予告編
特報映像
「万引き家族」で第71回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した是枝裕和監督が、初めて国際共同製作で手がけた長編作品。母と娘の間に隠された真実をめぐる物語を、フランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュの共演で描く。フランスの国民的大女優ファビエンヌが自伝本「真実」を出版し、それを祝うためという理由で、アメリカに暮らす脚本家の娘リュミールが、夫でテレビ俳優のハンクや娘のシャルロットを連れて母のもとを訪れる。早速、母の自伝を読んだリュミールだったが、そこにはありもしないエピソードが書かれており、憤慨した彼女は母を問いただすが、ファビエンヌは意に介さない。しかし、その自伝をきっかけに、母と娘の間に隠されていた愛憎渦巻く真実が次第に明らかになっていく。女優として優れていることを何よりも優先するファビエンヌをドヌーブ、娘のリュミールをビノシュが演じた。そのほかリュミールの夫ハンク役でイーサン・ホーク、ファビエンヌの共演女優役でリュディビーヌ・サニエら実力派キャストが顔をそろえる。2019年・第76回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品。日本人監督の作品として初めて、同映画祭のオープニング作品として上映される。
公式サイト:https://gaga.ne.jp/shinjitsu/
https://ja.wikipedia.org/wiki/真実_(2019年の映画)
Introduction
2018年、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭のパルムドールという最高の栄誉に輝いた是枝裕和監督。彼がカンヌの授賞式直後に向かった先は、ニューヨークだった。目的は、イーサン・ホークとの出演交渉のため。監督初となる国際共同製作作品『真実』が、既に動き始めていた。
豪華キャスト、スタッフとの言語と文化の違いを楽しみながら乗り越えていく、刺激的なチャレンジとなった『真実』は、日本人監督初となる、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品に選出。更なる国際的な活躍に、映画界の期待がより一層高まる。
主演は、映画界の至宝、『シェルブールの雨傘』のカトリーヌ・ドヌーヴ。彼女の娘役に、『ポンヌフの恋人』のジュリエット・ビノシュ。その夫役に、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた『6才のボクが、大人になるまで。』のイーサン・ホーク。錚々たるキャストを迎え、母と娘の愛憎うず巻く感動ドラマが誕生した。さらに本作は、日本人監督初となる、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門オープニング作品に決定。世界を股に掛けた、更なる活躍に早くも期待が高まる。
STORY
世界中にその名を知られる、国民的大女優ファビエンヌが、自伝本「真実」を出版。海外で脚本家として活躍している娘のリュミール、テレビ俳優として人気の娘婿、そのふたりの娘シャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書─。“出版祝い”を口実に、ファビエンヌを取り巻く“家族”が集まるが、全員の気がかりはただ一つ。「いったい彼女は何を綴ったのか?」
そしてこの自伝に綴られた<嘘>と、綴られなかった<真実>が、次第に母と娘の間に隠された、愛憎うず巻く心の影を露わにしていき―。
監督:是枝裕和
早稲田大学卒業後、独立TVプロダクション「テレビマンユニオン」でドキュメンタリー番組などを演出。1995年、初監督映画「幻の光」がベネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞(撮影賞)などを受賞。「DISTANCE ディスタンス」(01)と「誰も知らない」(04)の2作が連続でカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、後者で当時14歳だった柳楽優弥に日本人初・史上最年少での男優賞をもたらした。その後も国際的に高く評価され、福山雅治を主演に迎えた「そして父になる」(13)で第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の審査員賞を受賞。同映画祭には、続く「海街diary」(15)がコンペ部門、「海よりもまだ深く」(16)がある視点部門に出品された。福山と再タッグを組んだ「三度目の殺人」(17)は、ベネチア国際映画祭のコンペ部門に出品され、日本アカデミー賞では作品賞・監督賞・脚本賞・編集賞など6部門の最優秀賞に輝いた。18年の「万引き家族」で第71回カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞。日本映画として、今村昌平監督の「うなぎ」以来21年ぶりの快挙を果たした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/是枝裕和
是枝裕和監督インタビュー
── 作品全体のトーンが非常に軽やかですね。
読後感の明るいものを作りたいという想いが強くありました。前作がバッドエンドだったとは思いませんが、今回は自分の中でも最も明るい方へ振ろうと決めて現場に入りました。
── フランスの二大女優との共演に、イーサン・ホークさんを選ばれた理由は?
