予告編
旧東ドイツの巨大スーパーを舞台に、社会の片隅で助け合う人々の日常を穏やかにつづったヒューマンドラマ。旧東ドイツ生まれの作家クレメンス・マイヤーの短編小説「通路にて」を、同じく旧東ドイツ出身のトーマス・ステューバー監督が映画化した。ライプツィヒ近郊の田舎町に建つ巨大スーパー。在庫管理係として働きはじめた無口な青年クリスティアンは、一緒に働く年上の女性マリオンに恋心を抱く。仕事を教えてくれるブルーノは、そんなクリスティアンを静かに見守っている。少し風変わりだが素朴で心優しい従業員たち。それぞれ心の痛みを抱えているからこそ、互いに立ち入りすぎない節度を保っていたが……。「未来を乗り換えた男」のフランツ・ロゴフスキが主演を務め、ドイツアカデミー賞で主演男優賞を受賞。マリオン役に「ありがとう、トニ・エルドマン」のサンドラ・フラー。2018年・第68回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。
内気で引きこもりがちなクリスティアン(27歳) (フランツ・ロゴフスキ)は、ある騒動の後に建設現場での仕事をクビになり、在庫管理担当としてスーパーマーケットで働き始め、レジでの雑踏やフォークリフトなど、自分にとって全く未知の世界に放り込まれる。そして彼はルディ(アンドレアス・レオポルト)、クラウス(職場で唯一ハンドパレットトラックの操縦を許可されている) (ミヒャエル・シュペヒト)、ユルゲン、飲料セクションのブルーノ(ペーター・クルト)と出会う。ブルーノは、クリスティアンに仕事のいろはやフォークリフトの操縦の仕方を教え、クリスティアンにとって父親のような存在になる。通路で、クリスティアンはスイーツセクションの同僚のマリオン(39歳) (ザンドラ・ヒュラー)と出会い、彼女の謎めいた魅力に一瞬で惹かれる。コーヒーマシーンのある休憩所が彼らのおきまりの場所となり、二人は親密になっていくが..
公式サイト:http://kibou-akari.ayapro.ne.jp
https://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/19_in_the_aisles.html
Bunkamura ル・シネマ4/5(金)よりロードショー
監督 トーマス・ステューバー Thomas Stuber
1981年 旧東ドイツのライプツィヒ生まれ。
2012年 中編『犬と馬のこと』原作:クレメンス・マイヤー
2015年 長編『ヘビー級の心』脚本:クレメンス・マイヤー
2017年 長編『希望の灯り』原作・脚本:クレメンス・マイヤー
インタビュー
クレメンス・マイヤーの短編集「夜と灯りと」を読み始めて、短編小説「通路にて」を映画化したいとすぐに思いました。孤独な青年が業務スーパーの夜の通路に飛び込んでいくというアイディアが強く頭の中に残りました。傾斜路上の近くのアウトバーンから聞こえるカサカサとした音、シフト中に隠れて吸うタバコ、コーヒーマシーン、シフト終わりにスタッフ全員と握手するボス。マイヤーの物語には深みと悲劇がありますが、その細かい部分は明るみに出ません。多くのことが語られず、結末が分からないままのことも多々あります。読者は、また観客は、各ピースをつなぎ合わせなければならないのです。業務スーパーで起こる愛と死。”菓子部門”のマリオン、ブルーノ、ルディ、イリーナ、そして“パレット”のクラウス。コミュニティ、温かさ、そして小さな幸せは、業務スーパーの通路でしか起こらないのだと分かるのです。
原作・脚本・出演 クレメンス・マイヤー Clemens Meyer
1977年、東ドイツ・ハレ生まれ。建設作業、家具運送、警備などの仕事を経て、1998年から2003年までライプツィヒ・ドイツ文学研究所に学ぶ。ドイツ再統一前後の東ドイツ・ライプツィヒの不良少年たちのリアルな生態を描いた初長篇『おれたちが夢見た頃(英題:As We Were Dreaming)』(2006)は、“東独版トレインスポッティング”などと評されてベストセラーに。多数の文学賞を受賞し、舞台化され、のちに旧東ドイツ地域で育ったアンドレアス・ドレーゼン監督によって映画化。2015ベルリン映画祭コンペティション出品。2008年、2作目となる『夜と灯りと』でライプツィヒ・ブック・フェア文学賞受賞。ライプツィヒ在住。デビューしたてのころは、スキンヘッドで、半袖の腕には刺青、ドイツ文壇の“異端児”として様々な逸話も。
ユーロスペース:19:00-21:10 (125分)
Q&A: トーマス・ステューバー監督+フランツ・ロゴフスキ
『夜と灯りと』(杵渕博樹訳、新潮クレスト・ブックス)
原作短編「通路にて」を収録。元ボクサーの囚人、夜勤のフォークリフト運転士、ドラッグに溺れる天才画家、小学生に恋する教師、老犬と暮らす失業者、言葉の通じない外国人娼婦に入れ込むサラリーマン―。東西統一後のドイツで「負け組」として生きる人間たちの姿を、彼ら自身の視点からクールに鮮やかに、しかし深い共感を持って描き出す12の物語。極限まで切り詰めた言葉の積み重ねが、過酷な日常に射すかすかな光を浮き彫りにする。ライプツィヒ・ブック・フェア文学賞受賞。
ドイツ映画際HORIZONTE2019-Goethe-Institut Japan
Festival des Deutschen Films
(3月8日[金]—15日[金] ユーロスペース)
プロモーション映像
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/hor.html
ゲーテ・インスティトゥート東京は、3月8日〜3月15日、ユーロスペース(渋谷)にて、ドイツ映画祭HORIZONTE 2019 を開催します。今年は、最新のドイツ映画から厳選した8本の劇映画と2本のドキュメンタリー映画をラインナップしました。上映にあたっては監督や俳優が来日し、それぞれの作品の見どころを紹介します。どれも若い世代のドイツ人監督、あるいはドイツを拠点にする監督たちによる作品で、彼らを取り巻く多様で切実なテーマが生き生きと描かれています。オンラインチケットの前売り販売を開始しました。
HORIZONTE(ホリゾンテ=地平線)への視線は、遠く、未来を、新しく何かが生れる場所を見つめます。このHORIZONTE という名を冠した映画祭は、ダイナミックに変動する新世代のドイツ映画界から厳選した作品を紹介します。
HORIZONTE では、映画賞の受賞などを通じて高く評価されている作品や、社会・政治の現在を映し出すドキュメンタリー作品を上映するだけでなく、観客や俳優を招待し、その生の声を観客に届けます。ゲーテ・インスティトゥート東京によるHORIZONTE 2019 は、German Films とユーロスペース(渋谷)の協力の下、実現することができました。
上映ライナップは以下、8本の劇映画と2本のドキュメンタリー映画です。
『ロミー・シュナイダー〜その光と影〜』(オープニング作品、エミリ・アテフ監督によるQ&Aあり)、『父から息子へ〜戦火の国より〜』、『僕たちは希望という名の列車に乗った』(ラース・クラウメ監督によるQ&Aあり)、『未来を乗り換えた男』(主演俳優フランツ・ロゴフスキによるQ&Aあり)、『キャスティング』、『プチ・ブルの犬』、『希望の灯り』(トーマス・ステューバー監督、および主演俳優フランツ・ロゴフスキによるQ&Aあり)、『明日吹く風』、『マニフェスト』、『ソーシャルメディアの“掃除屋”たち』