 『わたしは、ダニエル・ブレイク』
●2016 カンヌ国際映画祭 パルムドール
2019 『家族を想うとき』
https://ja.wikipedia.org/wiki/ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァティ PAUL LAVERTY
1957年インド・カルカッタ生まれ。『カルラの歌』(96)で、ケン・ローチ監督と初めて組み、『スイート・シクスティーン』(02)でカンヌ国際映画祭脚本賞、『この自由な世界で』(07)ではベネチア国際映画祭脚本賞を受賞している。『カルラの歌』以降のほぼ全てのローチ作品の脚本を担当し、名作を生み出し続けている。
ジャック&ベティ:11:05-12:45 (100分)
原題のSorry We Missed Youとは「ご不在につき失礼」といった宅配事業者の不在届を意味している。
ゼロ時間契約労働者
新自由主義経済における中産階級の没落
町山智浩 ケン・ローチ監督作品『家族を想うとき』を語る
https://miyearnzzlabo.com/archives/60005
名匠ケン・ローチが『家族を想うとき』で問う「私たちにとって仕事とは何なのか」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5df07838e4b06a50a2e6accd
映画『家族を想うとき』を観ると 英国はまだ壊れていなかった
https://www.fnn.jp/posts/00049405HDK/201912131800_hiraifumio_HDK
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/and_M/20191106/6913130/