予告編
論争必至!各国の映画祭で途中退場者続出!日本のすべての配給会社が買付けを拒否した問題作を、ウェブサイト「トカナ」が初配給!
1981年、フランス・パリで起きた前代未聞の猟奇殺人事件に全世界が震えた。一人の日本人が、愛した女性を射殺し、彼女のすべてを食べつくした。その男の名は、佐川一政。事件から38年、佐川はカメラの前で何を語り、何を見せるのか…!?全世界にスキャンダラスでセンセーショナルな旋風を巻き起こした映画史上空前の問題作が、この夏、遂に奇跡の日本解禁!
原題:Caniba 監督・撮影・編集・製作:ヴェレナ・パラヴェル、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー出演:佐川一政、佐川純、里美瑶子
2017年/フランス・アメリカ合作/90分/カラー作品/DCP
R15+/配給:TOCANA ©Norte Productions,S.E.L
1981年にフランス・パリで起きた猟奇殺人事件「パリ人肉事件」の犯人・佐川一政の現在にスポットを当てたドキュメンタリー。81年、パリに留学中の日本人男性・佐川一政が、オランダ人女性を射殺して遺体を食すという衝撃的な事件を起こす。帰国後、佐川は異端の文筆家として注目を集めメディアにも度々登場するが、2000年代半ば以降は表舞台から姿を消していた。2013年に脳梗塞で倒れて歩行が困難となり、実弟の介護を受けながら年金暮らしを送る佐川に、フランスの撮影クルーが15年6月から約1カ月間にわたって密着。弟との奇妙な関係性を浮き彫りにしつつ、佐川の心の奥にある「カニバリズム」を追求していく。監督は「リヴァイアサン」を手がけた人類学者で映像作家のルーシァン・キャステーヌ=テイラーとベレナ・パラベル。第74回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門で審査員特別賞を受賞。
公式サイト:http://caniba-movie.com
1981年、フランス・パリで起きた前代未聞の猟奇殺人事件に全世界が震えた。一人の日本人が、愛した女性を射殺し、彼女のすべてを食べつくした。その男の名は、佐川一政。事件から38年、佐川はカメラの前で何を語り、何を見せるのか…!? 世界は今、知られざる〈人間、佐川一政〉の姿を、こんなにも間近に、見ることになる。 あまりに衝撃的な内容に各国の映画祭で途中退場者続出! 日本のすべての配給会社は買付けを拒否! その一方、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門はこの作品に審査員特別賞を与え、世界の優れたドキュメンタリー作品に与えられるシネマ・アイ・オナーズ賞では、佐川一政がアンフォゲッタブルズ賞を受賞した。論争必至! 炎上上等! 全世界にスキャンダラスでセンセーショナルな旋風を巻き起こした映画史上空前のエクストリームな問題作が、この夏、遂に奇跡の日本解禁! 監督・製作・脚本・撮影・編集を手がけたのは、ロカルノ映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した海洋ドキュメンタリー『リヴァイアサン』(12)で世界的に注目された、ハーバード大学感覚民族誌研究所のディレクターでもある人類学者で映像作家のルーシァン・キャステーヌ=テイラーと同研究所所属の映像作家ヴェレナ・パラヴェルのコンビ。
2人は東日本大震災後の福島を題材とする作品の調査中に、日本のピンク映画界に興味を持ち、来日して監督たちとの交流を深めて佐藤寿保監督の『眼球の夢』(16)をプロデュースするまでに至った。2人はその撮影中、同作に出演者として参加していた佐川一政と知り合い、本作の企画がスタートした。撮影は2015年6月から約1ヵ月にわたり、数多くの日本映画のスタッフの協力を得て行われた。 映画は2013年に脳梗塞で倒れて以来、実弟の介護を受けて暮らしている佐川一政に、至近距離からの徹底したクローズアップで密着する。さらに、幼い頃の8ミリのホームムービー、帰国後に佐川が描いた漫画、出演したAVなども盛り込みながら、彼に幼少期の思い出や起こした事件の詳細、帰国後の活動をふりかえらせ、闇を抱え続ける彼とそれを支える弟の“今”をむき出しにしていく。曖昧な記憶、鮮明な欲望、過剰な接近遭遇によって浮かび上がる魂の極北。これは、映画の常識を超越した、ある人間観察の記録である。 出演はほぼ全編、佐川一政と実弟、佐川純の兄弟2人だけだが、映画の終盤、佐川の希望で実現したというメイドのコスプレ姿の女性が佐川を介護する場面に、数多くのピンク映画やオリジナルビデオに出演する人気女優、里見瑶子が出演している。
