予告編
ゴシック小説の古典的名作「フランケンシュタイン」を生み出したイギリスの女性作家メアリー・シェリーの波乱に満ちた半生を、エル・ファニング主演で映画化。19世紀のイギリスで小説家を夢見る少女メアリーは妻子ある詩人パーシー・シェリーと出会う。2人は互いの才能に惹かれあい、情熱に身を任せて駆け落ちするが、メアリーは数々の悲劇に見舞われてしまう。失意の中にあったメアリーは詩人バイロン卿の別荘で「みんなで1つずつ怪奇談を書いて披露しよう」と持ちかけられ……。監督は長編デビュー作「少女は自転車にのって」が第86回アカデミー外国語映画賞にノミネートされたハイファ・アル=マンスール。
英文学史上最も若く、最もセンセーショナル18歳で「フランケンシュタイン」を書き上げたメアリー・シェリー
なぜ彼女は孤独な〈怪物〉を産み落としたのか――
「フランケンシュタイン」誕生から200年―
今初めて明かされる衝撃の真実
200年もの間、愛され続けてきた「フランケンシュタイン」。ティム・バートン、ギレルモ・デル・トロ、デヴィッド・リンチら今世紀の鬼才たちにも絶大な影響を与えた、ゴシック小説の金字塔だ。恐ろしい〈怪物〉の物語を描いたのは、当時18歳のメアリー・シェリー。「高慢と偏見」「ジェーン・エア」作者らと並び、英文学史に名を残す女流作家でありながら、これまでヴェールに包まれてきた彼女の波乱に満ちた人生が、初めて映画化された。
エル・ファニングが現代に蘇らせる、哀しみと涙から傑作を紡いだ、時代を超えるヒロイン
可憐で聡明、そして不幸であるほど才能が開花してゆくメアリーに魂を吹き込んだのは、いま最も世界から注目を受ける女優、エル・ファニング。メアリーの生き様に感銘を受け、極上の映像美と共にスクリーンに焼き付けたのは『少女は自転車にのって』で各国の批評家から絶賛を浴びた、サウジアラビア初の女性映画監督。後に名作「吸血鬼」も生んだ、文学史に残る伝説の一夜「ディオダティ荘の怪奇談義」も描かれる。
公式サイト:https://gaga.ne.jp/maryshelley/
https://ja.wikipedia.org/wiki/メアリーの総て
ハイファ・アル=マンスールHaifaa Al-Mansour監督
1974年、サウジアラビア生まれ。1997年にカイロ・アメリカン大学を卒業し、サウジに帰国後8年間に3本の短編映画を制作。宗教的な理由から西欧諸国に比べて女性の権利や自由が制限されているイスラム国家サウジアラビアで、初の女性映画監督となった。2012年、『少女は自転車にのって』で長編映画監督デビュー。どうしても自転車に乗りたいおてんば少女を主人公に、理不尽な因習に対する彼女なりのしたたかな抵抗の行方を通して、サウジ社会が抱える様々な問題、とりわけ女性たちの生きづらさを浮き彫りにすると共に、未来への確かな希望を力強く描き出し、2013年の英ガーディアン紙が選ぶ映画ベスト10にランクイン。また、英国アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、第86回アカデミー賞®外国語映画賞のサウジアラビア代表に選出されたほか、数多くの映画賞に輝く。公開待機作にNetflixドラマ『Nappily Ever After』(18)がある。
エル・ファニングElle Fanningメアリー・シェリー
1998年、アメリカ・ジョージア州生まれ。幼少の頃から、トッド・ウィリアムズ監督の『ドア・イン・ザ・フロア』(04)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』(06)、デヴィッド・フィンチャー監督の『ベンジャミン・バトン数奇な人生』(08)、ソフィア・コッポラ監督の『SOMEWHERE』(10)、J・J・エイブラムス監督の『SUPER8/スーパーエイト』(11)、フランシス・フォード・コッポラ監督の『Virginia/ヴァージニア』(11)など、著名監督の作品に数多く出演。2014年、大ヒット作『マレフィセント』のオーロラ姫役では美しく成長した姿で世界を魅了する。その後、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の『ネオン・デーモン』(16)と、ベン・アフレック監督の『夜に生きる』(16)ではダークな面を持つ役、マイク・ミルズ監督の『20センチュリー・ウーマン』(17)では、主人公を翻弄する小悪魔的な役を演じるなど、演技の幅を広げている。近年の出演作に『The Beguiled / ビガイルド欲望のめざめ』(17)、『パーティで女の子に話しかけるには』(17)など。
