予告編
世界中の図書館員の憧れの的である世界屈指の知の殿堂、ニューヨーク公共図書館の舞台裏を、フレデリック・ワイズマン監督が捉えたドキュメンタリー。19世紀初頭の荘厳なボザール様式の建築物である本館と92の分館に6000万点のコレクションを誇るニューヨーク公共図書館は、地域住民や研究者たちへの徹底的なサービスでも知られている。2016年にアカデミー名誉賞を受賞したドキュメンタリーの巨匠ワイズマンが監督・録音・編集・製作を手がけ、資料や活動に誇りと愛情をもって働く司書やボランティアの姿をはじめ、観光客が決して立ち入れない舞台裏の様子を記録。同館が世界で最も有名である理由を示すことで、公共とは何か、そしてアメリカ社会を支える民主主義とは何かを浮かび上がらせていく。リチャード・ドーキンス博士、エルビス・コステロ、パティ・スミスら著名人も多数登場。第74回ベネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞。
<世界最大級の「知の殿堂」>ニューヨーク公共図書館
世界中の図書館員の憧れの的であり、ニューヨーク有数の観光スポット。本作の主役は、荘厳な19世紀初頭のボザール様式の建築で知られる本館と92の分館からなる世界最大級の<知の殿堂>ニューヨーク公共図書館だ。この図書館は、作家サマセット・モーム、ノーマン・メイラー、トム・ウルフ、画家アンディ・ウォーホルなど文学、芸術などの分野でも多くの人材を育ててきた。またここは世界有数のコレクションを誇りながら、“敷居の低さ”も世界一と言えるほど、ニューヨーク市民の生活に密着した存在でもある。その活動は、「これが図書館の仕事⁉」と私たちの固定観念を打ち壊し、驚かす。
観光客は決して立ち入れない舞台裏へ
映画には、リチャード・ドーキンス博士、エルヴィス・コステロやパティ・スミスなど著名人も多数登場するが、カメラは図書館の内側の、観光客は決して立ち入れないSTAFF ONLYの舞台裏を見せていく。図書館の資料や活動に誇りと愛情をもって働く司書やボランティアたちの姿。舞台裏のハイライトともいえる何度も繰り返される幹部たちの会議―公民協働のこの図書館がいかに予算を確保するのか。いかにしてデジタル革命に適応していくのか。ベストセラーをとるか、残すべき本をとるのか。紙の本か電子本か。ホームレスの問題にいかに向き合うのか。その丁々発止の意見のやりとりは、目が離せない。
アメリカ映画界の“生ける伝説”フレデリック・ワイズマン最新作
監督は2016年にアカデミー名誉賞を受賞したドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン。1967年の第1作以来、89歳となる現在にいたるまで1年~1年半に1本のペースで新作を発表。2018年のヴェネチア国際映画祭で第42作にあたる最新作を発表したばかりの“生ける伝説”だ。12週間に及んだ撮影から、この場面の次はこの場面しかないという厳格な選択による神業のような編集により、この図書館が世界で最も有名である<理由>を示すことで、公共とは何か、ひいてはアメリカ社会を支える民主主義とは何かをも伝える。図書館の未来が重要な意味を持つ、必見の傑作ドキュメンタリーがここに完成した。
公式サイト:http://moviola.jp/nypl/
https://eiga.com/movie/87388/review/02089006/
https://www.iwanami-hall.com/movie/ニューヨーク公共図書館-エクス・リブリス
https://www.fashion-press.net/news/46323
https://ja.wikipedia.org/wiki/ニューヨーク公共図書館_エクス・リブリス
監督:フレデリック・ワイズマン
ドキュメンタリー映画の巨匠。アメリカのイェール大学ロー・スクール卒業後、仏・パリでも法律を学び、帰国して弁護士になる。軍隊生活を経験した後、弁護士として働きながらボストン大学やハーバード大学で教鞭をとった。シャーリー・クラーク監督「クールワールド」(64)のプロデュースを機に映画界に足を踏み入れ、「チチカット・フォーリーズ」(67)で監督デビュー。70年に制作会社「ジポラフィルム」を設立し、米国の刑務所や病院、高校といった組織の構造に鋭く切り込むドキュメンタリーを数多く発表し続けている。日本での主な劇場公開作品は「コメディ・フランセーズ 演じられた愛」(96)、「パリ・オペラ座のすべて」(09)など。ドキュメンタリー以外では「セラフィータの日記」(80)、「最後の手紙」(02)の劇映画2作品を撮っている。
岩波ホール:10:15-13:55 (205分)10分休憩
『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 公開記念パネルディスカッション:ニューヨーク公共図書館と<図書館の未来>
ニューヨーク公共図書館幹部役員キャリー・ウェルチさんが来日し、日本の図書館関係者とのディスカッションに参加。
社会のデジタル化がすすみ、全世界の図書館が新しいあり方を模索する中で、ニューヨーク公共図書館(NYPL)は、驚くほどに多彩な活動を成功させ、世界中から注目されている図書館です。彼らは、その活動を実現するために、いかに認知度をあげ、いかに支援者を獲得しているのでしょうか。アカデミー賞名誉賞受賞の巨匠フレデリック・ワイズマン監督が、ニューヨーク公共図書館の舞台裏に迫った傑作ドキュメンタリー『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の公開を記念し、ニューヨーク公共図書館幹部キャリー・ウェルチさんが来日。第一部ではキャリーさんとともに、ニューヨーク公共図書館を取材した名著で知られる在米ジャーナリスト・菅谷明子さんをお迎えし、トークと映画の紹介。第二部では、キャリーさん、菅谷さんと日本の図書館関係者、研究者など豪華パネラーが参加したパネルディスカッションが開催されました。
開催日時:2019年4月9日(火)
会場:日比谷図書文化館コンベンションホール