予告編
「光と血」「オー!ファーザー」の藤井道人監督らが所属する映像プロダクション「BABEL LABEL」による、近未来を舞台にしたオムニバスムービー。2082年を舞台に、幼少期に見たVRシミュレーションの暗い未来が現実化し苦悩する男の姿を描いた「SIN」(出演:栁俊太郎、内田慈、手塚とおる/監督:志真健太郎)、2050年のクローンと人間が共生する世界で、自身がクローンの失敗作だったことを知らされる男を描く「失敗人間ヒトシジュニア」(出演:アベラヒデノブ、中村ゆりか、清水くるみ、深水元基/監督:アベラヒデノブ)、2038年のAIが医療を委ねられた世界で、AIと人間との関係性に疑問を抱く女子大生を描く「リンデン・バウム・ダンス」(出演:SUMIRE、小川あん/監督:HAVIT ART STUDIO)の3編で構成。
映画『デイアンドナイト』『青の帰り道』など、話題作が続いているクリエイティブチームBABEL LABEL。今注目を浴びている彼らが、オリジナル映画製作プロジェクト<BABEL FILM>を始動させ、実力派俳優たちが集結した。BABEL FILM 第1作目となる本作『LAPSE(ラプス)』は、3篇から成る未来を描く物語。
志真健太郎が監督・脚本を務める『SIN』は、2082年を舞台に、幼少期にシミュレーションで見た自分の暗い未来が現実化し、苦悩する男を描く。栁俊太郎、内田慈、比嘉梨乃、平岡亮、林田麻里、手塚とおるが出演。
アベラヒデノブが監督・脚本・主演を務める『失敗人間ヒトシジュニア』は、クローンと人間が共存する2050年を舞台に、自分がクローン人間の失敗作だったと知らされる男を描く。W主演に中村ゆりか、出演者は他に、清水くるみ、ねお、信江勇、根岸拓哉、深水元基が名を連ねている。
HAVIT ART STUDIOが監督・脚本を務める『リンデン・バウム・ダンス』は、AIに医療が委ねられた2038年を舞台に、AIと人間の関係に疑問を抱く女子大生を描く。SUMIRE、小川あんが出演。
志真健太郎は、2010年に映画監督・藤井道人と共にBABEL LABELを立ち上げ、自主的に映画や演劇を作り続けてきた。東日本大震災後の被災地、自動車会社のリコール問題、女性活躍推進など社会的な題材を取り上げ、強いメッセージを込める作品が多く、本作では「政府による教育管理」に苦しむ一人の青年を描いている。
アベラヒデノブは、映画『想像だけで素晴らしいんだ-GO TO THE FUTURE-』(19)など監督・脚本家として、園子温監督のスマホ映画『うふふん下北沢』(17・主演)など俳優としてマルチな活躍を見せている。本作では、ただ単に否定されるクローンという存在への疑問を「クローンと人間が共生する世界」に反映させ、自ら演じた。
HAVIT ART STUDIOは、Hip HopのMVで存在感を示してきた映像制作チーム。2017年にBABEL LABELに加入し、本作が映画デビュー。メンバーである今野里絵が監督・脚本、大橋尚広が撮影監督を務める。「人工知能」や「尊厳死」などのテーマを扱いながら、どこか儚さのある閑かな映像は、女性監督ならではの目線を感じさせる作品となっている。
未来は、何処へいってしまうのか。3人の監督陣は未来世界を自由に想像しながら、ラプス(=時の経過)に生きる人間の内面を力強く描き出す。本作は、未来に抗う人たちの希望や葛藤を浮き彫りにし、来るであろうシンギュラリティに対して問いかける。
『SIN』(監督:志真健太郎)出演:栁俊太郎、内田慈、比嘉梨乃、手塚とおるほかSTORY:政府による教育管理が進んだ2062年。5歳のアマは政府公認の教育機関エルサに呼び出される。「20年後…アマ君はお母さんを殺す。その確率が高いんだ」エルサによって見せられたシミュレーションには、犯罪に手を染め、大切な人たちを傷つけてしまう、自分の暗い未来が映っていた。アマは告知された自分の未来に抗いながら、必死に生きていく。友人や親、好きな女性とともに運命は少しずつ変化し、運命の25歳の誕生日を迎える。
『失敗人間ヒトシジュニア』(監督:アベラヒデノブ)出演:アベラヒデノブ、中村ゆりか、清水くるみ、ねお、信江勇、根岸拓哉、深水元基ほかSTORY:クローンと人間が共生する2050年。20歳になった大学生のヒトシジュニアは突然、自分がクローン人間の失敗作なのだと聞かされ、彼女にも振られ、絶望の淵に立たされる。隣に現れたのは美女・初美(ハッピー)。初美も同じく親に捨てられたクローンの失敗作だった。20歳を迎えたクローンは、クローン元の人間に捨てられると国に回収され、破棄されるという。ヒトシジュニアは生きるため、育ての親を殺し戸籍を奪う決断を迫られる。
『リンデン・バウム・ダンス』(監督:HAVIT ART STUDIO/ハビットアートスタジオ)出演:SUMIRE、小川あんほかSTORY:人間が人工知能に医療を委ねている2038年。大学生のヨウは夢を見ていた。人工知能Satiによる延命治療を受ける10年間寝たきりの祖母の若い頃を想像し、一緒に深夜のダンスホールで踊っている夢。そこは色どり豊かな、音楽世界だった。ヨウは何でも分かっているように振舞うSati、それを頼りきっている家族に苛立ちを募らせていた。人工知能の法律改正によって祖母の延命中止が決まると、ヨウは大きな行動に出る。
公式サイト:http://babel-film.com
https://shibuya.uplink.co.jp/movie/2019/53643
UPLINK: 15:30-17:17 (105分)
これらの映画の「未来」では、「親殺し」(祖母を含む)が運命づけられているのは、なぜだろうか。現在の若者たちは、「親ごろし」ができるのだろうか。「親殺し」とは何か?
Lapseには、「時の経過」という意味もあるが、別に「失敗」(誤り)、「堕落」(退廃)、「時効」(失効)、「消滅」という意味もある。どの意味を取るか。