予告編
アメリカの銃社会に風穴を開けた「ボウリング・フォー・コロンバイン」や医療問題を取り上げた「シッコ」など、巨大な権力に対してもアポなし突撃取材を敢行するスタイルで知られるドキュメンタリー監督のマイケル・ムーアが、アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプを題材に手がけたドキュメンタリー。タイトルの「華氏119(原題:Fahrenheit 11/9)」は、トランプの大統領当選が確定し、勝利宣言をした2016年11月9日に由来。ムーア監督の代表作であり、当時のジョージ・W・ブッシュ政権を痛烈に批判した「華氏911(Fahrenheit 9/11)」に呼応するものになっている。16年の大統領選の最中からトランプ当選の警告を発していたムーア監督は、トランプ大統領を取材するうちに、どんなスキャンダルが起こってもトランプが大統領の座から降りなくてもすむように仕組まれているということを確信し、トランプ大統領を「悪の天才」と称する。今作では、トランプ・ファミリー崩壊につながるというネタも暴露しながら、トランプを当選させたアメリカ社会にメスを入れる。
ムーアが挑む今度の相手はなんと、アメリカ合衆国第45代大統領 ドナルド・トランプ。タイトルの“119“とは、トランプの大統領当選が確定し勝利宣言をした[2016年11月9日]を意味。2016年7月、大統領選のさなか「大統領選でトランプが勝利する5つの理由」というエッセイを書き変人扱いを受けながらもその予測を見事に的中させたムーア。彼がトランプ大統領を突撃粛々と取材するうちに分かってきたのは、「トランプは‘悪の天才’。感心するほどの狡猾さでトランプを笑っている私たちでさえ彼の術中にはめられている」という驚愕の事実。アメリカの国民はもちろんジャーナリストやメディア、憲法や司法システム、更には他国の政治や国民すら利用し、どんなにスキャンダルが起こっても大統領の座からおりなくてもすむように仕組んでいるというのだ!
公式サイト:https://gaga.ne.jp/kashi119/
https://eiga.com/extra/sasaki/66/
https://ja.wikipedia.org/wiki/華氏119
マイケル・ムーア 監督/脚本
1954年4月23日、ミシガン州フリント生まれ。
父と祖父は組み立て工、母は秘書、叔父は自動車工労働組合創立者のひとり、という家庭環境で育った。10代の頃から政治活動に目覚め、高校を卒業した年には校長と副校長の解雇を求め教育委員会選挙に出馬、当選。辞職に追いやった。地元の大学を1年で中退。ジャーナリストとして22歳で地元紙を刊行、30代前半に西海岸に渡り編集者を務めるが5ヶ月で地元に戻る。89年、ゼネラル・モーターズによる大量解雇に揺れるフリントと当時のGM経営者ロジャー・B・スミスにアポなし突撃取材を敢行したドキュメンタリー映画『ロジャー&ミー』を製作、批評家の絶賛を浴びる。その後、テレビの世界にも活躍の場を広げ、独自の取材スタイルを通じて批評精神に溢れたユニークな番組を生み出していった。98年TV番組「マイケル・ムーアの恐るべき真実アホでマヌケなアメリカ白人」が話題に、人気を博した。02年、アメリカ銃社会の抱える問題点を鋭くえぐった『ボウリング・フォー・コロンバイン』を発表、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞のほか、カンヌ映画祭特別賞など数々の賞を受賞。また、ジョージ・W・ブッシュ大統領をこき下ろし、返す刀で民主党をも一刀両断にしたノンフィクション「アホでマヌケなアメリカ白人」は全米でベストセラーに。04年には、9月11日の同時多発テロ以降のアメリカ社会をテーマにブッシュ政権の実態に迫る『華氏911』を発表、カンヌ映画祭最高賞<パルムドール>を受賞。批評、興行両面で大成功を収める。その後、『シッコ』(07)では米医療保障制度に、『キャピタリズム マネーは踊る』(09)では、アメリカの資本主義の不条理さに、『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(15)では、各国を巡りアメリカにはない様々な制度や文化を皮肉たっぷりに紹介し、アメリカの由々しき現状に、ことごとくメスを入れ続けた。
あらゆる権力からの抵抗にもめげず、ユーモアを身に纏い、一貫してアメリカ社会の銃、人種問題、政治、企業の不正に対して猛然と闘いを挑む不屈の異端ジャーナリストとして、作品を世に放ち続けている。
横浜ブルク13: 13:40-16:00 (128分)
