映画『マミー』本予告篇
<ドキュメンタリー映画『マミー』(二村真弘監督)本予告編>
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2024年8月3日㊏より
東京 シアター・イメージフォーラム、大阪 第七藝術劇場、ほか全国順次公開
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監督:二村真弘 配給:東風
2024/日本/119分/ドキュメンタリー
https://mommy-movie.jp
https://x.com/mommy_movie2024
問合せ:東風(http://www.tongpoo-films.jp/)
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||◤和歌山毒物カレー事件から26年目の挑戦◢||
🔷イントロダクション🔷
和歌山毒物カレー事件——1998年7月、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入。67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡した。犯人と目されたのは近くに住む林眞須美。凄惨な事件にメディア・スクラムは過熱を極めた。自宅に押し寄せるマスコミに眞須美がホースで水を撒く映像はあまりにも鮮烈だった。彼女は容疑を否認したが、2009年に最高裁で死刑が確定。今も獄中から無実を訴え続けている。
事件発生から四半世紀、本作は最高裁判決に異議を唱える。「目撃証言」「科学鑑定」の反証を試み、「保険金詐欺事件との関係」を読み解いていく。さらに眞須美の夫・林健治が自ら働いた保険金詐欺の実態をあけすけに語り、確定死刑囚の息子として生きてきた林浩次(仮名)が、なぜ母の無実を信じるようになったのか、その胸のうちを明かす。林眞須美が犯人でないのなら、誰が彼女を殺すのか? 二村真弘監督は、捜査や裁判、報道に関わった者たちを訪ね歩き、なんとか突破口を探ろうとするのだが、焦りと慢心から取材中に一線を越え…。
映画は、この社会のでたらめさを暴露しながら、合わせ鏡のようにして、私たち自身の業や欲望を映し出す。
||◤監督メッセージ◢||
私は何かとんでもない思い違いをしているのではないか。取材中、何度も自問した。
林眞須美は手練れの詐欺師で、ふてぶてしい毒婦で、夫をも殺そうとした冷酷な人間であったはずなのに、取材によって得た事実はそれとは全く違う姿を映し出していた。
これで死刑判決が下されたのか…。空恐ろしさを感じた。
ーーー二村真弘(監督)
映画『マミー』(二村真弘監督)特報予告編|8月3日(土)公開
▰▰映画『マミー』(二村真弘監督)特報予告編▰▰
2024年8月3日㊏より、東京 シアター・イメージフォーラム、大阪 第七藝術劇場、ほか全国順次公開
||◤和歌山毒物カレー事件から26年目の挑戦◢||
🔷大島新さんコメント🔷
この映画はスクープだ。
そして誤解を恐れず言えば、痛切なるエンタメ作品だ。
「執行されてしまったら取り返しのつかないことになる」と思い、調べ始めた二村真弘監督の取材の深さはもちろん、撮影・構成・編集などの表現力も一級品。
同業者として脱帽、と同時に嫉妬した。
——大島 新(ドキュメンタリー監督)
🔷イントロダクション🔷
和歌山毒物カレー事件——1998年7月、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入。67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡した。犯人と目されたのは近くに住む林眞須美。凄惨な事件にメディア・スクラムは過熱を極めた。自宅に押し寄せるマスコミに眞須美がホースで水を撒く映像はあまりにも鮮烈だった。彼女は容疑を否認したが、2009年に最高裁で死刑が確定。今も獄中から無実を訴え続けている。