『カニバ/パリ人肉事件38年目の真実』はカニバリズムの意味を問う映画だ。これまで佐川一政は安易な怒りの標的になったり、好奇の目で描かれる存在に過ぎなかったが、我々は彼のカニバリズム的欲望をそれに相応しい重々しさで扱うことを試みた。 カニバリズムは普通に思われているよりも“人間の条件”に近い。それは、カニバリズムが人類学的探究における古くからの主題であり続け、数々の文学作品でも陰に陽に描かれてきたことを思い起こせば十分だろう。 また、カニバリズムがセクシャリティとスピリチュアリティに密接に関わっていることも見逃してはならない。たとえば、他者と一つになるという欲望。キリスト教における化体と贖罪への憧れ。生理血嗜好や吸血といった行為はカニバリズム的欲望の1つの表現であるし、かつてポリネシア、アメリカ大陸、オーストラリア、アジア、ヨーロッパにおいて広くカニバリズムが行われていたことは、人類の進化にカニバリズムが大きく関与してきたことを裏付けている。つまり、カニバリズムは太古から人類の本質を成すものであり、現代において抑圧された途方もない欲望なのだ。 1981年6月13日、パリ第3大学の博士課程に在籍していた当時32歳の佐川一政は、2つのスーツケースをパリ郊外の公園に遺棄しているところを逮捕された。スーツケースの中には彼のクラスメートだったルネ・ハルデルベルトというオランダ人女性の腐乱死体が入っていた。その2日前の夕食時、ルネはエルランジェ十番通りにある佐川のアパートでドイツ・ロマン派の詩を翻訳していたところ、後頭部を銃で撃たれた。佐川はルネの遺体を屍姦し、その肉を食べた。その後、彼はブルーニュの森の池に彼女の遺体を捨てた。事件の2年後に彼は心神喪失で不起訴となり日本に送還された。1985年8月12日、佐川は精神病院から自ら退院している。 それ以来彼は自由人であり、自身の犯罪(小説、マンガ、無数のドキュメンタリー番組など。アダルトビデオでは犯罪の状況を再演した。加えて、料理評論家として糊口を凌いできた)。こうしたことからも分かるように、彼はカニバリズムを恥じていないどころか、それを飯の種にすることを自身の罪に対する適切な罰だと考えている。驚くべきことに、彼は今も人肉(最初は金髪の白人女性だったが、今は日本人への欲望が増している)を食べることへの絶え間ない欲望を語っている。 そうした理由から、佐川が犯した罪に対して紋切り型の道徳をふりかざしても、彼が演じているグロテスクな仮面を剥ぎ取り、その仮面の裏にある「弱弱しく混乱したひとりの人間」を炙りだすことはできない。本作では、佐川が自身の罪に対してある種の道徳的な罰、あるいは自身の食人的欲望に対する何らかの理解に到達しようと無駄に探し求める姿を見ることになる。 撮影は東京郊外にある彼の小さな自宅と病室で行われた。映像には彼の日常生活や、彼の弟である純さんとの長い対話が収録されている。佐川は数年前から脳梗塞に苦しみ、糖尿病を患っている。弟の純さんが甲斐甲斐しく佐川を介護している姿が映し出されるが、映像が進むにつれ、この2人の愛憎入り混じった複雑な関係がゆっくりと明らかになるだろう。
――監督・撮影・編集・製作:ヴェレナ・パラヴェル、 ルーシァン・キャステーヌ=テイラー
ヴェレナ・パラヴェル
Verena Paravel
ハーバード大学感覚民族誌学研究所に所属するフランス人映画作家、人類学者。彼女の作品は、ボストン、パリ、ニューヨークのギャラリーで上映され、ニューヨーク近代美術館の常設コレクションに収蔵されている。これまで「Foreign Parts」(J.P.Sniadeckiと共同監督、2010)、「Interface Series」(2009-10)、「7Queens」(2008)などを発表。「Foreign Parts」は2010年ロカルノ国際映画祭で最優秀初長編・審査員特別賞、2011年プントデヴィスタでグランプリを受賞。ニューヨーク・タイムズ批評欄の推薦リストに選ばれ、2010年ニューヨーク映画祭と2010年ウィーン国際映画祭に正式招待された。現在パリのSPEAP(School of Political Arts)マスタークラスの教員であり、ハーバード大学でも人類学を教えている。
ルーシァン・キャステーヌ=テイラー
Lucien Castaing-Taylor
ハーバード大学感覚民族誌学研究所のディレクターであり、映像作家。後期旧石器時代以降の人間と動物たちとが1万年ものあいだ育んできた不安定な関係、同時にアメリカ西部開拓時代についての非感傷的なエレジーである「Sweetgrass」(共同監督IIisa Barbash、2009)、西部劇が喚起する田舎の魅惑やその両義性についてのヴィデオ・インスタレーションと写真のシリーズ「Hell Roaring Creek」(2010)、「The High Trail」(2010)などを発表。他にトランスナショナルなアフリカ美術市場における正統性や鑑識眼、人種間の政治学を問う民俗誌のヴィデオ作品「In and Out of Africa」(共同監督llisa Barbash、1992)や、ロサンゼルスの衣料品製造業における児童労働と搾取工場を映した「Made in USA」(共同監督llisa Barbash、1990)などがある。
ヒューマントラストシネマ渋谷:20:35-22:10 (90分)
https://ttcg.jp/human_shibuya/movie/0559400.html
佐川事件は、カニバリズム(人肉食)よりも、murder(殺人)の経緯の方が実は興味深いのではないか。