https://www.huffingtonpost.jp/2018/10/17/fahrenheit119_a_23564416/
https://miyearnzzlabo.com/archives/52608
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/09/post-11023.php
https://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html
https://gigazine.net/news/20161111-5-reasons-trump-will-win/
https://michaelmoore.com/trumpwillwin/
the 5 reasons Trump is going to win:
バーニー・サンダース Bernie Sanders
2016年、大統領候補を選出する民主党予備選でヒラリー・クリントンと大接戦を繰り広げたが、党の乗っ取りを企てているかのような扱いを受け、不公平な選挙戦を強いられ敗北。働く人々、貧しい人々、弱い立場の人々に味方し、若者を中心に絶大な支持を集める無所属の政治家。ムーアはサンダースを支持。
https://ja.wikipedia.org/wiki/バーニー・サンダース
2016年11月7日、投票日前夜、アメリカの人々は初の女性大統領の誕生を確信していた。だが、11月9日、当選者として発表されたのは、ヒラリー・クリントンではなく、「あり得ない」はずのドナルド・トランプだった。
「僕らはどれだけ彼を知っているだろう?」と、マイケル・ムーアは問いかける。娘のイヴァンカを異常なほど溺愛し、人種差別を堂々と表明し、独裁者など強い男が大好きで、女性にはセクハラ三昧。誰もが知っているそんなスキャンダルはしかし、トランプというモンスターの爪先ほどの情報にすぎなかった。
時は2010年にさかのぼる。トランプの古くからの友人であるスナイダーという大富豪が、ムーアの故郷であるミシガン州の知事に就任した。権力に目がくらんだ知事は、緊急事態を宣言して市政府から権限を奪い、代わりに自らの取り巻きを送り込んだ。2013年、スナイダーのもとを訪れたトランプは、友人が支配する街を見て、羨ましそうに「次に進むためなら仕方ない。国も同じかも」などと発言。さらにスナイダーは金儲けのために、黒人が多く住むフリントという街に民営の水道を開設するが、この水に鉛が混じっていた。だが、知事は頑として問題ないと主張し続ける。
時は再び選挙運動の真っ只中へ。そもそもアメリカは左寄りの国で、トランプの支持率は元々低い。リベラルな民主党が常に高い支持率を誇り、大統領選の得票数も、ヒラリーがトランプより300万票多く獲得した。では、いったい何があったのか? ムーアはこの国の根深い問題である、ひとり1票ではない“選挙人制度”と無投票数が絡み合い、トランプを支持する少数派がアメリカ全土の意志へと変わってしまう、恐ろしい“からくり”を明かしていく。
さらにムーアは、罪はトランプだけではないと、勝利だけに走り民主党のハートを失くしたビル・クリントン、労働者階級や若者から絶大な人気のあったバーニー・サンダースを降ろしてヒラリーを代表にするために、民主党が使った禁断の手を紐解いていく。
カメラは一転、腐敗した権力と闘うために、立ち上がった人たちを追いかける。フリントの汚染水問題に抗議する地域住民、「誰もやらないなら私がやろう」と下院に立候補した、1年前まではレストランで働いていたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス、ウエストバージニア州で教師の低賃金に抗議するために決行されたスト、フロリダ州パークランドの高校銃乱射事件で生き残った高校生エマ・ゴンザレスの銃規制への訴え──。
激しくなる一方の抗議に追いつめられたスナイダー知事は、当時の大統領オバマに助けを求める。オバマとの対話集会が開かれ、市民は“私たちのヒーロー”が助けてくれると歓喜するが、あろうことか彼は壇上で水を飲むパフォーマンスを行い、人々を心底ガッカリさせる。
再びカメラがトランプに戻り、ムーアはヒトラーが暴走する前のドイツと今のアメリカとの共通点を挙げる。そしてヒトラーは、“ドイツ・ファースト”を掲げて人気を博した。トランプは今、2期目への選挙運動を始めている。「4年、8年、16年だっていい」などと口走りながら。もはや民主主義はそこにあるものではなく、守らなければならないものに変わったのだ。
果たして、世界一のトランプ・ウォッチャーとなったムーアが出した、未来のための答えとは──?