予告編
2018年・第71回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、ケニア映画として初めてカンヌ国際映画祭に出品された一作。強くひかれ合う2人の少女が、古いしきたりや偏見、同性婚を禁じる法律など社会の壁にぶつかりながらも本当の自分であろうとする姿を、音楽やダンス、ファッション、アートなど現代のアフリカンカルチャーにのせて描いた。看護師を目指す少女ケナは、母親とふたり、ケニアの首都ナイロビで暮らしてた。母と離婚した父親とは離れて暮らしているが、国会議員に立候補して父をケナは応援している。そんなある時、父の対立候補の娘で自由奔放な少女ジキと出会う。ケナとジキは互いにひかれ合い、その思いは次第に友情から恋心へと変化していくが……。
公式サイト:https://senlis.co.jp/rafiki/
イントロダクション
ケニアのカラフルな最新カルチャーにのせて、自由な恋愛と幸せな未来を夢見るふたりを描く感動作!
2018年、カンヌ国際映画祭史上初のケニアからの出品(ある視点部門)という快挙を成し遂げると共に、トロント、シカゴ、ロンドン、ロッテルダムなど100以上もの映画祭に出品され、世界から熱く支持されたにもかかわらず、本国ケニアでは観ることのできない作品がある。ふたりの女性が恋に落ちる物語であることから、いまだ同性愛が違法とされ、禁固刑に処されることもあるケニアで上映禁止となったのだ。のちに、米アカデミー賞?外国語映画賞へのエントリーの条件を満たすために、ナイロビのある映画館で2018年9月23日から9月30日の1週間だけ上映が決定。「長蛇の列」「チケットを求める電話が殺到」というニュースがSNSを飛び交った話題作が、ついに日本にもやってくる。
監督は、長編映画監督デビュー作でアフリカのアカデミー賞を獲得、その後の作品でも数々の賞の栄誉を受け、今最も輝く才能と絶賛されているワヌリ・カヒウ。ケナを演じるのは、ミュージシャンで本作が映画初出演となるサマンサ・ムガシア。まじめで責任感が強くリーダーシップがとれるが、実は繊細な魂を抱えたケナを細やかな表情のうつろいで演じた。ヴィジュアルアーティストやモデルとしても活躍、ファッショニスタとしてのセンスが、ユニセックスでクールな衣装の着こなしに光る。ジキには、監督業にも進出したシェイラ・ムニヴァ。まるでケニアの太陽のように明るく、エネルギーに満ち溢れたジキを生き生きと演じた。レインボーカラーのヘアスタイルと大胆なメイク、フェミニンでキュートなファッションが、観る者の目を楽しませてくれる。
人を好きになること、幸せになること、それはこの世に生まれてきたすべてのひとに与えられたギフト。その天からの贈りものを奪うことは、誰にもできないはず。音楽、ダンス、ファッション、アート──ポップでカラフルなアフリカンカルチャーにのせて、国境もジェンダーも肌の色も、すべてのボーダーを超えて、人生を豊かにする人と人との出会いと絆を描く感動作。
ストーリー
ナイロビの街角に机と椅子を並べただけの売店で、いつものように仲間とムダ話をするケナ(サマンサ・ムガシア)。ここケニアでは普通の考え方なのだが、女性は働かず良い妻になればいいと言うブラックスタ(ネヴィル・ミサティ)や、ゲイの噂のある青年を嫌悪する友達に、ケナは違和感を覚えるようになっていた。仲間と別れたケナは、父親(ジミ・ガツ)が経営する雑貨店を手伝いに行く。両親が離婚し、父とは別々に暮らしていたが、国会議員選挙に出馬した父を応援はしていた。
仕事を終えて再び売店に立ち寄ったケナは、ゴシップが大好きな店主のアティム(ムトニ・ガテカ)から、父の再婚相手に男の子が生まれると聞いて動揺する。帰宅したケナは、自分の口からはとても母(ニニ・ワシェラ)には言えなかった。だが数日後、教会の礼拝で一同が顔を合わせてしまう。 もやもやした想いを抱えていたケナに、心躍る出会いが訪れる。父の対立候補オケミ(デニス・ムショカ)の娘ジキ(シェイラ・ムニヴァ)だ。ジキが友達とフザケてケナの父親の選挙ポスターをはがしたことから会話を交わすようになったのだが、虹色の髪にカラフルなファッションとメイクで、自由奔放にストリートで踊る彼女は輝いていた。 看護師になりたいという目標を打ち明けるケナを、「医者にもなれるのに」と励まし、大学へ行く前に「世界を見たい」と宣言するジキ。古いしきたりに縛られて生きたくないと意気投合したふたりは、「私たちは本物になろう」と誓い合うのだった。
数日後、遊園地へと繰り出したふたりは、離れ難く夜通し共に過ごすうちに、互いの恋心に気づき、口づけを交わす。だが、ケナは朝帰りの姿を見た父から、支援者の信頼を失うから、対立候補の娘とは付き合うなときつく言い渡される。
父の反対がなくとも、ケニアでは同性愛は違法だ。しかし、法律さえもふたりの燃え上がる想いを止めることはできない。ふたりは街の片隅に捨てられた廃車の中で、夢のような時間を過ごし、愛を深め合っていく。 そんななか、ジキの母親(パトリシア・アミラ)が、ふたりの本当の関係に気づき、ケナの母親に知らせて引き裂こうとする。ふたりは手に手を取って家を出るが、行くあてなどなかった。廃車へと逃げ込み、「どうするの?」「ふたりで暮らそう」と見つめ合ったその時、運命から現実を突きつけられたふたりは、本物の自分か、家族や友人、社会が望む自分か、厳しい選択を迫られる──。
Big World Cinema