事件発生から四半世紀、本作は最高裁判決に異議を唱える。「目撃証言」「科学鑑定」の反証を試み、「保険金詐欺事件との関係」を読み解いていく。さらに眞須美の夫・林健治が自ら働いた保険金詐欺の実態をあけすけに語り、確定死刑囚の息子として生きてきた林浩次(仮名)が、なぜ母の無実を信じるようになったのか、その胸のうちを明かす。林眞須美が犯人でないのなら、誰が彼女を殺すのか? 二村真弘監督は、捜査や裁判、報道に関わった者たちを訪ね歩き、なんとか突破口を探ろうとするのだが、焦りと慢心から取材中に一線を越え…。
映画は、この社会のでたらめさを暴露しながら、合わせ鏡のようにして、私たち自身の業や欲望を映し出す。
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監督:二村真弘 配給:東風
2024/日本/119分/ドキュメンタリー
https://eiga.com/movie/101742/
1998年に日本中を騒然とさせた和歌山毒物カレー事件を多角的に検証したドキュメンタリー。
1998年7月、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入し、67人がヒ素中毒を発症、小学生を含む4人が死亡する事件が起こった。犯人と目されたのは近所に住む林眞須美で、凄惨な事件にマスコミ取材は過熱を極めた。彼女は容疑を否認しており、2009年に最高裁で死刑が確定した後も獄中から無実を訴え続けている。
最高裁判決に異議を唱える本作では、当時の目撃証言や科学鑑定への反証を試み、保険金詐欺事件との関係を読み解いていく。さらに、眞須美の夫・健治が自ら働いた保険金詐欺の実態を語り、確定死刑囚の息子として生きてきた浩次(仮名)が、母の無実を信じるようになった胸の内を明かす。
監督は、「不登校がやってきた」シリーズなどテレビのドキュメンタリー番組を中心に手がけてきた二村真弘。
2024年製作/119分/日本
配給:東風
劇場公開日:2024年8月3日
公式サイト:https://mommy-movie.jp
イントロダクション
和歌山毒物カレー事件
1998年7月、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入。67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡した。犯人と目されたのは近くに住む林眞須美。凄惨な事件にメディア・スクラムは過熱を極めた。自宅に押し寄せるマスコミに眞須美がホースで水を撒く映像はあまりにも鮮烈だった。彼女は容疑を否認したが、2009年に最高裁で死刑が確定。今も獄中から無実を訴え続けている。
事件発生から四半世紀、最高裁判決に異議を唱える
本作は「目撃証言」「科学鑑定」の反証を試み、「保険金詐欺事件との関係」を読み解く。「まぁ、ちょっと、どんな味すんのかなと思って舐めてみたわけ」とヒ素を使った保険金詐欺の実態を眞須美の夫・林健治があけすけに語り、確定死刑囚の息子として生きてきた林浩次(仮名)が、なぜ母の無実を信じるようになったのか、その胸のうちを明かす。林眞須美が犯人でないのなら、誰が彼女を殺すのか? 二村真弘監督は、捜査や裁判、報道に関わった者たちを訪ね歩き、なんとか突破口を探ろうとするのだが、焦りと慢心から取材中に一線を越え…。
映画は、この社会のでたらめさを暴露しながら、合わせ鏡のようにして、私たち自身の業や欲望を映し出す

和歌山毒物カレー事件とは

1998年7月25日、和歌山市園部地区の夏祭りで提供されたカレーを食べた67人が急性ヒ素中毒を発症、そのうち4人が死亡。同年12月、和歌山県警はカレーへのヒ素混入による殺人と殺人未遂容疑で林眞須美を逮捕。1999年5月、初公判。林眞須美は、過去の保険金詐欺は認めるものの、カレー事件をはじめとするヒ素関連事件については否認。続く二審からは無実を訴えた。2009年5月、最高裁で死刑が確定。戦後日本で11人目の女性死刑囚となる。2024年2月、弁護団が3回目の再審請求を和歌山地裁に申し立てる。林眞須美は現在も大阪拘置所に収容されている。
