箱根ガラスの森美術館│風にそよぐグラス
ガラス職人の一族バロヴィエール家は、15世紀に世界初の透明ガラスを発明したアンジェロから、19世紀に糸のように細い脚で自立するガラスの制作に成功したジュゼッペに至るまで、常にガラスの可能性に挑戦しヴェネチアン・グラスの発展に深く関わってきた。
本展では、バロヴィエール家の名工達が発明した数々の技法を紹介するとともに、世界でも現存数の少ない「風にそよぐグラス」や、日本初公開となるバロヴィエール家のコレクションを含め約80点を展示し、バロヴィエール一族の探究心に迫る。
ヴェネチアン・グラス
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴェネツィアン・グラス
紺碧のアドリア海に面した北イタリアの水の都ヴェネチア。ヴェネチアン・グラスは、古代ローマ時代のローマン・グラスにその起源を発するともいわれ、当時すでにイタリア半島全域には多くのガラス工房が作られていました。ガラス生産の中心地は、1291年の「ガラス製造業者および工人・助手、家族等のすべてをムラーノ島に移住させ、島外に脱出する者には死罪を課す」というヴェネチア共和国の強力な保護政策により、ヴェネチアの本土であるリアルト島から隣のムラーノ島へと移ります。そして今日に至るまで、ムラーノ島はヴェネチアン・グラスの中心地であり、ムラーノ島の人々は、ヴェネチアン・グラスと運命を共にしてきました。
公式サイト:http://www.hakone-garasunomori.jp/event/2018_barovier.html
https://mainichi.jp/articles/20180908/ddm/010/040/021000c
http://www.hakone-garasunomori.jp
「風にそよぐグラス」
第1回ヴェネチア・ビエンナーレが開かれた1895年、工芸作品部門の催しとして、ムラーノ島の公会堂大広間とガラス美術館で「ムラーノとヴェネチアの選抜芸術ガラス作品と関連作品展」が開催されました。
展覧会では、過去のガラス作品の複製が数多く出品される中、アルティスティ・バロヴィエール工房が“幾つかの現代的な作品”として出品した、他に類を見ないほど脚が細く、風にそよぐほど軽やかなグラスが、ひと際人々の関心を惹きつけました。
他国では当時、アール・ヌーヴォーの影響を受けたガラス作品が流行しており、ドイツのカール・ケッピングやフリードリッヒ・ツィツマンなどはバーナーワークによって、草花を思わせる繊細な脚のゴブレットを制作しました。しかし、ジュゼッペ・バロヴィエールは、バーナーワークよりも難易度が高い、吹きガラス技法と熟練の技を用いて、同様の作品を制作することに成功し、以後「風にそよぐグラス」はシリーズ作品としてアルティスティ・バロヴィエール工房で作られることになります。