予告編
第70回カンヌ国際映画祭〈ある視点部門〉監督賞受賞『ボーダーライン』脚本のテイラー・シェリダン監督作ジェレミー・レナー×エリザベス・オルセン出演!!世の中から忘れられたアメリカの闇を描いた、極上のクライムサスペンス
なぜ、この土地(ウインド・リバー)では少女ばかりが殺されるのかーー
アメリカ中西部・ワイオミング州のネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。その深い雪に閉ざされた山岳地帯で、ネイティブアメリカンの少女の死体が見つかった。第一発見者となった野生生物局の白人ハンター、コリー・ランバート(ジェレミー・レナー)は、血を吐いた状態で凍りついたその少女が、自らの娘エミリーの親友であるナタリー(ケルシー・アスビル)だと知って胸を締めつけられる。
コリーは、部族警察長ベン(グラハム・グリーン)とともにFBIの到着を待つが、視界不良の猛吹雪に見舞われ、予定より大幅に遅れてやってきたのは新米の女性捜査官ジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)ひとりだけだった。
死体発見現場に案内されたジェーンは、あまりにも不可解な状況に驚く。現場から5キロ圏内には民家がひとつもなく、ナタリーはなぜか薄着で裸足だった。前夜の気温は約マイナス30度。肺が凍って破裂するほどの極限の冷気を吸い込みながら、なぜナタリーは雪原を走って息絶えたのかーー
監察医の検死結果により、生前のナタリーが何者かから暴行を受けていたことが判明する。彼女が犯人からの逃走中に死亡したことは明白で、殺人事件としての立件は十分可能なケースだ。しかし直接的な死因はあくまで肺出血であり、法医学的には他殺と認定できない。そのためルールの壁にぶち当たり、FBIの専門チームを呼ぶことができなくなったジェーンは、経験の乏しい自分一人で捜査を続行することを余儀なくされ、ウインド・リバー特有の地理や事情に精通したコリーに捜査への協力を求める。
コリーとジェーンはナタリーの父親マーティンのもとを訪ね、事件発生の夜にナタリーが恋人に会いに行っていたことを聞き出す。心を病んだ妻とドラッグ中毒の息子を抱えるマーティンは、かけがえのない存在である愛娘の命を奪われて憔悴しきっていた。
捜査を進めるコリーとジェーンは、鬱蒼とした森の中で白人男性の遺体を発見。彼の身元はナタリーの恋人のマット・レイバーン(ジョン・バーンサル)だった。
その夜、自宅にジェーンを泊めてやったコリーは、つらい過去を打ち明けた。3年前に娘のエミリーを亡くしたコリーは、それが原因でネイティブアメリカンの妻と離婚し、幼い息子とも離れ離れに暮らしている。コリーの留守中に失踪を遂げたエミリーは、ナタリーと同じように自宅から遠く離れた場所で変わり果てた姿となって発見され、事件の全容は未だ不明のまま。コリーはそれ以来ずっと、娘を守ってやれなかった罪悪感に苛まれ続けていた。コリーの心の傷に触れたジェーンは、部外者の彼が献身的に捜査に協力してくれている理由を察するのだった。
コリーとジェーンはベンが応援に駆り出した若い保安官4人を引き連れ、マットの同僚たちが寝起きする山奥のトレーラーハウスに乗り込んでいく。
やがて不自然な言動を連発する警備員たちとジェーンらとの間に一触即発の緊張が走り、両者が一斉に拳銃を抜いて対峙する非常事態が勃発する。はたして事件当夜、この人里離れたトレーラーハウスで何が起こったのか。ウインド・リバーの静寂を切り裂く凄まじい銃声が鳴り響くなか、ついに明らかになる衝撃の真実とは……。
「数ある失踪者の統計にネイティブ・アメリカンの女性のデータは存在しない。実際の失踪者の人数は不明である」
統計を取るのは国の仕事だが、国は自治権のある保留地については権限がない。だから統計を取る人が誰もいない
公式サイト:http://wind-river.jp
Taylor Sheridan
監督・脚本: テイラー・シェリダン
1970年、テキサス州クランフィルズ・ギャップ生まれ。1990年代半ばに俳優として映像業界でのキャリアをスタートさせ、「ヴェロニカ・マーズ」「サン・オブ・アナーキー」など数多くのTVシリーズにゲスト出演。その名を一躍広く知らしめたのは、脚本家デビューを飾ったドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品『ボーダーライン』(15)。アメリカとメキシコ国境の麻薬戦争の実態に切り込んだこのサスペンス・アクションは、アカデミー賞®3部門にノミネートされ、シェリダンも全米脚本家組合賞などの候補になった。続いて、テキサス州の寂れた田舎町を舞台にした犯罪サスペンス『最後の追跡』(16・未)の脚本を執筆。このNetflixオリジナル映画はアカデミー賞®で作品賞、脚本賞、助演男優賞、編集賞の4部門にノミネートされ、ゴールデン・グローブ賞や英国アカデミー賞®などの脚本賞候補にもなった。監督デビュー作『ウインド・リバー』は、『ボーダーライン』『最後の追跡』とともに現代アメリカのフロンティアを描く3部作の最終編として位置づけている。本作発表後は『ボーダーライン』の続編「Sicario: Day of the Soldado」(18)の脚本を手がけており、ケヴィン・コスナー主演のTVシリーズ「Yellowstone」では監督、脚本を兼任している。
https://en.wikipedia.org/wiki/Taylor_Sheridan
ネイティブアメリカンの保留地には固有の問題がある。
現代の西部開拓地域は、人としての僕たちアメリカ人が何者なのかを雄弁に語ってくれる。
苦しみを背負ったネイティブアメリカンの友人たちに対する敬意という点
先住民ネイティブアメリカンの人たちとたくさんの時間を過ごし、彼らの話が世間に無視されているのを目撃した。つまり彼らの世界で暮らすということが、僕のリサーチの方法だった。
僕は自分を本当の自然主義の監督だと考えたい。リアリズムがとても重要なんだ。世界を正確に捉え、世界そのものをキャラクターのように感じさせたいと努力している。リアリズムは僕たちの生活の中にあるものだから。映画における風景も、僕たちの生活の中にあるものと同じように表現しようとしている。
テイラー・シェリダンからのメッセージ
『ウインド・リバー』は、現代アメリカの辺境を探求するひとつのテーマに沿った3部作の最終章です。第1作『ボーダーライン』では、アメリカとメキシコ間の国境で横行している暴力を描き、第2作『最後の追跡』ではテキサス州西部で莫大な富と貧困がぶつかり合う模様を描いています。そのシリーズのカタルシスとなるのが『ウインド・リバー』です。
本作では、アメリカの辺境と言われる地の中で最も明白なものであり、アメリカの最大の失敗であるネイティブアメリカンの保留地が舞台になっています。登場人物のパーソナルな視点からは、人が悲劇を体験した後に心の整理がつかないながらも前に進んでいく姿を追い、より大きな視点では、人が住むべきではない地に人を強制的に住まわせるとどのようなことが起こるかを追っています。
そこは地形自体が敵のように向かってくる冷酷な地です。ガンよりも殺人による死亡率が高く、強姦は大人の女性になろうとしている少女にとって通過儀礼であると見なされているような場所なのです。またそこでは、法の支配が自然の支配に屈します。北米の中でこの100年間に最も変化が少なかった場所であり、その少ないながらも起こった変化のために最も苦しんできた場所なのです。
シネマート新宿:14:45-16:40 (107分)
【町山智浩映画時評】『ウインド・リバー』
町山さんの説明下手すぎ。全く面白さ伝わってない。