予告編
1933年日本統治下の台湾に登場したモダニズム詩人団体にスポットを当てたドキュメンタリーで、台湾のアカデミー賞に相当する金馬奨で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。日本による植民地支配が40年近く経過した1930年代の台湾で誕生したモダニズム詩人団体「風車詩社」。植民地支配下で日本語教育を受け、日本留学の経験を持つ彼らエリートは、日本語による詩を創作し、新しい台湾文学の創造を試みた。日本近代詩の先駆者で、世界的評価を得ているモダニストの西脇順三郎や瀧口修造といった日本文学者たちから刺激を受け、ジャン・コクトーなどの西洋モダニズム文学に触れ、情熱を育んでいった若きシュルレアリストたちが、二二八事件、白色テロといった時代のうねりに巻き込まれていく。1年半で活動を終え、歴史に埋もれた「風車詩社」の文学を通し、当時の台湾と日本の関係や、政治弾圧という社会的な側面が浮かび上がらせていく。
公式サイト:https://sunpoday.com
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/880/
監督:黃亞歷(ホアン・ヤーリー)Huang Ya-Li
映像と音の関連性、およびそれらの可能性を広げることに関心を持つ台湾のインディペンデント映画作家。近年、日本植民地時代の台湾に関するドキュメンタリーを扱う。ドキュメンタリーのリアリティー解釈においては、歴史的な調査と検証を重視。台湾とアジア及び世界との関係を作品に投影することをテーマに制作。長編映画デビュー作となる本作で、台湾のアカデミー賞といわれる金馬奨最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。
「 映画「『日曜日の散歩者』を撮り終えてから、海外の映画祭でもたびたび上映されてきました。上映までに、その国の歴史、中でも植民地と関わる歴史について、少しでも知るようにしています。植民地の宗主国となった国であれ、植民地となった国であれ、置かれた状況には類似点や相違点があります。それらを知ることで、映画を撮り終えた今も、植民地化された台湾の経験が他の国とどう異なるのか、考え続けています。視野を広げようと努め、より多くの考えるべき点を引き出すのが目的です。
その過程で重要な関心事は、私たちがこの時代において、一人の台湾人をいかに認識するのか、ひいては一人のアジア人、世界の中の一人、一人の本質的な人間をいかに認識するのか、ということです。この過程をきっかけに、各々の時代と個人との関係を見つめ直すのです。
台湾はかつて半世紀もの長きにわたり、日本の植民地支配を受けました。映画に込めた私の思いは、台湾人が自身の歴史や作家たちをどうとらえるのか、というだけではなく、日本と切り離せない台湾のこの時代や精神をつなぎ合わせることで、より多くの同時代の日本人に理解してもらいたい、ということです。ここから出発しなければ、台湾と日本がともに経験した植民地時代の複雑な問題について、十分に討議し、お互いに理解する機会を持つことはできないでしょう。
日本の皆さんが共有してくださることを切に希望しています。
黃亞歷」
(パンフレットより)
「監督・来日インタビュー」
http://www.taipeinavi.com/special/80003388
「監督インタビュー」
http://rooftop.cc/interview/170818051256.php
「監督と巖谷國士が対談」
http://natalie.mu/eiga/news/241231
イメージフォーラム:10:45-13:35 (162分)
https://ja.wikipedia.org/wiki/台南市
https://ja.wikipedia.org/wiki/台湾の文学
大東和重「植民地の地方都市における「文壇」と「文学」: 日本統治期台湾・台南の台湾人作家たち (特集 文壇のアルケオロジー) — (マージナル : 外部/内部の文壇)」『文学』(第17巻第3号)2016,5・6月号:岩波書店. Ppp.180-197.