森美術館「塩田千春展:魂がふるえる」
「塩田千春展:魂がふるえる」トレイラー
森美術館「塩田千春展:魂がふるえる」参考資料映像:Bloomberg Television《ブリリアント・アイデア》
ベルリンを拠点にグローバルな活躍をする塩田千春は、記憶、不安、夢、沈黙など、かたちの無いものを表現したパフォーマンスやインスタレーションで知られています。個人的な体験を出発点にしながらも、その作品はアイデンティティ、境界、存在といった普遍的な概念を問うことで世界の幅広い人々を惹きつけてきました。なかでも黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせたダイナミックなインスタレーションは、彼女の代表的なシリーズとなっています。
本展は、塩田千春の過去最大規模の個展です。副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが込められています。大型インスタレーションを中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを加え、25年にわたる活動を網羅的に体験できる初めての機会になります。「不在のなかの存在」を一貫して追究してきた塩田の集大成となる本展を通して、生きることの意味や人生の旅路、魂の機微を実感していただけることでしょう。
公式サイト:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/shiotachiharu/
塩田千春の過去最大、最も網羅的な個展
世界各地で精力的に作品を発表している塩田千春は、美術館、国際展、ギャラリーなどで、これまでに約300本の展覧会に参加しており、近年では年間20本前後の展覧会に参加するなど、国際的にも高い評価を得ています。日本では2001年の第1回横浜トリエンナーレに出展した《皮膚からの記憶》にて注目を集め、2008年には国立国際美術館(大阪)で「精神の呼吸」、2012年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川)で「私たちの行方」、2013年に高知県立美術館で「ありがとうの手紙」など数々の個展を開催。2015年には第56回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展(イタリア)の日本館代表として《掌の鍵》を展示しました。
本展は、1990年代の初期作品やパフォーマンスの記録から、代表的なインスタレーション、最新作までを網羅的に紹介する、過去最大規模の個展となります。
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/20030
『美術手帖』2019年8月号(美術出版社)2019-07-05