コメント
順不同・敬称略
* この映画はスクープだ。
* そして誤解を恐れず言えば、痛切なるエンタメ作品だ。
* 「執行されてしまったら取り返しのつかないことになる」と思い、調べ始めた
* 二村真弘監督の取材の深さはもちろん、撮影・構成・編集などの表現力も一級品。
* 同業者として脱帽、と同時に嫉妬した。
大島 新(ドキュメンタリー監督)
* 衝撃的な「映画」だ。事件の当事者の人々の、語る内容はもちろん、その語り口、声、身体は、こちらの安易な予断を悉く裏切っていく。家族の、親子の、夫婦の、人間の計り知れなさ。膨大な時間の中の絶望と、しかし、それに抗う力を感じた。 押見修造(漫画家)
* 多くの人が「その話はもうやめてくれ」と逃げる。
* なぜ、逃げるのか。なぜ、カメラの前で語らないのか。
* 各人の後ろめたさが渦となり、問いかけてくる。
武田砂鉄(ライター)
* 21世紀もすでに4分の1が過ぎようとしているのに、人間社会にはまだ決定的な「殺めた証拠の判断基準」も「殺めていないことの証明方法」も整っていない。整う見込みもない。恒久的な不完全さを棚に上げて、私たちは何と傲慢で高慢で身勝手なことか。二村真弘監督の端正な狂気はそれを容赦なく炙りだしてゆく。 松尾潔(音楽プロデューサー・作家)
* マスコミが誰かの逮捕の場面を撮影し報道すると、視聴者はこの人が犯人と確信してしまいます。
* 警察と組んだマスコミが推定無罪の原則を無視することが冤罪の出発点です。
* 死刑囚がわずかでも犯人ではない可能性があったら、再審開始すべきです。
* 『マミー』という映画が多くの国民を考えさせ、より良い司法制度に繋がってほしい。
西村カリン(仏「リベラシオン」紙/「ラジオ・フランス」特派員)
* もしもあなたが、当時の報道をそのまま信じ込んでカレー鍋にヒ素を入れたのは林眞須美死刑囚に決まっていると思っているのなら、絶対にこの映画を観て衝撃を受けるべきだ。
* その後に考えてほしい。自分たちは何を間違えたのか。なぜ思い込んだのか。
森達也(映画監督、作家)
* あの人が殺(や)ってるしかない――。作中の市民の声は、多くの人々の考えであろう。
* 事件を一から洗い直した徹底取材が、私たちの固定概念を覆(くつがえ)していく。
* 誰がやったかではなく、やっていないのかを検証した超絶ドキュメンタリー。
角岡伸彦(ノンフィクション・ライター)
* あの頃9歳だった自分もまわりの大人も、報道陣に水を撒く林眞須美さんの姿だけを見て、彼女を“悪人”だと判断していた。報道陣が市井の人の私生活を土足で踏み荒らす異常さにも気付かずに。
*
* これは当時“魔女狩り”に加担したすべての人に向けられた反証。メディアが無責任にも放棄したその後の役割を、すべて背負わんとする覚悟と執念が全編に漲っていた。本年の最重要作。
ISO(ライター)
* 不思議な映画だ。何重にも入れ子構造になったテーマが見る者を惑わせる。
* 冤罪告発、息子と母の関係、不可思議な家族に加えて、監督自身が大きな存在としてせり出している。一度も画面に登場しない林眞須美が真の主役かもしれない。一筋縄ではいかない本作は、ドキュメンタリーのあり方を根底から問いかける問題作となるだろう。
信田さよ子(公認心理師)
* 和歌山カレー事件には被害者、加害者、報道、警察、検察……多くの関係者がいる。それぞれの立場から見え方が異なる事件である。では、自分は当時どう見ていたのか。今はどうなのか。本作を鑑賞後に見方を修正する必要があるのか、どうなのか。自問自答と決断を迫る作品だ。 丸山ゴンザレス(ジャーナリスト)