一番やりたい役者だったからです。(リチャード・)リンクレイターとの仕事を見ていて、今回のような作品を面白がってくれるだろうと。(カトリーヌ・)ドヌーヴさんも俳優として彼のことが大好きで、正式に決まる前から脚本を「イーサンをイメージして読んだ」とおっしゃっていました。
── ホークさんとは撮影前にどんなお話をされましたか?
最初に、「なぜ、僕が演じるハンクはわざわざフランスまで行くんだろう」と。役者から疑問をぶつけられるのは、とても大事なことです。(樹木)希林さんにも、よく聞かれました。母親に幸せな家族を見せつけるためだとか、彼が実はお酒をやめていてなど、全てイーサンとのやり取りの中で作っていきました。ハンクの弱点を書いてくれて、非常に演じやすくなったと言われましたね。
── オーディションでマノン・クラヴェルさんを選ばれた理由は?
声ですね。劇中のマノンも魅力的なハスキーボイスだという設定に変えました。
── リュディヴィーヌ・サニエさんは?
彼女は元々、僕の作品を気に入ってくれていて。彼女に合わせて少し書き直しました。
── 脚本執筆で、文化や慣習の違いなどはどうされましたか?
プロデューサー陣に第一稿を読んでもらった時に、「こういう言い方はしない」「この設定は違う」という意見が出たので、それを受け止めて修正していくという作業をしました。この年齢の子供とは川の字では寝ないとか、フランス人は70歳を過ぎても階段なんか気にしないとか。全てを受け入れたわけではありませんが。
── 週休2日、1日8時間の規則的な撮影だったそうですね。
フランスでは、映画というものが、観ることも撮影することも日常なんです。日本はお祓いから入って寝食を共にして、お祭りやイベントですよね。僕に関して言うと、一度も体調を崩すこともなく、正しいやり方だと思いましたが、今日は調子が出てきたからもう少し撮りたいなと物足りないところもありました。
── 演出方法は変えられましたか?
今までと同じ方法でやらせてもらいました。最初は変えるつもりだったんです。(ジュリエット・)ビノシュさんから自分の中に役を落とし込むのに3週間かかるから、前日に台本を直して当日渡すようなことはやめてほしいと言われたので。その時はそうすると約束したのですが、撮影が始まったらすぐに破ってしまいました。ビノシュさんは「諦めた」と言ってましたね(笑)。
── 脚本が変わることに関して、ドヌーヴさんの反応は?
ドヌーヴさんは、お昼に来てメイクをしながら台本を開くので、変わっていてもいなくても関係ないんです。そこに呼ばれて、「今日のここなんだけれど、こういう風に言っていいかしら」と。マノンの目を見て「小鹿みたい」と褒める台詞もそうです。いろいろ提案してくださる。希林さんと一緒でしたね。
── 現場でのお二人は?
ドヌーヴさんは、どのシーンも必ず素晴らしいテイクがある。そこがやっぱりすごいと思います。自分でもわかっていて、それが出るととても嬉しそうにされて、「今のが、OK」と。「今晩8時にディナーの約束をしているの」という日は、早い段階でそれが出ましたね(笑)。その点、ビノシュさんは正反対で、既にベストなテイクがあっても、もっとよくなるんじゃないかと何度もトライしたいタイプでした。
── 母と娘の対決と和解のシーン、二つの山場があります。
対決のシーンは、昼間のうちにたまっていったリュミールの想いが噴出し、娘に引き金を引かれた母親がどう反撃しつつ、ある種のもろさを出すかというところが重要でした。和解のシーンは、抱き合った後に女優に戻る母に娘が仕掛け返すシーン、あれは撮影途中で書いたシーンで、何テイクか撮って編集で着地点を決めています。
── 撮影監督のエリック・ゴーティエさんは?
素晴らしかったです。人間と空間を非常に瑞々しく撮っている。僕がカットバックで考えていたものをワンカットで撮るなど、すごく動き回っているのですが、全てが的確なワークで見事でした。
── 音楽は?
今回は、多幸感のある音楽をと考えて、いくつか送ってもらったデモを聞いて、アレクセイ・アイギに依頼しました。テーマは動物園。ファビエンヌに魔法で動物に変えられた大人たちがいるにぎやかな空間に、孫娘が遊びに来た時に響いている音楽というイメージです。
T・ジョイPRINCE品川:13:40-15:35 (108分)
努力賞だが、映画としては企画段階から無理があった。