予告編
2005年に発表された村上春樹の短編小説集「東京奇譚集」に収録された同名小説を吉田羊、佐野玲於、村上虹郎のキャストで実写映画化。シングルマザーのサチは、息子タカシがハワイのカウアイ島にあるハナレイ・ベイでサーフィン中に大きなサメに襲われて亡くなったという知らせを受ける。ハナレイ・ベイに飛び、タカシと無言の対面を果たしたサチは息子が命を落とした海岸へ向かい、海を前にチェアに座り、本を読んで過ごした。それ以来、タカシの命日の時期になると、サチはハナレイ・ベイを訪れ、同じ場所にチェアを置いて数週間を過ごすようになった。あの日から10年、サチは偶然出会った2人の若い日本人サーファーから「赤いサーフボードを持った『右脚のない日本人サーファー』がいる」という話を耳にする。サチ役を吉田、タカシ役を佐野、日本人サーファー高橋役を村上がそれぞれ演じる。監督は「トイレのピエタ」の松永大司。
公式サイト:https://hanaleibay-movie.jp
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハナレイ・ベイ
監督・脚本・編集松永 大司
1974年生まれ、東京都出身。『ウォーターボーイズ』(01)などに俳優として出演。その後、『蛇にピアス』(08)などのメイキング監督や、ミュージックビデオ、CM等を手がける。その後、性同一性障害の現代アーティスト・ピュ〜ぴるを8年間追ったドキュメンタリー映画『ピュ〜ぴる』(11)を完成。同作は第40回ロッテルダム国際映画祭、第11回全州国際映画祭、第8回パリ映画祭など数々の映画祭から正式招待され絶賛された。そのほか、短編『おとこのこ』(11)、短編『かぞく』(12)、ドキュメンタリー映画『MMAドキュメンタリーHYBRID』(13)、『GOSPEL』(14)などがある。2015年には初の長編劇映画作品『トイレのピエタ』(野田洋次郎初主演)が新宿ピカデリー他にて全国公開されてスマッシュヒットを記録。本作にて、第20回新藤兼人賞銀賞、第37回ヨコハマ映画祭森田芳光メモリアル新人監督賞などを受賞。また第16回全州映画祭インターナショナル・コンペティション部門、第28回東京国際映画祭Japan Now部門、第45回ロッテルダム国際映画祭Voices部門に正式出品された。2016年は、2001年に活動休止したロックバンド、THE YELLOW MONKEYが15年ぶりに再集結を果たし、その全国ツアーに同行、奇跡の復活の一年を追ったドキュメンタリー映画『オトトキ』の監督を務めた。
サチ吉田 羊YOH YOSHIDA
2月3日生まれ、福岡県出身。1997年に舞台でデビュー。約10年間舞台を中心に活躍し、2007年から活動の場を映像にも広げ、着実に出演数を重ねて2014年の大ヒットドラマ「HERO」(CX)で一躍その名を知られる。『映画ビリギャル』(15)で、第39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、第58回ブルーリボン賞助演女優賞などを受賞。2016年は、大河ドラマ「真田丸」(NHK)に出演、『嫌な女』で映画初主演、「コールドケース〜真実の扉〜」(16/WOWOW)で連続ドラマ初主演、「メディカル・チーム レディ・ダ・ヴィンチの診断」(16/CX)で地上波連続ドラマ初主演を務めるなど文字通りの大ブレイクを果たした。主な出演作に『HERO』(15)、『SCOOP!』(16)、『ボクの妻と結婚してください。』(16)。今年は本作以外にも、『ラブ×ドック』、『恋は雨上がりのように』、『コーヒーが冷めないうちに』、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』が公開。
J&B:15::05-16:45 (97分)
村上春樹作品の日本での映画化は2010年の『ノルウェイの森』以来8年ぶり
村上春樹の短編小説。「東京奇譚集」と題した連作短編小説の1篇として『新潮』2005年4月号に掲載
原作「ハナレイ・ベイ」(新潮文庫『東京奇譚集』所収)
短編小説「ハナレイ・ベイ」は、連作短編小説『東京奇譚集』の2作目として、「新潮」2005年4月号に掲載された。同年9月に単行本として出版され、現在に至るまでロングセラーとなっている。英訳「Hanalei Bay」(Jay Rubin翻訳)は、2006年にアイルランドのフランク・オコナー国際短編賞を受賞した短編集『Blind Willow, Sleeping Woman』に収録されている。
原作村上春樹
1949年生まれ、京都府出身。早稲田大学在学中にジャズ喫茶を開業。1979年「風の歌を聴け」で第22回群像新人文学賞を受賞しデビュー。当時のアメリカ文学から影響を受けた文体で都会生活を描き注目を浴びた。1987年発表の『ノルウェイの森』が大ベストセラーとなり、これをきっかけに村上春樹ブームが起きる。そのほかの主な作品に『羊をめぐる冒険』(82)『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(85)『ねじまき鳥クロニクル』(94,95)『海辺のカフカ』(02)『1Q84』(09,10)など。日本国外でも人気が高く、翻訳家の柴田元幸は村上を現代アメリカでも大きな影響力をもつ作家の一人と評している。デビュー以来、翻訳も精力的に行い、スコット・フィッツジェラルド、レイモンド・カーヴァー、トルーマン・カポーティ、レイモンド・チャンドラーほか多数の作家の作品を訳している。また、随筆・紀行文・ノンフィクション等も出版している。『1Q84』(09,10)、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(13)に続く,新作長編小説『騎士団長殺し』(上下2巻)が、2017年2月に刊行された。
時代に刻まれる名作・話題作を発表し続ける作家、村上春樹。単行本と文庫本あわせ累計70万部を超えるロングセラー『東京奇譚集』(新潮文庫刊)の一篇である「ハナレイ・ベイ」は、ファンの間で村上文学史上屈指の名作として語られており、この度待望の実写映画化となる。
主人公のサチを演じるのは吉田羊。主演から脇役まで目覚ましい活躍をみせ、まさに今最も輝く女優の一人である彼女が、本作では“これまで誰も見たことのない吉田羊”と評されるにふさわしい、圧倒的な存在感を放つ。
物語の舞台カウアイ島、そしてハナレイ・ベイとは?
ハワイ8島のうち4番目の大きさのカウアイ島。面積1,430.4k㎡、東京都の区部と市部の合計とほぼ同じサイズ。人口は約67,000人。島全体が箱庭のような美しさから別名「ガーデン・アイランド」と呼ばれる。ハワイ諸島で最も古く約500万年前に誕生した島で、「自然の博物館」と称されるこの島は、降水量が多く、太古の緑濃い原生林、天然の彫刻といえる渓谷、ハワイ随一の大河、荘厳な滝、こうした万物が混在し、神聖な伝説も多いスピリチュアルな島として知られる。
吉田は、羊(ひつじ)でなく、狼である。