* 林眞須美の保険金詐欺の「被害者」とされた夫が語る真実が衝撃。警察、検察、マスコミ、裁判官によるでっち上げ。こんなひどい話があるだろうか? ある。今の日本は他も全部、こんな状況だ。取材していた監督が怒りのあまり一線を越えてしまうほどに。 町山智浩(映画評論家)
スタッフメッセージ
* 私は何かとんでもない思い違いをしているのではないか。取材中、何度も自問した。
* 林眞須美は手練れの詐欺師で、ふてぶてしい毒婦で、夫をも殺そうとした冷酷な人間であったはずなのに、取材によって得た事実はそれとは全く違う姿を映し出していた。
* これで死刑判決が下されたのか…。空恐ろしさを感じた。
二村真弘(監督)
* この企画は、いくつかのテレビ局に持ち込んだが「死刑判決が確定している事件を扱うのは難しい」と言われ実らなかった。それなら映画にしようと監督が撮影に入ると、取材先で度々新聞やテレビの記者に出くわした。しかし、彼らは冤罪の可能性について取材していても、大々的に報じることはなかった。死刑判決にこれだけ疑義があることがわかっていて、なぜ。監督の疑問と憤りが、今回の映画の原動力になっている。
石川朋子(プロデューサー)
プロフィール
* 監督:二村真弘(にむら・まさひろ)
1978年愛知県生まれ。日本映画学校(現・日本映画大学)で学び、2001年よりドキュメンタリージャパンに参加、11年からフリーランスとしてテレビ番組の制作を手掛ける。統合失調症からの回復を引き出す日本独自の手法を描いた「見る当事者研究」(15/DVD作品)、東日本大震災の被災者たちが身内にだけ語ってきた“笑える話”を聞き取った「千原ジュニアがゆく 聞いてけろ おもしぇ~話」(17/NHK総合)、ネジ一本から手作りする独立時計師を1年以上追った「情熱大陸/菊野昌宏」(19/MBS)、講談師・神田松之丞の真打昇進、6代目神田伯山襲名までの半年を追った「情熱大陸/松之丞改め神田伯山」(20/MBS)、我が子が不登校になったことをきっかけに学校のあり方、家族のあり方を描いたセルフドキュメンタリー「不登校がやってきた」シリーズ(21~/NHK BS1)など。本作『マミー』は初映画監督作品。
* プロデューサー:石川朋子(いしかわ・ともこ)
1991年にドキュメンタリージャパンに参加しディレクターとして番組を制作。2007年からプロデューサーとして活動。「ドキュメンタリーWAVE」「BS1スペシャル」(NHK BS1)などを制作。二村監督とは、自身の子供の不登校の生活を描いた「不登校がやってきた」シリーズ(21〜/NHK BS1)を制作。
* プロデュースした主な映画作品に、バレエダンサー首藤康之のドキュメンタリー映画『今日と明日の間で』(11/小林潤子監督)、コメディアンのウーマンラッシュアワー・村本大輔を追った『アイアム・ア・コメディアン』(22/日向史有監督)が24年7月6日より劇場公開。現在はフリーランス。
https://ja.wikipedia.org/wiki/和歌山毒物カレー事件
J&B:12:10-14:15 (119分)
https://www.jackandbetty.net/cinema/detail/3504/
https://tofoofilms.co.jp/news/page/8/
#7【ノンフィクションライターが見た事件】/林眞須美が冤罪だと思ったきっかけ/不可解な保険金詐欺事件/貴重な証言者/事件当時のずさんな報道/【和歌山毒
シリーズ「和歌山毒物カレー事件の真相を追う」第7話は、カレー事件の冤罪の可能性について最も深く取材しているノンフィクションライターが語る。緻密な取材によって、不可解な捜査、矛盾する判決、ずさんな報道の実態が浮かび上がってくる。
※今後の取材継続のためにも、よろしければ「Super Thanks」で応援していただけると大変嬉しいです。
【和歌山毒物カレー事件について】