スティーブン・マコヴィッツ 率いる1994年設立の会社。 長編映画・ドキュメンタリーのプロデュース作品に、『Viva Riva!』(トロント国際映画祭、ベルリン国際映画祭/11)、『Beats of the Antonov』(トロント国際映画祭ドキュメンタリー部門観客賞/14)、『Stories of Our Lives』(トロント国際映画祭、ベルリン国際映画祭テディ賞審査員特別賞/15)、『Silas』(トロント国際映画祭、アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭/17)、『Winnie』(サンダンス映画祭ワールド・シネマ・ドキュメンタリー・コンペティション部門最優秀監督賞/17)、『High Fantasy』(トロント国際映画祭、ベルリン国際映画祭/18)などがある。 短編映画は、『Husk』(カンヌ国際映画祭短編コンペティション部門/99)、『Inja』(アカデミー賞ノミネート/02)など。 アフリカ全域で広く製作・配給を行っている。
Afrobubblegum
楽しく、力強く、突飛なアフリカンアートの支援・制作・仲介を行うメディア会社。ストーリーテラー、衣装制作者、グラフィックデザイナー、ミュージシャン、人生を愛する者、喜びの先駆者、美の追求者、希望の提唱者で構成されている。作品を通して、アフリカの喜び、愛、幸せを表現するキュレーター、コレクター、クリエイターを賛美し、インターネット上でもたびたび取り上げられている。
【製作について】
本作の製作は、2012年の脚本開発ワークショップに始まり、6年が費やされた。多数の海外出資者の支援と、南アフリカの製作会社Big World Cinemaを筆頭とする6社のプロデューサーの参加により、2016年12月にプリプロダクションが始まった。撮影は2017年3~4月に4週間かけて、ナイロビの団地や市街地で行われた。外国人の部門チーフ 4名を除き、スタッフ全員がナイロビを拠点とするケニア人。監督、脚本家、部門チーフ、スタッフ、インターン、サウンドトラックのアーティストの多くが女性であり、クリエイティブ業界で働く若いケニア人女性の才能が結集した作品である。
ワヌリ・カヒウ 監督
ケニア、ナイロビ生まれ。アフリカ新世代のストーリーテラーの一人であり、脚本や映画が国際的に高く評価されている。彼女の作品は、世界中の多数の映画祭で上映された。現在までに6作の脚本・監督を手掛けていて、『ラフィキ』は長編2作目となる。楽しく、力強く、突飛なアフリカンアートの支援・制作・仲介を行うメディア会社Afrobubblegumの共同設立者でもある。 2009年、M-Net のTVシリーズ「Great Africans」の一部として、ノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイの生涯を追ったドキュメンタリー「For Our Land」(09)を制作。 同年、SF短編映画『Pumzi』(09)を、フォーカス・フィーチャーズ、ゲーテ・インスティトゥート、ケニアのChanga Moto Fundから助成を受けて監督、2010年にサンダンス映画祭で上映された。この作品は、2010年5月にカンヌ・インディペンデント映画祭で最優秀短編賞、2010年にカルタゴ映画祭で短編部門銀賞を受賞した。 2017年にTEDフェロー、2018年に世界経済フォーラムの文化リーダーに選ばれた。さらに、同年に初監督長編映画『From A Whisper』を完成させた。この作品は、1998年にナイロビとダル・エス・サラームで起きた、アメリカ大使館爆破事件に基づいた作品で、アフリカ映画のアカデミー賞の最優秀監督賞と最優秀作品賞、ザンジバル国際映画祭のゴールデン・ダウ賞、Kalasha映画&テレビ賞の最優秀作品賞などを受賞した。 また、初の児童書として「The Wooden Camel」(Lanata Publishing刊)を出版。現在は、長編ドキュメンタリー『GER (To Be Separate)』のポストプロダクション、ナイロビを舞台にした近未来SF映画『Rusties』のプリプロダクションに取り組んでいる。
■受賞歴
- Pumzi(南アフリカ、ケニア/21分/2010年)
- ヴェネツィア国際映画祭チッタ・ディ・ヴェネツィア賞
- アフリカ・ライジング国際映画祭最優秀短編賞
- カルタゴ映画祭短編部門銀賞
- カンヌ・インディペンデント映画祭最優秀短編賞
- ザンジバル国際映画祭審査員特別賞
- From A Whisper(ケニア/79分/2008年)
- タリファ映画祭最優秀俳優賞
- パン・アフリカン映画祭最優秀作品賞
- ION映画祭最優秀長編賞
- ザンジバル映画祭最優秀東アフリカ映画賞
- アフリカ映画アカデミー賞最優秀作品賞/最優秀監督賞/最優秀サウンドトラック賞/最優秀脚本賞/最優秀編集賞
イメージフォーラム:15:00- 16:30 (82分)
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/2949/
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14258398.html
ケニアについて
ケニア共和国(ケニアきょうわこく)、通称ケニアは、東アフリカに位置する共和制国家で、イギリス連邦加盟国である。北にエチオピア、北西に南スーダン、西にウガンダ、南にタンザニア、東にソマリアと国境を接し、南東はインド洋に面する。首都はナイロビ。公用語はスワヒリ語、英語。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国旗は前売り特典のステッカーにもなっているこちら。
ケニアの国旗(ケニアのこっき、Flag of Kenya)は、独立に伴い1963年12月12日に制定された。
黒は国民、赤は独立のために流れた血、緑は豊かな自然を表している。中央にあるのはマサイ族の盾と槍。