予告編
終戦から69年の沈黙を破り、ナチス宣伝大臣ゲッベルスの秘書ポムゼル(103歳)が独白する。彼女の証言は、20世紀最大の戦争と全体主義の下で抑圧された人々の人生を浮き彫りにする。それは、ハンナ・アーレントによる、“悪の凡庸さ”をふたたび想起させる。
公式サイト:https://www.sunny-film.com/a-german-life
https://www.iwanami-hall.com/movie/ゲッベルスと私
監督プロフィール
クリスティアン・クレーネス
1985年、オーストリアのテレビ局に入社する。1990年、ドイツのテレビ局に移籍し、ウィーンに映像プロダクションを設立し、フリーランス・プロデューサーとして活動する。仕事を通じて出会った、英国のアカデミー賞受賞俳優で、小説家、脚本家、劇作家、映画監督のピーター・ユスティノフと長年テレビや舞台製作を共にする。その後、ピーター・ユスティノフが設立した、難民の子供たちを支援するピーター・ユスティノフ・ファンデーションのアドバイザー兼マネージャーとして、彼が亡くなる2004年まで務める。2006年、ブラックボックス・フィルム& メディアプロダクションを設立し、会社経営、プロデューサー、ディレクター業を兼務する。
フロリアン・ヴァイゲンザマー
ウィーン大学で政治学とコミュニケーション学を専攻した後、オーストリアの政治誌「Profil」でジャーナリストとして働く。1995年、ウィーンを拠点にする通信社に転職し、ヨーロッパ全土に向けて多くのニュース記事や
ルポタージュを書く。その後、クリスティアン・クレーネスと、東欧とアジアをテーマにした数多くの政治・社会テレビ番組を制作する。同時に、映像やマルチメディアなど多岐に渡るアーティストとコラボレーションし、美術館での展示映像の製作なども行う。
オーラフS. ミュラー
ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンとベルリン自由大学で歴史と哲学を専攻する。1997年より、フリー
ランスとして作家、監督、プロデューサーとして活動し、ドイチェ・ヴェレ、ドイツ公共放送連盟ARD、3Satなどドイツの主要放送局で多くの番組制作に携わる。2011年にブラックボックス・フィルム& メディアプロダクションに合流する。現在はベルリン在住。
ローラント・シュロットホーファー
ウィーン大学にて舞台、映画、メディア研究、心理学、ビジネスマネジメントを専攻する。在学時代に製作した短編映画『Grenzgänger(国境労働者)』は、オーストリア放送協会ORFの「短編テレビドキュメンタリー賞」を受賞する。2011年より、ブラックボックス・フィルム& メディアプロダクションに合流し、脚本家とプロデューサーとして多くのテレビ番組の制作責任者を務める。
https://digital.asahi.com/articles/ASL650D5PL64UTIL06Y.html
岩波ホール:11:00-13:00 (113分)
2018年6月16日(土)~8月3日(金)
ブルンヒルデ・ポムゼル(103歳)ナチス宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書
1911年1月11日ベルリン生まれ。1942年から1945年までゲッベルスの秘書として働く。1945年、第二次世界大戦終戦後、ソヴィエト軍に捕らえられ1950年までの5年間、強制収容所に抑留される。1950年に解放され、1971年の定年退職までドイツ公共放送連盟ARDで働く。2017年1月27日。
1911年生まれ。1933年にナチ党員になり、ベルリン国営放送局で秘書として働く。1942年に国民啓蒙宣伝省に移り、ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書の一人として終戦までの3年間勤務。総統地下壕の隣にある宣伝省の防空壕で終戦を迎えてソ連軍に捕えられ、その後5年間、複数の特別収容所(旧ブーヘンヴァルト強制収容所など)に抑留。解放後はドイツ公共放送連盟ARDで60歳まで勤務。2017年1月27日、国際ホロコースト記念日に106歳で死去。
ヨーゼフ・ゲッベルス
1897年10月29日生まれ。国民社会主義ドイツ労働者党(ナチス)・国民啓蒙・宣伝大臣としてプロパガンダを管轄し、大衆をナチス支持へと扇動した。1945年5月1日、第二次世界大戦終戦間際、ヒトラーの自殺を追って、総統地下壕で家族とともに自殺する。
ナチス政権の国民啓蒙・宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書を務めたブルンヒルデ・ポムゼルが、終戦から69年の沈黙を破り、撮影当時103歳にして初めてインタビューに応じたドキュメンタリー。1942年から終戦までの3年間、ゲッベルスの秘書としてナチス宣伝省で働いたポムゼルは、「あの時代にナチスに反旗を翻せた人はいない」と話す一方で、「ホロコーストについては知らなかった」と語る。近代史最大の戦争犯罪者のひとりであるゲッベルスに誰よりも近づいた彼女の30時間に及ぶ独白を通し、20世紀最大の戦争における人道の危機や抑圧された全体主義下のドイツ、恐怖とともにその時代を生きた人々の姿を浮かび上がらせていく。
ブルンヒルデ・ポムゼル /トーレ・D. ハンゼン (石田勇治 (監修)/森内薫・赤坂桃子 (訳))『ゲッベルスと私──ナチ宣伝相秘書の独白』 紀伊國屋書店(2018)
自己を語るのに、100年かかるのである。