ニナ・メンケス監督3作品が日本劇場初公開「ニナ・メンケスの世界」予告編
作品名:
『マグダレーナ・ヴィラガ』
『クイーン・オブ・ダイヤモンド』
『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』
作品情報ページ:
https://www.cinemacafe.net/movies/35170/
https://www.cinemacafe.net/movies/35171/
https://www.cinemacafe.net/movies/35172/
【解説】
自らプロデューサーや撮影を務める特異な作品づくりと、そこから生み出される研ぎ澄まされた映像世界によって、多様なアメリカ映画界の中でも唯一無二の存在として1980年代初頭から現在まで活動を続けてきた女性監督、ニナ・メンケス。近年、初期作品がレストアされるなど評価の機運が高まり、日本でも昨年国立映画アーカイブで開催された特集「アカデミー・フィルム・アーカイブ 映画コレクション」にて代表作『クイーン・オブ・ダイヤモンド』が上映。その圧倒的な映像に観客の度肝を抜いた。シャンタル・アケルマンやケリー・ライカート、ウルリケ・オッティンガーといった女性監督の上映、再発見に続き、最も注目を集めていると言っても過言ではないメンケス監督の3作品が日本劇場初公開。
2024年5月10日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開
配給元:コピアポア・フィルム
https://eiga.com/movie/101459/
女性が対峙する内面世界や孤独・暴力といったテーマを独自の美学で描き続けるアメリカの女性監督ニナ・メンケスの代表作として知られる、1991年製作の長編第2作。
きらびやかなカジノのネオンと荒涼とした砂漠の風景が並ぶラスベガスを舞台に、カジノのディーラーとして働く女性フィルダウスの倦怠感に満ちた日常を、大胆かつミニマムに描き出す。前作「マグダレーナ・ヴィラガ」に続いてメンケス監督の妹ティンカ・メンケスが主演を務めた。
アカデミー・フィルム・アーカイブおよびザ・フィルム・ファウンデーションによって新たに修復され、2024年5月開催の特集上映企画「ニナ・メンケスの世界」にて日本初公開。
1991年製作/75分/G/アメリカ
原題:Queen of Diamonds
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2024年5月10日
公式サイト:https://ninamenkesfilmfes.jp
ラスベガスのディーラーの日常を追った代表作
クイーン・オブ・ダイヤモンド ※4Kレストア版
Queen of Diamonds
1991年 / カラー / 75分
監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス 編集:ティンカ・メンケス、ニナ・メンケス
出演:ティンカ・メンケス、エメルダ・ビーチ
©1991 Nina Menkes ©2024 Arbelos
ラスベガスで生きる女性ディーラー、フィルダウス(インドネシア語で“楽園”の意)の倦怠に満ちた日常を描いた傑作。昼間は瀕死の老人を介護し、夜はカジノでカードを配る。時には砂漠に浮かぶ湖に友人と出かけたり、恋人に手を上げる隣人に悪態をついたり、行方不明になった夫の消息を探ろうと施設に足を運ぶものの、放たれる言葉や歌声は誰にも届かず、何も変容しないまま一日が過ぎる。眩暈がするほど煌びやかなネオン、無機質なアパートメント、純白のシーツやウェディングドレス、業火に焼き尽くされる大木。大胆な構図でとらえたショットがことごとく美しく圧倒的で、永遠に続くかのような反復とそこかしこに横たわる暴力に感覚が麻痺していく。
※アカデミー・フィルム・アーカイヴと映画財団によるレストア版。 資金提供:ホブソン/ルーカス・ファミリー・ファウンデーション 共同提供:EOSワールド・ファンド
ヒューマントラストシネマ渋谷: 16:55-18:16 (75分)
https://ttcg.jp/human_shibuya/movie/1098200.html
『クイーン・オブ・ダイヤモンド』 Queen of Diamonds
監督・製作・脚本・撮影:ニナ・メンケス
出演:ティンカ・メンケス、エメルダ・ビーチ
1991年 / カラー / 77分
©1991 Nina Menkes ©2024 Arbelos
きらびやかなカジノのネオンと、不毛な砂漠の風景がならぶラスベガスの地で生きる女性ディーラー、フィルダウスの倦怠な日常を大胆かつミニマムに描き(監督いわく、本作は「私が描いたアメリカ合衆国像」(プレスより抜粋)、「90年代のアメリカにとっての『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コルメス河畔通り23番地』となりえるだろう」(Chicago Reader)と絶賛された傑作。厳格な構図でとらえた地にたたずむ女の姿は繊細で、素晴らしく力強い。
※アカデミー・フィルム・アーカイヴおよびザ・フィルム・ファウンデーションによる新たな修復。 資金提供:ジョージ・ルーカス・ファウンデーション 共同提供:EOSワールド・ファンド
https://news.yahoo.co.jp/articles/7981c399c9d653e51ce499cc742f794807bded25
ニナ・メンケスの世界
https://ninamenkesfilmfes.jp
公開から30年。私たちはやっとニナ・メンケスのイメージに出会える幸運を味わえる。
スロット・マシーンの音が鳴り響くラスヴェガスのカジノ。真っ赤な爪が光り、黙々とカードを配るディーラーをじっと見つめるカメラ。色鮮やかなウィール・オブ・フォーチュンの前にじっと立つ監督の妹、ティンカ・メンケス。バーバラ・ローデン、シャンタル・アケルマン、ウルリケ・オッティンガー、アニエス・ヴァルダ、ジェーン・カンピオンの孤独なヒロインたちと同じく、ティンカは寡黙だ。内なる抵抗を、怒りを表す女たちの沈黙。ネヴァダの砂漠、ロサンジェルスのモーテル。
メンケスが描く荒涼としたアメリカ西部にジョン・ウェインはいない。そのカラフルでミニマルな映像を一度目にしたら、決して脳裏に焼き付いて離れない。
――斉藤綾子(明治学院大学教授)
自らプロデューサーや撮影を務め、過激なまでに独自の美学を貫き通し、ガス・ヴァン・サントをはじめ多くの映画人から愛されるアメリカの孤高の映画監督、ニナ・メンケス。手掛けた作品は数々の国際映画祭に招聘され、シャンタル・アケルマンやケリー・ライカートらを引き合いに称賛されてきたものの、我が国では長い間劇場公開されることはなかった。近年、初期作品がアカデミー・フィルム・アーカイヴとマーティン・スコセッシ設立の映画財団(The Film Foundation)によって修復されるなどさらに評価の気運が高まり、このたびついに代表作3本が初の日本公開決定。