事件が起きたのは1998年7月25日。和歌山県和歌山市園部(そのべ)で行われた夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入。67人が中毒症状を起こし、そのうち4人が死亡した。混入されたのは猛毒のヒ素と判明。3ヶ月後、別件逮捕されたのは近所に暮らす林眞須美(当時37歳)。一貫して無罪を主張するも2009年に死刑が確定した。現在も再審を求め続けている。
林眞須美死刑囚の長男が書いた本をきっかけに事件に興味を持ったディレクターが、長男、夫、近隣の住民、科学鑑定の真偽、弁護団、マスメディアなど関係者を取材。事件の真相を探るそのプロセスを、丸ごとYouTubeで配信していきます。取材の進捗に合わせて随時配信予定。
/ digtv_japan
撮影・編集・演出:二村真弘
製作:dig production
毒入りカレー事件から25年 林真須美死刑囚からは“無実”訴える手紙 長男、被害者家族…事件に向き合い続ける当事者たち【かんさい情報ネット ten.特集】
和歌山市で起きた毒入りカレー事件から7月25日で25年です。1998年、地域の夏祭りでふるまわれたカレーに毒物が混入し、4人が死亡しました。25日、現場には被害者の家族が献花に訪れ、「事件を思い出すと、今でも怒りがこみあげてくる」と話しました。一方、事件の犯人として逮捕され、死刑が確定した林真須美死刑囚は今も無実を訴えています。今年6月、長男に宛てた手紙には、強い筆跡で「私、林真須美はカレー事件とは関係ありません」と書かれていました。受け取った長男は林真須美死刑囚の無実を信じ続けています。
事件を知らない世代も増える中、当事者たちは今も、事件と向き合い続けています。
(かんさい情報ネットten. 2023年7月25日放送)
▼読売テレビ報道局のSNS
▼読売テレビニュース
https://www.ytv.co.jp/press/
▼情報ライブ ミヤネ屋
https://www.ytv.co.jp/miyaneya/
▼情報提供はこちら「投稿ボックス」
https://www.ytv.co.jp/toukou_box/
林眞須美のすべて 麻須美逮捕直前林夫婦インタビュー!毒入りカレー事件 和歌山東署
公式ブログ:http://autumnsnake.livedoor.blog/
えん罪というのは思い込みから簡単に起こるかという典型的な例。世紀の大えん罪事件として後世に残るだろう。
Yahoo!知恵袋に河合潤が回答している。
河合潤@京都大学本人の回答
http://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/
河合潤@京都大学です.この数年間,カレーヒ素事件の鑑定書を,研究の一環として解析しています.chiebukuroのこのページのことを知らせてくれた人がありましたのでちょっと書いてみようと思います.学生に手伝ってもらってYahooになんとか登録できました.
最近(2016年9月)も和歌山地裁に意見書を提出したばかりですが,その最後で「私(=河合)の一連の鑑定書・意見書が鑑定を超えて指し示す新たな真実は,不明な動機によって4名を殺害し63名に傷害を負わせた真犯人は,凶器の亜ヒ酸を現在も所持したまま,野放しであるという事実である」と結論しました.
科警研は,カレーに亜ヒ酸を投入したとされる紙コップに付着した亜ヒ酸が,H所持の亜ヒ酸とは組成が異なることを知りながら,化学分析で得られた組成比を100万倍して対数(log)をプロットして同一であるかのように見せかけていたことを『季刊刑事弁護』誌No.85に書きました.100万倍や対数などでごまかさずにプロットすると,紙コップの亜ヒ酸はH所持亜ヒ酸とは明らかに組成が異なることがわかります(末尾のクロアチアの本にカラーの図を掲載しています).『季刊刑事弁護』ではカレーヒ素事件を中心として虚偽や捏造の鑑定書が裁判で横行していること,その見分け方を連載しています.この雑誌は弁護士が読む雑誌です.