J&B:17:00-19:01 (121分)
誰もが知る「フランケンシュタイン」に隠された一人の女性の人生
プロデューサーのエイミー・ベアーは、売り込みで送られてくる数多くの脚本の中から、メアリー・シェリーの物語を選んだ理由を、「メアリーがフランケンシュタインを創造したのはわずか18歳の時だったことに衝撃を受け、この物語を伝えなくてはならないと感じたの」と振り返る。共同プロデューサーのアラン・モロニーは、「1800年代初頭の英国に関して、我々が知っていたことすべてを本質的に覆す脚本だった。そこが気に入ったね」と付け加える。同じくプロデューサーのルース・コーディは、「まだ若い女性が自身の内に見出した闘志に圧倒された。メアリーの人生は、今の時代にも通じる力強い物語だ」と指摘する。ハイファ・アル=マンスール監督は、「現代の人々が自分を重ねられるように、メアリーの人生に敬意を払い、正確に再現しなければならないという大きな責任を感じたわ。『フランケンシュタイン』は非常に多くの人々から、様々な理由で愛されているから、あまり公には知られていない彼女個人の遍歴に光を当てたかったの。やりがいのある挑戦だった」と語る。
200年前の女性作家と現代の女性監督に通じるもの
ベアーは監督に意図的に女性を選んだ理由は、「物語のテーマとメアリーの経験が、女性特有のものだったから」だと説明する。モロニーは、「ハイファは男女同権の欧米とは違うサウジアラビアで成長してきたから、アーティストとして自分の声に耳を傾けてもらうには、メアリーのように、戦い、葛藤しなくてはならなかった。ハイファと200年前のメアリーの経験の間には、非常に明白な共通点があり、そのためこの作品は現代にも大きく反響するはずだ」と解説する。マンスール監督は、この映画を引き受けようと決めたのは、メアリーと心が通じたからだと話す。「本作は、自分を取り巻く慣習からなんとか解放されるために、自身を見つけようとしながら成長する若い女性の物語よ。舞台は英国で、私はサウジアラビアの出身だけれど、主人公にとても共感したの。一瞬にして物語と繋がることができたわ。私が感銘を受けたのは、彼女がSFというジャンルを生み出したことよ」リサーチを進めたマンスール監督は、メアリーの人生経験が「フランケンシュタイン」にいかに強く投影されているかを知り、驚いたと語る。「小説の中に、パーシー・シェリーや両親との関係から受けた影響のすべてを見ることができたわ。メアリーは著名な作家である両親の陰に埋もれず、思い通りに生きていくために闘い、想像を絶するほどの喪失と悲哀を経験した。メアリーの人生の悲しい出来事が、怪物に反映されているのがわかり、胸がいっぱいになったわ」
キャラクターと俳優が完璧に重なる理想的なキャスティング
メアリー・シェリー役のキャスティングについて、ベアーは「メアリーは多面的な役だから、実物らしく演じられるだけでなく、重々しさの出せる女優が必要だった。十代を経て大人の女性の領域に入り、創造のために立ち上がり、当時の社会常識に抵抗する。だから、エル・ファニングの起用は自然な成り行きだったの」と振り返る。マンスール監督も、「エルは、私たちがメアリーを演じる女優に求めていた資質をすべて備えている」と絶賛する。「あどけなさをしっかりと出せる、若くてフレッシュな女優が必要だった。でも、メアリーの熱く燃える魂や驚くほどの強さ、反骨心、知性という最大の特徴も表現できる女優でなければならない。エルは見事に演じきってくれたわ」
歓びであり、恐ろしい挑戦でもあったエル・ファニングの役作り
