予告編
19世紀初頭に書かれたグリム童話に初版から収録されている民話「手なしむすめ」を長編アニメーション映画化。フランスの新鋭セバスチャン・ローデンバック監督が、ひとりですべての作画を担い、「クリプトキノグラフィー」と呼ぶ独特の映像表現手法でアニメ化した。
1973年、フランス北部に生まれる。国立高等装飾美術学校にてアニメーションを学び、現在そこで教えてもいる。『JOURNAL』(1998年、クレルモンフェラン映画祭でYouth賞を受賞)、『DES CALINS DANS LES CUISINES』(2004年、セザール賞の最終選考)、『REGARDER OANA』(2009年、アヌシーおよびクレルモンフェランに選出)、『VASCO』(2010年、カンヌ批評家週間で上映、2012年のセザール賞の最終選考)、『DAPHNÉ OU LA BELLE PLANTE』(2015年、シルヴァン・デロインと共同監督、エミール・レイノー賞受賞)、パリ国立オペラのウェブサイト用に作られた『VIBRATO』といった彼の作品は、数々の著名な映画祭で上映されている。『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』は初の長編作品で、グリム童話の短編を原作としている。
公式サイト:http://newdeer.net/girl/
http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000267
https://jp.ign.com/la-jeune-fille-sans-mains/24868/interview/
ユーロスペース:16:10-17:45(80分)
19世紀初頭にグリム兄弟によって書かれたドイツの民話集「グリム童話」は、160以上の言語に翻訳され聖書に並ぶといわれるほど世界中で読み継がれてきた。だが、オリジナル版には多くの残酷な場面や性的な事柄が含まれており、“本当は恐ろしい“童話として、日本でも大人向けに長年注目を集めてきた。
本作は「グリム童話」に初版から収録されている民話「手なしむすめ」を、新たによみがえらせた傑作アニメーションだ。ヒロインの少女は悪魔の企みで両腕を奪われ、数奇な運命に翻弄されながらも、不思議な精霊の力にも守られて、自分だけの幸せを見出していく。
ヒロインの生命力にあふれ、しなやかな生き方を、現代的な視点で描くのはフランスのセバスチャン・ローデンバック監督だ。故・高畑勲監督の実験精神に敬意を表する監督は、本作で驚嘆の作画技法「クリプトキノグラフィー」を用い、長編でありながら全ての作画をたったひとりで手がけた。まるで線そのものが命を持ち、呼吸するかのような美しい映像に、思わず息を呑む。そして、王子との結婚の先に少女を待ち受ける思いがけない物語の展開は、原作とは異なる監督ならではのラストへと観客を誘っていくだろう。