Hの亜ヒ酸と紙コップの亜ヒ酸とは「同一物,すなわち,同一の工場が同一の原料を用いて同一の時期に製造した亜ヒ酸であると結論づけられた」というSPring-8鑑定書が死刑判決の決定的な証拠となりましたが,この時の測定はバラック装置の実験で,とてもまともなデータが出る状況ではなかったという写真を入手して和歌山地裁へ提出しました.地裁確定判決(p.188)には「SPring-8放射光分析した際の写真も撮っていない。」と書いてありますが,専門誌の論文に’98 12 12という日付入りの写真が掲載されていました.しかもSPring-8では各証拠を1回ずつしか測定していませんでしたが,それが公判で問題になると
「今回のこの測定に要した時間は2400秒です.例えば科警研の皆さんがICP-AESで分析してる場合は,多分,10秒程度だと思います.ですから,10秒程度の計測時間ですと大きな統計誤差が入りますので繰り返し測定することが必要ですが,私のような蛍光X線分析の場合,10秒に対して2400秒,240倍の時間を積算してるということがあります」
という証言がありました.この証言は虚偽です(「嘘」と書きたいところですが,証人の心の中までは知ることができないので「虚偽」と書いておきます).この鑑定人は「和歌山毒カレー事件の法科学鑑定における放射光X 線分析の役割」と題する論文を書いて同一製造業者の「亜ヒ酸が当時の国内には,他に流通していなかった」ので,バラック装置であっても紙コップ付着亜ヒ酸はH亜ヒ酸と「同一物」であることが結論できた,と言い訳しています.この論文が掲載された専門誌は(論文題目で検索すれば誌名はすぐわかります)大学の図書館などで閲覧できます.Hのドラム缶と同じ製造業者の亜ヒ酸は,和歌山市内で多い月には1トン(50kg入りドラム缶で20缶)が販売されていたという公判での証言があります.『和歌山県警察本部,取扱注意,部内資料,和歌山市園部におけるカレー毒物混入事件捜査概要』という冊子にはHのドラム缶は大阪へ同時に輸入された60缶の中の1缶だということがシッピングマークからわかったと書いてあります.このことはある記者が教えてくれました.すぐ冊子で確認しました.この冊子は『取扱注意,部内資料』と言いながら,事件解決の記念として週刊誌・マスコミに広く配布したもので,固有名詞はイニシャルで書かれています.和歌山市内で1か月に販売した1トンの亜ヒ酸の大部分は瓶に小分けして販売していました.
違うルーツの亜ヒ酸は,運が良ければ(使った分析手法で2缶の違いが見分けられるほど組成が違っているか分析精度が高かった時)見分けがつきます.科警研の化学分析がまさにそうでした.だから100万倍や対数などで隠ぺいしたのです.SPring-8のバラック装置で1回測ったくらいでは同じか異なるかなど何も言えないことは理系の常識があればわかります.
このほかにもH所持亜ヒ酸が,紙コップ亜ヒ酸のルーツではない事実がいくつも見つかっています.Hの亜ヒ酸は同体積のメリケン粉などを良く混ぜ込んだものであって亜ヒ酸は低濃度でしたが,紙コップの亜ヒ酸は99%の純度でした.良く混合した低濃度の混合粉末を紙コップに汲んでも高濃度になることはあり得ません.紙コップの亜ヒ酸は塩水が少し入って乾燥した成分が見つかりましたが,Hの亜ヒ酸にはそういう成分は入っていません.などなど.
鑑定料が国費からいくら支払われたかなどもわかった範囲で意見書に書きました.巨額の税金が無駄な鑑定に使われました.
研究室のホームページhttp://www.process.mtl.kyoto-u.ac.jp/ には和歌山地裁へ提出した意見書(1)~(10),(11)~(15)を2つのPDFファイルとして公開しています.
下のような2つの論文も書きました.英語ですがどちらも無料でPDF版がダウンロードできます.
http://www.intechopen.com/…/show/titl….
クロアチアの出版社の科学鑑定の本の一章で,100万倍や対数のことなどを書きました(2016年9月Web公開).
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10…
カレーヒ素事件Ⅹ線鑑定の概要と問題点を書いたⅩ線分析の国際誌の論文です(2013年5月Web公開).
質問の答えにはなっていませんが,これ以上の答えが書けるのは犯人だけだろうと思います.
