予告編
黒人公民権運動の活動家で、いずれも暗殺されたメドガー・エバース、マルコムX、マーティン・ルーサー・キングの3人の軌跡を通して、アフリカ系アメリカ人の激動の現代史を描き出したドキュメンタリー。アメリカの作家で公民権運動家であるジェームズ・ボールドウィンの未完の原稿をもとに、ボールドウィンのテレビでの発言や講義などの映像、映画や音楽の記録映像を交えながら、公民権を得てもなお差別の本質が変わっていない現実を浮き彫りにする。
1957年。フランス・パリで執筆活動をしていたボールドウィンは、故郷アメリカへ戻る決心をする。パリ中で売られていた新聞に載っていた少女、アメリカ南部シャーロットの高校に黒人として初めて入学するドロシー・カウンツの写真を見たのがきっかけだ。大勢の白人たちに取り囲まれ、ツバを吐かれ嘲笑されながら登校する15歳のドロシーに、ボールドウィンは強い衝撃を受けた。「パリで議論している場合ではない。われわれの仲間は皆責任を果たしている」そして彼は、人種差別の最も激しい地域、アメリカ南部への旅に出る。公民権運動のリーダーだったメドガー、マルコムX、キング牧師との出会いと別れ。司法長官ロバート・ケネディとの会談。ボールドウィンは激動するアメリカ社会の真ん中に立ち、出来事を記録し、各地で講演をし、精力的に動き回る。
そしてボールドウィンは、自身の体験と鋭い洞察力で、母国アメリカの人種差別の歴史とその正体を解き明かしてゆく―。
公式サイト:http://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/
http://www.uplink.co.jp/movie/2018/50915
https://ja.wikipedia.org/wiki/私はあなたのニグロではない
http://www.iamnotyournegrofilm.com
Raoul Peck監督:ラウル・ペック
1953年、ハイチに生まれる。8歳の時に家族でコンゴに移住。コンゴ、アメリカ、フランス、ドイツで学ぶ。ニューヨークでタクシードライバー、ジャーナリスト等の職に就いたのち、ベルリンにて映画を学ぶ。1986年制作会社ベルベット・フィルムを設立。『ルムンバの叫び』(2000)『ルワンダ流血の4月』(2005)等を監督。1996-97年ハイチの文化大臣に就任。現在はフランス国立映像音響芸術学院で教鞭をとり、世界中で数々の回顧展が開かれている。2001年ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch Organization)よりアイリーン・ダイアモンド生涯業績賞が授与された。
最新作は『マルクスエンゲルス』(2017)。
ヒューマントラストシネマ有楽町:13:50-15:30 (93分)
“アメリカ黒人文学のレジェンド”
ジェームズ・ボールドウィン(1924 – 87)
マルコムX 、キング牧師らとともに、60年代公民権運動の中心的人物・思想家として活躍。志半ばで倒れた盟友たちの軌跡を綴った原稿を残す。代表作に「ジョバンニの部屋」「サニーのブルース」等。「ビール・ストリートに口あらば」は『ムーンライト』のバリー・ジェンキンズによる映画化が決定している。没後30年を経た今も語り継がれるレジェンドである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジェイムズ・ボールドウィン
https://en.wikipedia.org/wiki/James_Baldwin
メドガー・エヴァース(1925 – 63.6.12暗殺)
彼の生まれ故郷であり、人種差別の最も激しかったミシシッピ州で活動を続け、身近な存在のリーダーとして親しまれる。1963年白人市民会議のメンバーに暗殺されるが、当時は有罪にならず、正当な判決が下るまで30年かかった。ボブ・ディランの名曲「しがない歩兵」はメドガ―・エヴァース暗殺事件を歌ったもの。
“伝説的カリスマ”マルコムX(1925 – 65.2.21暗殺)
知性的かつ過激な発言で知られたマルコムX。ブラック・ムスリムの最大組織NOI(ネーション・オブ・イスラム)の若きカリスマとして活躍、非暴力を貫くキング牧師を激しく批判し真っ向から対立する。1965年組織内での対立が元で暗殺される。ジェームズ・ボールドウィンはマルコムX の映画化企画に際し、脚本執筆に関わった。
“非暴力の英雄”キング牧師(1929 – 68.4.4暗殺)
「非暴力・不服従」を掲げる公民権運動のリーダー。1963年ワシントン大行進での歴史的演説”I Have a Dream”(私には夢がある)は世界中を感動させ、20世紀最高の演説といわれた。64年公民権法が成立、同年にノーベル平和賞を受賞。68年遊説先で白人男性に暗殺される。2018年はキング牧師没後50年にあたる。
ブックガイド
http://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/book/
https://mainichi.jp/articles/20180513/ddv/010/070/010000c