エル・ファニングは、フランケンシュタイン執筆時のメアリーと今の自分の年齢が近いことと、斬新な考え方が似ていることから、自分にとって理想的な役柄だと感じた。「いろんな意味で、時代のずっと先を行っていた女性を描いている脚本に、とても心を惹かれたわ。でも、これまで誰も彼女の人生を演じていなかったから、かなり緊張して恐ろしさも感じたの。それでも、とびきり特別な物語だから、人々に知ってもらわなければならないと決意した。1800年代が舞台だけれど、彼女の歩みはとても現代的で、今日の社会にも通ずると思うわ」とファニングは語る。若い女性から大人の女性へ、そして自分を表現するクリエイターへと変身していくメアリーを演じるという挑戦について、ファニングは理解していた。「これは成長して自分の内なる声に気付き、家族の影から外に踏み出していく女の子の物語よ。彼女は自由な精神を持っているの。パワフルでとても用心深くて、あらゆることに目を向ける。好奇心旺盛で観察力がとても鋭いわ」とファニングは分析する。ファニングは役作りについて、「最初に読んだのは、もちろん『フランケンシュタイン』よ。今も本は手元にあるの。時々メアリーの声を聞くために、寝る前にざっと読んだりするわ。本当に美しい文体なのよ」と微笑む。
現代のセンスを纏った19世紀の衣装と美術
マンスール監督は衣装について、「時代設定にしっくり合い、なおかつ現代人の感覚に訴えるファッショナブルでエレガントなものにしたかった」と説明する。「カロリーヌ・クーネルは、そんな衣装を見事に作り出してくれたわ。どのコスチュームもとても魅力的よ。時代設定は古いけれど、現代的な感覚の映画にしたかった。衣装はその鍵を握る大切な要素だわ」初めての時代映画に主演したファニングは、「おもしろかったわ!今までコルセットを付けたり、時代物の衣装を着たことはなかったの。立ち居振る舞いや姿勢はいつもと全然違ってくるわね。例えば、シーンの動きを確認する時は、普段着のスウェットで椅子に座っていたりするけれど、コルセットを付けてセットに戻ってくると、その動きは無理だって気付くの」と振り返る。また、パーシー・シェリーを演じたダグラス・ブースは、クーネルと協力して香水まで作った。プロダクションデザイナーのパキー・スミスは、セント・ポール大聖堂近くから撮られた1880年代の写真を参考にした。主にゴドウィンの店や、その周りの道路の様子に反映されている。またスミスは、ファニングが映画のために実際に文字を書いたことに感謝する。「素晴らしかったね。それがあるとないとでは、大きな違いだ。どのように筆記が進められたかは、たくさんの文献が残されている。だから正確さを追求するのは、それほど難しいことではなかった」ファニング自身も、「私が座って『フランケンシュタイン』を書いているシーンは全部100%好きよ。重大なシーンよね。スタッフが紙と羽ペンをくれたの。映画に収められた抜粋はすべて私の自筆。私が実際に書いたものよ」と胸を張る。
現代と深くリンクする200年前のヒロイン
映画は1800年代が舞台の時代映画だが、メアリーの物語は、とても現代的なメッセージを持っている。若い女性の魂の解放についての作品で、どんな時代に生きていようと、自由のための情熱は理解できるはずだ。マロニーにとっての本作は、「新時代到来の物語。自分の人生と執筆を通して、メアリーは目の前に現れる様々な障害や悪霊を表現していった。そうする能力のある女性を描いた物語だ」と解説する。さらに、ベアーが付け加える。「これは、新しい女性の物語ね。だって『フランケンシュタイン』はあらゆるSFの先駆けで、女性によって書かれたのよ!」マンスール監督は、「200年以上前の時代を描いているけれど、今の時代に当てはめることができるわ。衣装を取り払ってしまえば、今の18〜19歳の若者も自分たちとの共通点がたくさん見つかると思うわ。観客にメアリーの中に自分を重ねられる要素を見出してほしい。メアリーは完璧ではないし、首をかしげたくなるような選択や間違いもする。でも落胆や喪失の苦しみに押しつぶされず、前へ進み続ける。悲しみを深遠な芸術作品へと昇華させていくアーティストの一人よ。途中でいつでも諦めることもできたし、著名な両親や才気あふれる夫に従うこともできたはず。でも自分の声で語る道を選んだの」と締めくくる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/メアリー・シェリー
ゴシック小説「フランケンシュタイン」を生み出したメアリー・シェリーの母は『女性の権利の擁護』1792年のメアリ・ウルストンクラフトなのだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/メアリ・ウルストンクラフト