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/…
#和歌山毒物カレー事件#林眞須美#冤罪事件#林健治#河合潤#カレー事件
冤罪の女王”和歌山の伊藤蘭” 林眞須美大図鑑 名作映像集 林夫婦事件後大告白!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%8…
冤罪の可能性
http://orzorzorz.doorblog.jp/archives…
当初より直接証拠がなく、状況証拠の積み重ねだけで有罪とされたが、不自然な点が多く識者から冤罪を指摘する声も多く上がっていた。
「批判を承知であえて言えば、本人が容疑を否認し、確たる証拠はない。そして動機もない。このような状況で死刑判決が確定してよいのだろうか」(田原総一朗)[4]。
「私のわだかまりも、この「状況証拠のみ」と「動機未解明」の2点にある。事件に、眞須美被告宅にあったヒ素が使われたことは間違いない。ただし、そのヒ素に足があったわけではあるまいし、勝手にカレー鍋に飛び込むわけがない。だれかが眞須美被告宅のヒ素をカレー鍋まで持って行ったことは確かなのだ。だが、果たしてそれは本当に眞須美被告なのか、どうしたって、わだかまりが残るのだ」(大谷昭宏)[5]。
「2審判決は「誠実に事実を語ったことなど1度もなかったはずの被告人が、突然真相を吐露し始めたなどとは到底考えられない」と言ったが、これは実質的に黙秘権侵害です」(小田幸児 – 林眞須美の1審、2審、上告審弁護人)[6]
裁判で林眞須美の犯行と断定される上での唯一の物証で決定的な証拠となっていた亜ヒ酸の鑑定において、犯行に使われたとみられる現場付近で見つかった紙コップに付着していたヒ素(亜ヒ酸)と、林邸の台所のプラスチック容器についていたヒ素、カレーに混入されたヒ素が東京理科大学の中井泉教授による鑑定の結果、組成が同一とされたが、のちに中井は依頼された鑑定の内容は、林邸のヒ素と紙コップのヒ素とカレーのヒ素の3つにどれだけの差違があるかを証明することではなく、3つの資料を含む林邸周辺にあったヒ素のすべてが同じ輸入業者経由で入ってきたものだったかどうかを調べることだと理解し、それを鑑定で確認したに過ぎなかった。このため有罪の決め手となった3つの資料の差違を詳細に分析はせず、3つの資料を含む10の資料のヒ素がすべて同じ起源であることを確認するための鑑定を行っていたにすぎなかった。当然ながら、眞須美が自宅にあったヒ素を紙コップでカレーに入れたことを裏付けるためには、3つのヒ素の起源が同じであることを証明しただけでは不十分であり、その3つがまったく同一でなければならない。弁護側の依頼で鑑定結果の再評価を行った京都大学大学院の河合潤教授により3つは同一ではないと評価された[7]。
その他
障害者郵便制度悪用事件で村木厚子を取調べ中に、担当検察官である國井弘樹は、村木に向かい「あの事件だって、本当に彼女がやったのか、実際のところは分からないですよね」といい、否認を続けることで冤罪で罪が重くなることを暗示し自白をせまった[8]。
フジテレビ『ニュースJAPAN』で、安藤優子が事件の注目人物であった逮捕前の林眞須美にインタビューを試みている。逮捕前だったこともあり、注目人物であった林の名前をピー音を被せて名前を匿名化していたが、編集ミスで1か所だけピー音が入っていなかったためその部分だけ「林さんは~」という言葉がのって放送された。
この事件では報道で「毒入りカレー」と言う文字が前面に出ていたためにカレーのイメージが悪くなり、食品会社はカレーのCMを自粛し、料理番組でもメニューをカレーにすることを自粛した。また、TBS系のアニメ『浦安鉄筋家族』では、ストーリーにカレーが出る回が放送されなかった(この回はビデオ化の際に収録された)。
林眞須美が逮捕前にミキハウスのスウェットシャツを着用していたニュース映像が大量に流れたため、ミキハウスのブランドイメージが打撃を受けたと言われる。その後判決公判などのニュースで映像を再使用する際はブランドロゴをぼかし処理で隠す配慮が見られるようになった。
「ヒ素は自分で呑んだ。真須美はやっていない」/真須美被告の夫・健治さんが最高裁判決の不当性を訴え
