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International Trailer
「イメージフォーラム・フェスティバル2018」(18年8月8~12日=スパイラルホール/8月4~12日=シアター・イメージフォーラム)で上映。「ドイツ映画祭HORIZONTE 2019」(19年3月8~15日/東京・渋谷ユーロスペース)で上映。
マルクスからダダ、未来派からシチュアシオニスト、フルクサスからラース・フォン・トリアーまで……。20世紀を代表するアート宣言へのオマージュ。アカデミー賞女優のケイト・ブランシェットが、小学校の先生、パンク・ロッカー、ホームレスの男などに扮し、さまざまなマニフェストの精神を具現化する。20世紀アートを牽引してきた数々の有名フレーズが纏う情熱。それらの言葉は、現在生きる我々にどのように響くのか。
『マニフェスト』ではオスカー女優ケイト・ブランシェットが時に教師、また時にホームレスとなり、ポップ・アートからドグマ95まで、20世紀のさまざまな芸術の潮流を作り上げた宣言を13のエピソードで演じる。映像作家ユリアン・ローゼフェルトによる監督のもと、国や時代、社会的身分や性別を越えたキャラクターを一人で演じきるブランシェットの演技力は圧倒的だ。作中、未来派やダダ、フルクサスなど、芸術組織のテキストや、芸術家個人の思索を監督が編集、13のコラージュに再構成した。芸術におけるマニフェストとは、新しいものを生み出す可能性と、教義として凝り固まる危険を併せ持つ。この映画は、そのマニフェストのアンビバレントな役割を見事に描き出している。
13人の異なる役を1人で演じるインスタレーション映画「マニフェスト/Manifesto」は映画の伝統、そして芸術家たちが残したマニフェストへ敬意を示した作品です。
また、オリジナルは映像作品ですが、映画として90分に編集されています。内容は20世紀に活躍したアーティストのマニフェスト、宣言をケイト・ブランシェット演じる13人のキャラクターの台詞として使うことで、マニフェストの持つパフォーマンス要素と政治的価値を探ることを目的としています。
60のマニフェスト、13の役柄、1人の役者
最新作「マニフェスト」は、13のスクリーンで構成される。その最初のスクリーンでプロローグとして現れるのは、燃えていく導火線のようすをゆっくり再生する映像だけだ。聞こえてくるのは、マルクスとエンゲルスによる共産党宣言(1848年)。すべてのマニフェストの「母」であるマニフェストからの言葉だ。それにトリスタン・ツァラの「ダダ宣言」、そしてフィリップ・スーポーの「文学」が続く。火花が散り、緊張が高まり、そして、何も起きない。すべてのマニフェストが、花火として存在を主張する。続く12のスクリーンでも同様だ。
近代のマニフェストを作り上げたのは、そのほとんどが男性の、若い芸術家だった。彼らは芸術にとどまらず、世界そのものまでも変えようとしたのだった。ローゼフェルトは、それぞれの映像のために60の作品から歴史的な原文をコラージュしてまとめ、現代のシーンに適用してみせる。文をカットし、コラージュすることで、13の詩的なモノローグが完成した。
公式サイト:http://www.imageforumfestival.com/2018/program-g
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/sta/tok/ver.cfm?fuseaction=events.detail&event_id=21456366
http://artconsultant.yokohama/manifesto-film/
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/mag/20927324.html
https://en.wikipedia.org/wiki/Manifesto_(2015_film)
監督:ユリアン・ローゼフェルト Julian Rosefeldt
監督、脚本、プロデューサーはドイツのベルリンで活動するジュリアン・ローズフェルト。2001年よりミュンヘンのファインアート学校の教壇にも立つアーティストです。
1965年ミュンヘン生まれ。1999年よりベルリン在住。2010年よりバイエルン美術アカデミー映画・メディアアート部門会員、2011年よりミュンヘン美術院デジタルメディア部教授。
インスタレーション「アサイラム」から、ほぼ15年が過ぎて制作されたインスタレーション「マニフェスト」。ユリアン・ローゼフェルトの最新のプロジェクトでは、凝った演出の映像に加え、芸術マニフェストの持つ言葉の力に注目だ。どちらも、今まさにホットなテーマを取り上げている。
ユリアン・ローゼフェルトは数年前のインタビューで、建築を学び始めたのは別に家を建てるためではなかった、と打ち明けている。ミュンヘンとバルセロナの大学での建築課程は修了したものの、建築を手がけたことは一度もない。すでに卒業制作で、ローゼフェルトはピエロ・シュタインレと共作で映像作品を作っている。そして、大学時代の同級生であるシュタインレとともに様々なインタレーションを制作した後も、ローゼフェルトはカメラを使った仕事を続けた。最初の数年はファウンド・フッテージ(埋もれていた映像)のみに取り組んだが、「アサイラム」(2001/2002年)は、ローゼフェルトが自ら演出を手がけた最初の映像プロジェクトである。