インタビューズ (2009年04月25日)
「ヒ素は自分で呑んだ。真須美はやっていない」
真須美被告の夫・健治さんが最高裁判決の不当性を訴え
インタビュアー・神保哲生(ビデオニュース)
「ヒ素は自分で呑んだ。真須美は保険金詐欺のプロだが、殺人者ではない。」
和歌山カレー事件で死刑が確定した林真須美被告の夫、林健治さんが、最高裁判決から2日後の4月23日、ビデオニュース・ドットコムのインタビューに応じ、真須美被告に殺人罪を適用する上で有力な状況証拠の一つとなった健治さんに対する殺人未遂事件は、実際は健治さんが真須美さんと共謀の上、保険金を詐取するために自らヒ素を呑んだもので、真須美さんが殺人未遂を犯した事実は無いと語り、最高裁判決の不当性を訴えた。
1998年7月25日、和歌山県和歌山市郊外園部の町内会の夏祭りで出されたカレーに猛毒のヒ素が混入し、子どもを含む4人が死亡、63人がヒ素中毒の被害を受けたいわゆる和歌山カレー事件の公判では、最高裁が21日、殺人の罪に問われていた林真須美被告の上告を棄却したことで、大阪高裁が05年6月28日に下した真須美被告の死刑が確定している。
しかし、この事件の公判では、真須美被告の犯行を裏付ける物的証拠が何一つ提出されず、また、真須美被告が一貫して犯行を全面否認していることから、殺人の動機も不明なまま死刑判決が下るという、異例の展開となっていた。
検察は真須美被告がカレー鍋にヒ素を混入させた犯人と考えるべき根拠として、被告には過去に夫健治さんらをヒ素を使って殺害し、保険金を得ようと試みた殺人未遂の前歴があることを重要な状況証拠としてあげていた。
しかし、夫健治さんはインタビューの中で、「真須美は保険金詐欺のプロだが、殺人者ではない」と語り、真須美さんが健治さん殺害を狙ったとされる「くず湯事件」は、健治さんが真須美さんと共謀の上、自らヒ素を呑み、重度後遺障害の保険金を詐取しようとしたもので、真須美さんの殺人未遂容疑はまったくの冤罪だと主張した。
健治さんは同様の主張をカレー事件裁判の控訴審で証言したが、裁判所はこれが近親者の証言である上、一審では出なかった証言事実が唐突に二審で出てきたものとして、この証言を信ずるに足らないと一蹴している。しかし、健治さんは、「最初からずっとこれ(くず湯事件が自らヒ素を呑んだものであること)を主張していたが、一審では自分は保険金詐欺事件で捕まっていて法廷で証言する機会がなかった。(保険金詐取事件の)取り調べの時に担当検事にこの話をしても、全く取り上げてもらえなかった」と語っている。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_66b30897e4b0551015a1a91a
和歌山カレー事件をめぐる映画『マミー』を観て「戦争」との類似点について考えた
町山智浩 映画『マミー』2024.08.06
『マミー』
劇場公開日:2024年8月3日
◆1998年に日本中を騒然とさせた和歌山毒物カレー事件を多角的に検証したドキュメンタリー。
監督:二村真弘
#町山智浩 #たまむすび #アメリカ流れ者
26年目に問う 「犯罪」は証明されたのか 二村真弘さん+町山智浩さん シン池田香代子の世界を変える100人の働き人 6人目+α
デモクラシータイムス
「自白なし、物証なし、動機なし」にも拘らず死刑判決が下された和歌山毒物カレー事件。これは冤罪なのか、そうではないのか。メディア、科学鑑定、警察・検察・裁判はあれでよかったのか。端正にして情熱あふれる傑作ドキュメンタリーの誕生です。
ラジオの生出演直前という時間を縫って急遽ご出演くださった町山さんと監督の、作品の核心に迫るやりとりを、ぜひお聞きください。
2024年7月16日 収録
■映画『マミー』
2024年8月3日(土)より[東京]シアター・イメージフォーラム、[大阪]第七藝術劇場ほか全国順次公開
【WEB】 http://mommy-movie.jp
■映画『正義の行方』
https://seiginoyukue.com/
和歌山カレー事件 林眞須美死刑囚長男『もう逃げない。~いままで黙っていた「家族」のこと~』ビジネス社、2019年7月。ISBN 978-4828421155。