https://en.wikipedia.org/wiki/Julian_Rosefeldt
https://www.julianrosefeldt.com
出演:ケイト・ブランシェット
ユーロスペース:13:00-14:40 (95分) [13:15-14:55]
フルクサス(Fluxus)
https://ja.wikipedia.org/wiki/フルクサス
https://kotobank.jp/word/フルクサス-162177
1960年代前半にリトアニア系アメリカ人の美術家ジョージ・マチューナスが主導し、世界的な展開をみせた芸術運動、またグループを指す。日本では靉嘔、一柳慧、オノ・ヨーコ、小杉武久、塩見允枝子、刀根靖尚らが参加。63年のマチューナスによるマニフェストでは、ヨーロッパを中心とした伝統的な芸術に対抗する前衛的性質を掲げながらも、フルクサスの語源がラテン語で「流れる、なびく、変化する、下剤をかける」など多様な意味をもつように、流動、変化という点において厳密な定義が避けられた。
マチューナスが61年にニューヨークのマディソン・アヴェニューにオープンしたA/Gギャラリーでのイヴェントや、62-63年に西ドイツのヴィースバーデン市立美術館で企画された「フルクサス国際現代音楽祭」(その後、ヨーロッパ各地に巡回)が、フルクサスの初期の活動とされている。63年以降は、ニューヨークでのマチューナスによる名簿の作成といったグループの組織化、また新聞の発行やマルティプルの「フルックス・キット」の制作など、共同体としてのフルクサスを目指すプロデューサーとしての「具体主義」、「機能主義」的な活動が顕著となり、その活動は78年の死去まで継続された。フルクサスには、50年代のニュー・スクールでのJ・ケージの音楽や理論の影響が見られる。また美術家、音楽家、作家、舞踏家によるインターメディアという特徴を持ち、ケージやA・カプローらによって展開された非再現的で一回性の強い「ハプニング」とは異なる、スコアに基づいた日常的行為が「イヴェント」として実践された。(著者: 森啓輔)
塩見允枝子,『フルクサスとは何か? 日常とアートを結びつけた人々』フィルムアート社,2005
ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)
https://ja.wikipedia.org/wiki/ラース・フォン・トリアー
ドグマ95
https://ja.wikipedia.org/wiki/ドグマ95
「純潔の誓い」
1.撮影はすべてロケーション撮影によること。スタジオのセット撮影を禁じる。
2.映像と関係のないところで作られた音(効果音など)をのせてはならない。
3.カメラは必ず手持ちによること。
5.光学合成やフィルターを禁止する。
6.表面的なアクションは許されない(殺人、武器の使用などは起きてはならない)。
7.時間的、地理的な乖離は許されない(つまり今、ここで起こっていることしか描いてはいけない。回想シーンなどの禁止である)。
8.ジャンル映画を禁止する。
9.最終的なフォーマットは35mmフィルムであること。
- 監督の名前はスタッフロールなどにクレジットしてはいけない。
ドイツ映画際HORIZONTE2019-Goethe-Institut Japan
Festival des Deutschen Films
(3月8日[金]—15日[金] ユーロスペース)
プロモーション映像
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/sup/hor.html
ゲーテ・インスティトゥート東京は、3月8日〜3月15日、ユーロスペース(渋谷)にて、ドイツ映画祭HORIZONTE 2019 を開催します。今年は、最新のドイツ映画から厳選した8本の劇映画と2本のドキュメンタリー映画をラインナップしました。上映にあたっては監督や俳優が来日し、それぞれの作品の見どころを紹介します。どれも若い世代のドイツ人監督、あるいはドイツを拠点にする監督たちによる作品で、彼らを取り巻く多様で切実なテーマが生き生きと描かれています。オンラインチケットの前売り販売を開始しました。
HORIZONTE(ホリゾンテ=地平線)への視線は、遠く、未来を、新しく何かが生れる場所を見つめます。このHORIZONTE という名を冠した映画祭は、ダイナミックに変動する新世代のドイツ映画界から厳選した作品を紹介します。
HORIZONTE では、映画賞の受賞などを通じて高く評価されている作品や、社会・政治の現在を映し出すドキュメンタリー作品を上映するだけでなく、観客や俳優を招待し、その生の声を観客に届けます。ゲーテ・インスティトゥート東京によるHORIZONTE 2019 は、German Films とユーロスペース(渋谷)の協力の下、実現することができました。
上映ライナップは以下、8本の劇映画と2本のドキュメンタリー映画です。
『ロミー・シュナイダー〜その光と影〜』(オープニング作品、エミリ・アテフ監督によるQ&Aあり)、『父から息子へ〜戦火の国より〜』、『僕たちは希望という名の列車に乗った』(ラース・クラウメ監督によるQ&Aあり)、『未来を乗り換えた男』(主演俳優フランツ・ロゴフスキによるQ&Aあり)、『キャスティング』、『プチ・ブルの犬』、『希望の灯り』(トーマス・ステューバー監督、および主演俳優フランツ・ロゴフスキによるQ&Aあり)、『明日吹く風』、『マニフェスト』、『ソーシャルメディアの“掃除屋”たち』